

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫のヘモプラズマ感染症|赤血球そのものに、取りつきます」です。ではどうぞ!
貧血には、いくつかの起こり方があります。作られていないのか、壊されているのか、失われているのか。
この病気は、そのうちの「壊されている」の代表です。
ヘモプラズマという細菌が、赤血球そのものに取りつきます。取りつかれた赤血球は、体から異物と見なされて壊されていきます。
だから、この病気の貧血には特徴があります。歯ぐきが白くなるだけでなく、黄色みを帯びてくることがあるのです。
結論
ヘモプラズマ感染症は猫の赤血球に寄生する細菌による感染症で、以前はヘモバルトネラと呼ばれていましたが、実はマイコプラズマ(細菌)の一種です。元気食欲が低下し発熱の症状が見られ、赤血球が破壊される溶血性貧血が起き、黄疸や粘膜の蒼白などが主な症状になります。感染経路は感染した猫から吸血したダニが、ほかの猫から吸血する際に感染するほか、けんかによる傷口や母子感染も考えられています。治療は抗生物質の投与が主で、近年はドキシサイクリンが推奨されており、1日1〜2回の内服を、少なくとも3週間程度続ける必要があります。そして回復してもキャリアになることが知られており、まれに再発も見られるため、治療後も注意が必要です。
この記事でわかること
- ✓赤血球に、取りつく細菌です
- ✓貧血なのに、黄色くなります
- ✓うつるのは、ノミとけんかからです
- ✓免疫が落ちていると、発症しやすくなります
- ✓診断は、血液を見ます
- ✓治療は、三週間以上続けます
- ✓治っても、キャリアになります
- ✓予防は、ノミ対策と室内飼育です
赤血球に、取りつく細菌です

ヘモプラズマは、猫の赤血球に寄生します。血の中を流れる赤血球の表面に、くっついてしまうのです。
問題は、そのあとに起こります。取りつかれた赤血球を、体の免疫が「おかしなもの」と見なして攻撃します。
その結果、赤血球が破壊される溶血性貧血が起こります。
以前の名前で覚えている方もいます
以前はヘモバルトネラと呼ばれていましたが、実はマイコプラズマ(細菌)の一種であることが分かり、呼び名が変わりました。
古い本や、以前かかった経験のある方はヘモバルトネラ症という名前で記憶しているかもしれません。
同じ病気を指しています。診察のときに古い名前で伝えても通じますので、心配いりません。
症状は、貧血として現れます
- 元気がなくなり、寝てばかりになる
- 食欲が落ちる
- 熱が出る
- 歯ぐきや唇の内側が白っぽい
- 白目や歯ぐきが、黄色みを帯びる
- 呼吸が速くなる
- 体重が落ちてくる
貧血そのものの症状に、発熱と黄疸が加わるのがこの病気の形です。
貧血なのに、黄色くなります

ここが、家で気づける手がかりになります。
貧血というと、血の気が引いて白くなるものを想像します。実際、赤血球が作られていないタイプの貧血ではそうなります。
けれど、赤血球が壊されているタイプでは違います。
壊れた赤血球が、黄色のもとになります
赤血球の中身には、色のもとになる成分が含まれています。それが一度に大量に壊れると、処理しきれずに体にたまります。
たまったものが、白目や歯ぐき、耳の内側を黄色く見せます。これが黄疸です。
ですから「白い」ではなく「黄色っぽい」と感じたなら、それは大事な情報です。
⚠ この様子なら、その日のうちに
- 歯ぐきや白目が、黄色みを帯びている
- 歯ぐきが白っぽく、呼吸が速い
- 急にぐったりして、動かない
- 熱があり、食べない
- 尿の色が、いつもより濃い
- 外に出る猫、けんかをする猫である
溶血性の貧血は、進むのが速いことがあります。「様子を見る」の判断が、この病気では合わないことがあります。
受診のときに、こう伝えてください
「歯ぐきが黄色っぽいです」「外に出る猫です」「けんかの傷があります」——
この三つがそろうと、この病気が候補に挙がります。
色の変化は、写真に撮っておくと確実です。明るい場所で、唇をめくって撮影してみてください。
うつるのは、ノミとけんかからです

