

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫の慢性腸炎|三週間続く下痢は、調べる価値があります」です。ではどうぞ!
下痢が、もう三週間続いている。
吐き戻しも、くり返している。
そして、少しずつ痩せてきた——
それは、慢性腸炎かもしれません。食事を変えるだけで落ち着くものもあれば、リンパ腫とよく似ていて区別が要るものもあります。だから、段階を踏んで調べていきます。
結論
慢性腸炎(炎症性腸疾患)とは腸の粘膜に炎症が続いている状態です。症状は、慢性的な下痢、嘔吐、体重減少、食欲不振、腹痛などが挙げられます。シャム猫は、炎症性腸疾患の好発品種として報告があります。慢性的に嘔吐や下痢を起こすときには、まず第一段階でほかの病気を除外し、第二段階で食事療法を実施し、第三段階で抗菌薬療法を実施し、第四段階で内視鏡検査を実施します。内視鏡による病理組織学的検査で消化管粘膜に炎症が認められることが、診断の指標となります。炎症性腸症と小細胞性リンパ腫は、3週間以上続く下痢や吐き戻し、体重減少という類似した症状を示しながらも、片方は炎症、片方は腫瘍に分類され、治療への反応や予後が異なります。治療は、抗菌薬やステロイド、あるいは免疫抑制剤などの内服治療がメインとなり、食事の変更(低アレルギー食など)をして、食事反応性腸症か炎症性腸疾患かの判断をしていきます。
この記事でわかること
- ✓三週間以上続くなら、別の話です
- ✓段階を踏んで、調べていきます
- ✓食事だけで、落ち着くものがあります
- ✓リンパ腫と、よく似ています
- ✓内視鏡で、粘膜を確かめます
- ✓治療は、内服が中心です
- ✓膵炎や胆管炎と、一緒に起こります
- ✓家で、できること
三週間以上続くなら、別の話です

まず、どこから疑うのかから。
続くことが、特徴です
症状は、慢性的な下痢、嘔吐、体重減少、食欲不振、腹痛などです。
一度きりの下痢とは、話が違います。
3週間以上続くことがひとつの目安になります。
痩せていくことが、重い意味を持ちます
体重減少は栄養が取り込めていないという合図です。
食べているのに痩せるなら、
腸が働けていない可能性があります。
体重をはかることが、そのまま検査になります。
吐き戻しも、腸の症状です
「腸炎なのに、なぜ吐くのか」と思われるかもしれません。
けれど、慢性的な嘔吐は腸の病気でよく見られる症状です。
下痢がなくても、吐くだけのことがあります。
毛玉だと思っていたものが、この病気の症状だったということもあります。
シャム猫では、報告があります
シャム猫は、炎症性腸疾患の好発品種として報告があります。
ほかの猫でも起こりますが、傾向として知られているということです。
- 下痢が、三週間以上続いている
- 吐き戻しを、くり返している
- 体重が、じわじわ減っている
- 食べる量が、落ちてきた
- 便がゆるく、量が多い
- お腹を触ると、嫌がる
三つ以上あてはまるなら、一度きちんと調べる価値があります。
段階を踏んで、調べていきます

ここが、この病気でいちばん分かりにくいところです。
四つの段階があります
慢性的に嘔吐や下痢を起こすときには、まず第一段階でほかの病気を除外し、第二段階で食事療法を実施し、第三段階で抗菌薬療法を実施し、第四段階で内視鏡検査を実施します。
いきなり内視鏡ではありません。
まず、ほかの病気を除きます
寄生虫、感染症、腎臓や甲状腺の病気——
下痢や嘔吐を起こす病気は、たくさんあります。
それらを先に除かないと、腸の話にたどりつけません。
血液検査や便の検査から始まるのはそのためです。
次に、食事を変えてみます
第二段階で、食事療法を実施します。
それで落ち着けば、答えが出ます。
検査をせずに済むなら、そのほうがよい——
そういう順番になっています。
それから、内視鏡を考えます
食事でも抗菌薬でも落ち着かないときに
第四段階の内視鏡検査へ進みます。
麻酔が必要な検査なので、
そこまでの段階を踏む意味があります。
| 段階 | やること | 分かること |
|---|---|---|
| 第一段階 | ほかの病気の除外 | 寄生虫や内臓の病気か |
| 第二段階 | 食事療法 | 食事反応性腸症かどうか |
| 第三段階 | 抗菌薬療法 | 細菌が関わっているか |
| 第四段階 | 内視鏡検査 | 粘膜の炎症と、腫瘍との区別 |
食事だけで、落ち着くものがあります

希望のある部分です。
食事反応性腸症という状態です
食事の変更(低アレルギー食など)をして、食事反応性腸症か炎症性腸疾患かの判断をしていきます。
食事を変えただけで落ち着くなら、それは食事反応性腸症です。
薬を使わずに済むこともあります。
低アレルギー食を使います
反応しにくい形に加工されたたんぱく質や、
これまで食べたことのない材料が
使われた食事を試します。
体が反応するものを、減らしていく考え方です。
試すときは、それだけにしてください
おやつも、ほかのフードも止めてください。
少しでも混ざると、判定できません。
「これくらいなら」が、何週間かを無駄にします。
数週間、きっちり続けることが大事です。
落ち着いても、続けることがあります
| 食事療法の進み方 | 考えること |
|---|---|
| 数週間、続けてみる | 判定には、それだけの時間が要る |
| 落ち着いたら | 食事反応性腸症と考えられる |
| そのまま続ける | 元に戻すと、再発することがある |
| 変わらなければ | 次の段階へ進む理由になる |
| 途中で崩すと | 判定できず、また最初からになる |
「効かなかった」のか「試しきれなかった」のか——
その違いが、次の判断を変えます。
リンパ腫と、よく似ています

