

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫のコクシジウム症|消毒液では、死にません」です。ではどうぞ!
子猫の下痢が、なかなか治らない。薬を飲ませても、またゆるい便に戻ってしまう。
そんなときに疑われるもののひとつが、この病気です。
コクシジウムという小さな寄生虫が腸に寄生することによって、特に子猫に下痢や血便などの消化器症状を引き起こします。
この寄生虫には、厄介な性質があります。その卵は、通常の消毒剤や洗剤では死滅しません。
結論
コクシジウム症はコクシジウムという原虫が腸に寄生し、特に子猫に下痢や血便を引き起こす病気です。猫に感染するコクシジウムには多くの種類があり、特にシストイソスポラ属という種類は下痢を起こすことが多く問題となります。重要なのは感染した猫から便と共に排泄されたコクシジウムはまだ未成熟で感染力がありませんが、時間が経つと成熟して猫の口や鼻から感染するという点です。症状は子猫では水のような下痢や粘液の混じった血便が出ることが多く、そのほかにも食欲や元気がなくなる、体重が落ちる、軽い発熱、貧血などがみられます。診断は便の中のオーシストを顕微鏡で確認して行い、治療にはサルファ剤が効果があり、その他必要に応じて抗生物質、あるいは水分・栄養の補給が行われます。卵はとても強固で通常の消毒剤や洗剤では死滅せず、100℃以上のスチームクリーナーで1分以上、あるいは1分以上の煮沸消毒が必要になります。
この記事でわかること
- ✓「虫」ではなく、原虫です
- ✓子猫の下痢が、治りません
- ✓出たばかりでは、うつりません
- ✓だから、毎日の掃除が効きます
- ✓消毒液では、死にません
- ✓見つけ方は、便の検査です
- ✓治療には、専用の薬を使います
- ✓多頭飼いと、保護の現場で
「虫」ではなく、原虫です

腸に寄生するものには、回虫や鉤虫があります。これらは「虫」——目で見える大きさのものです。
コクシジウムは違います。原虫と呼ばれる、微小な生物です。
| 回虫・鉤虫 | コクシジウム | |
|---|---|---|
| 正体 | 虫(線虫) | 原虫(単細胞の生物) |
| 大きさ | 回虫は目で見える | 顕微鏡でしか見えない |
| 便での見え方 | 回虫は虫が出ることがある | 何も見えない |
| 使う薬 | 一般的な駆虫薬 | サルファ剤など、別の薬 |
| 環境に出る形 | 虫卵 | オーシスト |
| 消毒 | 洗って乾かす | 通常の消毒剤では死なない |
使う薬が違うというのは、大事なところです。
「駆虫はしました」でも、コクシジウムには効いていないことがあります。
子猫の下痢が、治りません

この病気は、特に子猫で問題になります。
子猫では水のような下痢や粘液の混じった血便が出ることが多く、そのほかにも食欲や元気がなくなる、体重が落ちる、軽い発熱、貧血などがみられます。
便の様子が、手がかりです
- 水のような、形のない下痢が出る
- ゼリー状の粘液が混じっている
- そこに、血が混じることがある
- 何日も、ゆるい便が続いている
- 薬を飲ませても、また戻ってしまう
- 体重が、増えるどころか減っている
- 元気がなく、寝てばかりいる
粘液まじりの血便は、大腸で炎症が起きているしるしです。
鉤虫では黒いタール状の便になりますが、こちらは赤い血がゼリー状のものに混じるという形になります。
子猫では、進むのが速いことがあります
下痢が続けば、水分が失われていきます。
子猫は、もともとの体液量が少ないものです。数日の下痢で、危険な脱水になることがあります。
⚠ この様子なら、その日のうちに
- 水のような下痢が、何度も出ている
- 便に、血が混じっている
- ぐったりして、動かない
- 水も飲めていない
- 皮膚をつまむと、戻りが遅い
- 保護したばかりの子猫である
子猫の下痢は、大人の猫の下痢とは重さが違います。「一日様子を見る」の判断が、合わないことがあります。
出たばかりでは、うつりません

この寄生虫には、対策のうえで大事な性質があります。
感染した猫から便と共に排泄されたコクシジウムは、まだ未成熟で感染力がありません。
時間が経つと成熟して、猫の口や鼻から感染します。
つまり、時間との勝負になります
便に出た瞬間は、まだ危険ではありません。放置されているあいだに、危険になっていくのです。
ですから、成熟する前に片づけてしまえば、感染は起こりません。
これはトキソプラズマ症と同じ考え方です。出たものを、すぐ片づける。それだけで断てる経路があります。
だから、毎日の掃除が効きます
この病気の予防は、特別なことではありません。
トイレを毎日掃除する。それが、いちばん現実的で確実な方法になります。
- 便は、見つけたらすぐに片づける
- トイレは、毎日掃除する
- 猫の数より多めに、トイレを用意する
- 砂は、定期的に全部替える
- トイレの周りも、拭いておく
- 処理のあとは、手を洗う
「置きっぱなしにしない」——この一点が、そのまま対策になります。薬品を買い足すより、確実で費用もかかりません。
下痢のときは、とくにこまめに
下痢をしている猫では、便が砂の中に染み込みます。
固まりとして取れないため、気づかないうちに残ってしまうことがあります。
下痢が続いている時期は、砂ごと大きめに取り替えるようにしてください。
体に付いた便も、忘れずに拭いてやってください。毛づくろいでなめれば、そのまま再感染につながります。
とくにおしりのまわりの毛には付きやすいものです。長毛の子猫では、短く刈っておくと世話が楽になります。
拭くときは、ぬるま湯で湿らせた布を使ってください。皮膚を傷つけないよう、こすらずに押さえるようにして取ります。
消毒液では、死にません

