ネコの病気    猫カリシウイルス感染症|こちらは、口に出ます

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猫カリシウイルス感染症|こちらは、口に出ます
猫カリシウイルス感染症
モフ@ペット好き

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫カリシウイルス感染症|こちらは、口に出ます」です。ではどうぞ!

猫風邪と呼ばれる病気には、いくつかの原因があります。そのうち代表的なものが二つ——ヘルペスウイルスとカリシウイルスです。

症状はよく似ていますが、いちばん強く出る場所が違います。

ヘルペスウイルスは目に、カリシウイルスは口に出ます。そして、口の痛みは食べることに直結します。

この病気で猫を苦しめるのは、くしゃみや鼻水ではありません。食べたいのに、痛くて食べられないことです。

結論

猫カリシウイルス感染症はくしゃみ・鼻水などの上部気道の症状に加えて、舌や口腔内に水疱と潰瘍が多発するのが特徴の感染症です。猫ウイルス性鼻気管炎(ヘルペスウイルス)が目やに・くしゃみ・鼻水を主な症状とするのに対し、こちらは口内炎や舌炎が見られるのが特徴になります。ほかに流涙、肺炎、発熱、元気消失、食欲不振、そして関節炎(子猫跛行症候群)が見られることもあります。近年は強毒全身性カリシウイルス感染症も報告されており、皮下浮腫、頭部や下肢の潰瘍、黄疸、腸炎、血液凝固異常などを起こし、成猫の致死率は50%以上にのぼるとされます。ワクチンは通常3種以上の混合ワクチンに含まれ、すべての猫に接種が推奨されるコアワクチンのひとつです。

この記事でわかること

  • 同じ猫風邪でも、出る場所が違います
  • 口の中に、潰瘍ができます
  • 痛くて、食べられなくなります
  • 足を引きずることがあります
  • 重い型が報告されています
  • 治療と、家での支え方
  • ワクチンは、すべての猫にすすめられます
  • 多頭飼いで気をつけること

同じ猫風邪でも、出る場所が違います

二つの猫風邪の違い
見る場所が、はっきり分かれます。

どちらのウイルスでも、くしゃみと鼻水は出ます。見分けの手がかりになるのは、そこに何が加わっているかです。

二つを並べると
ヘルペスウイルス カリシウイルス
強く出る場所
特徴的な症状 目やに、充血、角膜潰瘍 舌や口蓋の潰瘍・水疱
よだれ 目立たない 増えることが多い
足の症状 出ない 跛行が出ることがある
治ったあと 生涯潜伏し、再発する しばらく排出が続くことがある
重い型 強毒全身性のものが報告されている

猫ヘルペスウイルス感染症は、目にはっきり出ます。対してこちらは、口を開けて初めて分かることが多いものです。

両方にかかることもあります

この二つは、別のウイルスです。片方にかかったからといって、もう片方にかからないわけではありません。

実際、両方が同時に関わっていることもあります。目にも口にも症状が出ているなら、どちらか一方と決めつけないほうがよいということです。

ワクチンに両方が含まれているのは、そのためでもあります。

どこからもらってくるのか

このウイルスは、感染した猫との接触や、体液を介して広がります。くしゃみの飛沫、なめ合い、食器の共有——猫どうしが近くにいる場面のほとんどが経路になります。

広がりやすい場面
もらいやすい場面 なぜ広がるのか
保護施設や譲渡会 多くの猫が集まり、環境も共有される
多頭飼いの家 食器やトイレを通じて回りやすい
外に出る猫 ほかの猫との接触が避けられない
ペットホテル・入院 知らない猫と同じ空間で過ごす
人の持ち込み 衣類や手を介して、室内にも入りうる
迎えたばかりの子猫 すでに持っていることがある

