

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「犬のレプトスピラ症|人にもうつる、水と土の感染症」です。ではどうぞ!
散歩のとき、犬が水たまりの水を飲もうとする——止めていますか。
川で遊ばせる。田んぼのあぜ道を歩く。雨あがりの土のにおいを嗅がせる。
どれも、犬にとっては自然な行動です。そして、レプトスピラ症の感染経路でもあります。
この病気は人にも感染します。犬から人へ、そして環境から人へ——人獣共通感染症と呼ばれる病気のひとつです。
そして、重症例では数時間で死に至ることもある——
この記事では、感染の経路と、肝臓と腎臓に起きること、そしてワクチンで防げる範囲と防げない範囲を整理していきます。
結論
レプトスピラ症は人にも感染する人獣共通感染症です。ネズミなどが生涯にわたって尿に菌を出し、その尿で汚れた水や土から、皮膚の傷や口を通って犬に感染します。症状は発熱・黄疸・急性腎不全——重症例では数時間で死に至ることもあります。ワクチンはノンコアの区分ですが、血清型が複数あるためすべてを防げるわけではありません。住む地域と散歩コースによって必要性が変わります——かかりつけの獣医師に相談してください。
この記事でわかること
- ✓ネズミの尿から、犬に届くまで
- ✓肝臓と腎臓が、同時に傷む
- ✓人にもうつるということ
- ✓治療と、早期発見の重要性
- ✓ワクチンで防げる範囲
ネズミの尿から、犬に届くまで

レプトスピラはらせん状の細菌です。ウイルスではなく細菌——この違いは、治療のところで意味を持ってきます。
この菌を持っているのがネズミなどのげっ歯類です。
そして重要なのが、感染したネズミは生涯にわたって尿の中に菌を出し続けるという点。
| 段階 | 起きていること |
|---|---|
| 保菌動物 | ネズミなどが菌を持つ |
| 排出 | 生涯にわたり、尿に菌を出す |
| 環境の汚染 | 土壌や水が汚染される |
| 犬への感染 | 皮膚の傷から、または口から入る |
| 犬から人へ | 犬の尿を介して感染することがある |
犬への入り口は2つあります。
ひとつは口から——汚染された水を飲む、土をなめる。
もうひとつは皮膚から——傷ついた皮膚や、目や口の粘膜から菌が入り込みます。
水に入っただけで感染しうるというのは、この経路があるためです。
危険が高まる場所と、時期

どこで危険が高まるのか——具体的に挙げていきます。
- 川、池、用水路、水たまり
- 田んぼ、あぜ道、湿った土
- 河川敷、キャンプ場、山
- ネズミの多い環境(農地、水辺、古い建物の周辺)
- 雨のあと、台風のあと——水が広がる時期
- 気温の高い時期は、菌が生き残りやすいとされる
「水たまりの水を飲ませない」——これは、この病気に対するもっとも基本的で、もっとも効果のある対策です。
そして、発生には地域差があります。
近年の国内の発生は主に関東より西に集中していると報告されており、東京都や神奈川県など首都圏でも発生の報告があります。
「自分の住む地域はどうなのか」——これは、かかりつけの獣医師がもっともよく知っている情報です。
同じ県内でも、川沿いの地区と住宅地とでは事情が違います。
そして、旅行先で感染するということもあります。
普段は都市部で暮らしていても、夏に川へ、秋にキャンプへ——その数日が経路になりうるのです。
予定が決まった段階で相談する——ワクチンは打ってすぐ効くものではありませんから、時間の余裕を持って動いてください。
肝臓と腎臓が、同時に傷む

この病気の特徴は、肝臓と腎臓という2つの臓器が同時に傷むことです。
| 症状 | 何が起きているか |
|---|---|
| 発熱、元気消失 | 全身に菌が広がっている |
| 食欲不振、嘔吐 | 肝臓と腎臓の障害の影響 |
| 黄疸 | 肝臓が傷み、白目や歯ぐきが黄色くなる |
| 尿が増える/出ない | 急性腎不全。危険なサイン |