この寄生虫が厄介なのは、環境に出たあとの丈夫さです。
コクシジウムの卵はとても強固なもので、通常の消毒剤や洗剤では死滅しません。
熱に弱い、という性質を使います
けれど、弱点があります。コクシジウムは高温に弱いのです。
そのため100℃以上のスチームクリーナーで1分以上、あるいは1分以上の煮沸消毒を行うことが必要とされています。
薬品ではなく、熱で片づける——ここが、ほかの病原体と違うところです。
| 対象 | どう片づけるか |
|---|---|
| 食器・水皿 | 洗ってから、煮沸できるものは煮沸する |
| トイレ本体 | 洗い、熱湯をかける。スチームがあれば使う |
| 床 | スチームクリーナーを1分以上あてる |
| ケージ | 同じく、熱をあてる |
| 布類 | 高温で洗濯し、しっかり乾かす |
| いちばん確実なのは | 成熟する前に、毎日片づけること |
すべてを煮沸できるわけではありません。だからこそ、「そもそもためない」という方法が現実的になります。
なお、スチームクリーナーを使うときは猫を別の部屋に移してから行ってください。熱い蒸気は、猫にとっても危険です。
見つけ方は、便の検査です
便の中のオーシストと呼ばれる卵のような状態のコクシジウムを、顕微鏡で確認することで診断します。
コクシジウムの卵は非常に小さく、肉眼では見ることができません。だから、検査に頼ることになります。
便を持っていってください
受診のときに、その日の便を持っていくと検査がすぐできます。
下痢の便は取りにくいものですが、ペットシーツごと、あるいは紙で包んで持っていけば足ります。
できるだけ新しいものを、密閉できる袋に入れて、乾かないようにしてください。
一回の検査で見つからないこともあります。オーシストの出る量には、波があるためです。
ほかの原因も、あわせて調べます
子猫の下痢の原因は、これだけではありません。
ジアルジアという別の原虫、細菌、ウイルス、食べ物、ストレス——候補はいくつもあります。
便の検査では、それらをまとめて確かめます。だから「コクシジウムだけ」と決めつけずに進みます。
実際、複数の寄生虫を同時に持っている子猫はめずらしくありません。回虫とコクシジウムが両方見つかることもあります。
その場合は、それぞれに効く薬を使うことになります。一種類で全部を片づけられるわけではありません。
成猫では、症状が出ないこともあります
この病気は子猫で問題になりますが、成猫が持っていないわけではありません。
| 子猫 | 成猫 | |
|---|---|---|
| 症状 | 下痢、血便が出やすい | 出ないことが多い |
| 重さ | 脱水が進み、危険になりうる | 耐えられることが多い |
| オーシスト | 大量に出る | 少量でも出し続けることがある |
| 気づき方 | 下痢が続いて分かる | 検査しないと分からない |
| だから | 早く見つけて治療する | 子猫への感染源になりうる |
元気な成猫が、静かに広げている——多頭飼いの家では、そういうことが起こります。
子猫を迎えるとき、先住猫の側も確かめておく意味があるのはこのためです。
治療には、専用の薬を使います
治療にはサルファ剤が効果があり、その他必要に応じて抗生物質、あるいは水分・栄養の補給が行なわれます。
サルファ剤は代表的な治療薬のひとつで、一定期間継続して投与することで治療を行います。
一定期間、続けることが大切です
下痢は、比較的早く落ち着いてきます。数日で、便の形が戻ってくることも多いものです。
そこでやめてしまうと、残っていたものがまた増えてきます。
「あと何日ですか」を聞いて、最後まで通しきってください。
治療が終わったあと、もう一度便を調べることがあります。残っていないかを確かめるためです。
症状が消えたことと、オーシストが出なくなったことは別——多頭飼いでは、とくにその違いが意味を持ちます。
脱水への手当ても、同時に行います
下痢が続いた子猫では、水分と栄養が足りなくなっています。
水分・栄養の補給が行われるのは、そのためです。点滴で補うこともあります。
虫を退治するだけでなく、体力を支えるほうも同じくらい大事になります。
🩺 獣医療の現場では
この病気では、「駆虫薬を飲ませたのに治らない」という訴えがよくあります。
それは相手が虫ではなく原虫だからかもしれません。一般的な駆虫薬では効きません。「便の検査はしましたか」と聞いてみてください。
食事にも、気を配ってください
下痢が続いた腸は、傷んでいます。すぐに元の食事に戻すと、また崩れることがあります。
消化のよいものから始め、少しずつ元に戻していくのが基本です。
水分を切らさないことも大切です。下痢で失われた分を、飲んで取り戻す必要があります。
どんな食事にすればよいかは、獣医師に確認してください。療法食を一時的に使うこともあります。
多頭飼いと、保護の現場で
