

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫の上皮小体機能低下症|甲状腺の手術のあとに起こります」です。ではどうぞ!
甲状腺の手術を受けたあと、けいれんが起きた——
それが、この病気の典型的な始まり方です。
血のカルシウムを保つホルモンが、足りなくなっています。
そして、治療は生涯にわたって続きます。
結論
上皮小体(副甲状腺)は、血中のカルシウム濃度を高める働きのあるパラソルモンを分泌している臓器です。上皮小体機能低下症とは、そのホルモンの分泌が低下することで低カルシウム血症に陥る病気です。猫での発症はまれですが、雄猫に多いといわれています。原因としては、先天的に上皮小体の機能が低下している場合や、頸部に外傷や腫瘍がある場合、また医原性で起こることがあります。医原性とは、甲状腺機能亢進症の治療のために外科的に甲状腺切除術を行う際に、上皮小体が傷つけられるといったものです。猫で起こる上皮小体機能低下症の多くは、甲状腺切除術に伴うものです。症状としては、神経過敏、全身性発作、テタニー(筋肉の持続的な硬直やけいれん)、顔面のけいれん、運動失調、後肢麻痺などの低カルシウム血症で見られる神経症状が現れます。ほかにも、食欲低下、活動性の低下、流涎、痙攣発作、昏睡、振戦、歩き方の異常、白内障などの症状が見られます。治療では、カルシウムの補充とビタミンDの投与により、血中のカルシウム濃度を保つことが中心になります。そして猫の場合、ビタミンD製剤は生涯投与が必要です。
この記事でわかること
- ✓カルシウムを、保つ臓器です
- ✓多くは、手術に伴って起こります
- ✓けいれんや、硬直が起こります
- ✓血のカルシウムを、測ります
- ✓急性期は、点滴で補います
- ✓カルシウムとビタミンDを使います
- ✓生涯にわたって、続きます
- ✓手術を受けるなら、知っておいてください
カルシウムを、保つ臓器です

まず、上皮小体とは何かから。
甲状腺の、すぐそばにあります
上皮小体は、副甲状腺とも呼ばれる小さな臓器です。
首にある甲状腺の、すぐそばにあります。
その近さが、この病気に関わってきます。
パラソルモンを、出しています
上皮小体は、血中のカルシウム濃度を高める働きのあるパラソルモンを分泌している臓器です。
血の中のカルシウムを、一定に保つための仕組みです。
カルシウムは、神経と筋肉に要ります
カルシウムは、骨を作るだけのものではありません。
神経が信号を伝え、筋肉が動くために欠かせないものです。
だから、足りなくなると神経の症状が出ます。
骨に蓄えられているだけでなく、血の中にも一定の量が保たれています。
その調節を担っているのが、上皮小体です。
足りなくなると、低カルシウム血症です
上皮小体ホルモンの分泌が低下することで、低カルシウム血症に陥ります。
それが、上皮小体機能低下症です。
症状は、その低カルシウム血症から来ています。
多くは、手術に伴って起こります

原因の話です。
甲状腺の手術が、きっかけになります
猫で起こる上皮小体機能低下症の多くは、甲状腺切除術に伴うものです。
甲状腺機能亢進症の治療のために外科的に甲状腺切除術を行う際、上皮小体が傷つけられることがあります。
これを、医原性といいます。
そばにあるから、避けにくいのです
上皮小体は、甲状腺のすぐそばにあります。
あるいは、甲状腺に埋もれていることもあります。
だから、手術のときにそのまま影響を受けてしまいます。
ほかの原因も、あります
先天的に上皮小体の機能が低下している場合や
頸部に外傷や腫瘍がある場合にも
起こることがあります。
ただし、猫では手術に伴うものが多いのです。
雄猫に、多いといわれます
猫での発症はまれですが、雄猫に多いといわれています。
まれな病気なので、疑われにくい面もあります。
けれど、手術という手がかりがあります。
そこを伝えられれば、話は早く進みます。
けいれんや、硬直が起こります

