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犬の尿崩症|水を飲みすぎるのは、病気かもしれない
犬の尿崩症
モフ@ペット好き

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「犬の尿崩症|水を飲みすぎるのは、病気かもしれない」です。ではどうぞ!

水入れが、すぐ空になる。

トイレシートの交換が増えた。

夜中にも水を飲みに行く——

こうした変化を「よく水を飲む子だから」で片づけてしまうことがあります。けれど、犬が水をたくさん飲むようになるのはいくつもの病気に共通するサインです。

その中のひとつが尿崩症——尿を濃くするためのホルモンが働かなくなり、薄い尿が大量に出続ける病気です。

そして、この病気で絶対にしてはいけないことがあります。

水を制限することです。

この記事では、尿崩症という病気と、多飲多尿を起こす他の病気との切り分けを整理していきます。

結論

尿崩症は尿を濃くするホルモン(抗利尿ホルモン)が働かなくなり、薄い尿が大量に出続ける病気です。脳の下垂体からホルモンが出ない「中枢性」と、ホルモンは出ているのに腎臓が反応しない「腎性」、そして先に水を飲みすぎる「心因性多飲」——見た目では区別できません。初期は元気も食欲もふつうで、多飲多尿だけが現れます。絶対に水を制限しないでください——飲めなければ、急速に脱水します。まず飲水量を測って、受診してください。

この記事でわかること

  • 尿を濃くするという、しくみ
  • 3つのタイプがあります
  • 多飲多尿を起こす、他の病気
  • 水を制限してはいけない理由
  • 診断と、治療

尿を濃くするという、しくみ

抗利尿ホルモンの働き
尿を濃くするホルモンが働かなくなります。

腎臓は血液をこして尿をつくり、そのあとで必要な水分を体に戻しています。この「戻す」働きがあるからこそ尿は濃くなり、体の水分が保たれるのです。

この働きを指示しているのが抗利尿ホルモン(バソプレシン)というホルモンです。脳の下垂体から出て、腎臓に届き、「水を戻せ」と伝えます。

抗利尿ホルモンのしくみ
段階 正常なとき 尿崩症のとき
脳(下垂体) ホルモンを出す 中枢性では、出ない
腎臓 ホルモンを受け取る 腎性では、反応しない
水分 体に戻される 戻されない
尿 濃くなる 極端に薄いまま、大量に出る
犬の行動 ふつうに飲む 失った分を補おうと、飲み続ける

「水を飲みすぎるから、尿が増える」のではありません。

「尿が出すぎるから、水を飲む」——順番が逆だという点がこの病気を理解するうえで決定的に重要です。

だから、水を取り上げても尿は減りません。減るのは、体の水分だけです。この関係を理解しておくことが、この病気でいちばん危険な判断を避けることにつながります。

3つのタイプがあります

尿崩症の3つのタイプ
「水を飲みすぎる」の中身はひとつではありません。

「たくさん飲んで、たくさん出る」という見た目は同じでも、中で起きていることは3つに分かれます。

①中枢性——ホルモンが出ない

脳の下垂体から抗利尿ホルモンが分泌されなくなるタイプです。

生まれつきの場合もあれば、頭部の外傷、腫瘍、炎症などが背景になることもあります。

そして、このタイプにははっきりした治療法があります。足りないホルモンを外から補う——それで症状はほぼ抑えられます。

②腎性——腎臓が反応しない

ホルモンは正常に出ているのに腎臓の側がそれを受け取れないタイプです。

生まれつきの場合はまれとされますが、他の病気の影響後から起こることもあります。

この場合、ホルモンを補っても効きません。受け取る側の問題だからです。背景にある病気を治すこと治療の中心になります。

③心因性多飲——先に飲みすぎている

これは、厳密には尿崩症ではありません。

ストレスや環境の変化などで先に水を飲みすぎてしまい、その結果として尿が増える——順番が逆の状態です。

ただ、見た目はまったく同じです。だから、検査で区別する必要があります。

「たくさん飲んで、たくさん出る」だけでは分かりません

3つのタイプ症状だけでは見分けられません。

そして、治療法がまったく違います。

ホルモンを補えば治るもの補っても効かないものそもそも別の対応が要るもの——

だから、検査で確かめることに意味があります。

多飲多尿を起こす、他の病気

多飲多尿を起こす病気
尿崩症は、むしろ頻度の低い原因です。

ここが、この記事でもっとも実用的な部分かもしれません。

「水をよく飲む」という症状はいくつもの病気で起こります。そして、尿崩症はその中では頻度の低い原因です。

多飲多尿を起こす病気
病気 多飲以外に見られること
慢性腎臓病 体重減少、食欲低下、吐き気
糖尿病 食べているのに痩せる
子宮蓄膿症 未避妊のメス。おりもの、発熱、元気消失
副腎の病気 お腹が膨れる、毛が薄くなる、皮膚が薄い
肝臓の病気 元気がない、黄疸、嘔吐
高カルシウム血症 背景に腫瘍があることも

