

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫の中耳炎|頭が傾いていたら、耳を疑ってください」です。ではどうぞ!
頭が、いつも同じ側に傾いている。
まっすぐ歩けず、ふらついている。
そんなとき、脳の病気を心配される方が多いと思います。
けれど、耳の奥が原因のことがあります。鼓膜の向こう側で起きた炎症が、すぐそばを通る神経に影響しているのです。
結論
中耳炎は鼓膜の奥にある中耳(鼓室)に炎症が起こる病気です。起こり方は三つあり、外耳炎から炎症が広がる場合、鼻やのどの炎症が耳管を通って中耳へ及ぶ場合、若い猫では鼻咽頭ポリープに伴って起こる場合があります。炎症が内耳、内耳神経、顔面神経、交感神経など近くの構造に影響すると、斜頸(頭が傾く)、運動失調、旋回、眼振、顔面神経麻痺、ホルネル症候群といった神経症状が現れることがあります。診断ではCT検査により、中耳の液体貯留、鼓室胞壁の肥厚や膨大、骨の破壊、ポリープや腫瘤の有無を明瞭に確認でき、診断と治療計画に役立ちます。治療は原因と重症度によりますが、細菌感染が疑われる場合は抗生物質を使用します。ただし中耳に液体や炎症性の物質が残っていると改善までに数週間から数か月かかることがあり、再発を防ぐために治療を早期に中断すべきではありません。
この記事でわかること
- ✓鼓膜の向こう側で起きています
- ✓神経の症状が、出ます
- ✓入り口は、三つあります
- ✓外耳炎から進むこともあります
- ✓若い猫では、ポリープを考えます
- ✓見つけ方は、画像検査です
- ✓治療は、長くなります
- ✓早く止めることに、意味があります
鼓膜の向こう側で起きています

耳は、外側から順に外耳・中耳・内耳と分かれています。
中耳は、鼓膜の奥にある空間です。そこに炎症が起こるのが、この病気です。
外からは、見えません
外耳炎なら、耳鏡で直接見ることができます。
けれど中耳は、鼓膜の向こう側にあります。
耳の中がきれいでも、その奥で炎症が起きている——そういうことが起こりえます。
だから、この病気は見た目では分かりません。気づかれるのは、たいてい症状が出てからです。
すぐそばを、神経が通っています
中耳のまわりには、大事な神経がいくつも通っています。
顔の動きを司る神経、目や瞳に関わる交感神経、そして平衡感覚を伝える神経——
炎症が近くの構造に影響すると、神経の症状が現れます。耳の病気が、神経の病気のように見えるのはそのためです。
神経の症状が、出ます

この病気で、いちばん気づかれやすいのが神経の症状です。
斜頸(頭が傾く)、運動失調、旋回、眼振、顔面神経麻痺、ホルネル症候群——こうした症状が現れることがあります。
頭が傾いたままになります
いちばん多いのが斜頸——頭がいつも同じ側に傾いている状態です。
平衡感覚が乱れるため、まっすぐな姿勢が保てなくなります。
そしてまっすぐ歩けず、同じ方向に回ってしまうこともあります。
- 頭が、いつも同じ側に傾いている
- まっすぐ歩けず、ふらつく
- 同じ方向に、円を描いて歩く
- 眼球が、小刻みに揺れている
- まぶたが下がり、瞳の大きさが左右で違う
- 顔の片側が、動かなくなっている
まぶたが下がり、瞳が小さくなるのはホルネル症候群と呼ばれる状態です。
顔の片側が動かなくなるのは顔面神経麻痺です。
ふらつきの原因は、ほかにもあります
頭が傾く、ふらつくという症状は、中耳炎だけのものではありません。
| 考えられるもの | 見分けの手がかり |
|---|---|
| 中耳炎・内耳炎 | 耳の症状が先にあることが多い |
| 特発性前庭障害 | 突然始まる。原因が見つからない |
| 脳の病気 | 意識や行動にも変化が出ることがある |
| 鼻咽頭ポリープ | 若い猫。鼻の症状を伴うことも |
| 中毒 | 急に始まる。ほかの症状も出る |
| 腫瘍 | じわじわ進んでいく |
特発性前庭障害は、原因が分からないまま突然起こるものです。
耳を確かめることが、その区別につながります。耳に原因があるなら、治療できる可能性が残ります。
⚠ この様子なら、その日のうちに
- 頭が傾いたまま、戻らない
- まっすぐ歩けない、倒れる
- 目が小刻みに揺れている
- 顔の左右が、明らかに違う
- 食べられない、水も飲めない
- ぐったりしている
神経の症状は、早く手を打つほど戻りやすいものです。「そのうち治るだろう」で待たないでください。
入り口は、三つあります

中耳炎には、三つの起こり方があります。
外耳炎から炎症が広がる場合、鼻やのどの炎症が耳管を通って中耳へ及ぶ場合、そして若い猫では鼻咽頭ポリープに伴って起こる場合です。
