

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫の耳血腫|腫れは結果です、原因は別にあります」です。ではどうぞ!
猫の耳が、パンパンに膨らんでいる。
触るとぶよぶよして、水風船のような感触がする。
それは耳血腫——耳のひらひらの中に、血がたまった状態です。
けれど、この腫れは病気そのものではありません。かゆくて振り続けた、その結果です。
結論
耳血腫は耳介(耳のひらひら)の内部で出血が起こり、血がたまって腫れる状態です。頭を振ったりかいたりすることで耳介が刺激され、起こると考えられており、アトピーやアレルギー、外耳炎によるかゆみのある猫で多く見られます。猫では、ほかの猫とのけんかによる外傷から起こることもあります。こわいのは放っておくと血が固まり、「カリフラワー耳」と呼ばれる耳の変形が起こることです。治療は針でたまった液を抜き、包帯で圧迫して再貯留を防ぐ方法と、切開して排出し、耳介を縫合して腫れを防ぐ手術があり、手術のほうが再発の危険は低くなります。そして再発はよく見られるため、耳のかゆみの原因そのものを治療する必要があります。
この記事でわかること
- ✓腫れているのは、耳のひらひらです
- ✓振ることが、引き金になります
- ✓だから、原因が別にあります
- ✓放っておくと、形が戻りません
- ✓抜くだけでは、また たまります
- ✓手術という選択
- ✓けんかの傷から起こることもあります
- ✓再発を防ぐには
腫れているのは、耳のひらひらです

耳血腫で膨らむのは、耳介——つまり、外から見える耳のひらひらした部分です。
ここは、薄い皮膚と軟骨が重なってできています。
そのあいだに血がたまると、耳が厚く、ぶよぶよに膨らみます。
触れば、すぐに分かります
見た目にも分かりますが、触ったときの感触が決定的です。
ぶよぶよ、たぷたぷしている——水の入った袋のような手ざわりになります。
- 耳のひらひらが、厚く膨らんでいる
- 触ると、ぶよぶよする
- その部分が、少し熱い
- 触られるのを、強く嫌がる
- たいてい、片側だけに出ている
- その耳を、しきりにかいていた
耳が重くなるため、その側に頭が傾くこともあります。
猫は痛がります。無理に触らず、確かめたら受診してください。
振ることが、引き金になります

頭を振ったりかいたりすることで耳介が刺激され、起こると考えられています。
耳には、細い血管がたくさん通っています。
激しく振り続ければ、その血管が切れてしまうことがあります。
勢いよく振ることが、負担になります
猫が頭を振るとき、耳のひらひらは大きくしなります。
薄い組織が何度もしなれば、中の血管に無理がかかります。
そして、後ろ足でかき続ければそこにも力が加わります。
かゆみが強いほど、激しく振り、激しくかく——だから、かゆみの強い病気で起こりやすくなります。
だから、原因が別にあります
この病気で、いちばん大事なところです。
アトピーやアレルギー、外耳炎によるかゆみのある猫で多く見られます。
つまり耳血腫は、かゆみの結果です。
| 背景にあるもの | 確かめること |
|---|---|
| 外耳炎 | 耳垢の色、におい、赤みを見る |
| 耳ヒゼンダニ | 黒い砂のような耳垢がないか |
| マラセチア | 茶褐色でべたつく耳垢、独特のにおい |
| アレルギー | ほかの場所にもかゆみが出ていないか |
| けんかの外傷 | 咬み傷やひっかき傷がないか |
| 耳のできもの | 片側だけくり返す場合に考える |
腫れを治しても、かゆみが残っていればまた同じことが起こります。
両方を、同時に進めます
この病気の治療は二本立てになります。
たまった血を出すことと、かゆみの原因を治すこと——この二つを同時にやらないかぎり、抜いても抜いても戻ります。
急に大きくなることがあります
耳血腫は、じわじわ大きくなることも、一晩で膨らむこともあります。
血管が切れた勢いによって、短時間でたまってしまうことがあるためです。
「昨日までは何ともなかったのに」という経過をたどることも、めずらしくありません。
その場合でも、やることは変わりません。早く受診して、たまったものを出してもらうことです。
放っておくと、形が戻りません

この病気で、急ぐ理由がここにあります。
放っておくと血が固まり、「カリフラワー耳」と呼ばれる耳の変形が起こります。
固まると、縮んでいきます
たまった血は、時間とともに固まり、線維に置き換わっていきます。
そして、その部分が縮んで硬くなります。
結果として、耳は厚く、しわが寄って、縮んだ形になります。
その姿がカリフラワーのように見えるため、そう呼ばれています。
そうなってからでは、形は元に戻りません。
見た目だけの問題ではありません
耳が縮んで変形すると、耳の穴もふさがりやすくなります。
そうなれば外耳炎がさらに治りにくくなる——悪循環に入ります。
耳の形を保つことは、そのあとの耳の健康にもつながります。
⚠ その日のうちに、受診してください
- 耳が厚く膨らんでいる
- 触ると、ぶよぶよする
- その部分が熱を持っている
- 触られるのを強く嫌がる
- 頭がその側に傾いている
- 激しく耳をかいていた
時間がたつほど、形が戻りにくくなります。「様子を見よう」で待つ理由のない病気です。
自分で抜こうとしないでください
水がたまっているだけなら、自分で抜けるのではと考えたくなります。
けれど、これはやめてください。
清潔でない針を刺せば、そこから細菌が入ります。耳の中で膿がたまれば、事態はさらに悪くなります。
そして、耳介には細かい構造が詰まっています。傷つければ、変形の原因にもなります。
押しつぶそうとするのも危険です。痛がりますし、内部の組織を傷めます。
抜くだけでは、また たまります

