

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫の皮膚血管炎|体の端から、壊れていきます」です。ではどうぞ!
皮膚血管炎という名前ですが、炎症が起きているのは皮膚そのものではありません。
皮膚を養っている、細い血管——そこが炎症を起こす病気です。
血管が腫れて狭くなれば、その先に血が届かなくなります。
届かなくなった場所は、やがて壊れます。だからこの病気は体の端から症状が出るのです。
結論
皮膚血管炎は皮膚の血管が炎症を起こし、その先の組織に血が届かなくなる病気です。症状は皮膚の発赤、腫れ、かゆみ、潰瘍などで、耳のふちやしっぽの先、足先といった体の末端に出やすいのが特徴です。原因はアレルギー反応、感染症、自己免疫疾患などさまざまで、薬剤が引き金になることもあります。治療は原因となっている病気の治療や、疑わしい薬剤の投与中止がまず行われます。軽度であればペントキシフィリンという薬を投与し、重度であればプレドニゾロンなどの免疫抑制剤を使用します。免疫抑制剤使用の際には、細菌感染などの可能性の除外や、全身的な潰瘍などに細菌感染が起こらないように注意して使用する必要があります。
この記事でわかること
- ✓壊れているのは、血の通り道です
- ✓体の端から、症状が出ます
- ✓天疱瘡とは、見え方が違います
- ✓引き金を探す病気です
- ✓薬が原因のこともあります
- ✓見つけ方は、生検です
- ✓治療は、引き金を断つことから
- ✓免疫を抑えるときの注意
壊れているのは、血の通り道です

この病気を理解するには、血管のことを考える必要があります。
皮膚は、細い血管によって酸素と栄養を届けてもらっています。
その血管が炎症を起こすと、腫れて、内側の通り道が狭くなります。
届かなくなった先から、壊れます
血が届かなければ、その先の皮膚は生きていられません。
だから、この病気では皮膚が死んで、えぐれたようになります。
かゆみや赤みだけでなく、潰瘍という形になるのはそのためです。
「炎症」というより「血が止まった結果」——そう捉えると、症状の出方が理解しやすくなります。
体の端から、症状が出ます

この病気には、出やすい場所があります。
それは心臓から遠く、細い血管しか通っていない場所です。
耳のふちと、しっぽの先
いちばん分かりやすいのが耳のふちです。
縁が欠けたようになり、進むと耳の形そのものが変わってしまうことがあります。
しっぽの先も、同じ理由で出やすい場所です。
- 耳のふちが、欠けたようになっている
- 耳の縁に、かさぶたや潰瘍がある
- しっぽの先の毛が抜け、皮膚が壊れている
- 肉球に、潰瘍ができている
- 鼻先が、えぐれたようになっている
- 歩くのを痛がるようになった
体の端ばかりに出ている——その気づきが、この病気を疑う手がかりになります。背中やお腹は何ともないのに、耳と足先だけがおかしい。そういう出かたをします。
痛みが、前に出ます
かゆみもありますが、痛みのほうが目立つことがあります。
組織が壊れているのですから、当然です。
足先に出れば、歩くのを痛がります。耳に出れば、触られるのを嫌がります。
「かゆがる」より「痛がる」——この違いも、ほかの皮膚病と分ける材料になります。
⚠ 早めに受診してください
- 耳のふちが、欠けてきた
- しっぽの先が、ただれている
- 肉球に潰瘍があり、歩き方がおかしい
- 触られるのを、強く嫌がる
- 最近、新しい薬を始めた
- 症状が、体の端に集まっている
「最近始めた薬」は、この病気ではとくに重要な情報です。サプリメントも含めて、伝えてください。
天疱瘡とは、見え方が違います

天疱瘡も、顔や耳、足先に出る病気です。
同じような場所に出るため、混同されやすいものです。
けれど体の中で起きていることが違います。
| 皮膚血管炎 | 天疱瘡 | |
|---|---|---|
| 壊れているもの | 皮膚を養う血管 | 皮膚の細胞どうしのつながり |
| 見た目 | 潰瘍、えぐれ、組織の欠損 | かさぶた、膿を含んだ湿疹 |
| 出る場所 | 体の端に集まる | 顔面と耳、爪床や肉球 |
| 耳の変化 | ふちが欠け、形が変わる | かさかさしたかさぶた |
| 症状の中心 | 痛みが目立つことがある | かゆみと、かさぶた |
| 原因の考え方 | 引き金を探す | 自己抗体そのものが原因 |
どちらも、生検で区別がつきます。見た目だけで決めない理由が、ここにあります。治療の進め方も変わるため、はっきりさせる意味は大きいものです。
引き金を探す病気です