気づけるサインです。
神経の症状が、中心です
神経過敏、全身性発作、テタニー(筋肉の持続的な硬直やけいれん)、顔面のけいれん、運動失調、後肢麻痺などの低カルシウム血症で見られる神経症状が現れます。
どれも、カルシウムが足りないことから来ています。
テタニーという、硬直があります
テタニーとは、筋肉の持続的な硬直やけいれんです。
体がこわばって、動けなくなります。
顔面のけいれんが、見られることもあります。
歩き方にも、出ます
運動失調や、後肢麻痺が起こります。
ふらついたり、後ろ足が動かなくなったり——
歩き方の異常として、気づかれることがあります。
ほかにも、いろいろな症状が出ます
食欲低下、活動性の低下、流涎、痙攣発作、昏睡、振戦、歩き方の異常、白内障などの症状が見られます。
よだれが出る、体が震える——
そうした変化も、見逃さないでください。
- けいれんを、起こした
- 体がこわばって、動けなくなる
- 顔が、ぴくぴく動いている
- ふらついて、まっすぐ歩けない
- 後ろ足が、動かなくなった
- よだれが増え、体が震えている
甲状腺の手術のあとにこれらが出たら、すぐに連絡してください。
⚠ すぐに連絡してください
甲状腺の手術を受けた猫が、けいれんした。
体がこわばって、動けなくなっている。
ふらつき、後ろ足が動かない。
顔がぴくぴくと動いている。
低カルシウム血症は、急いで補正が必要です。
血のカルシウムを、測ります
診断の進め方です。
血液検査で、確かめます
血中のカルシウム濃度を測ります。
低カルシウム血症があるかどうかが、出発点です。
その値が、そのまま症状の説明になります。
手術の履歴が、手がかりになります
甲状腺切除術を受けたことがあるなら、必ず伝えてください。
猫での多くは、それに伴って起こるからです。
いつ手術したかも、大事な情報です。
ホルモンの値も、調べます
パラソルモンの値を測ることで、上皮小体の働きを確かめます。
カルシウムが低いのにホルモンが出ていないなら、この病気が疑われます。
ほかの原因とも、区別します
けいれんの原因は、ほかにもあります。
脳の病気や、中毒でも起こります。
クッシング症候群のように、
ほかのホルモンの病気とも重なることがあります。
| 調べること | 分かること |
|---|---|
| 血中カルシウム濃度 | 低カルシウム血症があるかどうか |
| パラソルモンの値 | 上皮小体が、働いているかどうか |
| 手術の履歴 | 甲状腺切除術を受けたことがあるか |
| 神経の診察 | けいれんや麻痺の出方 |
| ほかの検査 | けいれんを起こす、別の原因がないか |
急性期は、点滴で補います