この病気は、猫が集まる場所で広がりやすいものです。
環境の清潔さが保たれていない場所や、複数のネコが共同生活している場所では、感染リスクが高まります。
一頭見つかったら、全頭を考えます
同じトイレを使っているなら、すでに広がっている可能性があります。
症状が出ていない猫でも、オーシストを出していることがあります。
治療も、まとめて行うことが多くなります。一頭だけ治しても、また戻ってきてしまうからです。
そしてトイレを増やし、こまめに掃除する——この基本を徹底することになります。
新しい猫を迎えるとき
保護したばかりの子猫、譲渡会から迎えた子猫では、持っている前提で考えてください。
- 迎えたら、まず便の検査を受ける
- 結果が出るまでは、部屋を分けておく
- トイレと食器を、先住猫と分ける
- 世話は、先住猫を先、新入りを後にする
- 世話のあいだに、手を洗う
- 下痢があるなら、合流を急がない
合流を急がないというのは、猫同士の関係づくりのうえでも大切なことです。この病気の対策と、方向は同じになります。
よくある質問
Q. コクシジウム症とは、どんな病気ですか?
A. コクシジウムという原虫が腸に寄生し、特に子猫に下痢や血便を引き起こす病気です。多くの種類があり、なかでもシストイソスポラ属が問題になります。
Q. 回虫や鉤虫とは、違うのですか?
A. 違います。回虫や鉤虫は目で見える「虫」ですが、コクシジウムは顕微鏡でしか見えない原虫です。使う薬も違うため、一般的な駆虫薬では効きません。
Q. どんな症状が出ますか?
A. 子猫では水のような下痢や、粘液の混じった血便が出ることが多いものです。そのほか、食欲や元気がなくなる、体重が落ちる、軽い発熱、貧血などがみられます。
Q. どうやってうつりますか?
A. 便に出たオーシストを、口や鼻から取り込むことで感染します。ただし出たばかりのものは未成熟で、感染力がありません。
Q. 出たばかりなら、安全なのですか?
A. その時点では感染力がありません。時間が経つと成熟して、感染するようになります。だから、毎日片づけることがそのまま予防になります。
Q. 消毒はどうすればよいですか?
A. 通常の消毒剤や洗剤では死滅しません。コクシジウムは高温に弱いため、100℃以上のスチームクリーナーで1分以上、あるいは1分以上の煮沸消毒が必要です。
Q. どうやって診断しますか?
A. 便の中のオーシストを、顕微鏡で確認します。肉眼では見えないため、検査が必要になります。受診のときに、その日の便を持っていくと早く進みます。
Q. 一回の検査で分かりますか?
A. 見つからないこともあります。オーシストの出る量には波があるため、疑いが強ければ、時期をおいて再検査することがあります。
Q. 治療はどうしますか?
A. サルファ剤が効果があります。必要に応じて抗生物質や、水分・栄養の補給もあわせて行います。一定期間、継続して投与することが大切です。
Q. 下痢が止まったら、薬をやめてよいですか?
A. やめないでください。便の形が戻っても、残っていたものがまた増えてきます。決められた期間を最後まで続けてください。
Q. 多頭飼いです。ほかの猫はどうすればよいですか?
A. まとめて考えてください。同じトイレを使っていれば、すでに広がっている可能性があります。症状が出ていなくても、オーシストを出していることがあります。
Q. 人にうつりますか?
A. 猫のコクシジウムは、通常は人に感染しません。ただし便を扱ったあとは、手を洗う習慣を持ってください。ほかの病原体への対策にもなります。
まとめ|ためないことが、いちばんの対策です
この寄生虫の卵は、消毒剤では死にません。非常に強固で、環境の中に残ります。
けれど、もうひとつの性質があります。便に出た直後は、まだ感染力を持っていません。
だから対策は、成熟する前に片づけることに集まります。
毎日トイレを掃除する。下痢のときは砂ごと替える。それだけで、この寄生虫の循環は断てます。
そして、子猫の下痢が治らないなら「便の検査はしましたか」と聞いてみてください。一般的な駆虫薬では効かない相手だからです。
この病気は、薬がしっかり効きます。相手が分かれば、そこから先は難しくありません。
難しいのは、目に見えないものを疑うことのほうです。便を持って病院へ行く——その一歩が、長引く下痢を終わらせることがあります。
今日できる3つ
- 1トイレを毎日掃除できているか、家族で確認する
- 2子猫の便に、粘液や血が混じっていないか見てみる
- 3下痢が続いているなら、便を持って受診の予約を取る
この寄生虫は、置きっぱなしの時間で強くなります。だから、すぐ片づけることがそのまま予防です。

本日の「犬猫の悩みを即解決!」の記事「猫のコクシジウム症|消毒液では、死にません」でした。
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