だから、耳の中がきれいでも起こります
「耳は汚れていないのに」と言われることがあります。
けれど鼻やのどから、耳管を通って上がってくる経路があります。
耳管は、中耳と、のどの奥をつないでいる細い管です。
そこを通って炎症が届けば、外耳道は何ともないまま中耳炎になります。
猫風邪をこじらせたあとに起こることもあるのは、そのためです。
鼻の症状が続いていた猫が、あるとき頭を傾け始める——そういう経過をたどることがあります。
だから「最近、鼻の調子が悪かった」という情報も受診のときに伝えてください。
外耳炎から進むこともあります
もっとも多い入り口が外耳炎です。
外耳道の炎症が長く続くと、鼓膜が傷んで、その先へ広がっていきます。
外耳炎の合併症として、最もよく知られているのが中耳炎です。
だから、外耳炎を放置しないでください
外耳炎の段階なら、十日から二週間ほどで治ります。
けれど中耳まで進めば、数週間から数か月かかることになります。
そして神経の症状が出れば、それが残ることもあります。
「頭を振っている」という段階で受診することが、そのまま予防になります。
外耳炎は、よくある病気です。だからこそ「たいしたことない」と扱われがちです。
けれど、その先には神経の症状という別の世界があります。そこを知っておくと、判断が変わります。
くり返す外耳炎では、奥を疑います
「治療してもすぐ戻る」という外耳炎では、すでに中耳へ広がっていることがあります。
中耳に炎症が残っていれば、そこから外耳道へ出てきてくり返しているように見えます。点耳薬では届かないため、いつまでも終わりません。
若い猫では、ポリープを考えます
三つめの入り口が鼻咽頭ポリープです。
若い猫では、鼻咽頭ポリープに伴って中耳炎が起こることがあります。
これはのどの奥や中耳にできる、良性のできものです。
若い猫で神経症状が出たら、疑います
高齢の猫であれば、腫瘍を考えます。
けれど若い猫で、頭が傾いて中耳炎が見つかったなら、鼻咽頭ポリープの可能性があります。
この場合、ポリープを取らないかぎり治りません。
抗生物質だけでは、届かないのです。
鼻の症状——鼻づまり、いびきのような呼吸、鼻水——が同時にあるなら、その情報も伝えてください。
ポリープなら、取れば治ります
ポリープが原因の場合、薬では小さくなりません。
けれど取り除けば、症状は改善していきます。
原因がはっきりしていて、手が届く——そういう意味では、見通しの立てやすい中耳炎になります。
ただし取り残しがあると再発することがあります。どのくらい取れたか、再発の可能性はどうか——そこも聞いておいてください。
見つけ方は、画像検査です
中耳は外から見えない場所にあります。
だから、確かめるには画像検査が必要になります。
CT検査により、中耳の液体貯留、鼓室胞壁の肥厚や膨大、骨の破壊、ポリープや腫瘤の有無を明瞭に確認できます。
| 検査 | 分かること |
|---|---|
| 耳鏡での観察 | 鼓膜が破れていないか、外耳道の様子 |
| レントゲン | 鼓室胞の変化を、おおまかに見る |
| CT検査 | 液体貯留、骨の変化、ポリープの有無を明瞭に見る |
| 神経の診察 | どの神経に影響が出ているかを確かめる |
| 耳垢や膿の検査 | 細菌の種類と、効く薬を調べる |
| 血液検査 | 全身の状態、炎症の程度を見る |
CTは、診断と治療計画に役立ちます。
麻酔が必要になりますが、ポリープがあるかどうかが分かれば治療の方向が決まります。薬で通すのか、取るのか——そこが変わってきます。
鼓膜が破れていることもあります
中耳炎では、鼓膜が破れていることがあります。
その場合、使える洗浄液や点耳薬が限られます。
合わないものを入れれば、内耳にまで影響が出ることがあります。
家で耳を洗ってはいけない理由は、ここにもあります。破れているかどうかは、見なければ分かりません。
内耳まで進むと、こうなります
中耳のさらに奥には、内耳があります。
ここには平衡感覚と、聴覚をつかさどるしくみが収まっています。
| どこまで進んだか | 現れる症状 |
|---|---|
| 外耳まで | かゆみ、耳垢、頭を振る |
| 中耳まで | 顔面神経麻痺、ホルネル症候群 |
| 内耳まで | 斜頸、ふらつき、旋回、眼振 |
| さらに進むと | 聴こえにくくなることもある |
| ごくまれに | 脳まで炎症が及ぶことがある |
| だから | 症状から、深さが推測できる |
症状の種類が、そのまま深さを教えてくれます。だから、どんな症状が出ているかを正確に伝える意味があります。
ふらつきや斜頸が出ているなら、内耳まで届いている可能性があります。急ぐ理由が、そこにあります。
治療は、長くなります

