

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫の消化管好酸球性硬化性線維増殖症|しこりでも、腫瘍ではありません」です。ではどうぞ!
お腹に、硬いしこりがあると言われた。
腫瘍かもしれない、とも言われた——
その場で、覚悟された方も多いと思います。
けれど、しこりのすべてが腫瘍ではありません。この病気は、好酸球という白血球が集まって硬い塊をつくる、炎症の病気です。そして、ステロイドがよく効くと言われています。
結論
消化管好酸球性硬化性線維増殖症とは好酸球の浸潤と線維組織の沈着により、消化管内に塊状病変を生じる稀な疾患です。最も一般的に胃または小腸を侵し、次に回盲部、その後結腸に見られます。猫のお腹の中に大きな硬いしこりができ、食欲低下や嘔吐などを引き起こします。この病変は腫瘍病変と似ており、非常に硬い索状の膠原線維層は類骨に類似していて骨肉腫と誤診されるかもしれず、また多数の肥満細胞の存在は硬化した肥満細胞腫と診断されてしまうかもしれません。診断は、撮影時の針生検、その後の組織生検により行われます。治療としては、手術や免疫抑制剤、抗生剤の投与が必要となります。ステロイド治療が最も良い成績と言われており、切除して投薬の反応が良ければ良好な経過を送ることができますが、切除しきれない部位にできていたり薬への反応が悪い場合は、経過が悪いことが多いです。
この記事でわかること
- ✓しこりですが、腫瘍ではありません
- ✓好酸球が集まって、固まります
- ✓胃と小腸に、できやすいのです
- ✓食欲低下と、嘔吐が出ます
- ✓腫瘍と、間違われることがあります
- ✓確かめるには、組織を見ます
- ✓ステロイドが、よく効きます
- ✓見通しを分けるもの
しこりですが、腫瘍ではありません
まず、いちばん伝えたいことから。
炎症が、塊になった状態です
好酸球の浸潤と線維組織の沈着により、消化管内に塊状病変を生じる稀な疾患です。
細胞が増殖して腫瘍になったのではありません。
炎症が続いた場所に、硬い組織が積み重なったものです。
好酸球という白血球です
好酸球はアレルギーや寄生虫に関わる白血球です。
それが、消化管の壁に集まってきます。
そして、線維組織が沈着していきます。
その集まり方が、この病気の名前になっています。
だから、治療の方向が違います
腫瘍なら、抗がん剤や放射線を考えます。
けれどこれは炎症なので、抑える治療になります。
ステロイド治療が最も良い成績と言われているのは
そのためです。
稀な病気です
数は多くありません。
だから、可能性として思い浮かべてもらえないこともあります。
「そういう病気もある」と知っておく価値があります。
診断がついた時点で、ひとつの分かれ道を越えています。
そこまで調べてもらえたこと自体に、意味があります。
好酸球が集まって、固まります

どうやって、しこりになるのかです。
壁の中へ、入り込みます
浸潤とは組織の中へ、入り込んでいくことです。
好酸球が、消化管の壁に入り込みます。
そこで、炎症が続きます。
硬い組織が、積み重なります
線維組織の沈着が起こります。
傷を治そうとする働きが、行き過ぎている状態です。
硬い組織が、そこに溜まっていきます。
そして、塊になります
消化管内に、塊状病変を生じます。
猫のお腹の中に、大きな硬いしこりができます。
触って分かるほどの大きさになることがあります。
抱いたときに、お腹の中で何かに触れる——
そこで気づかれることもあります。
だから、非常に硬いのです
非常に硬い索状の膠原線維層ができます。
触った感じも、腫瘍のように硬い——
それが、紛らわしさの始まりです。
胃と小腸に、できやすいのです

できる場所には傾向があります。
胃と小腸が、最も多いのです
最も一般的に、胃または小腸を侵します。
食べたものが通る、上のほうです。
だから、吐く症状が出やすくなります。
回盲部にも、できます
次に、回盲部に見られます。
回盲部とは小腸から大腸へ移る境目です。
細くなる場所なので、詰まりやすいところです。
複数の場所に、できることもあります
一か所とは限りません。
離れた場所に、同時にできていることもあります。
だから、お腹全体を調べます。
手術できるかどうかも、そこで決まってきます。
リンパ節が、腫れることもあります
近くのリンパ節が、大きくなっていることがあります。
それも、腫瘍を疑わせる所見になります。
けれど、炎症でもリンパ節は腫れます。
ここでも、調べなければ分かりません。
結腸にも、できることがあります
その後、結腸に見られます。
そこにできれば、便が出にくくなります。
場所によって、症状が変わります。
食欲低下と、嘔吐が出ます
どんな症状かです。
食べなくなります
食欲低下や嘔吐などを引き起こします。
塊が、通り道を狭くしている——
だから、食べたものが進みにくくなります。
吐くようになります
胃や小腸にできれば、その先へ進めません。
行き場を失ったものが、戻ってきます。
くり返し吐くことが特徴的な症状になります。
痩せていきます
食べられず、吐き続ければ、体重は減ります。
そして、猫が食べない日が続くのは危険です。
じわじわ進むので、気づいたときにはかなり痩せていることがあります。
- 吐く日が、増えてきた
- 食欲が、落ちてきた
- 体重が、減っている
- お腹に、しこりが触れる
- 元気がなく、動かない
- 下痢や便秘が、続いている
お腹を触って何か分かるなら、その日のうちに受診してください。
腫瘍と、間違われることがあります