区別が必要な理由です。
症状が、そっくりなのです
炎症性腸症と小細胞性リンパ腫は、3週間以上続く下痢や吐き戻し、体重減少という類似した症状を示します。
外から見て、区別できません。
血液検査でも、はっきりしないことがあります。
けれど、まったく違う病気です
片方は炎症、片方は腫瘍に分類されます。
そして、治療への反応や予後が異なります。
リンパ腫であればそのための治療が必要になります。
だから、生検をするのです
重症度が高かったり、炎症性腸疾患やリンパ腫が疑われる場合には、内視鏡検査と粘膜生検を行い診断をしていく必要があります。
細胞の並び方を見て、初めて区別できます。
「そこまでするのか」ではなく、「そこまでしないと分からない」のです。
区別がつくと、道が決まります
炎症なら、抑える治療——
腫瘍なら、それに向けた治療——
方向がはっきりすれば、無駄な時間が減ります。
それが、検査を受ける意味です。
小細胞性リンパ腫と分かっても、落ち着いた状態を長く保てることがあります。
「腫瘍」と聞いて、そこであきらめないでください。
受診のときに、伝えてほしいこと
- 下痢や吐き戻しが、いつから続いているか
- 一日に何回くらいか
- 体重が、どのくらい減ったか
- いま何を食べているか、おやつも含めて
- これまでに試した食事と、その反応
- ほかの猫にも、同じ症状があるか
ほかの猫にも同じ症状があるなら
感染や食事の可能性が高くなります。
内視鏡で、粘膜を確かめます
どんな検査なのかです。
粘膜の炎症を、見ます
内視鏡による病理組織学的検査で消化管粘膜に炎症が認められることが、診断の指標となります。
管を入れて、腸の内側を直接見る——
そして、粘膜の一部を採ってきます。
麻酔が必要です
眠らせて行う検査です。
体が弱っていると、負担になります。
だから、状態を整えてから行うこともあります。
麻酔の心配は、遠慮なく相談してください。
胃と腸を、あわせて見ます
吐き戻しがあるなら、胃も見ておきたいところです。
口から入れば胃と小腸の入り口まで、お尻から入れば大腸まで届きます。
症状に合わせて、どちらから入れるかを決めます。
お腹を開ける方法もあります
内視鏡では届かない場所や、
深い層まで採りたいときには、
お腹を開けて採ることもあります。
どちらがよいかは、状況によります。
結果が出るまで、時間がかかります
採った組織は、外部の検査機関へ送られます。
結果が返るまで、日数がかかることがあります。
その間も、症状を抑える治療は続けられます。
待っているあいだ、何もしないわけではありません。
そこは、心配しなくて大丈夫です。
治療は、内服が中心です
どう治していくのかです。
ステロイドが、中心になります
治療法は、抗菌薬やステロイド、あるいは免疫抑制剤などの内服治療がメインになります。
炎症を抑えることが、治療の柱です。
効きが見えたら、量を調整していきます。
抗菌薬を使うこともあります
第三段階で、抗菌薬療法を実施します。
腸の細菌のバランスが崩れていることが
症状に関わっている場合があります。
免疫抑制剤を、加えることもあります
ステロイドだけで足りないときに
免疫抑制剤が使われます。