この細菌は、血の中にいます。ですから経路も、血が関わるものに限られます。
感染した猫から吸血したダニが、ほかの猫から吸血する際に感染するほか、けんかによる傷口や母子感染も感染経路になると考えられています。
| 経路 | どういう場面か |
|---|---|
| ノミ・マダニ | 感染猫を吸血した虫が、別の猫を刺す |
| けんかの咬み傷 | 血液を介して、傷口から入る |
| 母子感染 | 母猫から子猫へ伝わることがある |
| 輸血 | まれだが、血液を介して伝わりうる |
| 外に出る猫 | これらの機会が、まとめて増える |
| 室内の猫 | ノミが持ち込まれなければ、機会は少ない |
けんかの咬み傷という経路は、猫免疫不全ウイルス感染症と同じです。同じ場面で、両方をもらうこともあります。
室内の猫でも、油断はできません
完全室内飼育の猫なら、けんかも吸血もありません。その意味では、この病気に出会う機会はぐっと減ります。
ただしノミは、人が持ち込むことがあります。外で猫に触れた衣類や、他の家から持ち帰った荷物に紛れ込むことがあるためです。
また、もともと外で暮らしていた猫を迎えた場合、その時点ですでに持っている可能性があります。
症状が出ていないだけで、体の中にいる——そういう猫が、あとから体調を崩したときにこの病気として現れることがあります。
免疫が落ちていると、発症しやすくなります
この細菌を持っていても、症状が出ないまま過ごす猫がいます。
発症するかどうかを分けるのは、免疫が働けているかどうかです。
ですから猫白血病ウイルス感染症や猫免疫不全ウイルス感染症があると、この病気も出やすくなります。
だから、あわせて検査します
ヘモプラズマが見つかったとき、ウイルスの検査も勧められることがあります。
理由は二つあります。ひとつは免疫が落ちている背景がないかを確かめるため。もうひとつは同じ経路(けんかの傷)でもらっている可能性があるためです。
片方が見つかったら、もう片方も確かめる——この病気では、そういう考え方になります。
背景にウイルスがあると、治療しても再発しやすくなることがあります。見通しを立てるうえでも、知っておく意味があります。
診断は、血液を見ます
診断は、血液検査で行います。
血液検査では、赤血球の形態や数量の異常を確認することができます。貧血がどのくらい進んでいるか、そして骨髄が反応しているかを確かめます。
| 検査 | 分かること |
|---|---|
| 血液検査 | 貧血の程度、赤血球の状態 |
| 血液の塗抹検査 | 赤血球に取りついた細菌を、顕微鏡で探す |
| 遺伝子検査 | ヘモプラズマの遺伝子を検出する |
| 黄疸の評価 | 赤血球が壊れているかどうかを確かめる |
| ウイルス検査 | 背景に免疫の低下がないかを見る |
| 身体検査 | 粘膜の色、発熱、脾臓の腫れなど |
顕微鏡では、見つからないこともあります
血液を顕微鏡で見て細菌を探す方法は、分かりやすい検査です。
けれど血の中の細菌の数は、日によって波があります。そのため、いるのに見つからないことがあります。
「見つからなかった=いない」ではない——ここは知っておいてください。
疑いが強い場合は、遺伝子を調べる検査で確かめることがあります。また、治療を試して反応を見るという進め方もあります。
治療は、三週間以上続けます

