

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫の慢性腎臓病|気づいたとき、腎臓は25%しか残っていません」です。ではどうぞ!
最近、よく水を飲む。
トイレの固まりが大きくなった——
けれど、元気はある——
「たくさん飲むのはいいことだろう」と
思われるかもしれません。
けれど、猫が急に水を飲むようになったとき
まず考えるべき病気があります。
慢性腎臓病——
そして、この病気には残酷な性質があります。
その症状が出たときには腎臓の余力は25%しか残っていないのです。
結論
慢性腎臓病は腎臓の機能が徐々に低下していく病気です。やっかいなのは腎機能が75%以上失われるまで症状が出にくいという点で、クレアチニンは腎機能が約75%喪失するまでは上昇しないとされています。つまり血液検査で異常と分かったころには、すでに腎臓の余力が25%しか残っていないことになります。一方SDMAは、腎機能が平均して40%、少ない場合では25%低下した状態でも上昇し、猫では平均17か月早く腎臓病を発見できる可能性が示唆されています。ステージ3〜4は、クレアチニンかSDMAのいずれかの高値と、尿比重の低値(1.035未満)の両方を満たす場合に分類されます。尿素窒素・クレアチニン・リン・カルシウムなどの数値の上昇がみられます。
この記事でわかること
- ✓気づいたときには、25%しか残っていません
- ✓なぜ、水をたくさん飲むようになるのか
- ✓SDMAという、17か月の差
- ✓ステージで、することが決まります
- ✓治すのではなく、減らさないこと
- ✓リンを減らす、という食事療法
- ✓家でできることは、数えることです
気づいたときには、25%しか残っていません

この病気を理解するうえでいちばん大事な数字がこれです。
腎臓病の厄介な点は腎機能が75%以上失われるまで症状が出にくいことです。
| 失われた割合 | 起きていること |
|---|---|
| 25% | まだ何も見えない |
| 40% | 元気に見えている |
| 75% | クレアチニンが上がり始める |
| そのとき | 多飲多尿が出てくる |
| 残っているのは | 25%だけ |
| だから | 「早期発見」の意味が変わる |
クレアチニンは腎機能が約75%喪失するまでは上昇しないとされています。
つまり、血液検査で「腎臓の数値が上がっています」と言われたとき
それは「始まり」ではありません。
すでに4分の3が失われている——
そういう知らせなのです。
⚠ 「元気だから大丈夫」が通じない病気です
猫は体調の悪さを隠します。
そのうえ、この病気はそもそも症状が出ません。
元気に見えていることと腎臓が無事であることは
まったく別の話です。
だから、この病気だけは
症状を待たずに調べに行く必要があります。
なぜ、水をたくさん飲むようになるのか

多飲多尿という症状には理屈があります。
順番を間違えないでください。
「水を飲むから尿が増える」のではありません。
「尿が増えるから水を飲む」のです。
- 健康な腎臓は、尿を濃くして水分を体に残す
- その力が落ちると、薄い尿しかつくれなくなる
- 薄いぶん、老廃物を捨てるには量が要る
- だから、尿の量が増える
- 体の水分が減るので、水を飲む
- つまり、飲むのは「結果」のほう
猫はもともと水をあまり飲まない動物です。
砂漠で暮らしていた祖先から濃い尿をつくる力を受け継いでいます。
その猫が水を飲むようになった——
それは、その力が落ちてきたということです。
「水を飲むようになってよかった」ではないのです。
水の量は、測れます
「たくさん飲んでいる気がする」——
その感覚を数字にできます。
朝、決まった量の水を入れて
翌朝、残った量を量る——
それだけで1日の量が分かります。
その数字を持って受診すると話が早くなります。
SDMAという、17か月の差

ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。
クレアチニンでは間に合わない——
けれど、別の道があります。
SDMAは腎機能が平均して40%、少ない場合では25%低下した状態でも上昇するのに対し
クレアチニンは腎機能が最大75%低下するまで上昇しません。
| SDMA | クレアチニン | |
|---|---|---|
| 上がり始める時期 | 25〜40%低下した段階 | 最大75%低下してから |
| そのとき | まだ症状がない | 多飲多尿が出ている |
| 残っている腎機能 | 60〜75% | 25% |
| 猫での差 | 平均17か月早く見つかる可能性 | —— |
| できること | 食事や管理を、早く始められる | 進んだ状態からの対応になる |
| だから | 健康診断で聞いてみる価値がある | これだけでは足りない |
猫では平均17か月早く腎臓病を発見できる可能性が示唆されています。
17か月——
1年半近い時間です。
その間に食事を変え水を増やし負担を減らすことができます。
失われた腎臓は戻りません。
だからこそ、残っているうちに気づく意味があるのです。
健康診断で、聞いてみてください
「SDMAも測ってもらえますか」——
この一言から始められます。
- 高齢の猫なら、一度相談してみる
- 7歳を過ぎたら、健康診断の内容を見直す
- 血液検査だけでなく、尿検査もあわせて
- 尿比重は、尿がないと調べられない
- 受診の朝、可能なら尿を持っていく
- 難しければ、病院で採ってもらえる
そして、尿検査——
血液検査だけでは足りません。
尿比重が1.035未満という低値は
ステージを決めるときの条件のひとつです。
「濃い尿をつくれているか」——
それは、尿を見なければ分かりません。
ステージで、することが決まります
この病気には段階(ステージ)があります。
ステージ3〜4はクレアチニン、SDMAのいずれかの高値と尿比重の低値(1.035未満)の両方を満たす場合に分類されます。
| 段階 | 考え方 |
|---|---|
| 初期 | 数値の変化だけ。症状はない |
| このとき | 食事と水分で、負担を減らしていく |
| 中期 | 多飲多尿が出てくる |
| このとき | リンの管理が中心になる |
| 後期(ステージ3〜4) | クレアチニンかSDMAの高値+尿比重の低値 |
| このとき | 点滴などで体を支える段階に入る |
「ステージ」と聞くと身構えてしまいます。
けれど、これは「いま何をすべきか」を決めるためのものです。
段階が違えばやることも違う——
だから、「うちの子はいまどの段階ですか」と
聞いてみてください。
そこから話が具体的になります。
そして、段階は一度決まったら終わりではありません。
定期的に測り直していまどこにいるかを確かめていきます。
「前回と比べてどうですか」——
その質問がいちばん知りたいことを引き出します。
治すのではなく、減らさないこと
ここは、はっきり書いておきます。
壊れた腎臓は元に戻りません。
だから、この病気の目標は「治すこと」ではありません。
「これ以上減らさないこと」です。
- 残っている腎臓を、大事に使っていく
- 負担になるものを、減らしていく
- 脱水させない。水分を切らさない
- たまった老廃物への対応をする
- そのうえで、定期的に数値を見る
- 進み方を、ゆるやかにしていく
「治らない」と聞くと落胆されるかもしれません。
けれど、この病気は年単位で付き合っていけることがあります。
早く見つけて早く始めたぶんだけ
その時間は長くなります。
🩺 通院の負担も、相談できます
この病気で体を支える方法のひとつが点滴です。
脱水を防ぐことで腎臓への負担を減らします。
通院で行うことも家で行えるようになることもあります。
「家でできますか」と聞いてみてください。
通院の負担は猫にとっても大きいものです。
そこが減らせるなら暮らしが変わります。
リンを減らす、という食事療法
食事療法がこの病気の中心になります。
慢性腎臓病では尿素窒素・クレアチニン・リン・カルシウムなどの数値の上昇がみられます。
なかでもリン——
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| なぜリンか | たまると、進行に関わってくる |
| 腎臓の役割 | 本来はリンを尿へ捨てている |
| 弱ると | 捨てきれず、体にたまる |
| だから | 入ってくる量を減らす |
| 方法 | 腎臓用の療法食を使う |
| ときには | 吸収を抑える薬が使われることも |
「食べてくれない」——
これが、この病気でいちばん多いつまずきです。
猫は食べ慣れないものを受けつけないことがあります。
そのうえ、この病気ではもともと食欲が落ちてきます。
- 少しずつ、いまの食事に混ぜていく
- 温めて、においを立たせてみる
- ドライとウェットの両方を試す
- いくつか種類があれば、変えてみる
- 食べないまま、放置しない
- 「食べません」も、伝えるべき情報
猫が食べない日が続くことには別の危険もあります。
「療法食を食べないから」と何も食べさせないのは
いちばん避けたいことです。
まず、食べること——
そのうえで内容を近づけていく——
その順番を相談してください。
おやつと、人の食べもの
療法食をがんばっているのに効きが見えない——
そういうときに見直したいのがそれ以外です。
| こんなもの | 考えること |
|---|---|
| 市販のおやつ | リンが多いものがある。量と頻度を見直す |
| 煮干し、かつお節 | リンが多い。日常的に与えない |
| 人の食べもの | 塩分もリンも、猫には多すぎる |
| ほかの猫のごはん | 多頭飼いでは、食べてしまうことがある |
| 投薬用のおやつ | 使ってよいか、聞いておく |
| 迷ったら | 「これはあげてよいですか」と聞く |
とくに見落とされやすいのが多頭飼いです。
療法食を用意してもほかの猫のごはんを食べてしまう——
逆に、ほかの猫が療法食を食べてしまう——
場所を分ける時間をずらす——
そこも工夫が要ります。
家でできることは、数えることです

