

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫の角膜潰瘍|深さが、すべてを決めます」です。ではどうぞ!
目を細めている。涙が止まらない。
黒目の一部が、白く濁って見える。
角膜潰瘍は、角膜が欠けてしまった状態です。
そして、この病気で決定的なのは深さです。表面だけなら数日で治るものが、深くなれば手術になり、穴があけば目そのものを失うことがあります。
結論
角膜潰瘍は眼球表面の透明な膜「角膜」が傷つき、組織が欠けてしまった状態です。けが、異物、感染、乾燥、まぶたやまつげの異常などさまざまな原因で起こります。問題になるのは深さで、傷が深くなりすぎて最後の薄皮一枚で何とか踏ん張っている状態をデスメ膜瘤といい、角膜の深い部分にあるデスメ膜が膨らんで変形し、突出することが特徴です。デスメ膜瘤は角膜穿孔に至る危険があり、角膜穿孔まで進行すると失明する危険性もあります。また、猫の難治性の角膜潰瘍では、犬で有効とされる格子状角膜切開術などの処置は不適応とされています。原因として猫ヘルペスウイルスの持続感染による影響が明らかとなっているため抗ウイルス剤の治療などを実施しますが、短期間で完治させるのが難しい場合が多いとされます。自己判断で目薬を使うと悪化させることがあり、とくにステロイドが入った点眼は潰瘍を深くする方向に働くため、必ず診察を受けてから治療を始めてください。
この記事でわかること
- ✓潰瘍は、角膜が欠けた状態です
- ✓深さで、話がまったく変わります
- ✓溶けるように進むものがあります
- ✓穴があく、一歩手前という状態があります
- ✓ステロイドを、使わないでください
- ✓猫では、犬と同じ処置をしません
- ✓調べ方は、染めて深さを見ます
- ✓治療と、家でできること
潰瘍は、角膜が欠けた状態です

角膜炎が角膜に炎症が起きた状態だとすれば、
角膜潰瘍は角膜が実際に欠けてしまった状態です。
削れて、なくなっています
角膜は、いくつかの層が重なってできています。
いちばん外側が薄い層で、その下に厚みのある層があります。
潰瘍とは、この層が削れてなくなった状態のことです。
そしてどの層まで削れたかが、この病気のすべてを決めます。
きっかけは、いくつもあります
けが、異物、感染、乾燥、まぶたやまつげの異常——
これらが、角膜を削っていきます。
猫でとくに多いのがほかの猫とのけんかです。
爪が角膜をかすめただけで、深い傷になります。
そしてもうひとつ、猫ではヘルペスウイルスが背景にいることが少なくありません。
深さで、話がまったく変わります

同じ「角膜潰瘍」という名前でも、浅いものと深いものではまったく別の病気と考えたほうがいいくらいです。
浅ければ、数日で治ります
いちばん外の層だけが欠けた場合、多くは数日で治ります。
この層は再生する力が強いからです。
感染を防ぐ目薬と、こすらせない工夫——それで治ることがほとんどです。
深くなると、時間がかかります
その下の層まで達すると、話が変わります。
この層は、元どおりには再生しません。
欠けたところは瘢痕(はんこん)——つまり傷あと——で埋められます。
だから、濁りが残ることがあります。
| 深さ | 経過 | 残るもの |
|---|---|---|
| 表面だけ | 数日で治ることが多い | ほとんど残らない |
| その下まで | 数週間かかることがある | 濁りが残ることがある |
| 深いところまで | 手術が必要になることがある | 濁りが残りやすい |
| デスメ膜瘤 | 緊急。手術が必要 | 穿孔すれば失明の危険 |
| 穿孔 | 一刻を争う | 眼球を失うことがある |
だから、早さがすべてです
