

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫の耳の腫瘍|治らない外耳炎が、入り口です」です。ではどうぞ!
片方の耳だけ、いつまでも治らない。
点耳薬を続けているのに、よくならない。
そういうとき、「合わない薬なのだろう」と考えたくなると思います。
けれど、治らない理由が、耳の中にできたものであることがあります。そして猫の場合、それが悪いものである割合は、決して低くありません。
結論
猫の耳の腫瘍は、できた場所によって考えるものが変わります。耳の穴の中(外耳道)にできるものの代表が耳垢腺(じこうせん)由来の腫瘍で、猫では悪性のもの(耳垢腺癌)の割合が高いとされています。これは片側だけの、治らない外耳炎として現れることが多く、点耳薬に反応しない、出血する、においが強いといった経過が手がかりになります。一方耳のふち(耳介)にできる代表が扁平上皮癌で、日光にさらされることが関係し、毛が薄く色素の少ない白い猫で多く見られます。こちらは比較的早くに気づきやすく、耳介の部分切除による治療成績は良好とされています。診断は耳鏡での観察、画像検査、そして組織を採って調べることで行い、治療は外科的に取ることが基本です。予防としては完全室内飼育で日光にさらされる時間を減らすことが挙げられます。
この記事でわかること
- ✓まず、場所で分けます
- ✓治らない外耳炎が、入り口です
- ✓耳の穴の中にできるもの
- ✓耳のふちにできるもの
- ✓若い猫では、先に考えるものがあります
- ✓調べ方は、見て・撮って・取って
- ✓治療は、取ることが基本です
- ✓予防できるのは、日光のほうです
まず、場所で分けます

「耳の腫瘍」と聞くと、ひとつの病気のように感じられると思います。
けれど実際には、場所によってまったく別の話になります。
ふちと、穴の中
大きく分けると、耳のふち(耳介)と耳の穴の中(外耳道)です。
耳のふちは外から見える場所ですから、変化に気づきやすいところです。
いっぽう耳の穴の中はのぞかないと見えません。だから、気づかれるのが遅れます。
そして、できやすいものも、原因も、治療も違います。まずここを分けて考えてください。
耳を見るときの順番
耳を見るときは、外から内へ、順に見ると抜けがありません。
- 耳の先——かさぶた、欠け、赤みがないか
- 耳の縁——同じく、治らない傷がないか
- 耳のうしろ——しこりや脱毛がないか
- 耳の入り口——耳あかの色とにおい
- 穴の中——見える範囲に、何かないか
- 左右の比較——片側だけ違っていないか
最後の左右の比較が、いちばん役に立ちます。
片方が正常なら、それが比べる基準になるからです。
耳のうしろのできものは、別の話です
耳のうしろやつけ根にできたしこりは、皮膚のできものとして考えます。
この記事で扱うのは、耳介と耳道にできるものです。
ただし、どこであっても、しこりを見つけたら診てもらうことに変わりはありません。
治らない外耳炎が、入り口です

耳の穴の中の腫瘍は、腫瘍の顔をして現れません。
多くの場合、「なかなか治らない外耳炎」として気づかれることになります。
片側だけ、というのが手がかりです
ふつうの外耳炎は、原因によっては両耳に出ることも多いものです。
けれどいつも同じ側ばかりが悪くなるときは、その耳に何かがあると考えます。
片側だけ・くり返す・治らない——この三つがそろったら、耳の中をよく見てもらってください。
薬に反応しないときは、前提を疑います
点耳薬を続けても改善しないとき、薬が合っていないのかもしれないと考えるのが自然です。
けれど、そもそも外耳炎ではないという可能性も残ります。
耳道の中にできたものが耳あかの出口をふさぎ、二次的に炎症を起こしている——そういう構図のことがあるのです。
この場合、元にあるものを取らないかぎり、治りません。
こんな様子があれば伝えてください
