

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「イタリアングレーハウンド|骨折を防ぐ家のつくり方」です。ではどうぞ!
抱っこしていた腕から、飛び降りた——
それだけで、前足が折れる。
イタリアングレーハウンドを飼っている方なら、この話を聞いたことがあるのではないでしょうか。
この犬種の前足の骨は、鉛筆ほどの太さしかありません。
そして、驚くほど速く走り、よく跳びます。
細い骨と、高い運動能力——
この組み合わせが、骨折の多さにつながっています。
けれど、そのほとんどは家のなかで起きています。
つまり、家のほうを変えれば防げるということ。
この記事では、どんな場面で骨折が起きるのかと、具体的に何をすればいいのかを書いていきます。
結論
イタリアングレーハウンドは前足の骨が鉛筆ほどの太さしかなく、骨折が非常に多い犬種です。原因の多くは抱っこからの落下とソファからの飛び降り——いずれも家のなかで起きています。床の滑り止め、ソファのスロープ、階段のゲート、そして抱き方の統一——この4つで、リスクは大きく下がります。とくに生後4か月から1歳ごろがもっとも危険な時期です。
この記事でわかること
- ✓鉛筆ほどの太さという、前足の骨
- ✓骨折が起きる、具体的な場面
- ✓家のなかで、何を変えるか
- ✓抱き方を、家族全員で統一する
- ✓体も心も繊細だという、気質
鉛筆ほどの太さという、前足の骨
まず、この犬種の体を見ておきます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 体重 | 3.5〜5kg程度 |
| 体高 | 32〜38cm |
| 骨格 | 四肢が細く、長い |
| 前足の骨 | 橈骨・尺骨がきわめて細い |
| 運動能力 | 速く走り、高く跳ぶ |
| 平均寿命 | 12〜15年 |
体高38cmに対して、体重は5kg以下——
この数字だけでも、どれだけ細い体つきかが分かります。
そして、前足の橈骨(とうこつ)と尺骨(しゃっこつ)。
ここが、この犬種でもっとも折れやすい場所です。
⚠ この部位は、くっつきにくい骨です
前足の橈骨・尺骨は、もともと血流が乏しい部位だとされています。
折れたときに、治りが遅い。そして、うまくくっつかないことがある——
手術になれば30〜50万円、そして数か月の安静が必要になります。「折れてから治す」より「折らない」ほうが、はるかに現実的です。
この体型が、作られた理由
イタリアングレーハウンドは、グレーハウンドを小型化した犬種だとされています。
古代から地中海地域に存在し、ルネサンス期のイタリアで貴族に愛されたと伝えられています。
絵画のなかにこの犬の姿が残っているほど、古くから人のそばにいた犬種です。
猟犬としての速さと、膝の上に乗る小ささ——
その両方を求めた結果が、この細く長い体になりました。
つまり、この骨の細さは人が望んだものだということ。
だからこそ、守るのも人の側の仕事になります。
成長期が、もっとも危険
生後4か月から1歳ごろ——
この時期の骨折が、とくに多いとされています。
骨がまだ成熟しておらず、硬さも柔軟性も十分ではないためです。
そして、この時期の子犬はとにかく動きます。
ソファに飛び乗る。抱っこから飛び降りる。走り回って転ぶ——
「まだ子犬だから大丈夫だろう」ではなく、「子犬だからこそ危ない」と考えてください。
骨折が起きる、具体的な場面

実際に、どんな場面で起きているのか——
| 場面 | 何が起きるか | 対策 |
|---|---|---|
| 抱っこからの落下 | 腕から飛び降りる・すり抜ける | 立ったまま抱かない |
| ソファからの飛び降り | 着地の衝撃で折れる | スロープを置く |
| ベッドからの飛び降り | 夜中の出入りでも起きる | 低いものに替える |
| 滑る床での転倒 | 踏ん張れずに足が流れる | マットを敷く |
| 階段からの転落 | 踏み外して落ちる | ゲートで封鎖 |
| 子どもによる落下 | 抱えきれずに落とす | 床に座って抱かせる |
すべて、家のなかの出来事です。
交通事故や外での怪我ではなく、日常のなかで起きている——
それが、この犬種の骨折の特徴です。
だからこそ、家のほうを変えれば防げるということでもあります。
家のなかで、何を変えるか

