

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫の横隔膜ヘルニア|お腹の臓器が、胸に入り込みます」です。ではどうぞ!
外から帰ってきた猫が、なんだかおかしい。
うずくまったまま動かず、呼吸が荒い。
けれど、外に傷は見当たらない。
横隔膜ヘルニアは、胸とお腹を仕切る膜が破れてお腹の臓器が胸に入り込んでしまう状態です。そして多くは、交通事故から起こります。
結論
横隔膜ヘルニアとは胸とお腹を仕切っている横隔膜に穴があき、お腹の臓器が胸腔内に入り込んでしまう状態です。猫の横隔膜ヘルニアは先天性の場合もありますが、多くの場合、交通事故等によって強い衝撃を受けることで起こります。外傷性の横隔膜ヘルニアは、交通事故や高所からの落下など強い衝撃で横隔膜が破れるもので、猫の横隔膜ヘルニアの大多数を占めています。屋外に外出する猫では、帰ってきて元気がない、呼吸が荒い、うずくまっているという様子が見られたら、外傷性の横隔膜ヘルニアを生じている可能性があります。事故などで急に横隔膜ヘルニアになると、強い呼吸障害が現れます。横隔膜ヘルニアは、X線検査や超音波検査で診断できることが多いとされています。治療については基本的に、外科手術以外で完治を望むことは難しく、外科的治療は、胸部に移動した臓器の位置を戻すことと、横隔膜の穴を塞いだり適正な大きさにしたりすることになります。慢性横隔膜ヘルニアでは、臓器が癒着したり合併症が起こりやすくなったりして、整復手術を行っても回復が難しい傾向にあります。
この記事でわかること
- ✓胸とお腹を、仕切る膜です
- ✓破れると、臓器が入り込みます
- ✓原因の多くは、事故です
- ✓生まれつきのこともあります
- ✓症状は、呼吸の異常です
- ✓診断は、レントゲンでつきます
- ✓治療は、手術です
- ✓遅れると、難しくなります
胸とお腹を、仕切る膜です
まず、横隔膜とは何かから。
体を、上下に分けています
横隔膜は胸とお腹を仕切っている筋肉の膜です。
この膜より上が胸、下がお腹になります。
肺と心臓は上、肝臓や胃、腸は下です。
呼吸を、動かしています
横隔膜は、呼吸の主役でもあります。
これが下がることで、胸が広がり、空気が入ります。
上がることで、空気が出ていきます。
つまり、仕切りであると同時にポンプなのです。
だから、破れると二重に困ります
仕切りとしての役目も、
ポンプとしての役目も、同時に失われます。
それが、この病気の重さです。
破れると、臓器が入り込みます

何が起きるのかを見ていきます。
お腹の臓器が、上がってきます
お腹の臓器が胸腔内に入り込んでしまう——
肝臓、胃、腸、脾臓などが穴を通って胸のほうへ移動します。
呼吸のたびに、少しずつ入っていくこともあります。
肺が、押されます
胸の中には、もともと肺と心臓が入っています。
そこに臓器が入り込めば、場所を奪われます。
肺は、ふくらむ場所を失います。
だから、呼吸が苦しくなるのです。
入った臓器も、傷みます
胸に入った臓器は、締めつけられることがあります。
血の流れが悪くなれば、その臓器も傷みます。
腸が入り込んで、詰まることもあります。
呼吸だけの問題では、終わらないのです。
原因の多くは、事故です

どこから起こるのかです。
外傷性が、大多数です
外傷性の横隔膜ヘルニアは、交通事故や高所からの落下など強い衝撃で横隔膜が破れるもので、猫の横隔膜ヘルニアの大多数を占めています。
お腹に強い圧がかかったとき、
その圧が逃げ場を求めて、横隔膜を破ります。
外に傷がないことがあります
体の外側は、無事なことがあります。
けれど、中では膜が破れている——
これが、この病気の気づかれにくいところです。
「傷がないから大丈夫」とは言えません。
事故のあとは、必ず診てもらってください
交通事故にあった、
高いところから落ちた——
そういうことがあれば、元気そうでも受診してください。
気胸も同じ場面で起こります。
どちらも、レントゲン一枚で確かめられます。
ほかの「事故のあとの病気」と、並べておきます
| 起こりうること | 見え方 |
|---|---|
| 横隔膜ヘルニア | 呼吸が荒い。うずくまって動かない |
| 気胸 | 浅く速い呼吸。ぜーぜーいう |
| 肺挫傷 | 肺そのものが傷つく。血が混じることも |
| 骨盤や足の骨折 | 歩けない、足を引きずる |
| 膀胱の破裂 | 尿が出ない、お腹が張ってくる |
どれも、外から見て分かるとは限りません。
生まれつきのこともあります