- いつも同じ側の耳ばかり、悪くなる
- 治療を続けても、よくならない
- 耳の中から、血の混じったものが出る
- 近づくと分かるほど、においが強い
- 耳の穴の中に、何か見えるものがある
- 耳を痛がって、さわらせてくれない
- 頭が傾いている、ふらついている
最後の頭の傾きやふらつきは、奥まで影響が及んだことを示すことがあります。
この症状は中耳炎でも出ますが、どちらにしてもその日のうちに受診してほしい合図です。
耳の穴の中にできるもの
耳の穴の中には、耳あかをつくる腺があります。これを耳垢腺(じこうせん)と呼びます。
耳道の腫瘍で代表的なのが、この耳垢腺から出るものです。
猫では、悪性の割合が高いとされます
同じ耳垢腺の腫瘍でも、良性のもの(腺腫)と悪性のもの(腺癌)があります。
犬では良性のほうが多いと報告されていますが、猫では悪性の割合が高いとされています。
これが、猫の耳の腫れものを軽く見てはいけない理由です。
「様子を見ましょう」で数か月置くことが、そのまま不利になりえます。
| 犬の場合 | 猫の場合 | |
|---|---|---|
| 耳道の腫瘍 | 良性の割合が高いとされる | 悪性の割合が高いとされる |
| だから | 経過を見る余地がある | 早く調べたほうがよい |
| 見え方 | 治らない外耳炎として出る | 同じく、治らない外耳炎として出る |
| 結論 | いずれにしても調べる | 猫では、より急ぐ |
外から見えないことが、遅れをつくります
耳道はまっすぐな筒ではなく、途中で曲がっています。
そのため入り口をのぞいただけでは、奥が見えません。
耳あかが詰まっていれば、なおさらです。
洗って、あかを取って、はじめて見える——そういうことがよくあります。
耳のふちにできるもの

耳のふちにできる代表が扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)です。
この病気には、はっきりした関わりが知られています。日光です。
白い猫で、多く見られます
扁平上皮癌の発生には、日光にさらされることが関係していると考えられています。
そして毛が薄く、色素の少ない白い猫で多く見られます。
耳の先や縁はもともと毛が薄く、皮膚が日光を直接受ける場所です。だから、ここに出やすいのです。
同じ理由で、鼻の先やまぶたのふちにも出ることがあります。耳を見るときは、そこも一緒に見てください。
かさぶたが、治らないという形で始まります
いきなり大きなしこりができるわけではありません。
多くは耳の先の赤みから始まり、薄いかさぶたになります。
そして、そのかさぶたがいつまでも治らないのです。
治ってはまたできる、を何度もくり返す——そういう経過をたどることもあります。
「かさぶたくらい」で置いておかないことが、この病気では大きく効きます。
早ければ、成績のよい病気です
耳介にできる扁平上皮癌は、比較的早くに見つけやすく、外科切除による治療成績も良好とされています。
耳介の部分切除を行った猫は、その後もふつうに暮らせることがほとんどです。
耳の形は変わります。けれど、それで済むうちに手を打てるなら、そのほうがずっといい結果になります。
若い猫では、先に考えるものがあります
耳の穴の中に塊があっても、それが腫瘍とは限りません。
とくに若い猫では、炎症性のポリープを先に考えます。
ポリープは、腫瘍ではありません
鼻咽頭ポリープと呼ばれるもので、中耳やのどの奥から伸びてくる炎症でできた塊です。
悪いものではありませんが、放っておいても消えません。
そして取らないかぎり、症状は続きます。
若い猫で、耳の中に塊がある・頭が傾いている——そういうときは、まずこれを疑って調べます。
| 炎症性ポリープ | 耳垢腺の腫瘍 | |
|---|---|---|
| 年齢の傾向 | 若い猫で多い | 高齢の猫で多い |
| 性質 | 腫瘍ではない、炎症でできた塊 | 腫瘍。猫では悪性の割合が高い |