| 出血しやすくなる | 血管や血が固まるしくみへの影響 |
| ぐったりする | 全身状態の悪化 |
黄疸——白目や歯ぐき、耳の内側が黄色っぽくなるのは分かりやすいサインです。
そして、急性腎不全。尿の量が急に増えるか、逆にまったく出なくなる——どちらも危険な状態です。
血液検査では肝臓の酵素とクレアチニン(腎臓の値)が同時に上がることが手がかりになります。
⚠ 尿が出ないのは、緊急事態です
まったく尿が出ない
白目や歯ぐきが黄色い
ぐったりして動かない
このどれかがあれば、その日のうちに受診してください。
重症例では、数時間で死に至ることもある病気です。様子を見る時間はありません。
人にもうつるということ
この病気を扱ううえで避けて通れないのが、人への感染です。
レプトスピラ症は、人と動物の共通感染症(ズーノシス)——人を含むさまざまな哺乳類に感染します。
そして、感染した犬は尿と一緒に菌を出し続けることがあります。
| 場面 | 気をつけること |
|---|---|
| 犬の尿を片づける | 手袋を使う。素手で触らない |
| 片づけたあと | 石けんでしっかり手を洗う |
| 傷がある手 | 菌が入りやすい。とくに注意 |
| 汚れた場所 | 消毒について獣医師に確認する |
| 家族の体調 | 発熱などがあれば、医師に犬のことを伝える |
| 子ども・高齢者 | 世話を任せない |
「犬がレプトスピラ症と診断された」——そのとき、獣医師から家庭での注意点を必ず説明されます。
手袋を使う、しっかり手を洗う、尿を放置しない——
基本的なことですが、それが人への感染を防ぎます。
そして、家族に発熱などの体調不良が出たときは「犬がレプトスピラ症と診断された」ことを医師に伝えてください。
この情報があるかないかで、人の側の診断も変わります。
人がレプトスピラ症にかかった場合も、発熱、頭痛、筋肉痛など風邪に似た症状から始まることが知られています。
そのため、「ただの風邪」として扱われてしまうことがあります。
「犬がレプトスピラ症です」というひと言が、その判断を変えます。
そして、犬が診断される前でも——
家族が水辺のレジャーに行ったあとに発熱したような場合も、その行動を医師に伝えてください。
人の感染も、汚染された水や土との接触から起こります。犬を介さずに直接感染することもあるのです。
届出が義務づけられている感染症です
レプトスピラ症のうち7つの血清型については、
診断した医師や獣医師に届出が義務づけられています。
それだけ公衆衛生上、重要な感染症だと位置づけられているということです。
「犬の病気」として閉じるのではなく、人の健康にも関わる問題として扱われています。
治療と、早期発見の重要性
ここで、相手が細菌であることが意味を持ちます。
ウイルス感染症では直接効く薬が少ないのに対し、レプトスピラには抗菌薬が効きます。
| 治療 | 目的 |
|---|---|
| 抗菌薬 | 菌そのものを叩く |
| 点滴 | 脱水を補い、腎臓を助ける |
| 制吐剤 | 嘔吐による消耗を減らす |
| 肝臓を支える薬 | 肝機能の回復を助ける |
| 透析 | 重い腎不全で検討されることがある |
| 隔離 | 人と他の犬への感染を防ぐ |
抗菌薬が効く——これは、この病気の希望のある点です。
けれど、すでに腎臓や肝臓が大きく傷んでしまったあとでは菌を叩いても回復が追いつかないことがあります。
だから、早さが問われます。
「発熱+元気がない+嘔吐」で受診したときに、「最近、川や水たまりに入りましたか」と聞かれることがあります。
この情報が、診断への近道になります。
受診のときに伝えたいこと
- いつから、どんな症状が出たか
- 直近2週間で、水辺や田んぼ、山に行ったか
- 水たまりや川の水を飲んだ様子があったか
- 尿の量と回数の変化
- 白目や歯ぐきの色
- ワクチンの接種状況(証明書を持参)
「直近2週間の行動」——この病気では、これが決定的な情報になります。