迎える前に、整えておきたいことを挙げていきます。
- 犬が走る動線すべてに、滑り止めマットを敷く
- ソファにスロープを置く——または登らせない
- ベッドは低いものにするか、ステップをつける
- 階段はゲートで封鎖する
- 足裏の毛と爪を、月に一度整える
- 家族全員で、抱き方を統一する
もっとも重要なのが、「床」です。
フローリングは、この犬種にとって氷の上のようなものです。
爪が引っかからず、踏ん張るたびに足が横に流れます。
そして、この犬種は家のなかでも走ります。
急に走り出して、急に方向を変える——
その動きが、細い骨には大きな負担になります。
足裏の毛と爪も、滑る原因
見落とされがちですが、重要な要素です。
肉球のあいだから伸びた毛は、滑りの直接的な原因になります。
そして、伸びすぎた爪。
爪が長いと、肉球が床にしっかり接地しません。
床に立ったとき、爪が床に当たる音がする——これは切りどきのサインです。
マットを敷いても滑ると感じるなら、足裏を確認してみてください。
抱き方を、家族全員で統一する

骨折の原因としてもっとも多いもののひとつが抱っこからの落下です。
犬が急に動いて、腕からすり抜ける。あるいは自分から飛び降りる——
人の胸の高さから落ちれば、5kgの体には十分な衝撃になります。
| すること | してはいけないこと |
|---|---|
| しゃがんで、床に近い高さで抱く | 立ったまま抱き上げる |
| 胸とお尻を両手で支える | 脇の下だけを持つ |
| 体に密着させる | 腕を伸ばして抱える |
| 下ろすときも、足がつくまで支える | 途中で手を放す |
| 子どもには床に座って抱かせる | 立って抱かせる |
「立ったまま抱かない」——
この一点を家族で徹底するだけで、骨折のリスクは大きく下がります。
とくに、子どもがいる家庭では必ず共有してください。
「この子は、床に座ってから抱く」——
この決まりを、迎えた日から作っておいてください。
来客があるときも同じです。
「かわいい」と抱き上げようとする方には、先に伝えておく——
「骨が細い犬種なので、床に座って抱いてください」と言えば、たいていは理解してもらえます。
犬に「飛び降りない」を教える
環境を整えることと並行して、行動そのものを変えていくこともできます。
ソファに登ったら、スロープから降りる——
これは、教えられる行動です。
- スロープは、置くだけでは使わない
- おやつで誘導しながら、使い方を教える
- 登るときも、スロープを使わせる
- 飛び降りようとしたら、抱いて下ろす
- スロープを使えたら、そのつどほめる
- 子犬のうちに教えると、習慣として定着する
「登らせない」より「安全に降りる方法を教える」ほうが現実的な場合も多くあります。
この犬種は、人のそばにいたがる犬種です。
ソファに完全に登らせないのはお互いにストレスになることもあります。
もし、折れてしまったら
急に足をつかなくなった——
そのときは、すぐに動物病院へ連絡してください。
- 無理に歩かせない
- 患部に触らない
- キャリーやタオルで、動かさずに運ぶ
- 自己判断で添え木を当てない
- 人間用の痛み止めは絶対に与えない
- 夜間でも、その日のうちに受診する
骨折の治療は、早いほど結果がよくなります。
「明日でいいか」と待たないでください。
そして、術後の安静。
この犬種は動きたがる犬種ですから、安静を保つこと自体が課題になります。
ケージでの制限が数か月に及ぶこともあると覚悟しておいてください。
そして、いちど折れた場所は再骨折することがあります。
治ったあとも、床の滑り止めと段差の対策は続けてください。むしろ、一度経験したからこそ徹底する価値があります。
体も心も繊細だという、気質

