

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫の鼻炎|片方だけの鼻水は、意味が違います」です。ではどうぞ!
くしゃみが出て、鼻水が続いている。そんなとき、多くの方が「猫風邪だろう」と考えます。
たしかに、それがいちばん多い原因です。けれど鼻炎の背景には、ウイルス以外のものが隠れていることもあります。
そこで、まず見てほしいことがあります。鼻水は、両方の鼻から出ていますか。それとも、片方だけですか。
この違いだけで、考えるべき原因がずいぶん変わります。
結論
猫の鼻炎は鼻の粘膜に炎症が起きている状態で、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、咳などがみられます。原因はウイルス感染、細菌感染、真菌(カビ)感染、腫瘍、異物、歯周病などさまざまで、再発したり慢性化したりすることも少なくありません。鼻水は膿が混じったものから透明なものまであり、色と「片側か両側か」が振り分けの手がかりになります。確定診断には内視鏡検査で鼻水の細胞診や鼻粘膜の生検、細菌や真菌の培養検査を行います。治療は感染症なら抗生剤・抗真菌剤・抗炎症剤、異物は摘出、腫瘍は摘出や化学療法・放射線療法、歯が原因なら抜歯や口腔内のケアと、原因ごとに変わります。
この記事でわかること
- ✓「猫風邪」だけではありません
- ✓片方か、両方かを見てください
- ✓鼻水の色にも、意味があります
- ✓子猫のときの風邪が、残ることがあります
- ✓歯が原因のことがあります
- ✓診断は、内視鏡まで行くことがあります
- ✓治療は、原因ごとに変わります
- ✓家でできること
「猫風邪」だけではありません

鼻炎は、病名というより「鼻の粘膜が炎症を起こしている」という状態を指す言葉です。
猫の鼻炎の原因は、ウイルス感染、真菌(カビ)感染、腫瘍、異物、歯周病などがあります。
| 原因 | 特徴 | 手がかり |
|---|---|---|
| ウイルス | 猫風邪。もっとも多い | 両側、くしゃみ、目の症状を伴う |
| 細菌 | 弱った粘膜に重なる | 黄色や緑の、膿のような鼻水 |
| 真菌(カビ) | 鼻の中で増える | 鼻血を伴うことがある |
| 腫瘍 | 鼻腔内にできる | 片側から始まり、顔が腫れてくる |
| 異物 | 草やゴミが入り込む | 急に始まる、激しいくしゃみ |
| 歯 | 上の奥歯の根が鼻に近い | 片側の鼻水と、強い口臭 |
「鼻炎です」と言われたら、その先を確かめる——とくに長引いているときは、その姿勢が大切になります。
片方か、両方かを見てください

家でできる、いちばん早い振り分けがこれです。
鼻の下を拭いてみて、汚れが片側にだけ付くのか、両側に付くのかを見てください。
両側なら、感染やアレルギーを考えます
ウイルスや細菌は、鼻全体に広がります。アレルギーや空気の刺激も、両方の鼻に同じように作用します。
ですから両方から出ているなら、まず感染や環境を考えることになります。
くしゃみを伴い、目の症状もあるなら、猫風邪からの流れである可能性が高くなります。
片側だけなら、そこに何かがあります
問題は、片方だけの場合です。
ウイルスは片方の鼻だけを選びません。片側にだけ症状が出ているなら、その側に物理的な何かがあると考えます。
- 草の種やゴミが、鼻腔に入り込んでいる
- 鼻の中に、できものができている
- 上の奥歯の根に、問題がある
- 真菌が、片側で増えている
- 過去のけがで、片側の構造が変わっている
- ポリープができている
片側の鼻水が何週間も続いている——これは、調べる理由としてじゅうぶんです。
受診のとき、こう伝えてください
「片方の鼻からだけ出ています」「もう三週間続いています」「色は黄色っぽいです」
この三つがそろっていると、検査の進み方が変わります。「くしゃみをします」だけでは、そこまでたどり着けません。
くしゃみのしかたも、手がかりになります
同じくしゃみでも、始まり方と激しさで見当がつくことがあります。
じわじわ増えてきたくしゃみなら、感染や環境の刺激。けれどある瞬間から急に、激しく連続してくしゃみをし始めたなら、異物が入り込んだ可能性を考えます。
庭に出る猫では、草の種や小さな植物のかけらが鼻に入り込むことがあります。猫はそれを出そうとして、激しくくしゃみをくり返します。
このとき、前足で鼻をこすったり、顔を床にこすりつけたりする様子も見られます。「今日の午後から急に」という始まり方だったなら、受診のときに必ず伝えてください。
鼻水の色にも、意味があります

