ネコの病気    猫の特発性前庭障害|突然ふらついても、多くは治ります

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猫の特発性前庭障害|突然ふらついても、多くは治ります
特発性前庭障害
モフ@ペット好き

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫の特発性前庭障害|突然ふらついても、多くは治ります」です。ではどうぞ!

昨日まで、ふつうに歩いていたのに。

今朝は頭が傾き、まっすぐ歩けず、倒れてしまう。

目が小刻みに揺れて、吐いている。

この様子を見れば、脳卒中を起こしたのではないかと思われるはずです。けれど特発性前庭障害なら、2〜3週間で完治することが多いのです。

結論

特発性前庭障害はバランスを保つはたらきを担う前庭系に障害が起こる病気で、猫では突然発症し、通常、症状はそれほど進みません。吐き気やむかつき、嘔吐がよくみられ、頭を傾ける斜頸、眼球が小刻みに揺れる眼振、横転などが現れることもあります。猫の特発性前庭障害は2〜3日で自然に症状がゆるやかになり、2〜3週間で完治することが多いといわれています。前庭疾患には内耳や前庭神経といった耳の構造に異常がある末梢性と、脳幹など中枢神経に異常がある中枢性があり、末梢性は比較的回復が早いとされる一方、中枢性では脳腫瘍や脳炎など重大な疾患が隠れていることもあり、精密な診断が必要です。末梢前庭障害に特有の神経症状などを示し、耳や他の脳神経の異常等がみられなければ、補助的な治療を行い回復を待ちます。

この記事でわかること

  • ある日突然、歩けなくなります
  • 前庭とは、どこのことか
  • けれど、二、三日で和らぎ始めます
  • 「特発性」と言うには、除外が要ります
  • 中枢性を疑うサイン
  • 治療は、支えることです
  • 転ばせない工夫
  • 食べさせること、飲ませること

