

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「北海道犬の飼い方|寒さに強い犬を、暑い土地で飼う」です。ではどうぞ!
北海道犬は、雪のなかで働いてきた犬です。
アイヌ民族とともに、ヒグマやエゾシカを追った猟犬——
その体は、北の厳しい冬に耐えるために作られています。
硬い上毛が雪と雨をはじき、密な下毛が体温を守る——完成された防寒装備です。
けれど、その装備は脱ぐことができません。
本州以南の夏——高温に加えて多湿という環境は、この犬種にとって本来のものではありません。
この記事では、寒冷地の犬を暖かい土地で飼うという課題を中心に、夏の管理と換毛期の手入れを具体的に書いていきます。
結論
北海道犬は厚いダブルコートを持つ寒冷地の犬です。寒さには非常に強い一方、本州以南の夏は大きな負担になります。室温28度以下、湿度も下げること。そして梅雨前に下毛を取り切っておくことが、夏を越える鍵になります。毛を短く刈るより、下毛を除去するほうが効果的です。運動量は1日2回、各30分〜1時間と多め——ヒグマに向かっていった犬だと考えてください。
この記事でわかること
- ✓雪のために作られた被毛
- ✓本州以南の夏という課題
- ✓換毛期をどう乗り切るか
- ✓ヒグマを追った犬の運動量
- ✓気質と、暮らしの相性
雪のために作られた、被毛

北海道犬の被毛は、二重構造になっています。
| 層 | 性質 | 役割 |
|---|---|---|
| 上毛(オーバーコート) | 硬く、まっすぐ | 雨と雪をはじく |
| 下毛(アンダーコート) | 密で、やわらかい | 空気をためて断熱する |
| 換毛 | 年2回、下毛が大量に抜ける | 季節に合わせて厚みを変える |
| 寒冷地での意味 | 体温を守る | 雪のなかでも活動できる |
| 暖地での意味 | 熱がこもる | 放熱を妨げる |
この被毛は、非常に優秀です。
雪のなかで一晩過ごしても平気という話は、決して誇張ではありません。
けれど、その性能がそのまま夏の負担になります。
犬は、汗で体を冷やせない
ここが決定的な問題です。
犬には、人のように全身から汗を出す仕組みがありません。
口を開けて速く浅い呼吸をし、唾液を蒸発させる——これが体温を下げるほぼ唯一の手段です。
皮膚からの放熱も、多少は行われます。
けれど、厚い下毛に覆われていればそれも期待できません。
つまり北海道犬は、「熱を逃がす手段が乏しい犬種」だということになります。
本州以南の夏という、課題

この犬種を暖かい土地で飼うなら、夏の管理が最大のテーマになります。
| 場面 | 守ること | 理由 |
|---|---|---|
| 室内 | 室温28度以下・湿度50〜60% | 湿度が高いと気化熱が働かない |
| 留守番 | エアコンを切らない | 締め切った室内は急速に温まる |
| 散歩 | 早朝と日没後のみ | 日中のアスファルトは60度を超える |
| 路面 | 手の甲で5秒触れるか確かめる | 肉球のやけどを防ぐ |
| 被毛 | 梅雨前に下毛を取り切る | 古い下毛は熱と湿気をためる |
| 水 | 複数の場所に置く | 脱水を防ぐ |
とくに湿度を見落とさないでください。
気化熱で冷やす仕組みである以上、空気が湿っていれば唾液は蒸発しません。
28度で湿度80%の日は、32度で湿度40%の日より危険ということが起こります。
エアコンは、冷房だけでなく除湿も使ってください。
⚠ 熱中症のサインを覚えておいてください
ハアハアが止まらない——注意の段階です。涼しい場所へ移してください。
よだれが大量に出る、ふらつく、倒れる——常温の水をかけて風を当てながら、動物病院へ連絡してください。氷水は使わないでください——血管が縮んで、かえって熱が逃げにくくなります。
舌や歯ぐきが青紫、白っぽい——緊急事態です。ただちに受診してください。普段の舌の色を覚えておくと、変化に気づけます。
毛を刈るより、下毛を取り切る
「夏だから短くしよう」と考える方は多いと思います。
ただし、丸刈りはおすすめできません。
上毛には、直射日光から皮膚を守る役割があります。
刈りすぎると、日焼けや皮膚のトラブルにつながります。
