


こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「犬の外耳炎|繰り返すなら、原因は耳の外にあります」です。ではどうぞ!
また、耳を掻いている。
前にもらった点耳薬でいったんは良くなったのに、しばらくするとまた戻る——
耳の中は黒っぽく汚れ、少し甘いような、独特のにおいがする。
「またマラセチアですね」と言われる。
洗ってもらい、薬をもらい、また良くなり、また戻る——
この繰り返しに心当たりがあるなら知っておいてほしいことがあります。
マラセチアは、外耳炎の「原因」ではありません。
外耳炎が起きたあとに増えてきたもの——つまり「結果」のほうなのです。
だから、それだけを叩いても繰り返します。
結論
外耳炎には4つの要因が関わるとされています。単独で外耳炎を起こせる「主因」、あとから二次的に増える「副因」、治りにくくしている「持続因子」、起こりやすくしている「素因」——マラセチアや細菌は、このうち副因です。副因は洗浄と投薬でほぼ取り除けますが主因(アレルギー、異物、耳ダニ、ホルモンの病気など)が残っていればまた同じことが起こります。繰り返す外耳炎で本当に探すべきは、耳の外にある主因です。放置して慢性化すると耳道が狭くなり、薬が届かなくなります。
この記事でわかること
- ✓犬の耳は、L字に曲がっています
- ✓「マラセチアが原因」ではありません
- ✓繰り返すなら、耳の外を探してください
- ✓点耳薬の、正しい入れ方
- ✓耳掃除は、やりすぎないでください
- ✓慢性化すると、耳道が塞がります
- ✓受診と、日ごろの観察
犬の耳は、L字に曲がっています

まず、耳の形から説明させてください。
人の耳道はほぼまっすぐで短い——綿棒を入れれば鼓膜の近くまで届きます。
犬の耳道は、違います。
| 部分 | 説明 |
|---|---|
| 垂直耳道 | 入口から、まっすぐ下へ降りる |
| 曲がり角 | そこで、ほぼ直角に曲がる |
| 水平耳道 | 横向きに進み、鼓膜へ届く |
| 結果として | 外から中は、ほとんど見えない |
| そして | 湿気も熱も、こもりやすい |
このL字の構造が外耳炎の話のすべてに関わってきます。
- 奥まで見えないため、外から状態が分からない
- 空気が通りにくく、湿気がこもる
- 耳垢が自然に出にくい
- 綿棒を入れても、曲がり角までしか届かない
- むしろ、汚れを奥へ押し込んでしまう
- 薬も、もまなければ奥へ届かない
「耳の中を見てください」と言われても飼い主に見えるのは入口の部分だけです。
その奥で何が起きているかは耳鏡という器具で覗かなければ分かりません。
そして垂れ耳の犬ではこの構造にさらに「ふた」がかぶさります。
空気が通らず、湿度も温度も高いまま——これが「素因」と呼ばれるものです。
垂れ耳の犬種で外耳炎が多いのはそのためで、とくにアメリカン・コッカー・スパニエルのように耳が大きく、毛も多く、皮脂も出やすい犬種ではほぼ避けて通れない問題になります。
「マラセチアが原因」ではありません

ここが、この記事でもっとも伝えたい部分です。
外耳炎には4つの要因が関わるとされています。
| 要因 | 意味 | たとえば |
|---|---|---|
| 主因 | 単独で外耳炎を起こせるもの | アレルギー、異物、耳ダニ、ホルモンの病気 |
| 副因 | あとから二次的に増えるもの | マラセチア、細菌 |
| 持続因子 | 治りにくくしているもの | 耳道のむくみ、耳垢、狭窄、鼓膜の穿孔 |
| 素因 | 起こりやすくしている条件 | 垂れ耳、毛が多い、皮脂が多い、湿気 |
マラセチアはもともと健康な犬の耳にもいる菌です。
皮脂を好むため皮脂がたまりやすい耳で増えやすい——けれど、ふだんは増えすぎません。
増えるのは、増えられる状態になったときです。
アレルギーで耳の中が炎症を起こし、湿って、皮脂が増える——そこに、もともといた菌が増える——
これが、実際に起きている順番です。
副因は取り除けます。主因は残ります
副因の多くは耳道の洗浄や投薬で完全に取り除けます。
だから、治療すればよくなる——そこは間違いありません。
けれど、主因はそのまま残っています。