| 見え方 | 治らない外耳炎、頭の傾き | 治らない外耳炎、出血、におい |
| やること | 取り除く。再発することがある | 取って、調べる |
| 共通点 | どちらも、置いておいて治るものではない | どちらも、調べないと区別できない |
調べ方は、見て・撮って・取って
診断は、いくつかの段階を踏みます。
まず、耳の中を見ます
耳鏡(じきょう)で、耳道の中を直接のぞきます。
ただし、耳あかや炎症で奥が見えないことがあります。
その場合は洗浄して視野を確保してからあらためて見ます。
痛みが強い猫では、鎮静をかけてしっかり見るほうが早く進みます。
次に、広がりを撮ります
塊が見つかったら、どこまで届いているかを確かめます。
CT検査は、この用途によく使われます。
耳道の中だけにとどまっているのか、その奥の中耳まで及んでいるのか——ここで、手術の範囲が変わります。
最後に、取って調べます
見た目だけでは、良性か悪性かは分かりません。
だから組織を採って、顕微鏡で調べます。
これが病理検査です。
手術で取ったものを、必ず調べてもらってください。そこで分かることが、そのあとの方針を決めます。
🩺 ここは、はっきりさせておいてください
「取ったから終わり」ではありません。
取ったものを調べて、何だったのか・取り切れているかを確かめるところまでが、この病気の診療です。
結果によっては、追加の治療や、その後の見かたが変わってきます。
治療は、取ることが基本です

治療の中心は外科的に取ることです。
ただし、場所によって取り方が変わります。
耳のふちなら、部分的に切ります
耳介にできたものは、その部分を含めて切除します。
耳の形は変わります。先が短くなったような見た目になります。
けれど猫の暮らしにはほとんど影響しません。聴こえも、動きも変わりません。
耳の穴の中なら、耳道ごと取ることがあります
耳道にできたものでは、腫瘍の大きさや場所によって、外耳道の一部または全部を切除することがあります。
全部を取れば、その側の聴こえは落ちます。
それでも取る理由は、残せば広がっていくからです。
猫は片耳の聴こえが落ちても、よく適応します。生活の質という点では、痛みと出血が続くほうがずっとつらいものです。
大きさが、選べる幅を決めます
小さいうちなら、取る範囲も小さくて済みます。
広がってからでは、取れる範囲を超えてしまうことがあります。
早く見つけることに意味があるのは、そのためです。
手術のあとに、見ておくこと
手術が終わっても、そこで終わりではありません。
| 時期 | 見ておくこと |
|---|---|
| 手術の直後 | 傷をかかないよう、カラーを外さない |
| 数日〜二週間 | 傷の腫れ・出血・においがないか |
| 抜糸のころ | 病理検査の結果を、必ず聞く |
| その後しばらく | 同じ場所・反対側に、変化が出ていないか |
| ずっと | 耳の先と縁を、月に一度は見る |
とくに病理検査の結果は、そのあとの方針を決める材料になります。
「何だったのか」を聞かないまま終わらせないでください。
予防できるのは、日光のほうです
この病気で、はっきり手を打てるものは限られています。
耳の掃除は、予防になりません
「耳をきれいにしていれば、腫瘍を防げる」という話を目にすることがあります。
けれど、耳あかがたまることが腫瘍の原因になるわけではありません。
むしろやりすぎた掃除は、耳道を傷つけて炎症を起こします。
耳の掃除の意味は、異常に早く気づくことにあります。予防ではなく、発見のためです。
日光は、減らせます
扁平上皮癌については、日光にさらされる時間を減らすことが確率を下げる可能性があるとされています。
そのために勧められるのが完全室内飼育です。
ただし、室内でも窓辺は日光が入ります。白い猫が長時間そこで寝ているなら、そこも考えたほうがよいところです。
- 外に出さない(完全室内飼育にする)
