

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫の膿胸|けんかの傷から、胸に膿がたまります」です。ではどうぞ!
急に食べなくなり、動かなくなった。
呼吸が速く、体を触ると熱い。
そういえば、何日か前にけんかをしたらしい。
膿胸は胸の中に膿がたまる病気です。猫同士のけんかがきっかけになることがあり、咬まれた傷から、数日たって現れます。
結論
膿胸とは何らかの原因によって胸腔内に膿性の胸水が貯留した状態をいいます。原因は様々で、外傷(主に猫同士のケンカ)によって胸腔内に感染が起こって発生する場合や、肺炎からの波及、異物の刺入、全身性の感染症の結果として起こることなどが挙げられますが、多くの場合は原因不明です。胸腔内に膿性胸水が溜まることによって呼吸状態が悪化するほか、感染に伴う発熱や食欲低下、元気消失といった全身状態の悪化も見られます。治療には胸腔内にドレーンを入れ、できるだけ膿を取り除き、胸腔内を洗浄することや、抗生物質を全身的に投与して体の感染を抑える必要があります。入院下で胸腔内にチューブを入れ、毎日洗浄を繰り返し、同時に抗生物質の注射を行うことになります。死亡率62%という報告もある致死率の高い疾患ですが、多くの症例では予後は良く、後遺症も残すことはありません。
この記事でわかること
- ✓胸の中に、膿がたまります
- ✓けんかが、きっかけになります
- ✓熱が出るのが、特徴です
- ✓診断は、水を抜いて調べること
- ✓治療は、入院して洗うことです
- ✓時間も、費用もかかります
- ✓見通しについて
- ✓予防は、外に出さないことです
胸の中に、膿がたまります
まず、どういう状態なのかから。
膿が、胸腔にたまります
膿胸とは、何らかの原因によって胸腔内に膿性の胸水が貯留した状態です。
胸腔とは肺と胸壁のあいだの空間のことです。
そこに、細菌との戦いの跡である膿がたまる——
それが、この病気です。
肺が、押されます
たまった膿は肺を押します。
肺がふくらめなくなり、呼吸が苦しくなります。
胸水の一種であり、その中身が膿である場合をこう呼びます。
感染症でもあります
ただの水がたまっているのとは、違います。
細菌の感染が、進行している状態です。
だから、全身にも症状が出ます。
呼吸の問題と、感染症の問題が重なっている——
そこが、この病気の重さです。
けんかが、きっかけになります

どこから細菌が入るのかです。
猫同士のけんかが、多いとされます
外傷(主に猫同士のケンカ)によって胸腔内に感染が起こって発生することが挙げられています。
猫の歯は、細く鋭いものです。
咬まれると、深く刺さります。
そして、傷口は表面だけ早く閉じます。
閉じ込められた菌が、増えます
表面が閉じても、中には細菌が残ります。
逃げ場のない場所で、増えていきます。
それが胸まで及べば、膿胸になります。
皮膚の下でとどまれば、膿瘍になります。
同じしくみはパスツレラ症でも起きています。
ほかの入り口も、あります
肺炎からの波及、異物の刺入、全身性の感染症の結果として起こることなども挙げられています。
草の芒(のぎ)が刺さるといったことも原因になります。
ただし多くの場合は原因不明です。
「思い当たることがない」でも、起こりえます。
けんかから、数日あきます
咬まれてすぐ、症状が出るわけではありません。