猫の鼻炎では、膿が混じった鼻水や、透明な鼻水、咳、くしゃみなどの症状がみられます。
色は、どの段階にいるかを教えてくれます。
透明から、色つきへ
始まったばかりのころは、透明でさらさらした鼻水が多いものです。ウイルスやアレルギーによるものは、この段階から始まります。
そこに細菌が加わってくると、白く濁り、やがて黄色や緑がかった膿のようになります。
色がついてきた=細菌が重なってきたと考えると、抗生物質が使われる理由が分かりやすくなります。
血が混じるときは、別の話です
鼻血が混じる場合は、少し別の可能性を考えます。
鼻の中の腫瘍では、症状は鼻水やくしゃみから始まり、悪化すると鼻血が出たり、鼻のあたりが腫れて顔が変形してしまいます。
真菌の感染でも、鼻血が出ることがあります。色つきの鼻水に血が混じり始めたら、その時点で詳しく調べてもらってください。
子猫のときの風邪が、残ることがあります
慢性の鼻炎で来院する猫の背景に、子猫のころの猫風邪があることは少なくありません。
重い猫風邪では、鼻の中の粘膜や、その奥にある細かい構造が傷んでしまうことがあります。そこが治りきらないと、あとに残ります。
傷んだ粘膜は、細菌がすみつきやすくなります。だから体調を崩すたびに、鼻水がぶり返す——そういう猫がいます。
ウイルスが残っている場合もあります
猫ヘルペスウイルス感染症では、一度感染すると生涯にわたってウイルスを保有します。
ストレスや体力の低下で、そのウイルスがまた動き出す。そのたびに鼻の症状がぶり返すということが起こります。
猫カリシウイルス感染症も、口の症状とあわせて鼻に出ます。
こうした猫では、完全に治すというより、落ち着いている時間を長く保つという考え方になります。
慢性化した猫との、付き合い方
- 体調を崩す前に、環境を整えておく
- 乾燥する季節は、湿度を保つ
- ぶり返したら、早めに受診する
- 鼻のまわりを、こまめに拭いてやる
- 食欲が落ちていないか、体重で確かめる
- ストレスになる変化を、重ねない
ぶり返す猫では、早く手を打てるかどうかがそのまま暮らしやすさになります。
歯が原因のことがあります
意外に思われるかもしれませんが、歯の問題が鼻炎を起こすことがあります。
猫の上の奥歯は、その根が鼻腔のすぐ近くにあります。歯の根に炎症が起きると、そこから鼻へ抜けてしまうことがあるのです。
| こんなときに疑います | なぜか |
|---|---|
| 片側だけの鼻水 | 問題のある歯の側にだけ出るため |
| 強い口臭がある | 歯の周りで炎症が起きているため |
| 抗生物質でいったん治る | 薬をやめると、また戻ってくる |
| 頬が腫れている | 歯の根に膿がたまっていることがある |
| 硬いものを避ける | 噛むと痛むため |
| 高齢の猫 | 歯周病が進んでいることが多い |
歯ぐきの炎症を指摘されたことがあるなら、鼻の症状とあわせて相談してみてください。
この場合は、歯を治さないかぎり鼻も治りません。抗生物質でくり返しごまかしていると、長引くばかりになります。
診断は、内視鏡まで行くことがあります
軽い鼻炎なら、症状と経過で判断して治療を始めます。けれど長引く場合、片側の場合、血が混じる場合は、そこで止まりません。
内視鏡検査で、鼻水の細胞診や鼻粘膜の生検、細菌や真菌の培養検査を行い、確定診断をします。
| 検査 | 分かること |
|---|---|
| 身体検査 | 片側か両側か、顔の腫れがないか |
| 鼻水の細胞診 | どんな細胞が出ているか |
| 培養検査 | 細菌や真菌がいるか、どの薬が効くか |
| 内視鏡検査 | 鼻の中を直接見る。異物やできものが分かる |
| 生検 | 粘膜の組織を採り、腫瘍かどうかを確かめる |
| 画像検査 | 骨の変化、歯の根の状態を見る |
内視鏡や生検には麻酔が必要です。そのためまず内科的な治療を試し、反応を見てから進むという流れになることもあります。
いつ、そこまで進むべきか
目安として、次のようなときは詳しく調べる価値があります。
- 治療しても、二〜三週間よくならない
- 片側だけの症状が続いている
- 鼻血が混じるようになった
- 顔の形が変わってきた、片側が腫れている
- 薬をやめると、すぐ戻ってしまう
- 体重が落ちてきている
顔の形の変化は、とくに見逃さないでください。正面から見て左右が違うなら、その日のうちに相談してください。
治療は、原因ごとに変わります
感染症であれば、抗生剤、抗真菌剤、抗炎症剤などの内科治療を行います。異物は摘出が必要になり、腫瘍は摘出や化学療法、放射線療法などの治療を行います。歯が原因の場合は、抜歯や口腔内のケアを行います。
原因を確かめないまま抗生物質だけを続けても、根本には届きません。長引いているなら、そこを疑ってください。
🩺 獣医療の現場では
「抗生物質を飲むと治るけれど、やめると戻る」——この訴えは、裏に別の原因がある合図であることがよくあります。
異物、歯の根、腫瘍。細菌はそのうえに重なっているだけだとすれば、薬をやめれば戻るのは当然です。同じ薬を三度めに出されたときは、「原因を調べる方法はありますか」と聞いてみてください。
家でできること