ある日突然、歩けなくなります

どんな症状か
突然、始まります。

この病気は前触れなく始まります。

頭が傾き、目が揺れます

頭を傾ける斜頸、眼球が小刻みに揺れる眼振、横転などが現れることもあります。

斜頸いつも同じ側に、頭が傾いた状態です。

眼振目が勝手に、小刻みに動いている状態です。

この二つがそろっていたら、前庭のトラブルを考えます。

吐いてしまいます

吐き気やむかつき、嘔吐がよくみられます。

激しい乗り物酔いのような状態だと考えてください。

世界がぐるぐる回っているのですから、気持ち悪くて当然です。

食欲が落ちるのも、そのためです。

けれど、意識ははっきりしています

ここが、大事なところです。

猫の意識は、はっきりしています。

呼べば反応しますし、こちらを見ます。

動けないだけで、分かっている——そう考えてください。

前庭とは、どこのことか

前庭という言葉を聞き慣れない方も多いと思います。

バランスを感じる、装置です

耳の奥、内耳の中体の傾きや動きを感じ取る装置があります。

これが前庭です。

そこからの情報が脳に届いて、はじめて体はまっすぐ立っていられます。

狂うと、世界が傾きます

前庭からの信号が狂うと、脳は体が傾いていると思い込みます。

だから、それを打ち消そうとして頭を傾けます。

だから、まっすぐ歩けなくなります。

目が揺れるのも、脳が体の傾きに合わせようとしているからです。

けれど、二、三日で和らぎ始めます

回復の経過
思っているより、早く戻ります。

ここが、この記事でいちばん伝えたいことです。

見た目と、見通しが違います

猫の特発性前庭障害は2〜3日で自然に症状がゆるやかになり、2〜3週間で完治することが多いといわれています。

数日で、峠を越えます。

そして一か月かからずに、戻ることが多いのです。

進むことは、あまりありません

突然発症しますが、通常、症状はそれほど進みません。

最初がいちばん重く、そこから軽くなっていく——それがこの病気の経過です。

もし、日ごとに悪くなっていくなら、別の病気を考えることになります。

戻る順番があります

すべてが同時に戻るわけではありません。

まず、吐き気が引いてきます。

次に、目の揺れが収まってきます。

そしてふらつきが減り、最後に頭の傾きが戻っていきます。

頭の傾きは、いちばん最後まで残るものです。

軽い傾きが、残ることもあります

完全に元どおりにならない猫もいます。

軽い頭の傾きだけが残る——そういうことがあります。

けれどそれで生活に支障が出ることは、ほとんどありません。

猫は、その状態にすっかり慣れていきます。

高齢の猫に、多く見られます

この病気は年齢を問わず起こります。

けれど高齢の猫で見つかることが多いものです。

だから、飼い主さんは「歳だから、もうだめかもしれない」と考えてしまいます。

けれど、この病気は年齢にかかわらず戻ります。

あきらめる前に、診てもらってください。

「特発性」と言うには、除外が要ります

特発性とは原因が分からないものという意味です。

同じ症状を出す病気が、ほかにもあります

頭が傾く、ふらつくという症状は、この病気だけのものではありません。

「特発性」は、消去法でたどりつく診断です
考えられるもの 手がかりになること
中耳炎・内耳炎 耳の病気の経過がある。耳垢やにおい
耳の腫瘍 片側だけ、治らない外耳炎が続いていた
脳の病気 意識やほかの症状にも、異常が出る
中毒 薬や、口にしたものの心当たりがある
特発性 ほかが除外されて、はじめてこう呼べる

だから、耳を調べます

末梢前庭障害に特有の神経症状などを示し、耳や他の脳神経の異常等がみられなければ、補助的な治療を行い回復を待ちます。

まず、耳の中を診てもらいます。

そして、ほかの神経に異常がないかを確かめます。

そこで何もなければ、待つという方針になります。

伝えてほしいこと

  • いつから、どのくらい急に始まったか
  • 耳の病気で治療したことがあるか
  • 頭を振る、耳をかく様子がなかったか
  • 薬や、変わったものを口にしていないか
  • けがをしそうな出来事がなかったか
  • ほかに、変わった様子がないか

急に始まったこと自体が、この病気らしさの手がかりになります。

中枢性を疑うサイン

末梢性と中枢性
どちらかで、話が変わります。

ここは、知っておいてほしいところです。

耳の問題か、脳の問題か

末梢性前庭疾患は内耳や前庭神経といった耳の構造に異常があるタイプで、比較的回復が早いとされています。

いっぽう中枢性前庭疾患は脳幹など中枢神経に異常があるタイプで、脳腫瘍や脳炎など重大な疾患が隠れていることもあり、精密な診断が必要です。

同じ「ふらつく」でも、意味がまったく違います。

こんなときは、脳を考えます

中枢性を疑う手がかりがあります。

  • 意識がぼんやりしている、反応が鈍い
  • けいれんを起こしたことがある
  • ものにぶつかる、見えていないようだ
  • 顔の左右差など、ほかの神経の症状がある
  • 足の力が入らない、立てない
  • 日ごとに、悪くなっていく

これらがあれば、精密な検査を勧められます。

その勧めには、乗ってください。

受診のときに、確かめてもらえます

末梢性か中枢性かは、神経学的検査である程度は絞れます。

足の位置を確かめる検査、目の動きを見る検査——

器具を使わずにできることも多いものです。

「末梢性でしょう」と言われたら、それは安心してよい返事です。

見分けの手がかりを、まとめておきます

家からも、意識と経過は見ることができます
見るところ 末梢性らしい 中枢性を疑う
意識 はっきりしている ぼんやりしている
目の揺れ方 横向き、または回るように 上下に揺れることがある
足の力 力自体は、入っている 力が入らない、立てない
ほかの症状 顔面神経やホルネルを伴うことも けいれん、視覚の異常など
経過 数日で、和らいでくる 日ごとに、悪くなっていく