強い薬なので、定期的な血液検査をしながら使います。
食事療法は、治ってからも続きます
薬で落ち着いたあとも、食事は続けることが多いものです。
薬を減らしていくために、食事が支えになります。
元のフードに戻したくなっても、まず相談してください。
薬は、自己判断でやめないでください
調子がよくなると、やめたくなります。
けれど、急にやめると戻ります。
減らす時期は、必ず相談して決めてください。
とくにステロイドは、急にやめてはいけない薬です。
⚠ こんなときは、受診してください
下痢や吐き戻しが、三週間以上続いている。
体重が、減ってきた。
食べない日が、増えてきた。
便に血が混じる、黒い便が出る。
「そのうち治る下痢」と分けて考えてください。
似た症状を出すものと、区別します
| 考えられるもの | 見分けの手がかり |
|---|---|
| 寄生虫 | 便の検査で見つかる。若い猫に多い |
| 食事反応性腸症 | 食事を変えると、落ち着く |
| 炎症性腸疾患 | 生検で、粘膜の炎症が確認される |
| 小細胞性リンパ腫 | 症状は似るが、腫瘍に分類される |
| 甲状腺や腎臓の病気 | 血液検査で、除外していく |
「ただの下痢」で片づけられないのは
この幅があるからです。
膵炎や胆管炎と、一緒に起こります
猫では、ここまで含めて考えます。
三臓器炎の一角です
猫では、腸炎、膵炎、胆管炎が同時に起こることが少なくありません。
だから、腸だけを調べても全体が見えないことがあります。
だから、検査が広がります
「下痢なのに、膵臓の検査もするのか」——
猫では、それが標準的な進め方です。
見落とせば、治りきりません。
食べない日が続けば、肝臓も危なくなります
食欲不振が続くと、肝リピドーシスが重なります。
腸の病気なのに、肝臓が危なくなる——
それが、猫の難しいところです。
だから、食べさせることも治療の一部になります。
家で、できること
長くつきあう病気です。
便を、記録してください
回数、かたさ、色——
写真に撮っておくと、比べられます。
よくなっているのかどうかが、記録でしか分からないことがあります。
体重を、月に一度はかってください
体重は、治療がうまくいっているかの目安です。
症状が減っても、痩せ続けているなら足りていません。
数字で見ることが、いちばん確かです。
百グラム単位で分かる台ばかりがあると、変化をつかみやすくなります。
こんなことを、伝えてください
- 下痢の回数と、かたさの変化
- 吐き戻しの回数
- 体重の推移
- 食事を変えてから、何日たったか
- おやつを含めて、ほかに与えていないか
- 薬を飲めているかどうか
食事を変えた日付はとくに大事な情報です。
🩺 順番に、意味があります
「なぜ、すぐ内視鏡をしないのか」——
それは、段階を踏むことに意味があるからです。
食事だけで落ち着く猫もいます。
けれど、リンパ腫との区別が要る場面では生検まで進む必要があります。
この記事の要点
慢性的な下痢、嘔吐、体重減少、食欲不振、腹痛などが症状です。
ほかの病気の除外、食事療法、抗菌薬療法、内視鏡検査の順に進めていきます。
炎症性腸症と小細胞性リンパ腫は症状が似ていますが、治療への反応や予後が異なります。