この犬種は、体だけでなく気持ちも繊細です。
| 項目 | 傾向 |
|---|---|
| 性格 | 穏やか・人懐こい・繊細 |
| 大きな音 | 強く怖がることがある |
| 叱られたとき | 萎縮しやすい |
| 飼い主との距離 | ぴったりくっついていたがる |
| 寒さ | 極端に弱い |
| 吠え | 比較的少ない |
大きな声で叱る——
これは、この犬種には向きません。
萎縮して、こちらの顔色をうかがうようになってしまいます。
「やったら、いいことがある」という形で教えてください。
覚えは決して悪くありません。むしろ、人をよく見ている犬種です。
寒さにも、極端に弱い
短毛で下毛がなく、体脂肪も少ない——
断熱の層をまったく持っていません。
- 冬の散歩には、服を着せる
- 室内は、寒すぎない温度を保つ
- 寝床は、もぐれる毛布を用意する
- 床に近い位置ほど冷えることを意識する
- 屋外での飼育には、まったく向かない
- 震えていたら、寒がっているサイン
毛布にもぐるのは、この犬種の代表的な行動です。
布団のなかや、クッションの下に自分から入っていきます。
これは寒がっているサインでもあるので、もぐれる場所を用意しておいてあげてください。
ただし、うっかり座ってしまわないよう注意も必要です。
他の犬との遊びにも、注意が要る
見落とされやすい場面がもうひとつあります。
ドッグランや、他の犬との遊びです。
体重5kg以下で、骨が細い犬が大きな犬とぶつかればどうなるか——
| 場面 | 起きうること | 対策 |
|---|---|---|
| 大型犬とぶつかる | 骨折・打撲 | 小型犬エリアを使う |
| 追いかけっこ | 急停止・急旋回で足を痛める | 途中で区切る |
| 組み合っての遊び | 体重差で押しつぶされる | 相性を見て止める |
| 草むらを走る | 皮膚が薄く、切れやすい | 帰宅後に体を確認する |
| 興奮しすぎ | 周りが見えなくなる | 落ち着かせる練習をしておく |
この犬種は、驚くほど速く走ります。
そして、遊びに夢中になると自分の限界を考えません。
- ドッグランでは、小型犬エリアを使う
- 体格差のある犬とは、距離を取る
- 遊びが激しくなったら、途中で区切る
- 「落ち着く」練習を、あらかじめしておく
- 地面の状態を確認する——穴や石に注意
- 帰宅後は、体を撫でて傷を確認する
「落ち着かせる練習」は、この犬種では安全対策そのものです。
興奮のスイッチをこちらから切れる状態を作っておいてください。
運動と、暮らしの実際
骨折が心配だから、運動させない——
これは、逆効果になります。
筋肉が落ちれば、骨を支えるものがなくなります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 散歩 | 1日2回、各20〜30分 |
| 走る時間 | 安全な場所で、短時間でも |
| 成長期 | 激しいジャンプを避ける |
| 手入れ | ブラッシングは週1回程度 |
| トリミング | 不要 |
| 年間の飼育費 | 8〜18万円 |
大切なのは、「安全な場所で走らせる」ことです。
平らで、滑らず、囲われた場所——
そこで自由に走らせる時間がこの犬種には必要です。
そして、追跡本能。
サイトハウンドですから、動くものを追う本能を持っています。
囲われていない場所では、リードを外さないでください。
この犬種は、頭が細く首が太い体型のため、普通の首輪では後ろに引くと抜けてしまいます。
サイトハウンド用の幅広の首輪か、抜けにくいハーネスを使ってください。
迷子札とマイクロチップも、必ず装着しておいてください。
そのほかに、注意したい病気
骨折のほかにも、この犬種で知っておきたい点があります。
| 項目 | 内容 | 気づき方 |
|---|---|---|
| 膝蓋骨脱臼 | 小型犬に多い膝の脱臼 | スキップするような歩き方 |
| 歯周病 | この犬種で多い | 口臭・歯石・歯ぐきの赤み |
| てんかん | 報告のある犬種のひとつ | けいれん発作 |
| 進行性網膜萎縮 | 遺伝性の目の病気 | 暗い場所でぶつかる |
| 皮膚の裂傷 | 皮膚が薄く、切れやすい | 散歩後に体を確認する |