先天性の横隔膜ヘルニアもあります。
膜に、もともと欠損があります
猫の横隔膜ヘルニアは先天性の場合もあります。
お腹の中で体が作られる段階で、膜がうまく閉じなかった——
そういう成り立ちです。
気づかれ方が、違います
先天性では、急に苦しくなるとは限りません。
子猫のころから、なんとなく元気がない、
成長が遅い、よく吐く——
そういう形で気づかれることがあります。
別の検査で、偶然見つかることも
ほかの理由で撮ったレントゲンで、たまたま見つかることがあります。
症状が軽ければ、そこまで気づかれないのです。
見つかった時点で、手術を考えることになります。
症状は、呼吸の異常です

どんな様子になるのかです。
急に起きると、強く出ます
事故などで急に横隔膜ヘルニアになると、強い呼吸障害が現れます。
浅く速い呼吸になり、
口を開けて呼吸することもあります。
その場で、救急へ連絡してください。
外から帰ってきた猫では、疑ってください
屋外に外出する猫では、帰ってきて元気がない、呼吸が荒い、うずくまっているという様子が見られたら、外傷性の横隔膜ヘルニアを生じている可能性があります。
事故の瞬間を見ていなくても、この三つがそろえば疑う理由になります。
「今日はおとなしいな」で済ませないでください。
姿勢にも、特徴が出ます
伏せたまま、動こうとしない——
横になるより、うずくまる姿勢をとる——
臓器が胸を圧迫しているぶん、楽な姿勢を探しているのです。
- 呼吸が浅く、速い
- うずくまったまま動かない
- 食欲がまったくない
- お腹が、いつもより細く見える
- 吐くことがある
- 口を開けて呼吸している
⚠ 事故のあと、この四つが出たら
呼吸が荒い、または速い。
うずくまったまま、動かない。
食べようとしない。
口を開けて呼吸している。
外に傷がなくても、中で起きていることがあります。
診断は、レントゲンでつきます
確かめ方です。
画像で、見えます
横隔膜ヘルニアは、X線検査や超音波検査で診断できることが多いとされています。
本来あるはずの横隔膜の線が、途切れている、
胸の中に、お腹の臓器の影が写る——
そうした所見で分かります。
超音波も、役に立ちます
超音波検査では臓器の動きを、その場で見られます。
胸の中で、肝臓が動いている——
それが確かめられれば、診断がつきます。
麻酔も要らず、負担の少ない検査です。
呼吸が苦しければ、先に酸素です
呼吸が苦しい状態で押さえて撮影することは危険です。
まず酸素を吸わせて、落ち着かせてから撮影に進みます。
「すぐ撮らない」のには、理由があります。
ほかのけがも、一緒に調べます
強い衝撃を受けた体では、傷んだ場所がひとつとは限りません。
| あわせて確かめること | なぜか |
|---|---|
| 肺の状態 | 気胸や、肺そのものの損傷がないか |
| 骨折の有無 | 骨盤や足の骨が折れていることがある |
| お腹の中 | 膀胱や脾臓の損傷、出血がないか |
| 血液検査 | 出血や、臓器の傷みを示す数値 |
| 全身の状態 | ショックに陥っていないか |
だから、検査の項目が多くなります。
治療は、手術です
治す方法は、ひとつです。
薬では、治りません
基本的に、外科手術以外で完治を望むことは難しいとされています。
破れた膜は、自然にはふさがりません。
入り込んだ臓器も、自然には戻りません。
戻して、閉じます
外科的治療は、胸部に移動した臓器の位置を戻すことと、横隔膜の穴を塞いだり適正な大きさにしたりすることです。
お腹を開けて、臓器を元の位置へ戻す——
そして、破れた膜を縫い合わせる——
それが、この手術の中身です。
麻酔と呼吸の管理が、要になります
呼吸が苦しい状態での麻酔は難しいものです。
人工呼吸で管理しながら行います。
設備と経験のある施設を紹介されることもあります。
術後も、しばらく集中的な管理が必要になります。
運ぶときに、してほしいこと
- 先に、病院へ電話する
- お腹を強く押さえない
- 体全体を支えて、そっと運ぶ
- 頭を高く、お尻を低くしない
- 興奮させず、静かに移動する
- 事故の状況を、分かる範囲で伝える
お腹を圧迫すると、臓器がさらに胸へ押し上げられることがあります。
抱き方ひとつで、呼吸が変わります。
状態を整えてから、手術することもあります
すぐ手術するとは限りません。
酸素を吸わせ、点滴で支え、落ち着いてから手術することがあります。
ショック状態のまま麻酔をかければ、危険だからです。
「今日は手術しない」は、待つ判断です。
遅れると、難しくなります