- 白い猫は、窓辺で長時間寝る場所を考える
- 強い日差しの時間帯は、カーテンで和らげる
- 耳の先・鼻の先・まぶたのふちを、月に一度は見る
- 治らないかさぶたを見つけたら、受診する
⚠ 見つけたら、置いておかないでください
耳のふちのかさぶたが、二週間たっても治らない。
片側の外耳炎が、治療しても治らない。
この二つは、受診してよい理由になります。
どちらも小さいうちのほうが、選べることが多い病気です。
ほかの耳の病気を、放っておかないこと
耳の病気は、互いにつながっています。
かゆみを放っておけば耳血腫になり、外耳炎を放っておけば中耳炎へ進みます。
そして耳ヒゼンダニ症のように、原因がはっきりしていて治せるものもあります。
治せるものを治しておくことが、結果として「治らない」に早く気づくことにつながります。
この記事の要点
猫の耳の腫瘍は、場所で分けて考えます。
耳の穴の中なら、治らない外耳炎として現れます。そして猫では、悪性の割合が高いとされます。
耳のふちなら、日光による扁平上皮癌を考えます。早ければ、成績のよい病気です。
予防できるのは、日光のほうです。耳の掃除は、予防ではなく発見のためのものです。
Q. 猫の耳の腫瘍には、どんなものがありますか?
A. 場所によって変わります。耳の穴の中では耳垢腺由来の腫瘍が代表で、耳のふちでは扁平上皮癌が代表です。若い猫では、腫瘍ではない炎症性のポリープも考えます。
Q. 良性と悪性、どちらが多いのですか?
A. 猫の耳道の腫瘍では、悪性の割合が高いとされています。犬では良性の割合が高いと報告されており、この点が猫と犬で異なります。そのため猫では、早めに調べたほうがよいと考えます。
Q. どんな症状が出ますか?
A. 片側だけの、治らない外耳炎という形が多いです。耳の中から血の混じったものが出る、においが強い、耳を痛がるといった様子も手がかりになります。
Q. 外耳炎と、どう見分けますか?
A. 見た目だけでは分かりません。手がかりになるのは経過です。片側だけ・治療に反応しない・くり返す。この三つがそろったら、耳の中を詳しく見てもらってください。
Q. 白い猫は、危ないのですか?
A. 扁平上皮癌については、多く見られるとされています。毛が薄く色素の少ない耳は、日光の影響を受けやすいためです。耳の先だけでなく、鼻の先やまぶたのふちも見てあげてください。
Q. 耳の先のかさぶたが、治りません
A. 診てもらってください。扁平上皮癌は、治らないかさぶたという形で始まることがあります。早い段階なら、耳介の部分切除で治療成績は良好とされています。
Q. どうやって診断しますか?
A. 耳鏡で見て、画像で広がりを確かめ、組織を採って調べます。CT検査は、耳道の奥や中耳まで及んでいるかを見るのに役立ちます。最終的には、病理検査で何であるかを確定します。
Q. 治療は手術だけですか?
A. 取ることが基本です。腫瘍の種類や広がりによっては、放射線治療や抗がん剤が組み合わされることもあります。何であったかが分かってはじめて、方針が決まります。
Q. 耳道を全部取ると、聴こえなくなりますか?
A. その側の聴こえは落ちます。ただし猫は片耳での生活によく適応します。痛みと出血が続く状態のほうが、猫にとってはつらいものです。
Q. 若い猫の耳に、塊があります
A. 炎症性のポリープかもしれません。若い猫では、腫瘍ではないこの塊が見つかることがあります。悪いものではありませんが、取らないかぎり症状は続きます。
Q. 耳掃除をしていれば、防げますか?
A. 掃除は予防にはなりません。耳あかがたまることが原因になるわけではないためです。むしろやりすぎると耳道を傷めます。掃除の意味は、異常に早く気づくことにあります。
Q. 室内飼いなら、安心ですか?
A. 外に出すより、ずっとよい選択です。ただし室内でも窓辺には日光が入ります。白い猫が長時間そこで寝ているなら、場所を考えてあげてください。
Q. 反対の耳にも、出ることがありますか?
A. あります。日光が原因の場合、同じ条件は両方の耳にかかっています。片側を治療したあとも、反対側を見続けてください。
Q. 様子を見てもよいですか?
A. お勧めしません。猫の耳道の腫瘍は悪性の割合が高いとされ、小さいうちのほうが取る範囲も小さくて済みます。数か月置くことが、そのまま不利になりえます。
まとめ|治らないことが、いちばんの手がかりです
猫の耳の腫瘍は、しこりとして見つかるとは限りません。
むしろ多いのは、片側だけの、治らない外耳炎という形です。
そして猫では、耳道の腫瘍は悪性の割合が高いとされています。「様子を見る」の代償が、犬より大きいということです。
耳のふちなら、話は変わります。日光による扁平上皮癌を考え、早ければ部分切除で成績はよいとされています。
治らないかさぶたと治らない片耳——
この二つを、「そのうち治る」に分類しないでください。
耳は毎日見られる場所です。抱き上げたついでに、先のほうまで見てあげてください。
今日できる3つ
- 1耳の先と縁を見て、かさぶたや欠けがないか確かめる
- 2外耳炎の治療中なら、いつも同じ側かどうかを思い返す
- 3白い猫なら、日中どこで寝ているかを見ておく
耳の腫瘍は、外から見える場所にも出ます。だから、見ていれば気づけるものがあります。

本日の「犬猫の悩みを即解決!」の記事「猫の耳の腫瘍|治らない外耳炎が、入り口です」でした。
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