そして、ダブルコートの犬種では刈った毛が元どおりに生えないことがあるとも言われています。
必要なのは「短くする」ことではなく、「古い下毛を取り切る」ことです。
梅雨に入る前に春の換毛をしっかり終わらせておく——これが、いちばん効果のある夏対策です。
換毛期を、どう乗り切るか

北海道犬の換毛は、想像を超える量になります。
年に2回、春と秋——下毛が一気に抜けます。
- 通常期は週2〜3回のブラッシング
- 換毛期は毎日
- スリッカーブラシで表面の浮いた毛を落とす
- 下毛用の道具で、根元の毛を取る
- 最後にコームを通して、残りを確認する
- 屋外か、掃除しやすい場所で行う
換毛期の手入れは、抜け毛対策だけではありません。
古い下毛が残っていると、そこに湿気がこもります。蒸れて皮膚炎を起こすこともあります。
そして、ブラッシングは皮膚を見る機会でもあります。
毛を分けて、赤みや黒ずみがないかを確認する——これを習慣にしている飼い主は、変化にいちばん早く気づけます。
抜け毛は、減らせないが管理はできる
「抜け毛を減らしたい」という希望はよく聞きますが、この犬種では現実的ではありません。
抜けること自体は、季節に合わせて被毛を入れ替える正常な仕組みだからです。
できるのは「減らす」ことではなく、「どこで抜けさせるか」を決めることです。
ブラッシングで先に抜いてしまえば、部屋に落ちる量は確実に減ります。
換毛期に毎日ブラッシングするのは、犬のためであると同時に、掃除の手間を減らす手段でもあります。
シャンプーは、乾かし方が命
厚いダブルコートを持つ犬種では、乾かすのに時間がかかります。
表面が乾いていても、根元は湿ったまま——これが、いちばんよくある失敗です。
- タオルで、押さえるように水分を吸い取る
- ドライヤーは弱風で、離して当てる
- コームで毛を分けながら、根元に風を送る
- 時間をかけて、根元まで完全に乾かす
- シャンプーは月1回程度で十分
- 洗いすぎは、皮膚のバリアを壊す
生乾きは、皮膚炎の入り口です。
洗う時間より、乾かす時間を長く取ってください。
ヒグマを追った犬の、運動量

北海道犬は、ヒグマに向かっていった犬です。
その体力と気力は、室内で完結する暮らしでは満たされません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 体重 | オス20〜30kg/メス15〜25kg |
| 体高 | オス52cm/メス49cm前後 |
| 平均寿命 | 12〜15年 |
| 散歩 | 1日2回、各30分〜1時間 |
| 被毛 | ダブルコート。トリミング不要 |
| 指定 | 1937年に国の天然記念物 |
1日2回、各30分〜1時間——これが最低限の目安です。
運動が足りないと、エネルギーは別の形で出てきます。
- 物を壊す・掘る
- 吠えが増える
- 落ち着きがなくなる
- 散歩中の引っぱりが強くなる
- 過度に警戒するようになる
- ストレスから体を舐め続けることも
ただし、夏だけは別です。
暑い時期に無理に運動させれば、熱中症のリスクが跳ね上がります。
夏は散歩を短くし、そのぶん室内で頭を使う遊びに切り替える——
においを嗅いで探す遊びは、猟犬としての本能に合っており、短時間でよく満足します。
健康面と、注意したい病気
北海道犬は、丈夫な犬種です。
極端な体型を持たず、人為的な改良もほとんど加えられていません。
そのぶん、遺伝性の疾患は少ないほうだと言えます。
| 注意すること | 内容 | 気づき方 |
|---|---|---|
| 熱中症 | この犬種で最大のリスク | ハアハアが止まらない |
| 股関節形成不全 | 中型犬以上で見られる | 腰を振って歩く |
| 皮膚炎 | 換毛期の蒸れから起こる | 赤み・掻く・におい |
| コリー眼異常 | 一部の系統で報告がある | 眼科検査で分かる |
| 肥満 | 運動不足から | 肋骨に指が当たらない |
体重管理についてひとつ注意点があります。
厚い被毛に覆われているため、見た目では太り具合が分かりません。
判断は必ず触って行ってください。
- 背中から肋骨をなでて、骨が指に当たるか確かめる
- 薄い脂肪ごしに骨を感じるのが適正
- 押しても分からないなら太っている