ここが、この病気でいちばん伝えたいことです。
臓器が、くっついてしまいます
慢性横隔膜ヘルニアでは、臓器が癒着したり、合併症が起こりやすくなったりします。
時間がたつと、胸に入った臓器が周りとくっついてしまうのです。
そうなると、はがして戻すことが難しくなります。
手術しても、回復が難しくなります
整復手術を行っても、回復が難しい傾向にあります。
長く押されていた肺は、すぐには元どおりに広がりません。
癒着をはがす操作も、負担になります。
だから、早く見つけたいのです
事故から時間がたつほど、選べることが減ります。
「元気そうだから」で見送った数日が、
そのまま結果に響きます。
| 時期 | できること |
|---|---|
| 事故の直後 | 元気でも、レントゲンで確かめる |
| 数日以内 | 状態を整えて、手術できることが多い |
| 数週間後 | 癒着が始まり、手術が難しくなってくる |
| 慢性化 | 整復手術を行っても、回復が難しい傾向 |
| だから | 事故のあとの一枚が、結果を分ける |
🩺 撮っておく価値
「元気そうだから、様子を見ます」——
この病気では、その数日が大きく効きます。
レントゲン一枚で分かることです。
事故のあとは、撮っておいてください。
術後に、見ておくこと
- 安静時呼吸数を、毎日数える
- 傷の腫れや、にじみがないか
- 食欲が戻ってくるか
- カラーを外さない
- しばらくは、高いところへ登らせない
- 再診を、飛ばさない
長く押されていた肺は、すぐには元どおりに広がりません。
呼吸数が戻ってくるまで、時間がかかることがあります。
そして、外に出さないことです
外傷性が大多数である以上、
事故に遭う機会をなくすことが、いちばんの予防になります。
完全室内飼育にすれば、交通事故のリスクはほぼなくなります。
あわせて、ベランダや窓からの落下対策も見直してみてください。
この記事の要点
横隔膜に穴があき、お腹の臓器が胸腔内に入り込んでしまう状態です。
交通事故や高所からの落下による外傷性が、猫では大多数を占めます。
外に出る猫が帰ってきて、元気がない・呼吸が荒い・うずくまっているときは疑ってください。
外科手術以外で完治は難しく、慢性化すると癒着して回復が難しい傾向にあります。
Q. 横隔膜ヘルニアとは、どんな状態ですか?
A. 胸とお腹を仕切る横隔膜に穴があき、お腹の臓器が胸腔内に入り込んでしまう状態です。肺が押されるため、呼吸が苦しくなります。
Q. 原因は何が多いですか?
A. 外傷性が大多数を占めます。交通事故や高所からの落下など、強い衝撃で横隔膜が破れます。
Q. 外に傷がないのですが
A. 体の外側は無事なことがあります。けれど中では膜が破れていることがあり、「傷がないから大丈夫」とは言えません。
Q. 先天性のこともありますか?
A. あります。お腹の中で体が作られる段階で、膜がうまく閉じなかった場合です。子猫のころから元気がない、よく吐くといった形で気づかれます。
Q. どんな症状が出ますか?
A. 事故などで急に起こると、強い呼吸障害が現れます。外に出る猫では、帰ってきて元気がない、呼吸が荒い、うずくまっているという様子が手がかりになります。
Q. どうやって診断しますか?