キャンプに行った、川で遊ばせた、田んぼのあぜ道を歩いた、台風のあとに散歩した——
思い出せる範囲で伝えてください。
この病気は、症状だけでは他の病気と見分けにくいところがあります。
| 似た症状を示すもの | 見分けの手がかり |
|---|---|
| 急性の胃腸炎 | 黄疸や腎臓の値の異常は伴わない |
| 犬伝染性肝炎 | ワクチンの状況、経過の速さ |
| 中毒 | 何を口にしたかの情報 |
| 腎臓の他の病気 | 経過の速さ、環境との関わり |
| 共通の要点 | 「どこへ行ったか」が決め手になる |
「発熱+嘔吐+元気がない」という症状の組み合わせは、いくつもの病気で起こります。
そこからレプトスピラ症を疑う手がかりになるのが、環境との関わりです。
だからこそ、行動の記録がそのまま診断を助ける——この病気では、とくにその関係がはっきりしています。
家庭でできる、環境の対策
ワクチンのほかにも、経路を減らす工夫があります。
| 対策 | なぜ効くか |
|---|---|
| 水たまりの水を飲ませない | 口からの経路を断つ |
| 川や池に入れない | 皮膚からの経路を減らす |
| ネズミを寄せつけない | 菌を出す動物を近づけない |
| 庭の水たまりをなくす | 菌が生き残る場所を減らす |
| ドッグフードを外に置かない | ネズミを呼ぶ原因になる |
| 散歩後に足を拭く | 土を家に持ち込まない |
「ドッグフードを外に置かない」——見落とされやすい点です。
庭に置いたままの食器や、袋のまま保管された餌はネズミを呼ぶ原因になります。
ネズミが来れば、その尿が庭に残る。そこを犬が歩き、においを嗅ぐ——
こうして経路が家のすぐそばにできてしまいます。
- 食べ残しは片づけ、屋外に放置しない
- フードは密閉容器で保管する
- 庭にたまった水を抜く
- 物置や床下に、餌になるものを置かない
- 生ゴミの管理を見直す
- ネズミの痕跡があれば、対策を考える
「ネズミが来ない環境を作る」——これは、レプトスピラ症に対する根本的な対策のひとつです。
そして、猫を飼っている家庭や他の動物と接する機会がある場合も覚えておいてください。
この菌はさまざまな哺乳類に感染します。犬だけの病気ではない、という点も頭に置いておいてください。
ワクチンで防げる範囲

レプトスピラのワクチンはノンコアの区分に入ります。
生活環境を考えて、必要な犬に接種する——という位置づけです。
そして、この病気のワクチンには知っておくべき限界があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 血清型 | レプトスピラには複数の型がある |
| ワクチンの範囲 | 含まれる型に対して効く |
| つまり | すべての型を防げるわけではない |
| 国内のワクチン | カニコーラ型・イクテロヘモラジー型などを含む |
| 選び方 | 地域の発生状況に応じて相談する |
| 効果 | 重症化を減らすことが期待できる |
「接種したから絶対に安全」とは言えません。
けれど、含まれる型を防ぎ、重症化を減らすという意味では大きな価値があります。
そして、接種するかどうかの判断は地域と生活で変わります。
- 川や田んぼの近くを散歩する
- キャンプや山、河川敷に連れて行く
- 水遊びをさせる
- ネズミの多い環境で暮らしている
- 発生の報告がある地域に住んでいる
- 旅行で、そうした地域に行く予定がある
これらに当てはまるなら、接種を検討する価値があります。
一方で、レプトスピラのワクチンは他のワクチンに比べて副反応が出やすいと言われることがあります。
接種する犬・しない犬を分けて考える理由のひとつがここにあります。
必要のない犬にまで打つべきものではない——けれど必要な環境にいる犬には意味が大きい——
だからこそ、「うちの犬はどうか」を獣医師と話して決めることになります。