アレルギーも、ホルモンの病気も、耳を洗っただけでは何も変わらない——
だから、しばらくするとまた同じことが起こるのです。
「治療が効いていない」のではありません。
効いているけれど、叩いている相手が副因のほうだった——そういうことです。
そして、細菌のなかにはやっかいなものもいます。
慢性化した耳では緑膿菌のような薬が効きにくい菌が入り込むことがあり、そうなれば治療はさらに長くなります。
繰り返すなら、耳の外を探してください
年に何度も外耳炎になる。薬をやめると、すぐ戻る——
そういう場合には主因を探すという段階に進む必要があります。
| 主因 | 気づく手がかり |
|---|---|
| アレルギー(食物・環境) | 足先や口周り、お腹も痒がる |
| 耳ダニ | 黒く乾いた耳垢。強い痒み。若い犬に多い |
| 異物 | 片耳だけ、急に。草むらのあと |
| ホルモンの病気 | 左右対称の脱毛、飲水量の変化 |
| 角化異常 | 皮膚全体がべたつく、フケが多い |
| 腫瘍・ポリープ | 片耳だけが、治らない |
もっとも多い主因はアレルギーだとされています。
そして、アレルギーが主因である場合——耳だけを治療しても終わりません。
耳は、皮膚の延長です。耳道の内側も皮膚と同じ組織でできています。
だから、全身の皮膚に起きていることは耳の中でも起きている——
「耳が痒い」と同時に「足先を舐める」「口の周りを掻く」という変化がないかどうか——そこを見てください。
そろっているなら耳の話ではなく皮膚の話として進めることになります。
そして、季節との関係も見ておいてください。
マラセチアが増えやすいのは高温多湿の時期——梅雨から夏にかけて悪くなる犬は少なくありません。
けれど、毎年決まった季節に悪くなるならそれは湿気だけの話ではないこともあります。
その季節にだけ飛ぶ花粉や草に触れる機会が増えることが背景にある——そうした見方もできるからです。
「いつ悪くなるか」を記録しておくと主因を絞り込む手がかりになります。
片耳だけ、というとき
両耳が同時にならアレルギーなど全身に関わる主因が疑われます。
けれど、片耳だけという場合は話が変わります。
- 植物の種などの異物が入っていないか
- 腫瘍やポリープができていないか
- その耳だけ、けがをしていないか
- 耳の奥に、水が入る出来事がなかったか
- 片側だけ強く掻いた跡がないか
- 治療しても、その耳だけ治らないか
とくに、散歩のあと急に片耳を気にし始めた——
そういう場合は異物を疑う理由があります。草の種が耳道の奥まで入り込むことは実際に起こります。
点耳薬の、正しい入れ方

薬をもらっても、入れ方が違えば効きません。
L字に曲がっていることを思い出してください。
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 耳を軽く上に引き、耳道をまっすぐに近づける |
| 2 | 入口ではなく、耳道の中へ薬を垂らす |
| 3 | 耳の根元を、指でしっかりもむ |
| 4 | クチュクチュと音がすれば、届いている |
| 5 | 放すと、犬が頭を振って余分を出す |
| 6 | 外に出たぶんだけ、コットンで拭く |
もっとも大切なのは3番です。
入れただけでは薬は曲がり角の手前で止まります。
根元をもむことではじめて水平耳道の奥まで広がる——
「入れたのに効かない」という場合ここが抜けていることが少なくありません。
そしてもうひとつ——
症状が消えても、指示された期間は続けてください。
痒みは早く引きます。けれど、耳道の中の炎症はまだ残っています。
そこでやめれば残った炎症からまた広がる——「治りかけでやめる」ことが慢性化へのいちばん近い道です。
嫌がって、入れられないとき
点耳を嫌がる犬はたくさんいます。
耳が痛い状態で触られるのですから当然のことです。
- 後ろから抱えるようにして、逃げ場を減らす
- 薬の容器を、あらかじめ手で温めておく
- 終わったら必ず、おやつや声かけで終える
- 痛みが強くて触れないなら、そのまま伝える
- 1回で全部やろうとせず、短く区切る
- どうしても無理なら、通院での処置も相談できる