これらの多くは血液検査と尿検査で見当がつきます。だから、動物病院ではまずそこから調べます。

そして、それらがすべて否定されたとき尿崩症という可能性が検討されます。「除外していった先にある診断」——そういう性質の病気です。

「いろいろ調べたのに原因が分からない」と感じることがあるかもしれません。けれど、それは検査が無駄だったということではありません。ひとつずつ可能性を消していく——その積み重ねが診断に近づく道だからです。

そして、除外の過程で別の病気が見つかることも少なくありません。調べること自体に意味があります。

⚠ 未避妊のメスなら、まず子宮蓄膿症を疑ってください

避妊していないメス急に水を飲む量が増えた——

これは、その日のうちに受診すべき状況です。

子宮蓄膿症数日で命に関わることのある病気で、多飲がサインになることが知られています。

「発情から1〜2か月以内」ならとくに強く疑ってください。

子宮蓄膿症についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

水を制限してはいけない理由

水を制限してはいけない
飲ませないことは、解決になりません。

「水を飲みすぎるなら、減らせばいいのでは」——

これは、絶対にしないでください。

尿崩症では尿が出ていくこと自体を止められません。水を飲めなくなれば、失われる一方になります。

水を制限したときに起きること
水を制限すると 起きること
尿は減らない 出ていく量は変わらない
体の水分が減る 急速に脱水が進む
血液が濃くなる 体の成分のバランスが崩れる
神経に影響 ふらつき、けいれん、意識の低下
結果 命に関わることもある

「粗相が増えて困る」——その気持ちは分かります。けれど、粗相は病気の結果であって水を減らして解決するものではありません。

ペットシーツの枚数を増やす、トイレの場所を増やす、防水のシートを敷く——対処するのは、そちら側です。

そして、叱らないでください。犬は我慢できないのであって、怠けているのではありません。叱られれば隠れて排尿するようになり、状態がさらに見えにくくなります。

飲水量を、測ってください

受診の前にやっておくと役に立つことがあります。

  • 朝に水を量って入れ、翌朝に残りを量る
  • 水入れが複数あれば、すべてを合計する
  • 3日ほど続けて、平均を出す
  • 体重1kgあたり1日100ml以上なら「多飲」の目安
  • 尿の回数と、おおよその量も記録する
  • いつごろから増えたかを思い出す

「なんとなく増えた気がする」では診察で伝わりません。数字にすること調べるべき方向がはっきりします。

5kgの犬なら1日500ml——それを超えているなら受診してください。

散歩先で飲んだ分もおおよそ足しておくとより正確になります。そして、いつごろから増えたか——「数か月前から少しずつ」なのか「先週から急に」なのか疑う病気が変わります。

初期には、元気も食欲もふつうです

この病気の気づかれにくい理由がここにあります。

初期の段階では元気も食欲も問題がないことが多く、多飲多尿だけが現れます。

経過と、気づかれ方
時期 見えること
初期 多飲多尿のみ。元気も食欲もふつう
気づかれ方 「水入れがすぐ空になる」で気づく
誤解 「よく飲む子」で片づけられやすい
慢性化すると 体重が減ってくることがある
脱水したとき ふらつき、けいれん、意識の低下
要点 「元気だから大丈夫」は通用しない

「元気だし、食欲もあるから」——その判断が、この病気では通用しません。

体は水を失い続けているのに飲むことでなんとか帳尻を合わせている——そういう状態だからです。

そして、そのバランスが崩れる場面があります。

  • 留守番中に水が切れた
  • 旅行や移動で、飲めない時間が続いた
  • 入院や手術で、絶飲食になった
  • 暑い日に、失う量が増えた
  • 他の病気で、食欲や体力が落ちた
  • いずれも、急速に脱水しうる

とくに「手術や入院」——絶飲食が指示される場面ではこの病気があることを必ず伝えてください。

ふつうの犬なら問題ない時間でもこの犬にとっては危険になりうるからです。

診断と、治療

診断は段階を追って進みます。まず、よくある病気を除外する——そこからです。

行われる検査
検査 何を調べるか
血液検査 腎臓、肝臓、血糖、カルシウムなど
尿検査 尿比重——どれだけ薄いか
超音波検査 子宮、副腎、腎臓の状態
ホルモンの検査 副腎などの病気を調べる
水制限試験 入院して、段階的に行う専門的な検査
画像検査 脳の状態を調べることもある

尿比重——尿がどれだけ濃いかを示す数値です。尿崩症では、極端に薄い尿が続きます。

そして水制限試験。これは獣医師の管理下で飲水量を段階的に減らしていき、尿の濃さがどう変わるかを見る検査です。そのあとホルモンの薬を投与し、反応するかどうか中枢性・腎性・心因性を区別します。

⚠ この検査は、家庭でやってはいけません

水制限試験入院して、体重や尿の変化を細かく確認しながら行われるものです。

家庭で水を減らして「様子を見る」のはまったく別のことです。

脱水が急速に進み、危険な状態になります。

絶対に、自己判断でやらないでください。

治療——タイプによって変わります

中枢性尿崩症と分かった場合は足りないホルモンを補う治療が行われます。

デスモプレシンという薬が使われ、目薬として投与する方法がとられることがあります。この薬を使っているあいだは多飲多尿の症状がほぼ抑えられるとされています。

「病気そのものが治る」わけではありません。足りないものを補い続けることでふつうの生活を取り戻す——そういう性質の治療です。だからこそ、続けることが前提になります。