この病気は、それ自体がひとつの病名というより反応のかたちです。
アレルギー反応によるもの、感染症によるもの、自己免疫疾患によるものなどがあります。
だから治療では、「何が引き金になっているのか」を探すことになります。
何を確かめるのか
- 最近始めた薬やサプリメントはないか
- 体のどこかに、感染が隠れていないか
- 自己免疫の病気が背景にないか
- 腫瘍が隠れていないか
- 食べ物を変えた時期がないか
- ワクチンや処置を受けた直後ではないか
全身の検査に広がることがあります。
皮膚の病気なのに血液検査や画像検査をすすめられるのは、引き金が体の別のところにある可能性があるためです。
引き金が見つからないこともあります
正直にお伝えすると、原因が特定できないまま治療することもあります。
その場合は症状を抑えながら、経過を見ていく形になります。
猫の皮膚血管炎の経過の報告はあまり多くなく、はっきりとわかってはいません。
「まだ分かっていないことが多い病気」である——そこも含めて知っておいてください。
原因が分からないと聞くと不安になりますが、症状を抑える方法はあります。分からないことと、手が打てないことは別です。
寒さも、悪くします
血の流れが悪くなっている場所は、冷えるとさらに届きにくくなります。
| 環境 | なぜ関わるか |
|---|---|
| 寒い場所 | 血管が縮み、末端への血流がさらに減る |
| 冷たい床 | 肉球から、体温が奪われる |
| すきま風 | 耳やしっぽの先が冷える |
| 冬の時期 | 症状が悪化しやすくなることがある |
| だから | 暖かい寝床を用意する |
| ただし | 低温やけどには気をつける |
暖かい場所で過ごさせることは、この病気では意味のある手当てになります。
ただし、感覚が鈍くなっている場所では低温やけどに気づけないことがあります。湯たんぽなどは、直接触れないようにしてください。
薬が原因のこともあります
引き金のなかで、まず確かめられるのが薬です。
治療では疑わしい薬剤の投与中止がまず行われます。
だから、飲ませているものを全部伝えてください
いま使っている薬は、すべて伝えてください。
ほかの病院で出された薬も、市販のサプリメントも含みます。
ノミの予防薬や点耳薬のような外用薬も、情報として意味があります。
お薬手帳のように、記録を残しておくとこうしたときに役立ちます。薬の名前が分からなければ、容器ごと持っていってください。
自己判断で、やめないでください
薬が原因かもしれないと聞くと、すぐにやめたくなります。
けれど、その薬は別の病気のために必要なものかもしれません。やめるかどうかは、必ず獣医師と決めてください。急にやめると、危険な薬もあります。
見つけ方は、生検です
この病気を確かめるには、皮膚の組織を採って調べることが必要です。
皮膚生検では、炎症の程度や病因を特定するために皮膚組織の試料が取られます。
局所麻酔を使用して皮膚から小さな組織サンプルを取り、顕微鏡で詳細な検査を行います。
| 検査 | 分かること |
|---|---|
| 皮膚生検 | 血管に炎症があるかを、直接確かめる |
| 血液検査 | 炎症の程度、全身の状態を見る |
| 細菌・真菌の検査 | 感染症でないことを確かめる |
| 画像検査 | 体の中に、隠れた原因がないかを探す |
| 投薬歴の確認 | 薬が引き金になっていないかを見る |
| ほかの皮膚病の除外 | 天疱瘡や感染症との区別をつける |
採る場所が、大事になります
血管の炎症は、採った場所によっては見つからないことがあります。
新しくできた病変から、複数箇所採ることが多くなります。