鼻炎では、家での手当てが治りを助けます。とくに大切なのが鼻の通りを確保することです。
鼻がつまると、食べなくなります
猫は、においで食欲が動きます。鼻がつまってにおいが分からなくなると、食べなくなります。
これが、鼻炎でいちばん困ることです。ごはんを少し温めて、においを立たせてください。
- 固まった鼻水は、ぬるま湯で湿らせて拭き取る
- ごはんを人肌に温めて、においを強くする
- ウェットフードに切り替えてみる
- 部屋の湿度を保ち、乾燥させない
- 暖かく、静かな場所で休ませる
- 体重を測って、減っていないか確かめる
湿度は、意外に効きます。乾いた空気は鼻の粘膜を刺激し、症状を悪くします。冬に症状が重くなる猫では、これだけで違いが出ることもあります。
空気の中にあるものを、見直してみてください
感染でもないのに、くしゃみと鼻水が続く。そういうときは、猫が吸っている空気を疑ってみる価値があります。
- 猫砂の粉が、大量に舞っていないか
- 芳香剤や消臭スプレーを使っていないか
- 香りの強い柔軟剤を使っていないか
- タバコの煙が、部屋にこもっていないか
- 掃除のときに、ほこりを舞い上げていないか
- 暖房で、空気が乾ききっていないか
猫は人よりずっと低い位置で暮らしています。床に近いところに漂うものを、そのまま吸っています。
とくに猫砂を粉の少ないものに替えるだけでくしゃみが減ることがあります。薬より先に、試してみる価値のある変更です。
加湿器を使うときの注意
加湿器を使う場合は、本体を清潔に保つことを忘れないでください。
水をためたまま放置すると、そこで増えたものを空気中にまくことになります。鼻を守るつもりが、逆の結果になりかねません。
水はこまめに替え、タンクは定期的に洗って乾かしてください。
目安としては、猫が過ごす部屋で四割から六割ほどの湿度があればじゅうぶんです。上げすぎると、今度はカビが心配になります。
よくある質問
Q. 猫の鼻炎とは、どんな状態ですか?
A. 鼻の粘膜に炎症が起きている状態です。くしゃみ、鼻水、鼻づまり、咳などがみられます。病名というより、いろいろな原因で起こる「状態」を指す言葉です。
Q. 原因には何がありますか?
A. ウイルス感染、細菌感染、真菌(カビ)感染、腫瘍、異物、歯周病などです。もっとも多いのは猫風邪からの流れですが、それだけではありません。
Q. 片方の鼻からだけ出ています
A. その側に、物理的な原因があるかもしれません。ウイルスは片方の鼻だけを選びません。異物、腫瘍、歯の根の問題などを考えて調べる価値があります。
Q. 鼻水の色に意味はありますか?
A. あります。透明でさらさらなら始まったばかり、白く濁ってきたら炎症が続いている段階、黄色や緑なら細菌の二次感染、血が混じるなら腫瘍や真菌も考えます。
Q. 鼻血が混じっています
A. 詳しく調べたほうがよい状態です。鼻腔内腫瘍では、鼻水やくしゃみから始まり、悪化すると鼻血が出たり顔が変形したりします。真菌感染でも鼻血が出ることがあります。
Q. 何度もくり返します