まず行われることです。
静脈から、カルシウムを入れます
急性期の治療では、カルシウム製剤の静脈内投与を行います。
けいれんが起きているなら、急いで補う必要があるからです。
心電図を、見ながら行います
急速な投与は、不整脈の原因となります。
そのため、必ず心電図でモニタリングしながら投与します。
入院が必要になることが多いものです。
急いで入れればよい、というものではありません。
速さそのものが、危険になるからです。
落ち着いたら、飲み薬に移ります
症状が治まったら、内服での管理に切り替えます。
そこから、長い治療が始まります。
ここが、この病気の本番です。
こまめな検査が、続きます
治療に反応がないときや、血中のカルシウム濃度が上がりすぎるときがあります。
適切な薬の量を決めるため、安定するまではこまめに検査が行われます。
カルシウムとビタミンDを使います
治療の中身です。
二つを、組み合わせます
カルシウムの補充とビタミンDの投与により、血中のカルシウム濃度を保つことが主な治療です。
どちらか一方では、うまくいきません。
カルシウムだけでは、足りません
カルシウム製剤のみの単独投与では、腸管からの吸収が不十分です。
だから、ビタミンDの投与も同時に行います。
ビタミンDが、吸収を助けているのです。
量は、検査で決めていきます
血中カルシウム濃度を見ながら、投与量を調節していきます。
多すぎても、少なすぎても困ります。
だから、定期的な測定が欠かせません。
上がりすぎることも、あります
治療に反応がないときだけでなく、血中カルシウム濃度が過剰に上がることもあります。
そうなると、今度は別の問題が起こります。
だからこそ、測りながら調整していきます。
自己判断で、やめないでください
症状が落ち着いても、薬をやめてはいけません。
やめれば、また低カルシウム血症に戻ります。
量を変えるのも、必ず相談してからです。
| 治療の要素 | 内容 |
|---|---|
| 急性期 | カルシウム製剤の静脈内投与 |
| そのとき注意すること | 急速な投与は不整脈の原因になる |
| だから | 心電図でモニタリングしながら行う |
| 維持治療 | カルシウムの補充と、ビタミンDの投与 |
| 猫では | ビタミンD製剤は、生涯投与が必要 |
生涯にわたって、続きます
この病気の、いちばん大事な点です。
猫では、一生の投薬になります
猫の場合、ビタミンD製剤は生涯投与が必要です。
「治って終わり」ではありません。
そこを、最初に知っておいてください。
定期的な検査も、続きます
血中カルシウム濃度を、定期的に測っていく必要があります。
体の状態は、変わっていくからです。
薬の量も、そのつど見直されます。
それでも、管理はできます
投薬を続けられれば、落ち着いて暮らせるようになります。
けいれんを起こさない状態を保つことが、目標です。
長いつき合いになりますが、道はあります。
薬を飲ませる工夫も、相談してください
毎日となると、飲ませ方が問題になります。
錠剤が苦手なら、ほかの形がないか尋ねてみてください。
続けられる形にすることが、そのまま治療の質になります。
家で、続けてほしいこと
- 薬を、指示どおりに毎日与える
- 飲ませ忘れた日を、記録しておく
- けいれんや震えがないか、見ておく
- 歩き方に、変化がないか見る
- 食欲と元気を、確かめる
- 指示された日に、必ず検査を受ける
飲ませられなかった日があるなら、隠さず伝えてください。
手術を受けるなら、知っておいてください
これから手術を控えている方へです。
甲状腺の手術には、この危険があります
甲状腺機能亢進症の治療として甲状腺切除術を受けるなら、この病気が起こりうると知っておいてください。
猫での多くは、それに伴って起こるからです。
温存するのが、理想です
予防するには、できるだけ上皮小体を温存して手術を行うことです。
傷つけずに残せれば、ホルモンは出続けます。
けれど、現実には難しいのです
上皮小体が甲状腺に埋もれている場合には、識別することすら難しく、現実的には難しくなります。
手術する側も、避けたくて避けられない場面があるのです。
だから、手術のあとを見ていてください
術後にけいれんや震えが出ていないか——
そこを、家で見ていてください。
早く気づけば、早く補正できます。
気になったら、遠慮せず連絡してください。
術後に、見ておいてほしいこと
- けいれんや、震えが出ていないか
- 体がこわばって、動けなくなっていないか
- 顔が、ぴくぴく動いていないか
- ふらつかずに、歩けているか
- よだれが、増えていないか
- ごはんを、食べられているか
術後しばらくは、毎日見ておいてください。
| 場面 | 知っておくこと |
|---|---|
| 手術の前 | この病気が起こりうると聞いておく |
| 手術のとき | できるだけ上皮小体を温存するのが理想 |
| ただし | 甲状腺に埋もれていれば、識別も難しい |
| 手術のあと | けいれんや震えが出ないか、家で見る |
| 出たら | すぐに連絡する。急いで補正が必要 |
🩺 手術の履歴を、教えてください
「甲状腺の手術を受けましたか」——
けいれんで来られたとき、必ず尋ねます。
猫で起こる上皮小体機能低下症の多くは、甲状腺切除術に伴うものだからです。
手術の時期も、教えてください。
この記事の要点
上皮小体は、血中のカルシウム濃度を高めるパラソルモンを分泌する臓器です。
猫で起こるこの病気の多くは、甲状腺切除術に伴うものです。
けいれんやテタニー、歩き方の異常などの神経症状が現れます。
猫では、ビタミンD製剤は生涯投与が必要になります。
Q. 上皮小体とは、何ですか?
A. 副甲状腺とも呼ばれる、首にある小さな臓器です。血中のカルシウム濃度を高めるパラソルモンを分泌しています。
Q. 上皮小体機能低下症とは、どんな病気ですか?
A. そのホルモンの分泌が低下することで、低カルシウム血症に陥る病気です。
Q. 猫では、よくある病気ですか?
A. 猫での発症は、まれです。ただし、雄猫に多いといわれています。
Q. 何が原因で起こりますか?
A. 猫で起こるものの多くは、甲状腺切除術に伴うものです。
Q. なぜ手術で起こるのですか?
A. 甲状腺のすぐそばにあるため、切除の際に上皮小体が傷つけられることがあります。
Q. ほかの原因もありますか?
A. 先天的なものや、頸部の外傷や腫瘍でも起こります。
Q. どんな症状が出ますか?
A. 神経過敏、全身性発作、テタニー、顔面のけいれん、運動失調、後肢麻痺などの神経症状が現れます。
Q. テタニーとは何ですか?
A. 筋肉の、持続的な硬直やけいれんのことです。
Q. ほかにも症状はありますか?
A. 食欲低下、活動性の低下、流涎、痙攣発作、昏睡、振戦、歩き方の異常、白内障などが見られます。
Q. どうやって診断しますか?
A. 血中カルシウム濃度を測り、パラソルモンの値も調べます。
Q. 急性期は、どう治療しますか?
A. カルシウム製剤の静脈内投与を行います。急速な投与は不整脈の原因となるため、心電図でモニタリングしながら行います。
Q. その後の治療はどうしますか?
A. カルシウムの補充とビタミンDの投与で、血中カルシウム濃度を保ちます。
Q. カルシウムだけでは、いけませんか?
A. カルシウム製剤のみでは、腸管からの吸収が不十分です。だから、ビタミンDも同時に投与します。
Q. 薬は、いつまで続けますか?
A. 猫の場合、ビタミンD製剤は生涯投与が必要です。
Q. 手術で、予防できますか?
A. できるだけ上皮小体を温存することが理想です。ただし甲状腺に埋もれている場合は識別が難しく、現実的には難しくなります。
まとめ|手術のあとの、けいれんに気づいてください
この病気は、猫ではまれです。
けれど、甲状腺の手術を受けた猫では起こりうる病気です。
けいれん、体のこわばり、ふらつき——
術後にそうした変化が出たら、すぐに連絡してください。
低カルシウム血症は、急いで補正が必要な状態です。
そして、落ち着いたあとも治療は続きます。
猫では、ビタミンD製剤は生涯投与が必要です。
長いつき合いになりますが、続けられれば落ち着いて暮らせます。
毎日の一粒が、そのまま治療になります。
今日できる3つ
- 1甲状腺の手術歴があるなら、いつ受けたかを控えておく
- 2けいれんや震え、歩き方の変化がないか見ておく
- 3薬を飲ませられなかった日は、記録して次の受診で伝える
この病気は、続けることが治療そのものです。迷ったら、自己判断せず相談してください。

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