「一度で分からなかった」ということも起こりえます。
その場合は、時期を変えて調べ直すことがあります。一度の結果で、この病気を否定しきれるとは限りません。
治療は、引き金を断つことから
皮膚血管炎の治療は、原因となっている病気の治療や、疑わしい薬剤の投与中止などがまず行われます。
引き金がなくなれば、血管の炎症も収まっていく——それがいちばん確実な道です。
重さによって、薬が変わります
軽度の皮膚血管炎であれば、ペントキシフィリンという薬を投与します。
この薬は血の流れをよくする働きがあります。詰まりかけた血管の先に、少しでも血を届けようという考え方です。
重度の皮膚血管炎であれば、プレドニゾロンなどの免疫抑制剤を使用します。
他には、抗炎症剤と抗生剤を使用することもあります。
効き始めるまでに、時間がかかります
血の流れをよくする薬は、すぐに効くものではありません。
数週間かけて、少しずつ変化を見ていくことになります。
「変わらないから、やめる」という判断は早すぎることがあります。
どのくらいで判断するのかを最初に確認しておくと、迷わずに済みます。写真を撮って比べると、わずかな変化にも気づけます。
よくなるまでの、目安
この病気は、治り方がゆっくりです。
| 時期 | 見えてくること |
|---|---|
| 最初の数日 | 新しい潰瘍が増えなくなってくる |
| 一〜二週間 | 痛がり方が減り、触らせてくれるようになる |
| 数週間 | 潰瘍の縁から、皮膚が閉じ始める |
| 一か月以降 | 毛が生えてくる。ただし戻らない部分もある |
| 耳の変形 | すでに欠けた部分は、元には戻らない |
| だから | 早く止めることに意味がある |
壊れてしまった組織は、戻りません。耳のふちが欠けてしまえば、その形のままです。
だからこの病気では「どこで止められるか」がそのまま結果になります。
免疫を抑えるときの注意
重度の場合、免疫抑制剤を使うことになります。
けれど、この病気ではひとつ大きな注意点があります。
免疫抑制剤使用の際には、細菌感染などの可能性の除外や、全身的な潰瘍などに細菌感染が起こらないように注意して使用する必要があります。
潰瘍があるところに、免疫を抑えるからです
この病気では、皮膚に潰瘍という「開いた傷」ができています。
そこに免疫を抑える薬を使えば、細菌が入り込みやすくなります。
だから、使う前にすでに感染していないかを確かめます。
そして使っているあいだも、感染が起きていないか見ていくことになります。
- 傷が、じゅくじゅくしてきていないか
- においが出てきていないか
- 膿のようなものが出ていないか
- 熱が出ていないか
- 元気や食欲が落ちていないか
- 傷が広がっていないか
抗生剤を併用することがあるのは、この危険を減らすためです。
🩺 獣医療の現場では
この治療では、「感染していないか」を見ながら進めることになります。
免疫を抑えれば炎症は収まりますが、そのぶん傷が感染に弱くなります。家ではにおいと、傷のじゅくつきを見ていてください。変化があれば、すぐ連絡してください。
傷の手当ても、大切です
皮膚の清潔を保つことは、この病気では治療の一部になります。
ただし自己流で消毒しないでください。
市販の消毒薬は、かえって治りを遅らせることがあります。
どう手当てするかは、獣医師の指示に従ってください。
そして猫がなめ続けないようにすることも大切になります。
なめ続ければ、傷が広がり、細菌も入りやすくなります。必要ならエリザベスカラーを使うことも、結果として早く治すことにつながります。
よくある質問
Q. 皮膚血管炎とは、どんな病気ですか?