細菌が増えるまでに、時間がかかります。
数日から一週間ほどたってから体調が崩れることがあります。
だから「けんかとは関係ない」と思われてしまうのです。
熱が出るのが、特徴です

ほかの胸水との違いがここにあります。
感染に伴う症状が出ます
感染に伴う発熱や食欲低下、元気消失といった全身状態の悪化も見られます。
心臓が原因の胸水では、熱は出ません。
熱があること自体が、感染を示す手がかりになります。
呼吸も、苦しくなります
胸腔内に膿性胸水が溜まることによって呼吸状態が悪化します。
速く浅い呼吸になり、
胸が動かず、お腹で呼吸しているように見えます。
安静時呼吸数を数えると、はっきり増えています。
急に、元気がなくなります
食欲低下、元気消失が同時に来ます。
隠れて出てこなくなることもあります。
「急に元気がなくなって、呼吸も速い」——
この組み合わせは、その日のうちに受診してください。
⚠ この組み合わせは、待たないでください
呼吸が速く、浅い。
触ると、体が熱い。
急に食べなくなった。
動かず、隠れている。
外に出る猫なら、けんかの心当たりも伝えてください。
見つけにくい傷です
猫の咬み傷は、外からほとんど見えません。
- 穴が小さく、毛に隠れる
- 表面がすぐ閉じてしまう
- 血もあまり出ない
- 本人も、あまり気にしない
- 数日後に、腫れてきて分かることがある
- 胸に及べば、外からは何も見えない
「傷がないから、けんかしていない」とは言えません。
体を撫でて、痛がる場所がないか確かめてみてください。
診断は、水を抜いて調べること
どうやって診断するのかです。
まず、胸水があるか確かめます
レントゲンや超音波で胸に水がたまっているかを見ます。
呼吸が苦しい状態では、先に酸素を吸わせてから行います。
抜いた水を、見ます
抜いた水が濁っていて、においがある——
それが、膿胸を強く疑わせます。
顕微鏡で見れば、白血球と細菌が確認できます。
その場で、方向が決まります。
菌の種類も、調べます
どの細菌がいるのか、
どの抗生物質が効くのかを調べる検査もあわせて行われます。
結果が出るまで数日かかります。
その間は、広く効く薬で対応します。
ほかの胸水と、見分ける材料
| 膿胸 | 心臓が原因の胸水 | |
|---|---|---|
| 熱 | 出ることが多い | 出ない |
| 抜いた水 | 濁り、においがある | 薄い黄色でさらさら |
| 顕微鏡で | 白血球と細菌が見える | 細胞は少ない |
| 背景 | けんかの傷、感染 | 心筋症などの心臓病 |
| 治療 | 洗浄と抗生物質 | 心臓の薬と利尿薬 |
だから、抜いた水を調べることに意味があります。
治療は、入院して洗うことです

ここからが、この病気の本番です。
胸に、管を入れます
治療には胸腔内にドレーンを入れ、できるだけ膿を取り除き、胸腔内を洗浄することが必要です。
ドレーンとは胸に入れる管のことです。
これを入れておくことで、膿を出し、洗うことができます。
両側に入れることもあります。
毎日、洗います
入院下で胸腔内にチューブを入れ、毎日洗浄を繰り返します。
一度抜いて終わり、ではありません。
膿は、また作られます。
だから、洗い続ける必要があります。
抗生物質も、同時に使います
抗生物質を全身的に投与して、体の感染を抑える必要があります。
同時に抗生物質の注射を行うことになります。
