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犬アデノウイルス2型|ワクチンが2つの病気を防ぐ理由
犬アデノウイルス2型
モフ@ペット好き

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「犬アデノウイルス2型|ワクチンが2つの病気を防ぐ理由」です。ではどうぞ!

混合ワクチンの説明を受けたとき、「アデノウイルス2型」という項目を目にしたことがあるかもしれません。

そして、その隣に「犬伝染性肝炎」という項目が並んでいる。

1型はどこに行ったのか——そう思った方は、とても良いところに気づいています。

犬のアデノウイルスには1型と2型があり、まったく違う病気を起こします。

1型は肝臓の病気。2型は呼吸器の病気。

それなのに、ワクチンに入っているのは2型だけ——それでも1型の肝炎まで防げるのです。

この記事では、2型という病気そのものと、1本のワクチンで2つの病気を防げる理由を整理していきます。

結論

犬アデノウイルス2型が起こすのは犬伝染性喉頭気管炎——乾いた咳を主症状とする呼吸器の病気です。肝炎は起こしません。そしてこのウイルス単独の感染では重症化しにくいとされています。ワクチンには2型だけが含まれていますが、1型(犬伝染性肝炎)とよく似た性質を持つため、2型のワクチンで1型も防げます。これが1本で2つの病気を防げる理由です。コアワクチンの対象——すべての犬に必要とされています。

この記事でわかること

  • 1型と2型は、まったく違う病気
  • 2型が起こす、喉頭気管炎
  • 1本のワクチンで、2つを防げる理由
  • 症状と、進行のサイン
  • 治療と、家庭でできること

1型と2型は、まったく違う病気

アデノウイルス1型と2型の違い
同じ名前でも、起こす病気はまったく違います。

同じ「犬アデノウイルス」という名前ですが、1型と2型はまったく違う場所を攻撃します。

1型と2型の比較
項目 1型 2型
起こす病気 犬伝染性肝炎 犬伝染性喉頭気管炎
主な場所 肝臓 のど・気管
主な症状 発熱・腹痛・嘔吐・下痢 乾いた咳
特徴的な症状 ブルーアイ(角膜が白く濁る) ——
重症度 突然死することもある 単独では重症化しにくい
肝炎を起こすか 起こす 起こさない

1型が起こすのが犬伝染性肝炎。発熱、腹痛、嘔吐、下痢——そして回復期に角膜が白く濁るブルーアイが見られることがあります。

突然死することもある重い病気です。

一方の2型が起こすのが犬伝染性喉頭気管炎乾いた咳を主症状とする呼吸器の病気で、肝炎は起こしません。

そして、このウイルス単独の感染では重症化しにくいとされています。

2型が起こす、喉頭気管炎

犬伝染性喉頭気管炎——名前のとおり、のど(喉頭)と気管の炎症です。

感染力は強く、感染した犬の咳やくしゃみの飛沫でうつります。

そして、この病気にはもうひとつの顔があります。

アデノウイルス2型は、ケンネルコフの主要な構成要素のひとつだということです。

ケンネルコフに関わる病原体
ケンネルコフに関わるもの 種類 ワクチン
アデノウイルス2型 ウイルス コアに含まれる
パラインフルエンザ ウイルス ノンコアに含まれる
犬ヘルペスウイルス ウイルス 一般には含まれない
ボルデテラ 細菌 一般には含まれない
マイコプラズマ 細菌に近いもの 一般には含まれない