最後の項目は、見落とされやすいところです。元気に見える子猫が、すでにウイルスを持っていた——そして環境が変わった負担で発症する、というのはよくある流れです。

迎えたばかりの猫は、しばらく部屋を分けて様子を見るのが安全です。

口の中に、潰瘍ができます

口のサイン
顔まわりを、見てあげてください。

このウイルスの特徴は、舌や口腔内の水疱形成と潰瘍が多発することです。

できるのは、舌の表面や縁、口の天井(口蓋)、歯ぐきの近くなど。やわらかい粘膜のあるところに現れます。

見えるところと、見えないところがあります

口を開けさせるのは、痛がっている猫では難しいものです。無理にこじ開けようとせず、外から分かる合図で判断してください。

  • よだれが増え、口のまわりや胸元が濡れている
  • 食べたそうに近づくのに、口をつけない
  • 口に入れても、途中で落としてしまう
  • 食べながら顔をしかめる、頭を振る
  • 口臭が強くなってきた
  • 前足で口のあたりを気にする
  • 毛づくろいをしなくなった

「食べたいのに食べない」——この形は、痛みを強く示しています。食欲そのものがない場合とは、意味が違います。

口内炎としてあとに残ることもあり、慢性的な口の炎症の原因のひとつとしてこのウイルスが挙げられます。

痛くて、食べられなくなります

食べられないときの支え方
痛みを取ることが、そのまま治療になります。

この病気でいちばん危ないのは、食べられない状態が続くことです。

鼻がつまってにおいが分からず、そのうえ口が痛い。食欲があっても、食べる行為そのものができません。

とくに子猫では、数日食べないだけで体力が尽きてしまいます。

まず、痛みを取ってもらってください

家でできる工夫の前に、受診が先です。痛みを抑える薬で、食べられるようになることがあります。

痛み止めや、口の中に使う薬、細菌の二次感染を抑える抗生物質——組み合わせは状態によって変わります。

「食べないので、様子を見ています」という時間が、この病気ではいちばん体力を削ります。

食べさせる工夫

  • ウェットフードを、ぬるま湯でのばしてなめらかにする
  • 少し温めて、においを立たせる
  • 粒の大きいドライフードは、ふやかす
  • 一度に食べられないぶん、回数を分けて出す
  • 浅めの皿にして、口をつけやすくする
  • 食べられなくても、水分だけは確保する

「飲み込みやすい形」より「口に触れて痛くない形」を考えると、うまくいくことが多いものです。

⚠ この様子なら、その日のうちに

  • 丸一日、まったく食べていない
  • 水も飲めていない
  • よだれが止まらない
  • 呼吸が苦しそう、口を開けて息をする
  • ぐったりして、動かない
  • 顔や足がむくんできた

最後の項目は、重い型を疑う合図です。むくみと潰瘍が同時に出ているときは、急いでください。

足を引きずることがあります

風邪の話をしていたのに足、と思われるかもしれません。けれどこのウイルスでは、関節炎(子猫跛行症候群)が見られることがあります。

肺炎や跛行が認められるのも、このウイルスの特徴として挙げられています。

子猫が急に足を引きずり始め、熱が出て、動きたがらない——そんなときに、この病気が背景にあることがあります。

けがと間違えられやすいところです

外に出る猫であれば、「どこかでぶつけたのだろう」と考えるのが自然です。

けれど複数の足に出ている、熱がある、くしゃみもある——そうした場合は、けが以外の可能性を考えます。

この跛行は、多くの場合数日で自然に落ち着いていきます。とはいえ、痛みは痛みです。受診して確かめてもらってください。

重い型が報告されています

重い型で起きること
数は多くありませんが、知っておく意味があります。

この病気の多くは、数日から一週間ほどで落ち着いていきます。けれど、知っておいていただきたい型があります。

近年、強毒全身性カリシウイルス病というものも報告されており、成猫でひどい全身性の炎症や多臓器不全を起こすこともあります。

通常の症状に、別のものが加わります

強毒株のウイルスによって強毒全身性カリシウイルス感染症が起こると、症状は非常に重篤となり、通常のカリシウイルスの症状に加え、皮下浮腫、頭部や下肢の潰瘍、黄疸、腸炎、血液凝固異常などを起こします。