「うちでは入れられませんでした」と正直に伝えてください。
入れられていないのに「効きませんでした」と伝われば薬を変える判断につながってしまいます。
長く効くタイプの薬を病院で入れてもらうという方法もあります。
耳掃除は、やりすぎないでください
意外に思われるかもしれませんが耳掃除はしすぎると害になります。
とくに、綿棒を耳道に入れること——
- 綿棒は、曲がり角までしか届かない
- むしろ、汚れを奥へ押し込んでしまう
- 耳道の皮膚を傷つけ、そこから炎症が起きる
- 刺激で、かえって耳垢が増えることがある
- 鼓膜を傷つける危険もある
- 拭くのは、見える範囲の外側だけでよい
健康な耳には汚れを外へ運び出すしくみがもともと備わっています。
耳道の皮膚そのものが少しずつ外へ移動していく——それに乗って耳垢も運ばれていくのです。
だから、健康な耳なら掃除はほとんど要りません。
汚れが目立つ、においがする——それは「掃除が足りない」のではなく「何かが起きている」合図だと受け取ってください。
🩺 洗浄は、鼓膜を確かめてから
洗浄液を耳に入れて洗うという方法がすすめられることがあります。
これは、自己判断で始めないでください。
鼓膜が破れている場合に液を流し込めば中耳まで届いてしまうからです。
洗浄をするかどうか、何を使うかは鼓膜の状態を確かめたうえで決められるものです。
「市販の洗浄液を買ってきて洗う」よりまず一度、耳の中を見てもらってください。
慢性化すると、耳道が塞がります

外耳炎を「たかが耳の病気」と見ないでほしい理由を書きます。
炎症が長く続くと耳道の皮膚が厚くなっていきます。
| 段階 | 耳道の状態 | できること |
|---|---|---|
| 初期 | むくんでいるだけ | 薬と洗浄で、元に戻る |
| 繰り返す | 皮膚が厚くなり始める | 主因を探す段階へ |
| 慢性 | 耳道が狭くなる | 薬が奥まで届きにくい |
| 重度 | 石灰化して硬くなる | 薬では戻らない |
| 閉塞 | 耳道が塞がる | 手術が検討される |
初期の持続因子——耳道のむくみ、たまった耳垢——これらは薬と洗浄で十分に管理できます。
問題は、その段階を何度も見送ったときです。
耳道の狭窄、鼓膜の穿孔、耳道の周りの組織が石灰化する——
ここまで来ると薬では戻せません。
そして、耳道が塞がってしまえば全耳道切除という手術が検討される段階になります。
耳道そのものを取り除く手術でその耳の聞こえは失われます。
それでも行われるのは痛みと炎症から解放するため——そこまで進ませないことがこの病気でもっとも大切なことです。
鼓膜が破れれば中耳炎へ、さらに進めば聞こえの問題にもつながります。
そして、激しく頭を振り続ければ耳血腫という別の問題も起こります。
受診と、日ごろの観察
受診のときに伝えてほしいことを挙げます。
- いつから、どれくらいの頻度で起きているか
- 片耳か、両耳か
- 耳以外に痒がる場所はないか(足先・口周り・お腹)
- これまでに使った薬と、その効き方
- 自宅で洗浄しているなら、その方法と頻度
- 食事を変えたタイミングがあるか
とくに「何回目か」——
これが、主因を探し始めるかどうかの判断材料になります。
「今年3回目です」と伝えればその場の治療だけでなく背景を調べる話に進みやすくなります。
検査としては耳鏡で耳道と鼓膜を見る、耳垢を顕微鏡で調べるのが基本です。
顕微鏡で見ればマラセチアなのか、細菌なのか、耳ダニなのかが分かります。相手によって使う薬が変わるためこの検査には意味があります。
日ごろ、見ておきたいこと
- 耳の入口の色——赤くなっていないか
- においがしないか
- 耳垢の量と色が変わっていないか
- 頭を振る回数が増えていないか
- 触られるのを嫌がるようになっていないか
- 耳の下の毛が、唾液で汚れていないか
においは早い段階で気づける手がかりです。
見た目にはまだ汚れていなくてもにおいだけ先に出ることがあります。
そして、頭を振る回数——
犬は耳に違和感があると頭を振ります。「最近よく振っているな」と感じたらそれは、本人が伝えているサインです。耳の中を覗いてもまだ何も見えないうちからその動きだけが先に増えていくことがあります。