浅い傷が深くなるまでに、そう時間はかかりません。
猫がこすれば、その分だけ深くなります。
感染が入れば、もっと速く進みます。
「様子を見る」の一日が、手術の有無を分ける——そういう病気だと思ってください。
溶けるように進むものがあります

角膜潰瘍のなかで、いちばん急ぐものがあります。
見た目が、半日で変わります
細菌が入り込むと、角膜が溶けるように崩れていくことがあります。
朝と夕方で、見た目が変わっている——そのくらいの速さで進むことがあります。
黒目の表面が、どろりと濁って見えるのが特徴的な様子です。
時間との勝負になります
この状態では、その日のうちどころか、その時間のうちに動く必要があります。
夜間でも、救急を探して連れていってください。
「明日の朝いちばんで」では、間に合わないことがあります。
⚠ こういうときは、すぐ動いてください
黒目の濁りが、半日で広がった。
表面がどろりとして、崩れて見える。
目を開けられず、ずっと閉じている。
黒目の中に、窪みや突出が見える。
これらは、待てない状態です。
かかりつけが閉まっていても、夜間救急を探してください。
急ぎ具合を、分けておきます
目の症状は、どれも心配になるものです。
けれど、急ぎ具合には差があります。
| 様子 | 考えられること | 動き方 |
|---|---|---|
| 目やにが少し増えた | 結膜炎のことが多い | 数日のうちに受診 |
| 片目を細めている | 角膜に何かある | その日のうちに受診 |
| 黒目に濁りがある | 潰瘍の可能性 | その日のうちに受診 |
| 濁りが半日で広がった | 溶けている可能性 | すぐ。夜間でも受診 |
| 黒目が突出している | デスメ膜瘤の可能性 | すぐ。夜間でも受診 |
迷ったら、急ぐほうを選んでください。
取り越し苦労で済むほうが、ずっといい結果です。
穴があく、一歩手前という状態があります
角膜潰瘍が深く進んだとき、特別な名前がついた状態になります。
デスメ膜瘤(デスメまくりゅう)です。
最後の一枚で、持ちこたえています
デスメ膜瘤は、傷が深くなりすぎて最後の薄皮一枚で何とか踏ん張っている状態です。
角膜の深い部分にあるデスメ膜が膨らんで変形し、突出することが特徴になります。
透明な水ぶくれのようなものが、黒目から前へ飛び出して見える——そういう見え方をすることがあります。
穴があくと、失明の危険があります
デスメ膜瘤は角膜穿孔に至る危険があり、角膜穿孔まで進行すると失明する危険性もあります。
穴があけば、目の中の水が外へ出ていきます。
そしてそこから細菌が中へ入ります。
この段階では、目を残せるかどうかの話になります。
だから、この状態は手術になります
デスメ膜瘤では、薄くなったところを補強する手術が必要になります。
結膜でおおう方法や、ほかの材料で補う方法があります。
点眼だけで待つ段階ではありません。
ステロイドを、使わないでください
この病気で、絶対に避けてほしいことがあります。
炎症を抑える薬が、悪化させます
ステロイドが入った目薬は炎症をよく抑えます。
けれど、角膜に潰瘍があるときは話が別です。
傷の治りを遅らせ、潰瘍を深くする方向に働きます。
浅かった潰瘍が、数日で穴のあく一歩手前まで進む——そういうことが起こりえます。
家にある目薬を、使わないでください
- 人用の目薬をさす
- 以前もらった目薬を流用する
- ほかの猫に処方された目薬を使う
- 「炎症を抑える」と書かれた市販薬を使う
- 洗浄液で、目を洗い流そうとする
- よくなったからと、途中でやめる
どれもしないでください。
潰瘍があるかどうかは、染めてみないと分かりません。だから、家では判断できないのです。
猫では、犬と同じ処置をしません

