

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「犬のあくびは眠いだけじゃない|叱られたときに出るのはSOS」です。ではどうぞ!
いたずらをした愛犬を叱っていると、犬が大きなあくびをした——
「反省していない」「話を聞いていない」そう感じて、さらに強く叱ってしまった経験はないでしょうか。
しかし、それはまったく逆の反応です。
犬のあくびは、眠いときだけに出るものではありません。緊張やストレスを感じたときにも出ます。叱られている最中のあくびは、「もうやめて」「落ち着いて」という犬からのメッセージなのです。
結論
犬のあくびはカーミングシグナル——緊張をやわらげ、相手に「落ち着いて」と伝えるための行動です。叱られている最中のあくびは、反抗ではなくSOS。気づいたら叱るのをやめて、距離を取ってください。続けても、犬にはもう届いていません。
この記事でわかること
- ✓カーミングシグナルとは何か
- ✓眠気のあくびとストレスのあくびの見分け方
- ✓あくびが出やすい5つの場面
- ✓あくびに気づいたときの正しい対応
- ✓頻繁なあくびが示す慢性的なストレス
カーミングシグナルという考え方

カーミングシグナルとは、ノルウェーの犬の行動学者トゥーリッド・ルーガスが提唱した概念です。
calming(落ち着かせる)+signal(信号)——文字どおり、相手を落ち着かせ、自分も落ち着くためのコミュニケーションを指します。
犬は、争いを好まない動物
犬は群れで生きる動物です。そして群れの中で無用な争いが起きれば、全員の生存が危うくなります。
そのため犬は、戦わずに緊張をやわらげる方法を数多く身につけてきました。それがカーミングシグナルです。
あくび、目をそらす、鼻を舐める、体をブルブル振る——これらはすべて、「争う気はありません」「落ち着きましょう」という平和的なメッセージなのです。
2つの方向に働く
カーミングシグナルには、2つの働きがあります。
| 方向 | 働き | 具体例 |
|---|---|---|
| 相手へ | 「落ち着いて」と伝える | 他の犬とにらみ合ったときのあくび |
| 自分へ | 自分の緊張をやわらげる | 動物病院の待合室でのあくび |
| 両方 | 場全体の緊張を下げる | 家族が言い争っているときのあくび |
つまりあくびは、犬なりに状況を良くしようとする努力でもあります。それを「反抗」と受け取ってしまうのは、犬にとって非常に不本意なことでしょう。
眠気のあくびとの、見分け方

もちろん犬も、眠いときにあくびをします。見分けるポイントは「タイミング」と「前後の様子」です。
| 眠気のあくび | ストレスのあくび | |
|---|---|---|
| タイミング | 寝起き・就寝前・退屈なとき | 叱られている最中・緊張する場面 |
| 体の力 | 抜けている | こわばっている |
| 耳 | 自然な位置 | 後ろに倒れていることが多い |
| 視線 | 特に向きはない | 目をそらしながら |
| 伴う動作 | 伸びをする | 鼻を舐める、体をブルブル振る |
| そのあと | 寝ることが多い | その場から離れようとする |
特に分かりやすいのが「他のシグナルを伴うかどうか」です。
ストレスのあくびは、単独では出にくいという特徴があります。目をそらす、鼻を舐める、耳を倒す——こうした行動とセットで現れることがほとんどです。
目をそらすや鼻を舐めるについても、あわせて知っておくと精度が上がります。
あくびには「うつる」性質もある
人間同士であくびがうつるのはよく知られていますが、犬にもあくびがうつることが指摘されています。
しかも興味深いことに、見知らぬ人よりも飼い主のあくびのほうがうつりやすいという報告があります。
あくびの伝染は共感能力と関係していると考えられており、犬が人間の感情を読み取っている証拠のひとつとして注目されてきました。
つまりあなたがあくびをすると、犬もつられてあくびをすることがある。この場合はストレスではなく、単なる伝染なので心配いりません。
だから「タイミング」で判断する
あくびの意味を読むには、直前に何があったかをセットで見る必要があります。
- 飼い主があくびをした直後 → 伝染の可能性
- 寝起き・就寝前 → 眠気
- 叱られている最中 → ストレス
- 知らない人が来たあと → 緊張
- 退屈そうにしているとき → 眠気か手持ち無沙汰
あくびという同じ動作でも、文脈が変われば意味はまったく違います。「いつ出たか」を見る習慣をつけてください。
あくびが出やすい、5つの場面