「呼ぶと反応するか」——

これが、いちばん見やすい手がかりです。

治療は、支えることです

この病気を治す薬は、ありません。

補助的な治療を行います

耳や他の脳神経の異常等がみられなければ、補助的な治療を行い回復を待ちます。

吐き気止めが使われることがあります。

食べられない、飲めない場合は点滴で支えます。

症状をやわらげながら、体が戻るのを待つ——そういう治療です。

待つことが、正しい対応になります

「何もしてくれない」と感じるかもしれません。

けれどこの病気では、待つことが正解です。

そして、そのあいだの環境づくりがいちばん大きな助けになります。

転ばせない工夫

介護のこと
転ばせない、食べさせる。

回復を待つあいだ、けがをさせないことが大事です。

床と、高さに気をつけてください

滑る床では、立ち上がれません。

マットやカーペットを敷いてあげてください。

そして高いところに登らせないでください。

落ちれば、けがをします。

回復するまでの数週間だけの工夫です
場所 整えること
滑り止めのマットを敷く
階段 柵を置いて、通れなくする
キャットタワー 登れないようにしておく
家具の角 ぶつかっても痛くないよう、覆う
狭い場所 入り込んで出られなくならないよう塞ぐ

排泄も、助けが要ることがあります

トイレまで歩けないことがあります。

寝ている場所のすぐそばに、移してあげてください。

ふちの低いトイレのほうが、またぎやすくなります。

間に合わずに汚してしまっても、叱らないでください。

体が動かないだけで、猫は分かっています。

粗相を叱られた記憶は、あとまで残ります。

治ってからの暮らしのためにも、ここは黙って片づけてあげてください。

そっと、支えてあげてください

急に抱き上げると、余計に気持ち悪くなります。

声をかけてから、体をしっかり支えて持ち上げてください。

動かすときは、ゆっくりです。

寝ているときは、そっとしておいてあげてください。

暗く静かな場所のほうが、落ち着けることが多いものです。

明るく動きの多い場所は、余計に気持ち悪くさせます。

食べさせること、飲ませること

吐き気があると、食べません。

食器を、そばに置いてください

自分で歩いて行けません。

寝ている場所のそばに、食事と水を置いてください。

浅い皿のほうが、顔を突っ込みやすくなります。

トイレも、近くに移してあげてください。

においの強いものが、食べやすいことがあります

ウェットフードを、少し温めるとにおいが立ちます。

食欲が動くきっかけになることがあります。

一度に多くではなく、少しずつ何度も出してあげてください。

記録しておいてほしいこと

待つあいだも、数字を残しておいてください。

  • 食べた量と、回数
  • 水を飲んだかどうか
  • 尿と便が出ているか
  • 体重(数日おきでよい)
  • 頭の傾きが、変わってきたか
  • 吐いた回数