ここが、この病気の難しいところです。
見た目が、腫瘍そっくりです
この病変は、腫瘍病変と似ています。
画像で見ても、触っても、腫瘍と区別がつきません。
だから、そう説明されることがあります。
骨肉腫と、誤診されることがあります
非常に硬い索状の膠原線維層は類骨に類似していて、骨肉腫と誤診されるかもしれません。
類骨とは骨になる前の組織のことです。
硬い線維が、それに似て見えてしまうのです。
肥満細胞腫と、間違われることもあります
多数の肥満細胞の存在は、硬化した肥満細胞腫と診断されてしまうかもしれません。
集まっている細胞の種類から、そう読まれてしまうことがあります。
だから、確かめる価値があります
腫瘍と診断されれば、話がまったく変わってしまいます。
けれどこれは炎症であり、ステロイドが効く病気です。
「腫瘍かもしれない」と言われたときこそ、確かめてください。
| 紛らわしいもの | なぜ間違われるのか |
|---|---|
| 骨肉腫 | 硬い膠原線維層が、類骨に似ている |
| 肥満細胞腫 | 多数の肥満細胞が、存在するため |
| そのほかの腫瘍 | 病変そのものが、腫瘍病変とよく似ている |
| 実際は | 好酸球の浸潤と、線維組織の沈着 |
| だから | 組織を詳しく調べる意味がある |
場所によって、症状が変わります
| できた場所 | 出やすい症状 |
|---|---|
| 胃 | 吐く。食べてすぐ、戻すことがある |
| 小腸 | 吐く、下痢、体重が減る |
| 回盲部 | 詰まりやすく、通過障害が起こる |
| 結腸 | 便が出にくくなる |
| 共通して | 食欲低下と、お腹のしこり |
どんな吐き方をするかも、伝えてほしい情報です。
確かめるには、組織を見ます
診断の進め方です。
画像で、しこりを見つけます
まず、お腹の中に何かあることを確かめます。
超音波や、断層の画像で
場所と大きさ、広がりを見ていきます。
針を刺して、細胞を採ります
診断は、撮影時の針生検、その後の組織生検により行われます。
画像で位置を確かめながら、針を刺す——
そして、細胞を採ってきます。
最終的には、組織で判断します
細胞だけでは、区別がつかないことがあります。
組織生検でまとまった塊として調べることで
ようやく診断がつきます。
手術で取ったものを、調べることもあります。
結果が出るまで、日数がかかります。
その間も、症状を抑える治療は進められます。
同じ構造の病気が、ほかにもあります
症状が似ていても、中身が違う——
そういう場面は、消化器の病気でよくあります。
だから、生検まで進む意味があるのです。
⚠ こんなときは、受診してください
お腹に、しこりが触れる。
くり返し吐いている。
食欲が落ち、体重が減ってきた。
まる一日食べていない。
しこりが腫瘍かどうかは、調べなければ分かりません。
受診のときに、伝えてほしいこと
- いつから、吐くようになったか
- 食べてから、どのくらいで吐くか
- 体重が、どのくらい減ったか
- 便のようすが、変わっていないか
- お腹に、触れるものがあるか
- これまでに受けた検査と、その結果
ほかの病院で「腫瘍」と言われていても、その内容を伝えてください。
どこまで調べたかが、次の判断を変えます。
ステロイドが、よく効きます