治療のひとつめは、針でたまった血を抜く方法です。
たまった液を抜き、包帯で耳を巻いて再貯留を防ぎます。
軽度の場合は、これを何度かくり返すことがあります。
空間が、残ってしまいます
血を抜いても、それがたまっていた空間はそのまま残ります。
だから、しばらくするとまた たまってきます。
包帯で圧迫するのは、その空間をつぶしておくためです。
けれど、猫は包帯を嫌がります。取れてしまえば、また膨らみます。
何度もくり返すこともあります
抜いては、たまる——この繰り返しになることがあります。
そのたびに、猫は押さえつけられ、針を刺されます。
結局のところ、猫にとっても飼い主にとっても負担が大きくなっていくことがあります。
「何度目ですか」を考えて、次の方法を相談する時期を決めておいてください。
治療後の、経過
処置のあとは、また たまってこないかを見ていくことになります。
| 見ること | 何が分かるか |
|---|---|
| 耳の厚み | また膨らんできていないか |
| 包帯やカラー | 外れていないか、はずしていないか |
| かゆがり方 | 原因の治療が効いているか |
| 傷の様子 | 手術した場合、腫れや汁が出ていないか |
| 耳の形 | 縮んできていないか |
| 再診 | 決められた日に、必ず受ける |
エリザベスカラーを使うことが多くなります。
猫は嫌がりますが、また かいてしまえば元に戻ります。外すタイミングは、獣医師と決めてください。
手術という選択
もうひとつの方法が手術です。
切開して液を排出し、耳介を縫合して腫れを防ぎます。
抜くだけの治療にくらべて、再発の危険は低くなります。
空間そのものを、なくします
手術では、皮膚と軟骨のあいだの空間をふさぎます。
縫い合わせることで、血がたまる余地をなくしてしまうのです。
そのため再発が少なく、耳の形も保ちやすくなります。
ドレーンという管を入れて、たまるものを外へ出す方法が取られることもあります。
麻酔について
手術には麻酔が必要です。
高齢の猫や、持病のある猫ではそこが判断の分かれ目になります。
血液検査で全身の状態を確かめてから決めることになります。
「どちらがよいか」は、腫れの大きさ、猫の年齢、これまでの経過で変わります。
それぞれの利点と負担を聞いてから選んでください。
🩺 獣医療の現場では
この病気で確かめておきたいのは「かゆみの原因は何ですか」という質問です。
腫れの処置に目が行きがちですが、そちらが本体です。原因が分からないまま抜き続けても、終わりが見えません。
犬とは、少し事情が違います
耳血腫は、犬でもよく見られる病気です。
| 犬 | 猫 | |
|---|---|---|
| 頻度 | 比較的よく見られる | 犬より少ない |
| 多い背景 | 垂れ耳での外耳炎 | 耳ダニ、アレルギー、けんか |
| 耳の形 | 垂れ耳では蒸れやすい | 立ち耳で、通気はよい |
| けんか | 原因になることは少ない | 外に出る猫では、原因になる |
| 共通するのは | 振る・かくことが引き金 | 原因を治さないと再発する |
猫は立ち耳のため、犬ほど耳が蒸れません。
そのぶん、猫で耳血腫が起きたときは耳ダニやけんかを考えることになります。
けんかの傷から起こることもあります
かゆみ以外の原因もあります。
猫では、ほかの猫とのけんかによる外傷から起こることもあります。
咬まれたり、引っかかれたりしたときに耳介の血管が切れるのです。
外に出る猫では、こちらも考えます
耳垢もきれいで、かゆがってもいない——けれど耳が腫れている。
そういう場合はけがを考えます。
耳のまわりに咬み傷がないかを確かめてください。
咬み傷があれば、そこから細菌が入って膿がたまることもあります。
「けんかをしたようです」という情報は、そのまま診断の手がかりになります。外に出す暮らしなら、その点も伝えてください。
耳が膨らむ、ほかの原因
耳が腫れる原因は、血腫だけではありません。
| 考えられるもの | 見分けの手がかり |
|---|---|
| 耳血腫 | ぶよぶよして、押すと動く感触 |
| 膿瘍 | 咬み傷がある。熱と痛みが強い |
| 腫瘍 | 硬い。じわじわ大きくなる |
| 虫刺され | 急に腫れる。左右に出ることも |
| 疥癬による肥厚 | かさぶたを伴い、厚くなる |
| どれであっても | 触って確かめてから、受診する |
硬いか、やわらかいか——触ったときの感触が、大きな手がかりになります。
硬くて、じわじわ大きくなっているなら耳のできものを考えることになります。
再発を防ぐには
再発はよく見られるため、耳のかゆみの原因そのものを治療する必要があります。
これが、この病気でいちばん大事な結論です。
原因を、最後まで治しきる
外耳炎なら、決められた期間、点耳薬を続ける。
耳ダニなら、回数を通しきり、同居猫もまとめて治療する。