- 月に一度、体重を測って記録する
- フードはキッチンスケールで量る
- おやつは1日の総カロリーの1割まで
そして「不調を隠しやすい」というこの犬種の性質。
毎日のブラッシングのときに、体のあちこちを触って痛がる場所がないか確認する——
これが、いちばん確かな早期発見の方法になります。
気質と、暮らしの相性
北海道犬は、飼い主に対して非常に忠実です。
一方で、見知らぬ人や犬には警戒心を見せます。
| 性質 | 長所としての現れ | 課題としての現れ |
|---|---|---|
| 忠実さ | 飼い主を深く信頼する | 他人になつきにくい |
| 警戒心 | 優れた番犬になる | 来客に吠える |
| 独立心 | 自分で判断できる賢さ | 指示に従わないことがある |
| 勇敢さ | 物怖じしない | 他の犬に向かっていくことも |
| 忍耐強さ | 体が丈夫 | 不調を隠しやすい |
「不調を隠しやすい」という点は、覚えておいてください。
厳しい環境に耐えるよう選ばれてきた犬は、痛みや不調を表に出しにくい傾向があります。
だからこそ、毎日のブラッシングで体に触れ、食欲・便・歩き方を見ておくことが重要になります。
社会化としつけ
警戒心の強い犬種ですから、子犬期の社会化は欠かせません。
生後4か月ごろまでに、さまざまな人・犬・音に良い経験として会わせておく——
この時期の差が、その後の暮らしやすさを分けます。
そしてしつけ。
- 「やったら、いいことがある」という形で教える
- 力で押さえつけようとしない——抵抗が強くなる
- 家族全員が同じルールで接する
- 呼び戻しは、子犬のうちに徹底する
- 散歩の引っぱり対策は早めに——20kg超の力は強い
- 動物病院に、診察のない日に慣らしておく
20kgを超える犬ですから、引っぱられたときに止められるかは現実的な問題になります。
子犬のうちから、引っぱらずに歩く練習を始めてください。
アイヌ民族とともに歩んだ犬
北海道犬は、かつて「アイヌ犬」と呼ばれていました。
アイヌ民族とともに暮らし、狩りをともにしてきた犬だからです。
| 時代 | できごと |
|---|---|
| 縄文時代 | この系統の犬が日本に渡ってきたとされる |
| 長い年月 | アイヌ民族とともに狩猟に用いられる |
| 1937年 | 国の天然記念物に指定される |
| 指定時の名称 | 「北海道犬」として登録された |
| 現在 | 保存団体によって血統が管理されている |
ヒグマやエゾシカを追う——この仕事が、今の気質と体をつくりました。
ヒグマは、体重が数百キロに達する動物です。
その相手に向かっていき、吠えて足止めをする——それが、この犬に求められた役割でした。
物怖じしない性質も、自分で判断して動く独立心も、そこから来ています。
そして厳しい冬。
雪のなかで長時間活動できる被毛と、寒さに耐える忍耐強さ——
すべては、北海道という土地がこの犬に与えた性質です。
だからこそ、その土地を離れて飼うときには配慮が必要になります。
迎える前に、確かめておきたいこと
北海道犬は、流通の少ない犬種です。
ペットショップで見かけることはほとんどありません。
- 専門の繁殖者に直接問い合わせることになる
- 出産を待つ期間が発生することが多い
- 保存会に相談するという方法もある
- 両親に会い、体格と気質を確認する
- 待つ期間を、家と生活を整える時間に充てる
- 夏のエアコン環境を、先に用意しておく
そして、迎える前に自分に問いかけてほしいことがあります。
| 確認すること | なぜ必要か |
|---|---|
| 夏にエアコンを使い続けられるか | この犬種では命に関わる |
| 1日1〜2時間の散歩ができるか | 運動不足は問題行動になる |
| 抜け毛の量を許容できるか | 換毛期は想像を超える |
| 20kg超の力を止められるか | 散歩の安全に直結する |
| 住まいに体重制限はないか | 集合住宅では現実的な問題になる |
どれも、覚悟の話ではなく生活の話です。
この5つに「はい」と答えられるなら、この犬種と暮らしていけます。答えに迷う項目があるなら、そこを先に解決してから迎えるほうが、犬にとっても飼い主にとっても幸せです。