  • 指示された回数と量を守る
  • 自己判断で中止しない——症状はすぐ戻る
  • 効果の出方を記録しておく
  • 飲水量を、ときどき測って確かめる
  • 定期的に受診し、量を調整してもらう
  • 水はいつでも飲めるようにしておく

腎性の場合はホルモンを補っても効きません。背景にある病気の治療が中心になり、症状を和らげる方法が組み合わされます。

心因性多飲では環境やストレスの見直しが検討されます。ただし、ここでも水を急に取り上げてはいけません。減らし方も含めて獣医師の指示に従ってください。

そして、心因性多飲と言われたときに「気のせい」「わがまま」と受け取らないでください。退屈、不安、環境の変化——犬にとっては実際に理由のある行動です。

散歩や遊びの時間を増やす、留守番の環境を見直す、生活のリズムを整える——そうした変化で落ち着いていくことがあります。

暮らしの中で、できること

症状が完全に抑えられている場合は特別な配慮は要りませんが、多飲多尿が続いている状態では生活の側を整えることに意味があります。

  • 水入れを複数の場所に置き、切らさない
  • 留守番中も、十分な量の水を用意しておく
  • トイレの数と場所を増やす
  • 吸収量の多いシーツに替える
  • 寝床の下に防水シートを敷く
  • 外出や旅行のときも、水を持って出る

「留守番中の水」——これは、とくに重要です。ふだんと同じ量しか用意していない途中で切れてしまうことがあります。

こぼれにくい大きめの器を使う、複数の部屋に置く——「飲みたいときに飲める」状態を保ってください。

そして、散歩や外出のとき。この病気の犬にとって水を持たずに出かけることは危険になりえます。短い散歩でも、水を携帯する習慣をつけておいてください。

暑い季節失われる水分がさらに増えます。涼しい時間に散歩する、室温を保つ——そうした基本的なことがこの病気ではより重い意味を持ちます。

よくある質問

Q. 尿崩症とはどんな病気ですか?

A. 尿を濃くするホルモンが働かなくなり、薄い尿が大量に出続ける病気です。失った水分を補おうとして、水を飲み続けるようになります。「飲みすぎるから尿が増える」のではなく「尿が出すぎるから飲む」——順番が逆です。

Q. 水を減らしてもいいですか?

A. 絶対にしないでください。尿が出ていくこと自体は止まらないため、飲めなくなれば急速に脱水します。ふらつきやけいれん、意識の低下につながることもあります。

Q. 3つのタイプとは何ですか?

A. 中枢性(ホルモンが出ない)、腎性(腎臓が反応しない)、心因性多飲(先に飲みすぎている)です。見た目では区別できず、治療法もまったく違うため、検査で確かめる必要があります。

Q. 多飲かどうか、どう判断しますか?

A. 体重1kgあたり1日100ml以上が、ひとつの目安とされています。朝に水を量って入れ、翌朝に残りを量れば1日の飲水量が分かります。5kgの犬なら500mlが目安です。

Q. 他の病気と見分けられますか?

A. 見た目では分かりません。腎臓病、糖尿病、子宮蓄膿症、副腎の病気——多飲多尿はいくつもの病気で起こります。尿崩症は、それらを除外していった先にある診断です。

Q. 粗相が増えて困ります

A. 叱らないでください。犬は我慢できないのです。ペットシーツを増やす、トイレの場所を増やす——対処するのはそちら側です。叱ると隠れて排尿するようになり、状態が見えにくくなります。

Q. 治りますか?

A. 中枢性であれば、ホルモンを補うことで症状はほぼ抑えられます。ただし薬をやめれば症状は戻るため、続けることが前提になります。腎性では、背景にある病気の治療が中心になります。

まとめ|飲ませないことは、答えではありません

水をたくさん飲むようになった——

それはいくつもの病気に共通するサインです。腎臓、糖尿病、子宮、副腎、肝臓——そして、この尿崩症。どれも、飼い主からは同じように見えます。

どれなのかは、検査を受けなければ分かりません。

けれど、すべてに共通して言えることがひとつあります。

どんな原因であっても、水を取り上げてはいけない——

尿が出ていくのを止められない状態飲めなくなれば、脱水するだけです。

やるべきことは、測って、記録して、受診すること。

「よく飲む子だから」で片づけていた変化が実は病気のサインだった——そういうことは実際によくあります。

その3つだけです。難しいことは、何ひとつありません。

今日できる3つ

  • 1朝に水を量って入れ、翌朝に残りを量って飲水量を確かめる
  • 2体重1kgあたり100mlを超えているか計算してみる
  • 3未避妊のメスで急に増えたなら、その日のうちに連絡する

水を飲みすぎることは、我慢の問題ではありません。体が水を失い続けているという、体からの訴えです。

モフ@ペット好き

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