アレルギーなら、引き金を探して、続けて管理する。
- 耳のかゆみの原因を、突き止める
- その治療を、最後まで通しきる
- 再診で、治ったことを確かめる
- かゆがり始めたら、早めに受診する
- 爪を短く切っておく
- くり返すなら、背景をもう一度調べてもらう
爪を短く切るのは、単純ですが効きます。かいたときの力が、そのぶん和らぎます。後ろ足の爪も、忘れずに切っておいてください。
かゆみを、我慢させないでください
この病気はかゆみを止められれば、起こりません。
だから「そのうち治るだろう」で耳をかかせ続けないことが予防になります。
頭を振る回数が増えてきたら、その段階で受診してください。
耳が膨らんでからでは、選べることが減ります。
かゆみは、猫にとってつらいものです。そして我慢させた結果が、この腫れになります。
かゆがっているなら、止めてやる——それがこの病気の、いちばん確かな予防です。
よくある質問
Q. 耳血腫とは、どんな状態ですか?
A. 耳介(耳のひらひら)の内部で出血が起こり、血がたまって腫れる状態です。触るとぶよぶよして、水の入った袋のような感触になります。
Q. どうして起こるのですか?
A. 頭を振ったりかいたりすることで耳介が刺激されて起こります。アトピーやアレルギー、外耳炎によるかゆみのある猫で多く見られます。
Q. 痛みはありますか?
A. 張りが強くなるほど、痛がるようになります。耳をさわられるのを嫌がったり、頭を持ち上げられるのを避けたりする様子が出てきます。無理にさわらず、受診してください。
Q. けがでも起こりますか?
A. 起こります。猫では、ほかの猫とのけんかによる外傷から起こることもあります。耳のまわりに咬み傷がないか確かめてください。
Q. 片方だけのことが多いのですか?
A. 片耳だけのことが多いですが、両耳に出ることもあります。両耳に出た場合は、全身のかゆみを起こす原因を疑って探すことになります。
Q. 放っておくと、どうなりますか?
A. 血が固まり、「カリフラワー耳」と呼ばれる変形が起こります。耳が厚く縮んで硬くなり、その形は元には戻りません。耳の穴もふさがりやすくなります。
Q. 急ぎますか?
A. その日のうちに受診してください。時間がたつほど血が固まり、形が戻りにくくなります。様子を見る理由のない病気です。
Q. 治療はどうしますか?
A. 針でたまった液を抜いて包帯で圧迫する方法と、切開して排出し耳介を縫合する手術があります。大きさや猫の状態によって選びます。
Q. 抜くだけでは、だめですか?
A. また たまることがあります。血を抜いても、それがたまっていた空間は残るためです。軽度の場合は、何度かくり返すことがあります。
Q. 手術のほうがよいのですか?
A. 再発の危険は低くなります。耳介を縫合して、血がたまる空間そのものをなくすためです。ただし麻酔が必要になるため、全身の状態をふまえて決めます。
Q. なぜ、くり返すのですか?
A. かゆみの原因が残っているためです。腫れを治しても、かゆくて振り続ければまた同じことが起こります。耳のかゆみの原因そのものを治療する必要があります。
Q. 原因には何がありますか?
A. 外耳炎、耳ヒゼンダニ、マラセチア、アレルギーなどです。耳垢の色やにおいを見ると、絞り込む手がかりになります。
Q. 家でできることはありますか?
A. 爪を短く切っておいてください。かいたときの力が和らぎます。そして、頭を振る回数が増えたら早めに受診することです。
Q. 片側だけ、くり返します
A. その側に、物理的な原因があるかもしれません。耳の中のできものやポリープなどの可能性があるため、もう一度調べてもらう価値があります。
まとめ|膨らむ前に、かゆみを止めてください
耳血腫は、見た目に驚く病気です。耳がパンパンに膨らみます。
けれど、それは結果です。
かゆくて振り続けたから、耳の中で血管が切れた——それがこの病気の正体です。
だから、二つのことが同時に必要になります。たまった血を出すことと、かゆみの原因を治すこと。
そして、時間がたつほど耳の形は戻らなくなります。膨らみに気づいたら、その日のうちに受診してください。
この病気で残念なのは、防げたはずのものが多いことです。
耳がかゆい段階で手を打っていれば、膨らむところまで行きません。
頭を振る回数が増えた——そこが、いちばん手前の合図です。見逃さないでください。
今日できる3つ
- 1猫の耳のひらひらを、そっと触って厚みを確かめる
- 2頭を振る、耳をかく回数が増えていないか見ておく
- 3爪が伸びていないか確かめて、短く切っておく
この病気は、かゆみを止められれば起こりません。膨らむ前の段階で、動いてください。

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