とくに歯は、この犬種で意識しておきたいところです。
細いあごに歯が並ぶため、汚れがたまりやすく歯周病が進みやすいとされています。
- 子犬のうちから、口に触られることに慣らす
- 毎日の歯みがきを習慣にする
- 難しければ、週に数回でも続ける
- 年1回、動物病院で口の中を見てもらう
- 歯石の処置には麻酔が必要になる
- サイトハウンドである旨を、麻酔前に伝える
歯周病は、口の中だけの問題ではありません。
細菌が血流に乗って心臓や腎臓に影響することが知られています。
そして、処置には麻酔が必要——
サイトハウンドの麻酔についてはウィペットの記事に詳しくまとめてあります。この犬種にも、そのまま当てはまります。
よくある質問
Q. 本当に、そんなに簡単に骨折するのですか?
A. 抱っこから落ちただけで折れることがあります。前足の橈骨・尺骨が鉛筆ほどの太さしかありません。しかもこの部位は血流が乏しく、折れると治りが遅い傾向があります。
Q. いちばん多い原因は何ですか?
A. 抱っこからの落下と、ソファからの飛び降りです。どちらも家のなかで起きています。だからこそ、家の環境を変えることで大きく減らせます。
Q. 何歳ごろが危ないですか?
A. 生後4か月から1歳ごろがもっとも多いとされています。骨がまだ成熟しておらず、硬さも柔軟性も十分ではないためです。そしてこの時期の子犬は、とにかくよく動きます。
Q. どう抱けばいいですか?
A. しゃがんで、床に近い高さで抱いてください。胸とお尻を両手で支え、体に密着させます。「立ったまま抱かない」——この一点を家族全員で徹底してください。
Q. 骨折が心配なので、運動を控えたほうがいいですか?
A. いいえ、逆効果になります。筋肉が落ちれば、骨を支えるものがなくなります。大切なのは、平らで滑らず囲われた安全な場所で走らせることです。
Q. 冬に服は必要ですか?
A. 必要です。短毛で下毛がなく、体脂肪も少ないため、断熱の層をまったく持っていません。室内でも、床に近い位置ほど冷えることを意識してください。
Q. 叱ってしつけてもいいですか?
A. 向きません。繊細な犬種で、大きな声で叱ると萎縮してしまいます。「やったら、いいことがある」という形で教えてください。覚えは決して悪くなく、むしろ人をよく見ている犬種です。
まとめ|折れてから治すより、折らない
イタリアングレーハウンドの前足の骨は、鉛筆ほどの太さしかありません。
そして、この部位は折れると治りにくい——
だから、「折らない」ことに力を注ぐべき犬種です。
原因の多くは、抱っこからの落下とソファからの飛び降り。
どちらも、家のなかで起きています。
床の滑り止め。ソファのスロープ。階段のゲート。そして、立ったまま抱かないこと——
この4つで、リスクは大きく下がります。
どれも、迎える前に用意できることです。
細い体と、繊細な気持ち——その両方を守れる家を作れたなら、この犬種ほどそばにいてくれる相棒はいません。
膝の上で丸くなり、毛布にもぐり、部屋を移れば必ずついてくる——
その距離の近さは、この犬種を選ぶ人が何より求めているものだと思います。
そして外に出れば、見違えるように速く走る——
その落差もまた、この犬種の魅力です。
迎える前に、この3つを
- 1犬が走る動線すべてに、滑り止めマットを敷いておく
- 2ソファにスロープを置き、階段はゲートで封鎖する
- 3「立ったまま抱かない」を、家族全員のルールにする
この犬種の骨折は、そのほとんどが家のなかで起きています。だからこそ、家を整えることがそのまま予防になります。

本日の「犬猫の悩みを即解決!」の記事「イタリアングレーハウンド|骨折を防ぐ家のつくり方」でした。
下記の#タグキーワードからも、関連記事を検索できます。
Others 同じカテゴリの記事 |

ミニチュアシュナウザー|脂質の体質と、食事の選び方 |
ティーカッププードルの現実|小さいことは長所ではない |
豆柴とは|JKCの血統書に書かれるのは「柴犬」 |
フレンチブルドッグ|2歳で後ろ足が動かなくなる犬種 |
ポメラニアンの飼い方|脱毛症Xと気管虚脱のサイン |
柴犬の飼い方|皮膚の痒みと、高齢期の認知症 |