そして成猫の致死率は50%以上にのぼるとされています。

怖がらせたいわけではありません。この型は多いものではないからです。ただ「猫風邪だから様子を見よう」で済ませない理由として、知っておく価値があります。

成猫でも、油断できないということ

ふつうの猫風邪は、子猫でこそ重くなり、成猫では軽く済むことが多いものです。

けれどこの型は違います。成猫でひどい全身性の炎症を起こすことがある——そこが、ほかと異なる点です。

顔や足のむくみ、皮膚の潰瘍、白目の黄色み。風邪の症状にこれらが重なったときは、迷わず受診してください。

治療と、家での支え方

このウイルスそのものを消す薬は、確実なものがありません。治療は症状をやわらげ、体力を保つことが中心になります。

行われること
治療 内容
痛みを取る薬 口の痛みを抑え、食べられる状態に戻す
抗生物質 傷ついた粘膜での二次感染を抑える
点眼薬 目の症状があれば、あわせて使う
点滴・栄養補給 食べられないあいだの体力を支える
ネブライザー 鼻や気道の通りをよくすることがある
環境の管理 暖かく静かな場所で休ませる

回復のあとも、しばらくは広げます

症状が落ち着いても、しばらくはウイルスを排出し続けることがあります。

同居猫がいる場合、元気になったからすぐ一緒に、とはいかないということです。

どのくらい分けておくべきかは、状態によります。いつから合流させてよいかを、受診のときに聞いておいてください。

回復までの目安

多くの猫では、数日から一週間ほどで山を越えます。口の潰瘍は、痛みが引けば食べられるようになり、そこから体力が戻っていきます。

ただし、口の粘膜が治るには少し時間がかかります。食べる量が戻るまで、二週間近くかかることもめずらしくありません。

目安として見ておきたいのは、よだれが減っているか、食べる量が増えているかの二つです。この二つが動いていれば、回復に向かっています。

逆に、三日たっても食べる量が増えないなら、痛みが取れていないか、別の問題が重なっている可能性があります。そのときは、もう一度受診してください。

ワクチンは、すべての猫にすすめられます

猫カリシウイルスにはワクチンがあり、通常3種以上の混合ワクチンに含まれています。

コアワクチン3種——猫汎白血球減少症、猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症——は、すべての猫に接種が推奨されます。

完全室内飼育の猫でも同じです。飼い主の衣類や靴に付いて持ち込まれることがあるためです。

ただし、防ぎきれるわけではありません

ワクチンをしたから完全にかからない、というわけではありません。けれど発症時の症状を軽減できます。

このウイルスには型がいくつもあり、ワクチンがすべてを覆えるわけではないためです。

それでも打つ意味があるのは、重くなるかどうかが変わるからです。とくに子猫では、その差が生死を分けることがあります。

🩺 獣医療の現場では

「室内飼いなのにワクチンは必要ですか」——よく聞かれる質問です。

コアワクチンは、すべての猫にすすめられるものです。外に出さなくても、人が持ち込むことがあります。そして、いざかかったときの重さが変わります。

多頭飼いで気をつけること

このウイルスは、接触や、くしゃみの飛沫、食器の共有で広がります。多頭飼いの環境では、あっという間に回ることがあります。

  • 症状が出ている猫は、部屋を分ける
  • 食器・水皿・トイレを分ける
  • 使ったものは洗って、よく乾かす
  • 世話は、健康な猫を先、症状のある猫を後にする
  • 世話のあいだに手を洗う
  • 新しい猫は、しばらく分けてから合流させる