細菌感染が疑われる場合は、抗生物質を使用します。
けれど中耳に液体や炎症性の物質が残っていると、改善までに数週間から数か月かかることがあります。
途中でやめないでください
再発を防ぐために、治療を早期に中断すべきではありません。
症状が引いても、中耳にはまだ炎症が残っていることがあります。
そこでやめれば、また同じところから始まります。
「あと何週間ですか」を確かめて、見通しを持って続けてください。長さを知らないまま始めると、途中で気持ちが折れてしまいます。
外科的な処置が必要なこともあります
薬だけで治らない場合、手術が検討されることがあります。
中耳にたまったものを出す処置や、ポリープを取り除く手術です。
重度の中耳炎の場合は、手術が必要な場合もあります。
ポリープが原因なら、取ることで一気に解決することがあります。
🩺 獣医療の現場では
この病気で確かめておきたいのは「原因は何ですか」と「どのくらいかかりますか」の二つです。
外耳炎からなのか、鼻からなのか、ポリープなのか——入り口によって、やることが変わります。そして期間を知っておかないと、途中でやめてしまいがちな病気です。
早く止めることに、意味があります
神経の症状は、早く手を打つほど戻りやすいものです。
逆に、長く続いたあとでは症状が残ってしまうことがあります。
斜頸が残ることがあります
炎症が収まっても、頭の傾きだけが残ることがあります。
猫は慣れていきますし、暮らしに大きな支障が出ないことも多いものです。
けれど戻らないものもある——だから、早さが意味を持ちます。同じ病気でも、いつ手を打ったかで結果が変わります。
ふらつく猫のために、できること
平衡感覚が乱れている猫は、高いところから落ちる危険があります。
- 高い場所に登れないようにする
- 階段や段差に、近づけない工夫をする
- 床に、滑らないものを敷く
- ぶつかりそうな家具に、覆いをする
- 食器と水を、届きやすい場所に置く
- 外には出さない
吐き気が出ることもあります。船酔いのような状態になるためです。
食べられないようなら、その情報も伝えてください。吐き気を抑える薬が使えることがあります。
そして、ふらつく猫を抱き上げて運ぶときは体全体を支えてください。
平衡感覚が乱れていると、宙に浮くこと自体が不安になります。急に暴れて落ちることもあるため、静かに扱ってください。
よくある質問
Q. 中耳炎とは、どんな病気ですか?
A. 鼓膜の奥にある中耳に、炎症が起こる病気です。外からは見えない場所のため、見た目では分かりません。
Q. どんな症状が出ますか?
A. 斜頸(頭が傾く)、運動失調、旋回、眼振、顔面神経麻痺、ホルネル症候群といった神経症状が現れることがあります。炎症が近くの神経に影響するためです。
Q. 耳の病気なのに、神経の症状が出るのですか?
A. 中耳のすぐそばを、大事な神経が通っているためです。顔の動きを司る神経、瞳に関わる交感神経、平衡感覚を伝える神経が近くにあります。