単独なら軽い。けれど重なると重くなる——これはパラインフルエンザと同じ構図です。

ウイルスが気管の粘膜を傷つけ、そこに細菌が入り込む。気管支炎から肺炎へと進むことがあります。

とくに子犬では、この進み方が命に関わることもあります。

潜伏期間は数日とされ、感染してから比較的早く咳が出始めます。

ペットホテルから帰った数日後、トリミングに行った翌週——そうしたタイミングで咳が始まったなら、この病気を含めて考える理由になります。

そして、ケンネルコフに関わる病原体のうち、アデノウイルス2型はコアワクチンで防げる数少ないもののひとつです。

ボルデテラやマイコプラズマは混合ワクチンの多くには含まれていません。防げるものを防いでおくことが重ならないための備えになります。

1本のワクチンで、2つを防げる理由

交差免疫のしくみ
2型で作られた免疫が、1型にも効きます。

ここが、この記事でいちばん知っておいてほしい話です。

混合ワクチンに含まれているのはアデノウイルス2型だけです。

それなのに、2型が起こす喉頭気管炎1型が起こす伝染性肝炎——この2つの病気に対して予防効果があります。

理由は、1型と2型が共通した性質を持っているためです。

交差免疫のしくみ
段階 起きること
接種する 2型の成分が体に入る
体の反応 2型に対する免疫ができる
共通の性質 1型とよく似た構造を持つ
結果 1型にも効く免疫になる
つまり 1本で2つの病気を防げる

「1型を入れずに、2型を入れる」——これには理由があります。

1型を使ったワクチンでは、接種後にブルーアイ(角膜の白濁)が出ることがあると知られていました。

そこで、1型にも効く免疫を作れる2型を使うことで、その副反応を避けながら両方を防ぐ——という設計になっています。

「肝炎のワクチンがない」わけではありません

接種証明書に「犬伝染性肝炎」と書かれていて、

「アデノウイルス2型」とも書かれている——

これは別々のワクチンを2本打ったという意味ではありません。

1本の成分で2つの病気を防いでいるということです。

この設計は、ワクチンというものが「病気の数だけ成分が要る」わけではないことを示す例でもあります。

5種、8種、10種という数字は防げる病気の数を表していますが、その中身は必ずしも同じ数の成分ではありません。

何種を選ぶべきかは、数の大小ではなく「どの病気を防ぐ必要があるか」で決まります。

散歩コース、旅行の有無、ドッグランに行くか、他の犬と接する機会——そうした情報を伝えたうえで獣医師と決めてください。

症状と、進行のサイン

2型感染症の症状
乾いた咳が中心で、単独なら重くなりにくい病気です。

2型の感染で現れるのは、乾いた咳が中心です。

  • 乾いた咳——短く、続けざまに出る
  • くしゃみ
  • 鼻水
  • 発熱
  • 食欲不振
  • 元気消失

初期には咳だけで、元気も食欲も保たれていることが多くあります。

注意したいのは、そこから先に進むかどうかです。

進行を示す変化
変化 意味すること
咳が湿ってくる 気管支から下に炎症が及んでいる
鼻水が粘り気を帯びる 細菌感染が加わった可能性
熱が出る 全身に負担がかかっている
食欲がなくなる 呼吸器症状の域を越えている
呼吸が速い・苦しそう 肺炎の可能性。急いで受診

「咳だけで元気がある」なら軽症のことが多い——

「咳+熱+食欲がない」ならその日のうちに受診——

この見分けが実務的です。

そして、咳が出るタイミングも手がかりになります。

興奮したときや引っぱったときにガーガーという音が出るなら気管の構造の問題を、

夜や明け方に増える湿った咳なら心臓の病気を考えることがあります。

咳の音による見分け方についてはケンネルコフの記事で一覧にしてまとめています。

受診のときに伝えたいこと

咳の診断では、「どんな咳か」と「どこで感染しうるか」が手がかりになります。

  • 咳が始まった日
  • 咳の音(動画があれば見せる)
  • 1日に何回くらい出るか
  • いつ出やすいか(朝・夜・興奮時・散歩中)
  • 直近2週間に行った場所、会った犬
  • ワクチンの接種状況(証明書を持参)