過去に副反応が出たことがあるなら、そのことも必ず伝えてください。
接種のスケジュールや副反応については混合ワクチンの記事で解説しています。
感染症の全体像は犬の感染症の記事で経路ごとに整理しています。
回復したあとの、腎臓
急性期を乗り越えたあとに考えておきたいのが腎臓の後遺症です。
急性腎不全を起こした場合、そのダメージが完全には戻らないことがあります。
| 時期 | 見ておきたいこと |
|---|---|
| 退院直後 | 食欲、飲水量、尿の量 |
| 数週間 | 定期的な血液検査で腎臓の値を追う |
| 数か月 | 体重が戻っているか |
| その後 | 慢性腎臓病へ移行することがある |
| 食事 | 指示があれば、腎臓に配慮したものに |
| 水 | いつでも飲める環境を保つ |
「水をよく飲むようになった」「尿の量が増えた」——
これは、腎臓の働きが落ちているサインであることがあります。
回復したあとも、定期的に血液検査を受けて腎臓の値を追ってください。
そして、菌の排出がいつまで続くかも確認しておく必要があります。
回復した犬がしばらく尿に菌を出し続けることがあるためです。
いつまで手袋を使うべきか、他の犬と会わせてよいのはいつからか——獣医師に確認してから日常に戻してください。
よくある質問
Q. レプトスピラ症とは何ですか?
A. らせん状の細菌による、人にも感染する人獣共通感染症です。ネズミなどが生涯にわたって尿に菌を出し、その尿で汚れた水や土から犬に感染します。
Q. どうやってうつりますか?
A. 口から(汚染された水を飲む、土をなめる)と、皮膚から(傷や粘膜から入る)の2つの経路があります。水に入っただけで感染しうるのは、皮膚からの経路があるためです。
Q. どんな症状が出ますか?
A. 発熱、元気消失、嘔吐から始まり、黄疸(白目や歯ぐきが黄色くなる)と急性腎不全が特徴です。尿が急に増える、または出なくなる——どちらも危険なサインです。
Q. 人にもうつるのですか?
A. うつります。感染した犬は尿と一緒に菌を出し続けることがあり、それに触れた人の皮膚の傷や粘膜から感染する可能性があります。尿の処理には手袋を使い、しっかり手を洗ってください。
Q. 治る病気ですか?
A. 細菌なので、抗菌薬が効きます。ただし腎臓や肝臓が大きく傷んだあとでは回復が追いつかないことがあります。重症例では数時間で死に至ることもあるため、早期の受診が決定的です。
Q. ワクチンで防げますか?
A. すべては防げません。レプトスピラには複数の血清型があり、ワクチンは含まれる型に対して効きます。ただし重症化を減らす効果は期待できます。
Q. うちの犬にワクチンは必要ですか?
A. 住む地域と散歩コースで変わります。川や田んぼの近くを歩く、キャンプに連れて行く、水遊びをさせる——こうした生活なら検討する価値があります。かかりつけの獣医師に相談してください。
まとめ|水たまりの水を、飲ませない
レプトスピラ症は、水と土から来る病気です。
ネズミの尿が環境を汚し、そこを歩いた犬の口や皮膚から入ってきます。
そして、肝臓と腎臓が同時に傷む——黄疸が出て、尿が出なくなる。
重症例では、数時間で命に関わります。
けれど、細菌なので抗菌薬が効きます。早く見つけられれば、打つ手はあります。
そして、この病気は人にもうつります。
水たまりの水を飲ませない。
川や田んぼを歩くなら、ワクチンを相談する。
尿を片づけるときは、手を洗う。
この3つが、犬と家族の両方を守ります。
今日できる3つ
- 1散歩中、水たまりや川の水を飲ませないと決める
- 2住んでいる地域の発生状況を、かかりつけの獣医師に聞いてみる
- 3水辺やキャンプに行く予定があるなら、事前にワクチンを相談する
この病気は、犬だけの問題ではありません。家族の健康にも関わる感染症です。

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