外から洗い、中から叩く——
その両方が必要です。
支える治療も、並行します
酸素、点滴、痛みの管理もあわせて行われます。
食べられなければ、栄養を入れる方法も考えます。
全身が弱っているので、そこも支えます。
入院中に、行われること
| 時期 | 行われること |
|---|---|
| 着いてすぐ | 酸素を吸わせ、胸水を抜いて呼吸を確保する |
| その日のうちに | ドレーンを入れ、抗生物質を始める |
| 毎日 | 胸腔内を洗浄し、出てくる量と性状を見る |
| 数日後 | 菌の検査結果を見て、抗生物質を調整する |
| 抜ける段階 | 膿が減り、状態が安定したらドレーンを抜く |
「今日はどのくらい出ましたか」と聞いてみてください。
その数字が、経過を教えてくれます。
時間も、費用もかかります
正直に書いておきます。
入院が、長くなります
毎日洗浄を繰り返す治療です。
数日から、一週間以上かかることがあります。
その間、ずっと入院になります。
面会も、限られることがあります。
費用の負担も、小さくありません
集中的な処置が続くため、費用もかさみます。
見通しと、おおよその費用を最初に聞いておいてください。
途中でやめると、それまでの治療が無駄になります。
だから、始める前に相談することに意味があります。
退院してからのこと
- 抗生物質を、決められた期間続ける
- 途中でやめない。ぶり返すことがある
- 安静時呼吸数を、数えて記録する
- 食欲と元気が、戻ってくるか見る
- 再診を、飛ばさない
- しばらくは、外に出さない
見た目が元気になっても、薬はやめないでください。
残った菌から、ぶり返すことがあります。
それでも、続ける価値のある治療です
この病気は、治療しきれば戻ります。
慢性的に続く病気ではありません。
山を越えれば、また元の暮らしに戻れます。
そこが、慢性の病気とは違うところです。
一時的にきつくても、終わりのある治療です。
見通しについて
数字も、書いておきます。
厳しい報告があります
死亡率62%という報告もある、致死率の高い疾患とされています。
重い病気であることは、確かです。
手遅れになれば、命に関わります。
けれど、戻る例も多いのです
いっぽうで多くの症例では予後は良く、後遺症も残すことはありません。
治療が届けば、元どおりに戻る——
それが、この病気のもうひとつの顔です。
差を分けるのは、早さです
早く治療を始められたか、
最後まで続けられたか——
そこが、結果を分けます。
だから「呼吸が速くて、熱がある」でその日のうちに動いてほしいのです。
| 場面 | できること |
|---|---|
| けんかをしたと分かったとき | 傷がなくても、診てもらっておく |
| 数日後に元気がない | けんかとの関係を、必ず伝える |
| 呼吸が速い、熱がある | その日のうちに受診する |
| 診断がついたら | 見通しと費用を、最初に聞く |
| 治療中 | 途中でやめない。最後まで続ける |
予防は、外に出さないことです

いちばん確かな予防です。
けんかの機会を、なくすことです
主な原因が猫同士のケンカである以上、
けんかの機会をなくすことが、そのまま予防になります。
完全室内飼育が、それを実現します。
ほかの病気も、避けられます
けんかから起こる病気は、これだけではありません。
- 膿瘍(皮膚の下に膿がたまる)