治療は抗菌薬やステロイド、免疫抑制剤などの内服治療がメインになります。
Q. どんな症状が出ますか?
A. 慢性的な下痢、嘔吐、体重減少、食欲不振、腹痛などが挙げられます。
Q. どのくらい続いたら受診すべきですか?
A. 3週間以上続く下痢や吐き戻しは、調べる目安とされています。体重が減っているなら、それより早くてもかまいません。
Q. なぜ、すぐ内視鏡をしないのですか?
A. 段階を踏むためです。まずほかの病気を除外し、食事療法、抗菌薬療法と進み、それでも落ち着かないときに内視鏡検査を行います。
Q. 食事を変えるだけで治りますか?
A. 落ち着くタイプがあります。食事の変更で改善するものは、食事反応性腸症と判断されます。
Q. 食事療法中、おやつはよいですか?
A. 止めてください。少しでも混ざると、反応するかどうかを判定できません。
Q. リンパ腫と、どう違うのですか?
A. 片方は炎症、片方は腫瘍に分類されます。症状は似ていますが、治療への反応や予後が異なります。
Q. 見た目で区別できますか?
A. できません。3週間以上続く下痢や吐き戻し、体重減少という類似した症状を示します。
Q. どうやって区別しますか?
A. 内視鏡検査と粘膜生検を行います。細胞の状態を調べて、初めて区別できます。
Q. 内視鏡には麻酔が必要ですか?
A. 必要です。体が弱っている場合は、状態を整えてから行うこともあります。
Q. 治療はどうしますか?
A. 抗菌薬やステロイド、あるいは免疫抑制剤などの内服治療がメインになります。
Q. ステロイドは、やめてもよいですか?
A. 自己判断でやめないでください。急にやめると症状が戻ります。減らす時期は相談して決めてください。
Q. シャム猫は、なりやすいのですか?
A. 炎症性腸疾患の好発品種として報告があります。ほかの猫でも起こります。
Q. 膵炎も一緒に起こりますか?
A. 起こることがあります。猫では腸炎、膵炎、胆管炎が同時に起こる三臓器炎が知られています。
Q. 食べないのですが、大丈夫ですか?
A. 大丈夫ではありません。食欲不振が続くと肝リピドーシスが重なります。まる一日食べていないなら、受診してください。
Q. 家では何を見ておけばよいですか?
A. 便の回数とかたさ、吐き戻しの回数、体重です。食事を変えた日付も、必ず記録しておいてください。
まとめ|順番に絞っていく病気です
三週間以上続く下痢や吐き戻し——
そして、じわじわ減っていく体重——
それが、この病気の姿です。
診断は、段階を踏んで進みます。
ほかの病気を除き、食事を変え、抗菌薬を試し、それから内視鏡へ——
食事だけで落ち着く猫もいます。
けれど小細胞性リンパ腫とは、症状で区別できません。
片方は炎症、片方は腫瘍——
だから、生検まで進む意味があります。
今日できる3つ
- 1便の写真を撮って、かたさの変化を残す
- 2月に一度、体重をはかって記録する
- 3食事を変えたなら、その日付を書き留める
この病気は、記録が診断を助けます。「いつから、どう変わったか」が最大の手がかりです。

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