よくなっているのか、そうでないのか——

毎日見ていると分からなくなるので、記録が判断を助けます。

食べない日が続くなら、相談してください

猫は、食べない期間が続くと肝臓を傷めます。

二日以上、ほとんど食べていないなら、そのことを伝えてください。

点滴や、食べさせる方法を相談できます。

⚠ こんなときは、待たないでください

意識がぼんやりしている。

けいれんを起こした。

日ごとに、悪くなっている。

二日以上、まったく食べていない。

これらは、特発性前庭障害の経過ではありません。

🩺 慌てないために

この病気は、見た目の重さと見通しがいちばんかけ離れている病気のひとつです。

倒れて動けない猫を見れば、覚悟してしまいます。

けれど多くは2〜3週間で完治します。

まず、診てもらってください。

この記事の要点

突然発症しますが、通常、症状はそれほど進みません。

2〜3日で自然にゆるやかになり、2〜3週間で完治することが多いとされています。

末梢性は回復が早く、中枢性では脳腫瘍や脳炎など重大な疾患が隠れていることもあります。

耳や他の脳神経に異常がなければ、補助的な治療を行いながら回復を待ちます。

Q. 特発性前庭障害とは、どんな病気ですか?

A. バランスを保つ前庭系に障害が起こる病気です。猫では突然発症し、通常、症状はそれほど進みません。

Q. どんな症状が出ますか?

A. 吐き気やむかつき、嘔吐がよくみられます。頭を傾ける斜頸、眼球が小刻みに揺れる眼振、横転などが現れることもあります。

Q. 脳卒中ではありませんか?

A. 見た目は似ていますが、別のものです。意識がはっきりしているかどうかが、大きな手がかりになります。まず診てもらってください。

Q. 治りますか?

A. 2〜3日で自然に症状がゆるやかになり、2〜3週間で完治することが多いといわれています。

Q. 原因は何ですか?

A. 特発性という名のとおり、原因が分からないものです。中耳炎や腫瘍、脳の病気などを除外したうえで、この診断になります。

Q. なぜ耳を調べるのですか?

A. 前庭は、耳の奥にあるためです。中耳炎や内耳炎でも同じ症状が出るため、まず耳の状態を確かめることになります。

Q. 末梢性と中枢性は、何が違いますか?

A. 末梢性は内耳や前庭神経の異常で、比較的回復が早いとされています。中枢性は脳幹など中枢神経の異常で、脳腫瘍や脳炎が隠れていることもあります。

Q. 中枢性かどうか、どう分かりますか?

A. 意識やほかの神経の症状で見分けます。ぼんやりしている、けいれんした、ほかの神経の症状があるといった場合は、精密な診断が必要になります。

Q. 治療はありますか?

A. この病気を治す薬はありません。吐き気止めや点滴などの補助的な治療を行い、回復を待ちます。

Q. 何もしてもらえないのですか?

A. 待つことが、この病気では正しい対応です。そのあいだの環境づくりが、いちばん大きな助けになります。

Q. 家で何をすればよいですか?

A. 転ばせないこと、食べさせることです。滑り止めを敷き、高いところに登らせず、食事と水とトイレをそばに置いてください。

Q. 吐いてばかりで、食べません

A. ウェットフードを少し温めると、においが立ちます。少しずつ何度も出してみてください。二日以上ほとんど食べていないなら、相談してください。

Q. 頭の傾きが残りました

A. 軽い傾きだけが残る猫もいます。それで生活に支障が出ることはほとんどなく、猫はその状態に慣れていきます。

Q. 再発しますか?

A. くり返す猫もいます。そのときも、同じように経過を見ることになります。ただし回数が増えるなら、あらためて調べてもらってください。

Q. 悪くなっていくのですが

A. この病気の経過ではありません。通常、症状はそれほど進みません。日ごとに悪くなるなら、別の病気を考えて調べてもらってください。

Q. 高齢なので、心配です

A. 高齢の猫で見つかることが多い病気です。けれど年齢にかかわらず戻ります。「歳だから」とあきらめる前に、診てもらってください。

まとめ|まず診てもらい、そして待ってください

突然ふらついて倒れた猫を見れば、誰でも最悪のことを考えます。

けれど特発性前庭障害なら、2〜3日で症状がゆるやかになり、2〜3週間で完治することが多いのです。

見た目の重さと、見通しがこれほど違う病気もめずらしいものです。

ただし、「特発性」と言えるのは、ほかを除外できたときだけです。

中耳炎かもしれません。脳の病気かもしれません。

だから、まず診てもらってください。

そして「末梢性でしょう」と言われたら、そこからは待つ時間です。

転ばせない床をつくり、そばに食事と水を置く。薬より、それが効きます。

今日できる3つ

  • 1意識がはっきりしているか、呼んで確かめる
  • 2床に滑り止めを敷き、高い場所へ行けないようにする
  • 3食事・水・トイレを、寝ている場所のそばに移す

見た目は衝撃的でも、多くは治る病気です。まず診てもらい、そして支えてあげてください。

モフ@ペット好き

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