診察室では、犬は緊張して咳をしないことが多いものです。

咳をしている様子を動画に撮っておく——これだけで、獣医師が受け取る情報量がはっきり変わります。

そして、咳をしている犬を連れて行くときは事前に電話をしてください。感染力が強いため、待合室に入る前に分けて対応してもらうほうが安全です。

治療と、家庭でできること

ウイルスそのものに直接効く薬はありません。症状を和らげ、細菌の二次感染を防ぐ治療が中心になります。

行われる治療
治療 目的
抗菌薬 細菌の二次感染を抑える
気管支拡張剤 空気の通り道を広げる
咳止め 咳による消耗を減らす
ネブライザー 薬を霧にして吸わせる
安静 興奮させない。これも治療のうち
重症例 入院、点滴、酸素の管理

家庭でできることもいくつかあります。

  • 加湿する。乾いた空気は咳を悪化させる
  • 首輪をやめて、ハーネスに替える
  • 興奮させない。激しい遊びは控える
  • 散歩は短めに。他の犬に近づけない
  • 煙やスプレーなど、刺激のあるものを避ける
  • 同居犬がいれば、しばらく分ける

首輪をハーネスに替えるのはその場でできて効果のはっきりした対策です。首輪が気管を圧迫すると咳の引き金になります。

そして、咳が止まっても薬を途中でやめないこと。症状が消えても病原体が残っていることがあります。いつまで飲ませるかは獣医師の指示に従ってください。

子犬と、多頭の環境

この病気の被害がもっとも大きいのはワクチンが完了していない子犬です。

重症化しやすい条件
条件 起きやすいこと
子犬 抵抗力が弱く、混合感染しやすい
多頭の環境から来た直後 複数の病原体を持っていることがある
環境が変わったストレス 抵抗力がさらに落ちる
ワクチン未完了 防げるはずのものが防げていない
短頭種 もともと呼吸に余裕がない
高齢犬 肺炎に進みやすい

ペットショップやブリーダーから迎えて数日で咳をし始める——これは実際によくあることです。

多頭の環境にいた直後で、環境が変わるストレスで抵抗力が落ちていて、ワクチンもまだ完了していない——3つの条件が重なるためです。

迎えたばかりの時期は、あちこち連れ回さず、数日落ち着いて過ごさせるほうが結果的に安全です。

そして、咳が出たら早い段階で相談する。子犬では、軽症のうちに手を打てるかどうかが大きな違いになります。

多頭飼いの家庭で

1頭に咳が出たら、他の犬にも広がると考えて動いてください。

  • 生活空間を、できる範囲で分ける
  • 食器と水入れを分ける
  • 寝床を離す
  • 世話をする順番は、健康な犬を先にする
  • 他の犬にも咳が出ていないか、毎日見る
  • ドッグランやトリミングの予定は見送る

完全に分けきるのは難しいことが多いでしょう。それでも、できる範囲で構いません。

そして、同時に治療を始められれば全体として早く収まります。他の犬の様子も毎日見ておいてください。

予防——コアワクチンの対象です

コアワクチンとしての位置づけ
すべての犬に必要とされるコアワクチンの一つです。

アデノウイルス2型はコアワクチンの対象です。

生活環境に関わらず、すべての犬が接種すべきものとされています。

  • コアワクチンを、最後まで打ち切る
  • 最終接種は16週齢以降に
  • 接種証明書を保管し、いつ何を打ったか把握する
  • 完了するまで、多頭の場を避ける
  • 咳をしている犬に近づけない
  • ペットホテルに預ける前に、要件を確認する