A. 子猫のころの猫風邪が背景にあることがあります。傷んだ粘膜には細菌がすみつきやすく、体調を崩すたびにぶり返します。ヘルペスウイルスが体内に残っていて、再燃していることもあります。
Q. 歯が原因になることがあるのですか?
A. あります。猫の上の奥歯は、根が鼻腔のすぐ近くにあります。片側の鼻水と強い口臭がそろっているときは、歯の問題を考えます。
Q. どうやって診断しますか?
A. 長引く場合は、内視鏡検査まで進むことがあります。鼻水の細胞診、鼻粘膜の生検、細菌や真菌の培養検査を行って確定診断をします。
Q. 治療はどうしますか?
A. 原因ごとに変わります。感染症なら抗生剤・抗真菌剤・抗炎症剤、異物は摘出、腫瘍は摘出や化学療法・放射線療法、歯が原因なら抜歯や口腔内のケアを行います。
Q. 薬をやめると戻ってしまいます
A. 裏に別の原因がある合図かもしれません。異物や歯の根、腫瘍の上に細菌が重なっているだけなら、薬をやめれば戻るのは当然です。原因を調べる方法があるか、聞いてみてください。
Q. 家でできることはありますか?
A. 鼻の通りを確保してあげてください。固まった鼻水をぬるま湯で湿らせて拭き取り、ごはんを温めてにおいを立たせ、部屋の湿度を保ちます。
Q. いつ受診すべきですか?
A. 食べられていないなら、すぐに。そのほか、二〜三週間よくならない、片側だけ続く、鼻血が混じる、顔の形が変わってきた——こうしたときは、詳しく調べてもらってください。
まとめ|長引く鼻水には、理由があります
くしゃみと鼻水は、猫ではよくある症状です。その多くは猫風邪で、時間とともに落ち着いていきます。
けれど長引くもの、片側だけのもの、血が混じるもの——これらは、別の話として扱う必要があります。
家で確かめられるのは、片方か両方か、そして色の二つです。この二つを伝えるだけで、検査の進み方が変わります。
そして、鼻がつまって食べられなくなることがこの症状のいちばんの危険です。においを立たせ、鼻を拭いてやってください。
くしゃみくらい、と思われがちな症状です。けれど猫にとって鼻は、食べるかどうかを決める器官でもあります。そこがふさがることの意味は、人が思うより大きいのです。
今日できる3つ
- 1鼻の下を拭いて、汚れが片側か両側かを確かめる
- 2鼻水の色を見て、透明か色つきか、血がないかを見る
- 3食べる量が落ちていないか、体重を量って確かめる
鼻炎は、病名ではなく状態の名前です。長引くなら、その先を調べてもらってください。

本日の「犬猫の悩みを即解決!」の記事「猫の鼻炎|片方だけの鼻水は、意味が違います」でした。
下記の#タグキーワードからも、関連記事を検索できます。
Others 同じカテゴリの記事 |

猫の眼球摘出|見た目より、痛みを見てあげてください |
猫のブドウ膜炎|目なのに、血液検査をする理由 |
猫の角膜黒色壊死症|待つか、削るかの選び方 |
猫のコクシジウム症|消毒液では、死にません |
猫の膝蓋骨脱臼|スキップするような歩き方をしませんか |
猫の股関節形成不全|症状が出るのは、三割ほどです |