ここは、猫の飼い主さんに知っておいてほしいところです。
治らない潰瘍というものがあります
浅いのに、いつまでも治らない潰瘍があります。
表面の層が下の層にうまく張りつかないために起こります。
犬では、格子状角膜切開術などの手術によって角膜上皮の再生が促され、よりしっかりと角膜実質に接着するようになります。
これは犬では有効な治療法とされています。
猫には、そのまま持ってきません
けれど猫では、格子状角膜切開術などの処置は不適応とされています。
理由があります。
猫では、原因として猫ヘルペスウイルスの持続感染による影響が明らかとなっているためです。
つまり張りつかないから治らないのではなく、ウイルスが治らせていない——そういう構図なのです。
だから、抗ウイルス治療になります
猫では抗ウイルス剤の治療などを実施します。
ただし短期間で完治させるのが難しい場合が多いとされています。
「なかなか治らない」と言われたとき、それは治療が下手だからではありません。
猫という動物の、この病気の性質です。腰を据えて付き合ってください。
🩺 犬の情報を、そのまま当てはめないでください
「犬ではこうすると聞いた」という話を持ち込みたくなることがあると思います。
けれど、目の治療では、犬と猫でやることが違います。
とくに治らない角膜潰瘍では、その差がはっきり出ます。
猫の目として診てもらってください。
受診までのあいだに、してほしいこと
病院に着くまでのあいだにも、できることがあります。
- エリザベスカラーがあれば、つける
- ないなら、こすろうとしたら止める
- 暗めの静かな場所で、待たせる
- 目薬をさそうとしない
- 目やにを、無理に取ろうとしない
- いつから・何があったかを、書き出しておく
何もしないことが、この段階では正しい対応になります。
よかれと思ってした一手が深くしてしまうのが、この病気です。
調べ方は、染めて深さを見ます
診断は、染めることから始まります。
染色液で、欠けた場所が分かります
染色剤を使用して、角膜の傷や潰瘍をより明確に可視化することができます。
欠けたところにだけ色がつくので、どこが、どのくらいの範囲で欠けているかが見て取れます。
染まらないことが、危険な合図です
ここが、この検査の面白いところです。
デスメ膜瘤では、いちばん底の部分が染まりません。
周りは染まっているのに、真ん中だけ抜けている——これが、最後の一枚まで達している印になります。
「染まらない=軽い」ではないということです。
原因も、一緒に探します
潰瘍そのものを治すのと同時に、なぜできたのかを探します。
- まぶたやまつげが、当たっていないか
- 涙の量が、足りているか
- 異物が、まぶたの裏に残っていないか
- ヘルペスウイルスが関わっていないか
- 反対の目にも、同じことが起きていないか
原因が残っていれば、治してもまた同じことが起きます。
治療と、家でできること
治療は、深さと原因で決まります。
浅ければ、点眼で治ります
感染を防ぐ抗生物質の点眼と、角膜を守る保護剤が基本になります。
ヘルペスが疑われれば抗ウイルス薬が加わります。
回数が多いのが、この病気の目薬の特徴です。
一日に何度も点眼することになりますが、これは意味のある回数です。減らさないでください。
深ければ、手術になります
| 状態 | 考えられる対応 |
|---|---|
| 浅い潰瘍 | 抗生物質と保護剤の点眼 |
| 治らない潰瘍 | 猫では抗ウイルス剤の治療を行う |
| 溶けている潰瘍 | 頻回の点眼。緊急で処置する |
| デスメ膜瘤 | 結膜などで補強する手術 |
| 穿孔 | 緊急手術。眼球を残せるかの判断になる |
こすらせないことが、半分です
エリザベスカラーは、外さないでください。
薬をどれだけ真面目にさしても、猫が一回こすれば戻ってしまいます。
「かわいそうだから食事のときだけ」——その数分で深くなることがあります。
治るまでの短い期間と割り切ってください。
次の診察を、飛ばさないでください
角膜潰瘍では、経過を見る診察が組まれます。
見た目がよくなっていても、行ってください。
深くなっていないかを染めて確かめるのが、その診察の目的だからです。
家からは、深さが見えません。
この記事の要点
角膜潰瘍は、深さがすべてを決めます。