場面1|叱られているとき
最も多く、そして最も誤解されやすい場面です。
叱られている最中のあくびは「もうやめて」「怖い」というSOS。決して反省していないわけでも、話を聞いていないわけでもありません。
むしろ強い緊張を感じているからこそ出ています。ここで叱り続けても、犬は萎縮するだけで何を求められているかを理解できません。
場面2|動物病院や、知らない場所
待合室であくびを繰り返す犬は珍しくありません。眠いのではなく、強い緊張を自分で鎮めようとしている状態です。
震え、よだれ、耳を倒す、しっぽを巻き込むといった他のサインを伴っていることが多いでしょう。
場面3|しつこく抱っこされたとき
犬は本来、体を拘束されるのが得意ではありません。抱っこ、抱きしめる、顔を近づけるといった行為は、犬にとって逃げられない状況を意味します。
愛情表現のつもりの抱っこが、犬にはストレスになっていることがあります。抱いているときにあくびが出たら、そっと下ろしてあげてください。
同じことが正面から抱きしめるという行為にも当てはまります。人間にとっては愛情の表現ですが、犬にとっては逃げられない拘束にほかなりません。
場面4|知らない犬と出会ったとき
散歩中に別の犬とすれ違うとき、大きなあくびをしながら視線を外す——これは相手への明確なメッセージです。
「争う気はありません」という意思表示であり、犬同士の礼儀作法でもあります。
このとき飼い主がリードを強く引くと、犬は逃げ場を失って攻撃的になることがあります。少し距離を取り、犬に判断させるほうが安全です。
場面5|家族が言い争っているとき
人間同士が大きな声でやり取りしていると、犬があくびをしたり、間に入ってきたりすることがあります。
これは場の緊張を鎮めようとしている行動だと考えられています。犬は人の感情の変化を敏感に読み取ります。
あくびに気づいたときの、正しい対応