この病気で飼い主にできることははっきりしています。
数えることです。
| 見ること | 方法 |
|---|---|
| 水の量 | 朝に入れた量と、翌朝の残りを量る |
| 尿の量 | 固まりの大きさと数を見る |
| 体重 | 月に一度は量って記録する |
| 食べた量 | 減っていないか |
| 吐く回数 | 週に何回か |
| 毛づやと元気 | 写真で残しておくと比べられる |
とくに、体重——
この病気ではじわじわと減っていきます。
毎日見ていると気づけません。
けれど、半年前の数字と比べればはっきり分かります。
抱っこして一緒に体重計に乗り自分の体重を引く——
その方法でもじゅうぶんです。
水を飲みやすくする工夫
この病気では脱水させないことがそのまま腎臓を守ります。
けれど、猫はもともと水を飲まない動物です。
- 水の器を、家のなかの何か所かに置く
- 器の材質を変えてみる(陶器、ガラスなど)
- 浅めで、ひげが当たらない器にする
- 食事の場所から少し離す
- 流れる水を好む猫もいる
- ウェットフードで、食事から水分を摂らせる
とくに効きやすいのがウェットフードです。
飲ませようとするより食べものから入れるほうが確実——
療法食にもウェットタイプがあることが多いので
聞いてみてください。
そして、器の場所——
猫は食事のすぐそばで水を飲まないことがあります。
少し離すだけで飲む量が変わることもあります。
多飲多尿には、ほかの理由もあります
水をよく飲むようになったとき
考えるべき病気は腎臓だけではありません。
| 病気 | 手がかり |
|---|---|
| 慢性腎臓病 | 高齢。体重が減り、食欲も落ちてくる |
| 甲状腺機能亢進症 | よく食べるのに痩せる。落ち着きがない |
| 糖尿病 | よく食べて、よく飲む。太っていたことが多い |
| 尿崩症 | 飲んでも飲んでも、薄い尿が出続ける |
| 高血圧 | 腎臓病に伴って起きることが多い |
| 共通 | 血液検査と尿検査で、切り分けられる |
「よく食べるのに痩せる」なら甲状腺機能亢進症——
「よく食べて、よく飲む」なら糖尿病——
「飲んでも薄い尿が出続ける」なら尿崩症——
いずれも調べれば分かります。
そして、この病気が進むと尿毒症の症状が出てきます。
よくある質問
Q. 慢性腎臓病とは、どんな病気ですか?
A. 腎臓の機能が徐々に低下していく病気です。厄介なのは、腎機能が75%以上失われるまで症状が出にくいという点です。
Q. 血液検査で分かりますか?
A. 分かりますが、時期が問題です。クレアチニンは腎機能が約75%喪失するまでは上昇しないとされています。異常と分かったころには、すでに余力が25%しか残っていないことになります。
Q. SDMAとは何ですか?
A. もっと早く上がる指標です。SDMAは腎機能が平均して40%、少ない場合では25%低下した状態でも上昇します。猫では平均17か月早く腎臓病を発見できる可能性が示唆されています。
Q. なぜ、水をたくさん飲むのですか?
A. 順番が逆で、尿が増えるから飲むのです。腎臓が弱ると尿を濃くする力が落ち、薄い尿しかつくれなくなります。老廃物を捨てるのに量が要るため尿が増え、失った分を補うために水を飲みます。
Q. 尿検査も必要ですか?
A. 必要です。ステージ3〜4は、クレアチニンかSDMAのいずれかの高値と、尿比重の低値(1.035未満)の両方を満たす場合に分類されます。尿を濃くできているかは、尿を見なければ分かりません。
Q. 治りますか?
A. 壊れた腎臓は元に戻りません。目標は「治すこと」ではなく「これ以上減らさないこと」になります。早く見つけて早く始めたぶんだけ、付き合える時間は長くなります。
Q. 食事療法では、何をするのですか?
A. リンを中心に、腎臓への負担を減らします。慢性腎臓病では尿素窒素・クレアチニン・リン・カルシウムなどの数値の上昇がみられます。腎臓用の療法食が用いられます。
Q. 療法食を食べてくれません
A. そのことを伝えてください。少しずつ混ぜる、温めてにおいを立たせる、種類を変えるなどの方法があります。「食べないから何も食べさせない」がいちばん避けたい状態です。
Q. 水を飲んでもらうコツはありますか?
A. 器を増やし、場所を変えてみてください。食事のすぐそばでは飲まない猫もいるため、少し離すだけで変わることがあります。確実なのはウェットフードで、食事から水分を摂らせる方法です。
Q. おやつは、あげてよいですか?
A. 種類と量を相談してください。煮干しやかつお節はリンが多く、日常的に与えたいものではありません。療法食をがんばっていても、それ以外で入ってくれば意味が薄れます。
Q. 家では何をすればよいですか?
A. 数えることです。水の量、尿の量と回数、体重、食べた量、吐く回数——「なんとなく」を数字に変えると、受診の判断が早くなります。
まとめ|7歳を過ぎたら、聞いてみてください
この病気でいちばん伝えたかったことは
「症状を待っていては間に合わない」ということです。
多飲多尿が出たときにはすでに75%が失われている——
けれど、SDMAならその前に見つかることがあります。
平均17か月——
その時間でできることはたくさんあります。
「SDMAも測ってもらえますか」——
次の健康診断でその一言を言ってみてください。
調べた結果何もなかったのなら
それがいちばんよい結果です。
そして、次に測るときの比べる相手ができます。
今日できる3つ
- 1朝に入れた水の量と、翌朝の残りを量ってみる
- 2体重を量って、記録を始める
- 3次の健康診断で「SDMAと尿検査もお願いします」と伝える
腎臓は、失われてからしか数値に出ません。だからこそ、症状より先に見に行ってください。

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