最終接種が16週齢以降だったか——ここが重要です。

母犬からもらった抗体がワクチンの効果を打ち消してしまうため、早い時期の接種だけでは免疫がついていない可能性があります。

詳しくは混合ワクチンの記事で解説しています。

そして、このワクチンは肝炎の予防も兼ねている——その意味でも、打ち切っておく価値の大きいものです。

1型が起こす犬伝染性肝炎突然死することもある重い病気です。

2型が起こす咳が「軽い」からといってこのワクチンを軽く見てしまうと、本当に重い病気のほうを取りこぼすことになりかねません。

接種証明書に「アデノウイルス2型」と書かれているかどうか——それは、肝炎への備えがあるかどうかの確認でもあります。

感染症の全体像については犬の感染症の記事で経路ごとに整理しています。

環境からうつることもあります

アデノウイルスは、飛沫だけでなく、物を介してうつることも知られています。

感染した犬が使った食器、玩具、寝床——そこに残ったウイルスが次の犬に届くことがあります。

環境への対応
場所・物 対応
食器・水入れ 洗って熱湯や消毒を。共有しない
玩具 洗えるものは洗う。洗えないものは分ける
寝床・布類 洗濯する。乾燥までしっかり
ケージ・サークル 拭き掃除をする
咳やくしゃみの飛んだ範囲を清掃する
迷ったとき 使える消毒薬を獣医師に確認する

消毒薬の選び方は、相手のウイルスによって変わります。

たとえばパルボウイルスはアルコールが効かず塩素系の薬剤が必要になりますが、すべてのウイルスがそうというわけではありません。

「何が流行しているか」で対応が変わる——だからこそ、診断がついた時点で「家で何をすればいいか」を聞いておいてください。

そして、洗ったあとはしっかり乾かす。湿ったまま置いておくと、別の問題を招きます。

犬の食器は毎日使うものですから、そもそも日ごろから洗って乾かす習慣をつけておくと、こうした場面になっても慌てずに済みます。

よくある質問

Q. 1型と2型は何が違うのですか?

A. まったく違う病気を起こします。1型は犬伝染性肝炎——発熱・腹痛・嘔吐・下痢、そしてブルーアイ。2型は犬伝染性喉頭気管炎——乾いた咳が中心の呼吸器の病気です。2型は肝炎を起こしません。

Q. なぜワクチンには2型しか入っていないのですか?

A. 1型と2型が共通した性質を持っているためです。2型で作られた免疫が1型にも効くため、1本で2つの病気を防げます。また、1型を使ったワクチンではブルーアイが出ることが知られていました。

Q. 接種証明書に肝炎と書いてあるのですが

A. 別々のワクチンを2本打ったという意味ではありません。1本の成分(2型)で、喉頭気管炎と伝染性肝炎の2つを防いでいるということです。

Q. 2型の症状は重いですか?

A. このウイルス単独の感染では重症化しにくいとされています。乾いた咳が中心で、元気と食欲は保たれやすい。ただし他の病原体と重なると、気管支炎から肺炎に進むことがあります。

Q. ケンネルコフとの関係は?

A. アデノウイルス2型は、ケンネルコフの主要な構成要素のひとつです。ケンネルコフは複数の病原体が重なって起こる咳の症候群で、2型はその中でワクチンで防げる数少ないもののひとつです。

Q. いつ病院へ行くべきですか?

A. 咳に加えて、熱がある・食欲がない・咳が湿ってきた——このどれかがあれば受診してください。呼吸が速い、苦しそうなら、その日のうちに急いでください。

Q. 予防はできますか?

A. コアワクチンで防げます。生活環境に関わらず、すべての犬が接種すべきものとされています。子犬は複数回接種し、最終回を16週齢以降に行うことが重視されています。

まとめ|1本の中に、2つの意味がある

犬アデノウイルス2型が起こすのは呼吸器の病気です。

乾いた咳が中心で、単独なら重症化しにくい——その意味では、それほど恐ろしい病気ではありません。

けれど、他の病原体と重なれば気管支炎から肺炎へと進みます。

そして何より、このワクチンは肝炎の予防も兼ねているという点。

1型が起こす伝染性肝炎突然死することもある重い病気です。

その病気を、2型のワクチン1本で同時に防いでいる——

接種証明書に書かれた「アデノウイルス2型」という文字には、そういう意味が込められています。

今日できる3つ

  • 1接種証明書を出して、アデノウイルス2型が含まれているか確認する
  • 2最終接種が16週齢以降だったかを確かめる
  • 3咳が出ているあいだは、首輪をハーネスに替える

このワクチンは、1本で2つの病気を防いでいます。だからこそ、打ち切っておく価値があります。

モフ@ペット好き

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