A. X線検査や超音波検査で診断できることが多いとされています。横隔膜の線が途切れている、胸に臓器の影が写るといった所見で分かります。
Q. すぐレントゲンを撮らないのはなぜですか?
A. 呼吸が苦しい状態で押さえて撮影することは危険だからです。まず酸素を吸わせて落ち着かせてから、撮影に進みます。
Q. 薬では治りませんか?
A. 基本的に、外科手術以外で完治を望むことは難しいとされています。破れた膜は自然にふさがらず、入り込んだ臓器も自然には戻りません。
Q. どんな手術をしますか?
A. 胸部に移動した臓器の位置を戻し、横隔膜の穴を塞いだり適正な大きさにしたりします。
Q. すぐ手術になりますか?
A. 状態を整えてから行うことがあります。ショック状態のまま麻酔をかけるのは危険なため、酸素と点滴で支えてから手術に進むことがあります。
Q. 時間がたつと、どうなりますか?
A. 慢性横隔膜ヘルニアでは、臓器が癒着したり合併症が起こりやすくなったりします。整復手術を行っても、回復が難しい傾向にあります。
Q. なぜ癒着すると難しいのですか?
A. はがして戻す操作が、負担になるためです。また、長く押されていた肺はすぐには元どおりに広がりません。
Q. 事故のあと、元気なら大丈夫ですか?
A. それでも受診してください。レントゲン一枚で確かめられます。事故のあとの一枚が、結果を分けることがあります。
Q. 気胸とは違うのですか?
A. 別のものです。気胸は胸に空気が漏れる状態、横隔膜ヘルニアは臓器が胸へ入り込む状態です。ただし、どちらも同じ事故から起こりえます。
Q. 予防できますか?
A. 完全室内飼育が、いちばんの予防です。外傷性が大多数を占めるため、事故に遭う機会をなくすことが直接の対策になります。
Q. 運ぶとき、気をつけることは?
A. お腹を強く押さえないことです。圧迫すると、臓器がさらに胸へ押し上げられることがあります。体全体を支えて、そっと運んでください。
Q. 術後は、どのくらいで戻りますか?
A. 時間がかかることがあります。長く押されていた肺は、すぐには元どおりに広がりません。呼吸数を毎日測りながら、経過を見てください。
まとめ|事故のあとは、傷がなくても撮ってください
横隔膜ヘルニアは、胸とお腹の仕切りが破れる病気です。
そして、お腹の臓器が胸へ入り込みます。
多くは、交通事故や落下から起こります。
けれど、外に傷がないことがあります。
だから「元気そうだから」で見送られてしまうのです。
この病気で怖いのは時間がたつことです。
臓器が癒着すれば、手術しても回復が難しくなります。
事故にあったら、レントゲンを一枚。
その一枚が、手術できるかどうかを分けることがあります。
今日できる3つ
- 1外から帰ってきたら、呼吸の速さを確かめる習慣をつける
- 2事故や落下があったら、元気でも受診する
- 3ベランダや窓の落下対策を、見直してみる
外に傷がなくても、中で起きていることがあります。事故のあとの一枚が、結果を分けます。

本日の「犬猫の悩みを即解決!」の記事「猫の横隔膜ヘルニア|お腹の臓器が、胸に入り込みます」でした。
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