- 猫免疫不全ウイルス感染症
- 猫白血病ウイルス感染症
- パスツレラなどの細菌感染
- 目や耳の外傷
- 交通事故
外に出さないという選択が、これらすべてを遠ざけます。
けんかしたら、その時点で診てもらってください
すでに外に出す暮らしをしている場合、
けんかが分かったら、傷がなくても診てもらってください。
猫の咬み傷は、小さくて見えにくいものです。
その時点で処置しておけば、膿胸まで進むのを防げることがあります。
洗って、抗生物質を出してもらう——
それだけで、あとの入院を避けられることがあります。
🩺 いちばん防げる場面
「けんかしたけど、傷は小さいから大丈夫」——
猫の咬み傷では、その判断が危ないところです。
細く深く刺さり、表面だけ閉じます。
けんかが分かったら、その時点で診せてください。
この記事の要点
膿胸は、胸腔内に膿性の胸水が貯留した状態です。
主に猫同士のケンカによる外傷から起こりますが、多くの場合は原因不明とされています。
呼吸状態の悪化に加え、発熱や食欲低下、元気消失といった全身症状が見られます。
治療は胸腔ドレーンを入れて毎日洗浄し、抗生物質を全身投与します。入院が必要になります。
Q. 膿胸とは、どんな病気ですか?
A. 胸腔内に、膿性の胸水が貯留した状態です。たまった膿に肺が押され、呼吸が苦しくなります。
Q. 原因は何ですか?
A. 外傷、主に猫同士のケンカによるものが挙げられます。そのほか肺炎からの波及、異物の刺入、全身性の感染症などがありますが、多くの場合は原因不明です。
Q. けんかからどのくらいで発症しますか?
A. 数日から一週間ほどたってから、体調が崩れることがあります。細菌が増えるまでに時間がかかるためです。
Q. どんな症状が出ますか?
A. 呼吸状態の悪化に加え、発熱、食欲低下、元気消失が見られます。呼吸の異常に「熱」が加わるのが、この病気の特徴です。
Q. ほかの胸水と、どう違いますか?
A. 熱が出るところです。心臓が原因の胸水では熱は出ません。熱があること自体が、感染を示す手がかりになります。
Q. どうやって診断しますか?
A. 胸水を抜いて、その性状を調べます。濁っていてにおいがあり、顕微鏡で白血球と細菌が確認できれば膿胸と分かります。
Q. 治療はどうしますか?
A. 胸腔内にドレーンを入れ、できるだけ膿を取り除き、胸腔内を洗浄します。あわせて、抗生物質を全身的に投与します。
Q. 一度抜けば、終わりですか?
A. 終わりません。入院下で毎日洗浄を繰り返し、同時に抗生物質の注射を行います。膿はまた作られるためです。
Q. 入院は、どのくらいかかりますか?
A. 数日から、一週間以上かかることがあります。毎日洗浄を繰り返す治療のため、通院ではできません。
Q. 費用が心配です
A. 最初に、見通しとおおよその費用を聞いてください。途中でやめると、それまでの治療が無駄になります。始める前に相談することに意味があります。
Q. 助かりますか?
A. 死亡率62%という報告もある、致死率の高い疾患です。ただし多くの症例では予後は良く、後遺症も残しません。早く始めて最後まで続けることが、結果を分けます。
Q. 後遺症は残りますか?
A. 多くの症例では、後遺症も残すことはありません。山を越えれば、また元の暮らしに戻れます。
Q. 予防できますか?
A. 完全室内飼育が、いちばん確かな予防です。主な原因が猫同士のケンカである以上、けんかの機会をなくすことがそのまま予防になります。
Q. けんかしたら、どうすればよいですか?
A. 傷がなくても、その時点で診てもらってください。猫の咬み傷は細く深く刺さり、表面だけ閉じます。早く処置すれば、膿胸まで進むのを防げることがあります。
Q. 室内飼いでも、なりますか?
A. なることがあります。多くの場合は原因不明とされており、けんかの心当たりがなくても起こりえます。
Q. 退院したら、薬はやめてよいですか?
A. 決められた期間は続けてください。見た目が元気になっても、残った菌からぶり返すことがあります。
Q. 同居猫にうつりますか?
A. 膿胸そのものがうつるわけではありません。ただし、けんかで傷を負えば同じことが起こりえます。同居猫同士の関係も、見直してみてください。
まとめ|呼吸が速くて熱があれば、その日のうちに
膿胸は、胸の中に膿がたまる病気です。
猫同士のけんかが、きっかけになることがあります。
そして、けんかから数日たってから現れます。
だから「けんかとは関係ない」と思われてしまうのです。
見分ける手がかりは呼吸の異常に、熱が加わっていることです。
治療は、入院して毎日洗うという重いものになります。
死亡率の高い病気でもあります。
けれど多くの症例では予後は良く、後遺症も残しません。
差を分けるのは、早さです。そして、最後まで続けることです。
今日できる3つ
- 1呼吸数を数え、あわせて体が熱くないか触ってみる
- 2外に出す猫なら、けんかの跡がないか体を触って探す
- 3けんかが分かったら、傷がなくても診てもらう
けんかの傷は、小さく見えても深く刺さっています。その時点で診せることが、いちばんの予防です。

本日の「犬猫の悩みを即解決!」の記事「猫の膿胸|けんかの傷から、胸に膿がたまります」でした。
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