よくある質問
Q. 外耳炎はなぜ繰り返すのですか?
A. 治療で取り除けるのは副因(マラセチアや細菌)だけで、主因が残るためです。アレルギー、ホルモンの病気、耳ダニ、異物などの主因は、耳を洗っただけでは変わりません。繰り返すなら、主因を探す段階です。
Q. マラセチアが原因ではないのですか?
A. マラセチアは、外耳炎が起きたあとに増えてくる「副因」です。もともと健康な犬の耳にもいる菌で、皮脂が増え、湿った環境になってはじめて増えすぎます。増えられる状態をつくったものが、本当の原因です。
Q. 耳掃除は毎日したほうがよいですか?
A. 健康な耳なら、ほとんど必要ありません。耳道には汚れを外へ運び出すしくみが備わっています。とくに綿棒を耳道に入れるのは、汚れを奥へ押し込むため避けてください。
Q. 点耳薬を入れても効きません
A. 入れたあと、耳の根元をもんでいますか。犬の耳道はL字に曲がっているため、垂らしただけでは曲がり角の手前で止まります。クチュクチュと音がするまでもんで、はじめて奥まで届きます。
Q. 片耳だけ治りません
A. 異物や腫瘍、ポリープを疑う理由になります。両耳同時ならアレルギーなど全身の主因が疑われますが、片側だけならその耳に固有の原因を探すことになります。
Q. 市販の洗浄液を使ってもよいですか?
A. まず、鼓膜の状態を確かめてもらってください。鼓膜が破れている状態で液を流し込めば、中耳まで届いてしまいます。洗浄するか、何を使うかは、耳の中を見たうえで決められるものです。
Q. 放置するとどうなりますか?
A. 耳道の皮膚が厚くなり、狭くなっていきます。さらに進むと石灰化して硬くなり、薬では戻せなくなります。耳道が塞がれば、全耳道切除という手術が検討される段階になります。
まとめ|叩く相手を、間違えないでください
外耳炎は犬でもっとも多い病気のひとつです。
そして、もっとも繰り返す病気のひとつでもあります。
その理由ははっきりしています。
治療で取り除いているのは副因であって、主因ではないから——
マラセチアも細菌も「増えられる状態」があったから増えたのであってそれをつくったものが別にあります。
年に何度も繰り返しているなら「また外耳炎ですね」で終わらせないでください。
「なぜ繰り返すのか、調べてもらえますか」——
その一言が治療の方向を変えます。
そして、耳道が厚く硬くなってしまう前に——
初期のむくみなら、耳道は元に戻ります。
けれど、石灰化して硬くなってしまえば戻す方法はありません。
その差をつくるのは特別な治療ではなく「何回目で調べ始めたか」——それだけだと言っていいでしょう。
今日できる3つ
- 1耳の入口の色とにおいを確かめる
- 2耳以外に痒がる場所がないか、足先と口周りを見る
- 3この1年で何回目かを数えて、次の受診で伝える
副因を叩くだけでは、終わりません。繰り返すなら、原因は耳の外にあります。

本日の「犬猫の悩みを即解決!」の記事「犬の外耳炎|繰り返すなら、原因は耳の外にあります」でした。
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