よくある質問
Q. 本州でも飼えますか?
A. 飼えますが、夏の管理が条件になります。室温28度以下、湿度50〜60%を保ち、留守中もエアコンを切らないでください。散歩は早朝と日没後のみにし、梅雨前に下毛を取り切っておいてください。
Q. 夏は毛を短く刈ったほうがいいですか?
A. 丸刈りはおすすめしません。上毛には直射日光から皮膚を守る役割があり、刈りすぎると日焼けや皮膚トラブルにつながります。必要なのは「短くする」ことではなく「古い下毛を取り切る」ことです。
Q. 抜け毛はどれくらいですか?
A. 年2回の換毛期には、驚くほどの量が抜けます。通常期は週2〜3回、換毛期は毎日のブラッシングが必要です。屋外か掃除しやすい場所で行うことをおすすめします。
Q. 散歩はどれくらい必要ですか?
A. 1日2回、各30分〜1時間が目安です。ヒグマやエゾシカを追った猟犬で、運動量は多くなります。ただし夏は短くし、そのぶん室内でにおいを使う遊びに切り替えてください。
Q. 室内で飼うべきですか?
A. 本州以南では、室内飼育をおすすめします。夏の温度管理ができるうえ、体調の変化にも気づきやすくなります。ただしその分、散歩で運動を確保する必要があります。
Q. 寒さにはどれくらい強いのですか?
A. 非常に強い犬種です。硬い上毛が雪と雨をはじき、密な下毛が体温を守ります。冬の散歩に服は不要で、むしろ寒い季節のほうが快適に過ごします。
Q. 初めて犬を飼うのですが、向いていますか?
A. あまりおすすめしません。20kgを超える力、多い運動量、強い警戒心、そして夏の徹底した温度管理——求められることが多い犬種です。中型犬以上を扱った経験があるほうが安心です。
まとめ|完成された防寒装備は、脱げない
北海道犬は、雪と寒さのために作られた犬です。
硬い上毛と密な下毛——その被毛は、北の冬では完璧に機能します。
けれど、その装備は脱げません。
本州以南の夏——高温と多湿という環境は、この犬種にとって本来のものではありません。
室温28度以下、湿度も下げること。そして、梅雨前に下毛を取り切っておくこと。
この2つが、夏を越える鍵になります。毛を短く刈ることではありません。上毛には日光から皮膚を守る役割があり、刈りすぎればかえって負担になります。
そして1日2回、各30分〜1時間の運動。ヒグマに向かっていった犬だと考えてください。
求められることは多い犬種です。けれどその忠実さと勇敢さは、ほかでは得がたいものだと思います。
誰にでも愛想を振りまく犬ではありません。けれどいったん信頼を結んだ相手には、驚くほど深く寄り添います。
ヒグマの前に立った犬が、家では静かに家族のそばで寝ている——その落差こそが、この犬種の魅力なのかもしれません。
夏を迎える前に、この3つを
- 1梅雨前に、春の換毛で下毛を取り切っておく
- 2留守中もエアコンを切らない設定にし、除湿も併用する
- 3普段の舌の色を覚えておく——熱中症に気づく基準になります
この犬種の被毛は、北の冬のために作られたものです。暖かい土地で飼うなら、夏をどう越えるかがすべてになります。

本日の「犬猫の悩みを即解決!」の記事「北海道犬の飼い方|寒さに強い犬を、暑い土地で飼う」でした。
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