治療法は、ヘモプラズマを殺すための抗生物質の投与が主になります。
近年では「ドキシサイクリン」という種類の抗生物質を使うことが推奨されています。
ドキシサイクリンは1日1〜2回服用の内服治療になり、少なくとも3週間程度の服用が必要になります。
元気になっても、続けてください
薬が効き始めると、数日で元気が戻ってきます。食欲も戻り、もう治ったように見えます。
けれど、そこでやめると体の中に細菌が残ります。残ったものは、また増えてきます。
三週間という期間には、意味があります。見た目ではなく、決められた期間で判断してください。
貧血が重いときは、輸血をします
赤血球が急激に減っている場合、薬が効くまでの時間を待てないことがあります。
そのときは輸血で、まず酸素を運べる状態に戻します。
輸血は原因を治すものではありません。抗生物質が効いてくるまでの時間を稼ぐための治療です。
免疫が赤血球を攻撃している場合には、それを抑える薬が使われることもあります。
🩺 獣医療の現場では
この病気では、「あと何日ですか」という確認に意味があります。
元気になった猫に薬を飲ませ続けるのは、思っている以上に大変です。終わりの日を決めておくと、飼い主も見通しが立ちやすくなります。
治療中、家で見ておきたいこと
薬が効いているかどうかは、家でも確かめられます。
| 見ること | どう役立つか |
|---|---|
| 歯ぐきの色 | 白さと黄色みが引いてくれば、良い方向 |
| 呼吸の速さ | 楽になっていれば、酸素が届き始めている |
| 食欲 | 戻ってくるのが、いちばん分かりやすい |
| 熱っぽさ | 耳や足先の熱さが、引いてきているか |
| 尿の色 | 濃さが戻れば、赤血球の破壊が落ち着いている |
| 体重 | 戻り始めれば、全体が回復に向かっている |
とくに歯ぐきの色は、この病気で始まりも終わりも教えてくれる指標です。
治療前に一度、写真を撮っておくと比べやすくなります。毎日見ていると、変化に気づきにくいためです。
治っても、キャリアになります
この病気には、知っておくべき性質があります。
一度治っても、体の中に残っていることがあります。回復してもキャリアになることが知られており、稀に再発も見られるため、治療後も注意が必要な病気です。
つまり治療で症状は消えても、細菌を完全に排除しきれるとは限らないということです。
再発は、体力が落ちたときに起こります
キャリアの状態では、症状は出ません。けれど免疫が落ちたときに、また増えてくることがあります。
- ほかの病気で体力が落ちた
- 手術や入院があった
- ウイルス感染症を発症した
- 高齢になって、抵抗力が落ちてきた
- ストレスの大きい変化があった
- ステロイドなどの治療を受けている
こうしたときにまた元気がなくなり、歯ぐきの色が変わってきたなら、この病気の再発を疑ってください。
「以前ヘモプラズマにかかりました」という情報は、そのときに大きな手がかりになります。記録に残しておいてください。病院が変わったときにも、そのまま伝えられます。
予防は、ノミ対策と室内飼育です
経路がノミ・マダニの吸血と、けんかの咬み傷である以上、予防はそこに集まります。
- ノミ・マダニの予防薬を、定期的に使う
- 完全室内飼育にして、外の猫と会わせない
- 去勢・避妊手術で、けんかに向かう行動を減らす
- 咬まれた傷を見つけたら、早めに診せる
- 新しい猫を迎える前に、検査と隔離を行う
- 寝床やカーペットも、こまめに掃除する
ノミの予防は、この病気に直接効きます。室内飼いでも、人が持ち込むことがありますから、季節によっては続けておく価値があります。
使う薬は、猫の体重や年齢によって変わります。犬用のものを流用しないでください。猫には使えない成分が含まれていることがあります。
多頭飼いの場合
同居猫がいる場合、ノミの予防は全頭でそろえてください。一頭だけ対策していても、家の中で行き来してしまいます。
けんかが起きているなら、隠れ場所と高い場所を増やすことも予防になります。
血液を介する病気ですから、同じ皿で食べているだけではうつりません。分けるべきは食器ではなく、咬み合う関係のほうです。
よくある質問
Q. ヘモプラズマ感染症とは、どんな病気ですか?
A. 猫の赤血球に寄生する細菌による感染症です。取りつかれた赤血球が壊されるため、溶血性の貧血が起こります。
Q. ヘモバルトネラと同じものですか?
A. 同じ病気です。以前はヘモバルトネラと呼ばれていましたが、実はマイコプラズマ(細菌)の一種であることが分かり、呼び名が変わりました。
Q. どんな症状が出ますか?
A. 元気食欲の低下と発熱、そして溶血性貧血です。黄疸や粘膜の蒼白(歯ぐきが白くなること)が主な症状になります。
Q. 黄色くなるとは、どういうことですか?
A. 赤血球が一度に大量に壊れると、その成分が処理しきれずにたまります。それが白目や歯ぐきを黄色く見せます。これが黄疸です。「白い」ではなく「黄色っぽい」と感じたら、必ず伝えてください。
Q. どうやってうつりますか?
A. 感染した猫から吸血したダニが、ほかの猫を吸血する際に感染します。そのほか、けんかによる傷口や母子感染も経路と考えられています。
Q. 同じ皿で食べていると、うつりますか?
A. 血液を介して伝わる病気なので、食器の共有ではうつりません。気をつけるべきは、ノミ・マダニと、咬み合うようなけんかのほうです。
Q. どうやって診断しますか?
A. 血液検査で貧血の程度を確かめ、赤血球の状態を見ます。顕微鏡で細菌を探す方法や、遺伝子を検出する検査もあります。
Q. 検査で見つかりませんでした
A. 血の中の細菌の数には、日によって波があります。いるのに見つからないことがあるため、「見つからなかった=いない」とは限りません。
Q. 治療はどうしますか?
A. 抗生物質の投与が主になります。近年はドキシサイクリンが推奨されており、1日1〜2回の内服を、少なくとも3週間程度続けます。
Q. 元気になったら、薬をやめてよいですか?
A. やめないでください。数日で元気は戻りますが、そこでやめると細菌が体に残ります。決められた期間を最後まで続けてください。
Q. 治れば、もう安心ですか?
A. 回復してもキャリアになることが知られています。稀に再発も見られるため、治療後も注意が必要です。「以前かかった」という記録を残しておいてください。
Q. 人にうつりますか?
A. 猫のあいだで伝わる病気で、通常は人にうつるものではありません。気をつけるべきは、ほかの猫への広がりのほうです。ただし猫に咬まれた傷は、別の理由で受診してください。
まとめ|白ではなく、黄色を見てください
貧血の記事では、歯ぐきの色を見てくださいと書きました。この病気では、その先まで見る必要があります。
白いのか、それとも黄色みを帯びているのか。そこに、赤血球が壊されているというサインが出ます。
うつるのは、ノミとけんかからです。ノミの予防と完全室内飼育が、そのまま予防になります。
そして、治ったあとも記録を残してください。キャリアになり、体力が落ちたときに再発することがある病気だからです。
急に進むこともある病気ですが、薬がしっかり効く病気でもあります。気づいて、決められた期間を通しきる。それができれば、多くの猫は元の暮らしに戻っていきます。
今日できる3つ
- 1明るい場所で唇をめくり、歯ぐきの色に黄色みがないか見る
- 2ノミ・マダニの予防薬を、いつ使ったか確かめる
- 3外に出る猫なら、けんかの傷がないか体を触って確かめる
この病気の貧血は、色に特徴が出ます。白さより、黄色みのほうを見てください。

本日の「犬猫の悩みを即解決!」の記事「猫のヘモプラズマ感染症|赤血球そのものに、取りつきます」でした。
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