ストレスのあくびに気づいたら、まず状況を変えることが最優先です。
- 叱るのをやめる(続けても伝わらない)
- 正面から見つめない(体の向きを斜めにする)
- 距離を取る(近づきすぎない)
- 声のトーンを落とす(大きな声は緊張を高める)
- 落ち着いてから、改めて向き合う
特に正面から見つめるという姿勢は、犬にとって強い圧力になります。
正面に立ち、目を見て、覆いかぶさるように叱る——これは犬の世界では威嚇そのものです。体の向きを斜めにするだけで、犬の緊張はやわらぎます。
人間があくびを返すという方法
興味深いことに、人間があくびを返すと犬が落ち着くことがあります。
これはカーミングシグナルを人間側から犬に送るという発想です。「私も落ち着いています」というメッセージになります。
大きく、ゆっくりとあくびをしてみせる。それだけで犬の緊張がほぐれることがあります。猫のゆっくりまばたきに近い使い方といえるでしょう。
叱り方そのものを見直す
あくびが出るということは、叱り方が犬に伝わっていない可能性があります。
| よくある叱り方 | 犬にどう伝わるか |
|---|---|
| 時間が経ってから叱る | 何を怒られているか分からない |
| 大きな声で長く叱る | 恐怖だけが残り、萎縮する |
| 名前を呼んで叱る | 名前=嫌なことと学習する |
| 体罰を与える | 人の手を怖がるようになる |
| 正面から覆いかぶさる | 威嚇と受け取られる |
犬が理解できるのは「行動をした、その瞬間」だけです。数分後に叱られても、何と結びつけてよいか分かりません。
そして名前を呼んで叱るのは特に避けたい方法です。名前は本来「良いことが起きる合図」であるべきもの。叱るときに使えば、呼んでも来ない犬になってしまいます。
同じ理由で、ケージやハウスに入れることを罰として使うのも避けてください。
ハウスは犬にとって安心して休める避難場所であるべきです。そこを「閉じ込められる場所」にしてしまうと、災害時や通院時に使えなくなってしまいます。
叱るより「代わりの行動」を教える
犬のしつけで効果が高いのは、望ましくない行動を叱ることではなく望ましい行動を褒めることです。
たとえば飛びつきをやめさせたいなら、飛びついたときに叱るより「おすわり」ができたときに褒めるほうがはるかに早く定着します。
犬が読み取っている、人間のサイン
カーミングシグナルは犬同士のものですが、犬は人間の動きも同じ枠組みで読み取っています。
そして人間は、悪気なく犬にとって威圧的なサインを出してしまっていることがあります。
| 人間の行動 | 犬にどう伝わるか |
|---|---|
| 正面から目を見つめる | 威嚇・挑戦 |
| 上から覆いかぶさる | 圧力をかけられている |
| 頭の上から手を伸ばす | 怖い。反射的に避けたくなる |
| 正面から抱きしめる | 拘束されている |
| 急に近づく・走って近づく | 驚異が迫ってくる |
| 大きな声で名前を呼ぶ | 何か嫌なことが起きる予感 |
犬に好かれる人の共通点は、これらを自然に避けていることです。
- 正面ではなく斜めから近づく
- しゃがんで目線を低くする
- 見つめずに、視線を少し外す
- 頭の上ではなく顎の下や胸から触る
- 静かな声で、ゆっくり話しかける
初対面の犬と仲良くなりたいときは、この5つを意識するだけで反応が変わります。
犬が苦手な人のところに犬が寄っていくという現象も、同じ理屈で説明できます。苦手な人は目を合わせず、近づこうともしない。犬にとっては、これ以上ないほど礼儀正しい態度なのです。好意を示そうとする行動が、かえって犬を緊張させていることは少なくありません。
頻繁なあくびは、慢性的なストレスのサイン
特定の場面だけでなく、日常的にあくびが多いという場合は注意が必要です。
慢性的なストレスを抱えている可能性があります。
- 運動量が足りていない(散歩の時間・回数が少ない)
- 留守番の時間が長すぎる
- 騒音が続く環境(工事、大きなテレビの音など)
- 落ち着ける居場所がない
- 家族の生活リズムが不規則
犬のストレスは、あくび以外にも複数の形で現れます。
| ストレスのサイン | 内容 |
|---|---|
| あくびが多い | 緊張の持続 |
| 体をよく掻く・舐める | 転嫁行動。皮膚炎の原因にも |
| 食欲が落ちる/急に増える | 自律神経の乱れ |
| 下痢を繰り返す | 消化器はストレスの影響を受けやすい |
| 無駄吠えが増える | 不安の発散 |
| 同じ場所を歩き回る | 常同行動。強いストレスの表れ |
これらが複数見られるなら、生活環境そのものを見直す必要があります。
犬のストレス解消でまず効果的なのは散歩の質を上げることです。
同じコースを速歩きで回るより、犬に自由ににおいを嗅がせる時間を確保するほうが満足度は高くなります。
嗅覚は犬にとって最大の情報源であり、においを嗅ぐ行為そのものが脳を使う知的な活動です。詳しくは犬が匂いを嗅ぐ理由で解説しています。
よくある質問
Q. 叱っているときにあくびをします。反抗しているのでしょうか?
A. まったく逆です。あくびはカーミングシグナルで、「もうやめて」「落ち着いて」というメッセージです。強い緊張を感じている証拠なので、気づいたら叱るのをやめてください。続けても伝わりません。
Q. 眠気のあくびと、どう見分けますか?
A. タイミングと前後の様子で判断します。眠気なら寝起きや就寝前に出て、伸びを伴うことが多いでしょう。ストレスなら緊張する場面で出て、目をそらす・鼻を舐める・耳を倒すといった他のサインを伴います。
Q. 動物病院であくびを繰り返します。
A. 強い緊張を自分で鎮めようとしている状態です。震えやよだれ、耳を倒すといったサインもあわせて出ていることが多いでしょう。待合室では抱っこして視界を遮る、端の席で待つといった配慮が有効です。
Q. 抱っこするとあくびをします。嫌がっているのですか?
A. その可能性が高いです。犬は体を拘束されるのが得意ではありません。抱っこは犬にとって「逃げられない状況」になります。あくびが出たら、そっと下ろしてあげてください。
Q. 人間があくびを返すと、犬に伝わりますか?
A. 伝わることがあります。カーミングシグナルを人間側から送るという発想です。大きくゆっくりあくびをしてみせると、「私も落ち着いています」というメッセージになり、犬の緊張がほぐれることがあります。
Q. 最近あくびが増えた気がします。
A. 慢性的なストレスを疑ってみてください。運動不足、長すぎる留守番、騒音、落ち着ける居場所がないといった要因がないか確認を。体を掻く、下痢、無駄吠えなど他のサインが重なるなら、環境の見直しが必要です。
Q. 私があくびをすると、犬もあくびをします。
A. あくびの伝染と考えられます。犬にも人間のあくびがうつることが指摘されており、見知らぬ人より飼い主のあくびのほうがうつりやすいという報告もあります。共感能力と関係するとされており、この場合は心配いりません。
Q. 散歩中、他の犬を見てあくびをします。
A. 「争う気はありません」という意思表示です。犬同士の礼儀作法でもあります。このときリードを強く引くと逃げ場を失って攻撃的になることがあるため、少し距離を取って犬に判断させるほうが安全です。
まとめ|あくびは、犬なりの努力
犬のあくびは、眠いときだけのものではありません。緊張をやわらげ、相手に「落ち着いて」と伝えるためのカーミングシグナルです。
叱られている最中のあくびは、反抗ではなくSOS。そこで叱り続けても、犬には恐怖しか残りません。
そして重要なのは、これが犬なりに状況を良くしようとする努力だという点です。争いを避け、緊張を下げようとしている。それを「反抗」と受け取ってしまうのは、あまりにもったいないことです。
あくびに気づいたら、まず叱るのをやめて距離を取る。それだけで、犬との関係は確実に変わります。
そして日常的にあくびが多いなら、環境そのものを見直すサインだと考えてください。運動量、留守番の長さ、騒音、落ち着ける居場所——犬が抱えている負担は、案外そうした基本的なところにあります。
今日から試してみたい3つのこと
- 1叱っている最中にあくびが出たら、その時点でやめる
- 2叱るときは正面に立たず、体の向きを斜めにする
- 3叱るより「望ましい行動を褒める」に切り替えてみる
あくびは、犬が差し出している和解の合図です。それに気づけるかどうかで、犬から見たあなたの姿は変わります。

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