治療の中身です。
まず、切除を考えます
治療としては、手術や免疫抑制剤、抗生剤の投与が必要となります。
取れる場所にあるなら、まず取ります。
そして、取ったものを調べて診断を確かめます。
ステロイドが、中心になります
ステロイド治療が、最も良い成績と言われています。
炎症を抑え、好酸球の集まりを止める——
それが、この病気に対して効きます。
腫瘍だと思っていたものが小さくなっていく——
そういう経過をたどることがあります。
長く続けることになります。
免疫抑制剤や抗生剤も、使われます
ステロイドだけで足りないときには
免疫抑制剤が加えられます。
感染が関わっているときには
抗生剤が使われます。
背景にあるものを、探すこともあります
好酸球が集まる理由として、
アレルギーや寄生虫、感染が関わることがあります。
そこに心当たりがあれば、そちらへの対応も行われます。
抗生剤が使われるのは、そのためでもあります。
薬を、途中でやめないでください
調子がよくなると、やめたくなります。
けれど、炎症を抑え続けることが治療です。
減らす時期は、必ず相談して決めてください。
治療中に、見ていくこと
| 確かめること | なぜ見るのか |
|---|---|
| 吐く回数 | 減っていれば、効いている合図 |
| 食べる量 | 通り道が広がれば、食べられるようになる |
| 体重 | 増えていくことが、いちばんの目安 |
| しこりの大きさ | 画像で、小さくなっているか見る |
| 薬の副作用 | 血液検査で、体への影響を確かめる |
効いているかどうかは、数字で見るのがいちばん確かです。
見通しを分けるもの
正直にお伝えします。
反応が良ければ、良好です
切除して投薬の反応が良ければ、良好な経過を送ることができます。
取れて、効けば、うまくいく——
それが、この病気の良い側面です。
取りきれないと、難しくなります
切除しきれない部位にできていたり、薬への反応が悪い場合は、経過が悪いことが多いです。
場所によっては、取り除けません。
そこが、分かれ目になります。
取りきれなくても、薬が効けば落ち着くことがあります。
だから、まず試してみる価値はあります。
だから、早く見つけたいのです
小さいうちなら、取りやすい——
広がってからでは、難しくなります。
吐く日が増えたら、早めに調べてもらってください。
「毛玉だろう」で済ませていた時間が、後から効いてきます。
くり返しているなら、それは調べる理由になります。
家で、見ておいてほしいこと
- 吐いた日を、記録する
- 食べた量を、目安で覚えておく
- 月に一度、体重をはかる
- お腹を触って、変化がないか見る
- 便のようすが、変わっていないか
- 薬を、指示どおり続けられているか
体重の減り方が、いちばん確かな目安になります。
🩺 確かめてから、決めてください
「お腹にしこりがある」と言われても、それが腫瘍とは限りません。
この病気は、腫瘍とよく似た見た目をしながら炎症の病気です。
そして、ステロイドがよく効くと言われています。
だから、組織で確かめる意味があります。
この記事の要点
好酸球の浸潤と線維組織の沈着により、消化管内に塊状病変を生じる稀な疾患です。
最も一般的に胃または小腸を侵し、次に回盲部、その後結腸に見られます。
腫瘍病変と似ており、骨肉腫や肥満細胞腫と誤診されることがあります。
ステロイド治療が最も良い成績と言われており、切除して反応が良ければ良好な経過を送れます。
Q. どんな病気ですか?
A. 好酸球の浸潤と線維組織の沈着により、消化管内に塊状病変を生じる稀な疾患です。
Q. 腫瘍ではないのですか?
A. 腫瘍ではありません。細胞が増殖したものではなく、炎症によって硬い組織が積み重なった病変です。
Q. どこにできますか?
A. 最も一般的に胃または小腸を侵し、次に回盲部、その後結腸に見られます。
Q. どんな症状が出ますか?
A. お腹の中に大きな硬いしこりができ、食欲低下や嘔吐などを引き起こします。
Q. 腫瘍と間違われるのですか?
A. 病変が腫瘍病変とよく似ているためです。非常に硬い索状の膠原線維層は類骨に類似していて、骨肉腫と誤診されることがあります。
Q. ほかにも間違われる病気がありますか?
A. 多数の肥満細胞の存在から、硬化した肥満細胞腫と診断されることもあります。
Q. どうやって診断しますか?
A. 撮影時の針生検、その後の組織生検により行われます。
Q. 針だけでは分かりませんか?
A. 細胞だけでは区別がつかないことがあります。組織生検でまとまった塊として調べることで、診断がつきます。
Q. 治療はどうしますか?
A. 手術や免疫抑制剤、抗生剤の投与が必要となります。
Q. いちばん効く治療は?
A. ステロイド治療が、最も良い成績と言われています。
Q. 手術は必要ですか?
A. 取れる場所にあるなら、切除を考えます。取ったものを調べることで、診断を確かめることもできます。
Q. 予後はどうですか?
A. 切除して投薬の反応が良ければ、良好な経過を送ることができます。
Q. うまくいかないのは、どんな場合ですか?
A. 切除しきれない部位にできていたり、薬への反応が悪い場合は、経過が悪いことが多いとされています。
Q. 薬は、いつまで続けますか?
A. 自己判断でやめないでください。炎症を抑え続けることが治療になります。減らす時期は、相談して決めてください。
Q. 家では何を見ておけばよいですか?
A. 吐いた日、食べた量、体重です。体重の減り方が、いちばん確かな目安になります。
まとめ|しこりの中身を、確かめてください
お腹に硬いしこりがあると言われたとき、
多くの方が腫瘍を思い浮かべます。
けれどこの病気は、腫瘍そっくりの見た目をした炎症です。
好酸球が集まり、硬い組織が積み重なってできた塊——
骨肉腫や肥満細胞腫と誤診されることもあります。
そして、ステロイドがよく効きます。
切除して反応が良ければ、良好な経過を送れます。
だから、組織で確かめてください。
「しこり」だけでは、まだ何も決まっていません。
今日できる3つ
- 1吐いた日をカレンダーに記録する
- 2月に一度、体重をはかる
- 3しこりと言われているなら、組織検査の予定を確かめる
しこりが腫瘍かどうかは、調べなければ分かりません。確かめることが、そのまま治療の道を決めます。

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