デスメ膜瘤は最後の薄皮一枚の状態で、穿孔すれば失明の危険があります。
ステロイドの点眼は、潰瘍を深くする方向に働きます。
猫では格子状角膜切開術などは不適応とされ、ヘルペスの持続感染に対する抗ウイルス治療を行います。
Q. 角膜潰瘍とは、どんな状態ですか?
A. 眼球表面の透明な膜「角膜」が傷つき、組織が欠けてしまった状態です。けが、異物、感染、乾燥、まぶたやまつげの異常などで起こります。
Q. 角膜炎とは違うのですか?
A. 角膜炎は炎症、潰瘍は実際に欠けている状態です。角膜炎が進んで潰瘍になることもあります。潰瘍のほうが急ぎます。
Q. どんな様子で気づけますか?
A. 目を細める、涙が多い、まぶしがる、開けられない。黒目が白く濁って見えることもあります。痛みが強いため、顔をさわらせなくなることもあります。
Q. デスメ膜瘤とは何ですか?
A. 傷が深くなりすぎて、最後の薄皮一枚で何とか踏ん張っている状態です。角膜の深い部分にあるデスメ膜が膨らんで変形し、突出するのが特徴です。
Q. デスメ膜瘤は、危険なのですか?
A. 角膜穿孔に至る危険があります。角膜穿孔まで進行すると、失明する危険性もあります。この段階では手術が必要になります。
Q. どのくらい急ぎますか?
A. その日のうちに受診してください。細菌が入って溶けるように進む場合は、半日で見た目が変わることもあります。夜間でも救急を探してください。
Q. 市販の目薬を使ってよいですか?
A. 使わないでください。とくにステロイドが入ったものは、傷の治りを遅らせ、潰瘍を深くする方向に働きます。潰瘍の有無は、染めなければ分かりません。
Q. 目を洗ってもよいですか?
A. 自己判断で洗浄液を使わないでください。欠けている角膜に刺激を与えることになります。何を使うかは、診てもらってから決めてください。
Q. どうやって診断しますか?
A. 染色剤を使って、角膜の傷や潰瘍を明確に可視化します。欠けたところにだけ色がつくため、範囲と深さが分かります。デスメ膜瘤では、いちばん底の部分が染まりません。
Q. 治らないと言われました
A. 猫では、短期間で完治させるのが難しい場合が多いとされます。猫ヘルペスウイルスの持続感染が背景にあることが明らかになっており、抗ウイルス剤による治療を行うことになります。
Q. 犬でする手術は、猫でもできますか?
A. 猫では、格子状角膜切開術などの処置は不適応とされています。犬では有効な治療法とされていますが、猫ではヘルペスウイルスの関与が明らかになっているため、抗ウイルス治療を行う方針になります。
Q. エリザベスカラーは必要ですか?
A. 必要です。こすることで浅い潰瘍が深くなります。食事のときだけ外す、といったことも避けてください。
Q. 濁りは、残りますか?
A. 深さによります。表面だけならほとんど残りませんが、その下の層まで達すると傷あととして濁りが残ることがあります。早く手を打つほど、残りにくくなります。
Q. 予防はできますか?
A. けがを減らすことと、原因を放置しないことです。完全室内飼育でけんかを避け、まぶたやまつげの異常、涙の少なさがあれば先に手を打ってください。目薬で予防するものではありません。
まとめ|その日のうちに、連れていってください
角膜潰瘍は、深さがすべてを決める病気です。
浅ければ数日で治り、跡も残りません。
深くなれば手術になり、穴があけば目そのものを失うことがあります。
そして浅いものが深くなるまでに、そう時間はかかりません。
猫がこすれば深くなり、細菌が入れば溶けるように進みます。
だからこの病気では、気づいた日に動くことがすべてです。
そして手元の目薬を使わないこと。とくにステロイドは、助けるつもりで深くしてしまいます。
猫の目は、犬の目とは違う扱いを受けます。
治らないと言われても、それは猫という動物の性質です。焦らず、続けてください。
今日できる3つ
- 1片目だけ細めていないか、正面から確かめる
- 2黒目に濁りや窪みがないか、明るいところで見る
- 3こすっているなら、カラーをつけてすぐ受診する
角膜潰瘍は、目の病気の中でもっとも急ぐもののひとつです。迷ったら、待たずに連れていってください。

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