Q. どうやって起こりますか?
A. 入り口は三つあります。外耳炎から炎症が広がる場合、鼻やのどの炎症が耳管を通って及ぶ場合、若い猫では鼻咽頭ポリープに伴って起こる場合です。
Q. 耳の中はきれいなのですが
A. それでも起こりえます。鼻やのどから耳管を通って炎症が上がってくる経路があるためです。猫風邪をこじらせたあとに起こることもあります。
Q. 若い猫で頭が傾いています
A. 鼻咽頭ポリープの可能性があります。若い猫では、これに伴って中耳炎が起こることがあります。この場合、ポリープを取らないかぎり治りません。
Q. どうやって診断しますか?
A. CT検査が役に立ちます。中耳の液体貯留、鼓室胞壁の肥厚や膨大、骨の破壊、ポリープや腫瘤の有無を明瞭に確認でき、診断と治療計画に役立ちます。
Q. 治療はどうしますか?
A. 細菌感染が疑われる場合は、抗生物質を使用します。重度の場合や、ポリープがある場合は手術が必要になることもあります。
Q. どのくらいで治りますか?
A. 数週間から数か月かかることがあります。中耳に液体や炎症性の物質が残っていると、改善に時間がかかります。
Q. 症状が引いたら、薬をやめてよいですか?
A. やめないでください。再発を防ぐために、治療を早期に中断すべきではありません。中耳にはまだ炎症が残っていることがあります。
Q. 頭の傾きは、治りますか?
A. 早く手を打つほど戻りやすいものです。ただし長く続いたあとでは、傾きが残ることもあります。猫は慣れていきますが、早さが結果を変えます。
Q. 外耳炎から進むのを、防げますか?
A. 外耳炎の段階で治しきることです。外耳炎なら十日から二週間ほどで治ります。「頭を振っている」という段階で受診してください。
まとめ|ふらつきを見たら、耳も確かめてください
頭が傾く、ふらつく——そうした様子を見ると、脳の病気を心配されると思います。
けれど、耳の奥が原因のことがあります。
そして、耳が原因なら治療できる可能性があります。
入り口は三つ——外耳炎から、鼻やのどから、そしてポリープから。
「耳はきれいだから違う」とは言えません。神経の症状を見たら、耳の奥まで確かめてもらってください。
そして、この病気は時間が結果を変えます。
早く止めれば神経の症状は戻りやすく、遅れれば傾きが残ることがあります。ふらつきを見た日に動く——それが、いちばん確かな手当てになります。
今日できる3つ
- 1正面から顔を見て、左右のまぶたや瞳の大きさを比べる
- 2頭がいつも同じ側に傾いていないか、確かめる
- 3外耳炎の治療中なら、「奥まで届いていますか」と聞いてみる
中耳炎は、外からは見えません。だから、神経の症状のほうから気づくことになります。

本日の「犬猫の悩みを即解決!」の記事「猫の中耳炎|頭が傾いていたら、耳を疑ってください」でした。
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