順番を変えるだけでも、手を介した広がりはずいぶん減らせます。

消毒のこと

このウイルスは、環境の中でしぶとく残ります。ふつうのアルコール消毒では効きにくいことが知られています。

そのため、塩素系の消毒薬を薄めて使うことがすすめられます。使い方は製品によって違いますので、獣医師に確認してください。

そして洗って乾かすことそのものにも意味があります。食器やおもちゃは、まめに洗って乾かしてください。

よくある質問

Q. 猫カリシウイルス感染症とは、どんな病気ですか?

A. くしゃみや鼻水に加えて、舌や口腔内に水疱と潰瘍ができる感染症です。猫風邪のひとつですが、口の症状が出るのが特徴になります。

Q. ヘルペスウイルスとは、どう違いますか?

A. 出る場所が違います。猫ウイルス性鼻気管炎(ヘルペスウイルス)は目やに・くしゃみ・鼻水が主な症状ですが、カリシウイルスでは口内炎や舌炎が見られるのが特徴です。

Q. 両方にかかることはありますか?

A. あります。別のウイルスなので、片方にかかったからもう片方にかからない、ということはありません。同時に関わっていることもあります。

Q. どんな症状が出ますか?

A. 上部気道の症状、口内炎、流涙、肺炎、発熱、元気消失、食欲不振などです。関節炎(子猫跛行症候群)が見られることもあります。

Q. 食べてくれません

A. 口の痛みで食べられないことが多いものです。まず受診して痛みを抑える薬を出してもらってください。そのうえで、ウェットフードをぬるま湯でのばし、少し温めてにおいを立たせると食べやすくなります。

Q. 足を引きずっています。関係ありますか?

A. 関係することがあります。このウイルスでは跛行が認められることがあり、子猫跛行症候群と呼ばれています。複数の足に出ている、熱がある、くしゃみもあるなら、けが以外も考えます。

Q. 重い型があると聞きました

A. 強毒全身性カリシウイルス感染症が報告されています。通常の症状に加えて皮下浮腫、頭部や下肢の潰瘍、黄疸、腸炎、血液凝固異常などを起こし、成猫の致死率は50%以上にのぼるとされます。

Q. どうやって診断しますか?

A. 症状と経過から判断し、必要に応じて遺伝子検査を行います。口の中の潰瘍が確認できれば、このウイルスが強く疑われます。

Q. 治療はどうしますか?

A. 症状をやわらげ、体力を保つ治療が中心です。痛みを取る薬、二次感染を抑える抗生物質、食べられないあいだの点滴や栄養補給などを組み合わせます。

Q. ワクチンで防げますか?

A. 完全には防げませんが、発症時の症状を軽減できます。通常3種以上の混合ワクチンに含まれ、すべての猫に接種が推奨されるコアワクチンのひとつです。

Q. 人にうつりますか?

A. うつりません。猫のあいだで伝わるウイルスで、人が感染するものではありません。気をつけるべきは、ほかの猫への広がりのほうです。

Q. 治ったあと、すぐ同居させてよいですか?

A. しばらく分けておいてください。症状が落ち着いても、しばらくウイルスを排出し続けることがあります。いつから合流させてよいかを、受診のときに聞いておくと確実です。

まとめ|口を痛がっていないか、見てください

同じ猫風邪でも、このウイルスは口に出ます。舌や口蓋の潰瘍が、食べることを妨げます。

だから、この病気で見るべきは「食べたいのに食べないかどうか」です。よだれ、口臭、食べながら顔をしかめる——そうした様子が、痛みを教えてくれます。

そして、痛みは取ることができます。食べられるようになれば、体は自分で乗り越えていきます。

「食べないので様子を見ています」——この病気では、その時間がいちばん体力を削ります。痛みを取るために、早めに受診してください。

今日できる3つ

  • 1よだれで胸元が濡れていないか、口のまわりを見てみる
  • 2食べたそうにするのに口をつけない様子がないか確かめる
  • 3コアワクチンを受けているか、記録を確かめておく

この病気の苦しさは、痛みにあります。痛みを取ることが、そのまま治療になります。

モフ@ペット好き

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