A. 皮膚を養っている血管が炎症を起こす病気です。血管が狭くなってその先に血が届かなくなり、組織が壊れて潰瘍になります。
Q. どこに症状が出ますか?
A. 耳のふち、しっぽの先、足先など、体の端に出やすいものです。心臓から遠く、細い血管しか通っていない場所ほど、血が届かなくなる影響を受けます。
Q. 耳の形が変わってきました
A. この病気では、耳のふちが欠けて変形することがあります。血が届かなくなった部分の組織が壊れていくためです。早めに受診してください。
Q. かゆみより、痛がっているようです
A. この病気では、痛みが目立つことがあります。組織が壊れて潰瘍になっているためです。足先に出れば歩くのを痛がり、耳に出れば触られるのを嫌がります。
Q. 天疱瘡とは、どう違いますか?
A. 壊れているものが違います。天疱瘡は皮膚の細胞どうしのつながりが壊され、かさぶたが中心になります。皮膚血管炎は血管が壊れ、潰瘍やえぐれとして現れます。
Q. 原因は何ですか?
A. アレルギー反応、感染症、自己免疫疾患などさまざまです。薬剤が引き金になることもあり、原因が特定できないまま治療することもあります。
Q. 薬が原因になることがあるのですか?
A. あります。治療ではまず、疑わしい薬剤の投与中止が行われます。いま使っている薬は、サプリメントや外用薬も含めてすべて伝えてください。
Q. では、薬をやめてよいですか?
A. 自己判断ではやめないでください。その薬が別の病気のために必要なこともありますし、急にやめると危険な薬もあります。必ず獣医師と決めてください。
Q. どうやって診断しますか?
A. 皮膚生検です。局所麻酔で小さな組織を採り、顕微鏡で血管の炎症を確かめます。採る場所によっては見つからないこともあり、複数箇所から採ることがあります。
Q. 治療はどうしますか?
A. まず原因の治療や、疑わしい薬剤の中止を行います。軽度であればペントキシフィリンを、重度であればプレドニゾロンなどの免疫抑制剤を使用します。
Q. 免疫抑制剤を使うときの注意はありますか?
A. 細菌感染に注意が必要です。潰瘍という開いた傷があるところで免疫を抑えるため、使う前に感染がないか確かめ、使用中も感染が起きないよう見ていきます。
Q. 治りますか?
A. 引き金が特定できて断てれば、改善が期待できます。ただし猫の皮膚血管炎の経過の報告はあまり多くなく、はっきりとは分かっていない部分もあります。
まとめ|端に出ていたら、血管を疑ってください
この病気で覚えておきたいのは、出る場所です。
耳のふち、しっぽの先、足先——体の端に症状が集まっているなら、血管の問題を考えます。
そしてかゆみより痛みが目立つことも、手がかりになります。
治療の第一歩は、引き金を断つことです。
最近始めた薬はないか。その一点を思い出すだけで、道が開けることがあります。受診のときに、必ず伝えてください。
そして、この病気で失われた組織は戻りません。欠けた耳のふちは、そのまま残ります。
だからこそ気づいた時点で止めることにいちばん大きな意味があります。「様子を見る」の判断が、そのまま結果を変えてしまう病気です。
今日できる3つ
- 1耳のふちとしっぽの先を見て、欠けやただれがないか確かめる
- 2肉球を見て、潰瘍ができていないか確かめる
- 3最近始めた薬やサプリメントを、書き出しておく
この病気は、血が届かないことで起きています。だから、体の端から順に現れます。

本日の「犬猫の悩みを即解決!」の記事「猫の皮膚血管炎|体の端から、壊れていきます」でした。
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