

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「犬の環軸椎亜脱臼|その子に、首輪を使っていませんか」です。ではどうぞ!
抱き上げようとしたら「キャン」と鳴いた——
そのとき、どこを痛がったのかを確かめられたでしょうか。
背中とは限りません。
首かもしれないのです。
環軸椎亜脱臼(かんじくついあだっきゅう)——
首の骨のうち、1番頭側の環椎と2番目の軸椎のあいだにある関節が不安定な状態になり、骨のなかを通っている神経に障害を起こす病気です。
小型犬に多く——とくにチワワ、トイ・プードル、ヨークシャー・テリア、ポメラニアンなどに見られます。
そして、この病気には知っておいてほしいことが2つあります。
ひとつは、首輪を使わないこと。
もうひとつは、状況次第では急死することもあるということです。
結論
環椎軸椎亜脱臼は首の椎骨のうち、1番頭側の環椎と2番目の軸椎のあいだの関節が不安定になり、椎骨のなかを通っている神経に障害を起こす病気です。頸部の不安定性により脊髄が圧迫され、歩様の異常から四肢の麻痺まで幅広い神経症状が現れます。主な症状は首の痛みですが、状況次第では急死することもあるため注意が必要です。小型犬に多く、とくにチワワ、トイ・プードル、ヨークシャー・テリア、ポメラニアンなどに見られます。軽症であればコルセット固定で症状が落ち着くこともありますが、根本的に治療するには手術が必要になります。環椎と軸椎を手術で固定する方法では神経への圧迫が軽減され、将来的にもしっかり固定されるため再発の危険が少なくなります。
この記事でわかること
- ✓首のいちばん上で、起きること
- ✓「キャン」が、首から出ることも
- ✓首輪は、使わないでください
- ✓急死することがある理由
- ✓椎間板ヘルニアとの、違い
- ✓コルセットと、手術
- ✓抱き方と、暮らしの工夫
首のいちばん上で、起きること

首の骨はいくつも連なっています。
そのうち、いちばん頭に近い2つには特別な名前がついています。
| 骨 | 役割 |
|---|---|
| 環椎(かんつい) | 首の1番目。頭を直接支える |
| 軸椎(じくつい) | 首の2番目。頭を回す軸になる |
| そのつながり | 靭帯や突起で、つなぎ止められている |
| なかを通るもの | 脊髄——脳から続く、太い神経 |
| 不安定になると | ずれて、脊髄を圧迫する |
| 結果 | 首の痛みから、麻痺まで |
この2つの骨はほかの首の骨とは違うつながり方をしています。
頭を回すという大きな動きを担っているからです。
だから、支える仕組みも特殊——
そして、その仕組みに生まれつき弱さがあると不安定になってしまうのです。
- 骨をつなぎ止める靭帯が、十分に働かない
- 軸椎の突起が、うまく育っていない
- そうした素因が、生まれつきある
- 小型犬に多いことが知られている
- 若いうちに症状が出ることが多い
- 軽い衝撃が、きっかけになることもある
「ソファから飛び降りたあと」「散歩でリードを強く引かれたあと」——
そうした場面をきっかけに症状が出ることがあります。
もともと不安定だったところに力が加わった——
そういう起こり方です。
だから、「昨日まで元気だったのに」ということが起こります。
もともとの弱さは外からは分かりません。
症状が出てはじめてそこが不安定だったと分かる——
そして、きっかけになった出来事がごく軽いものだったために「そんなことで」と思われることもあります。
飼い主が自分を責める必要はありません。
けれど、分かったあとには力がかからないようにする——
そこができることのすべてだと考えてください。
「キャン」が、首から出ることも

主な症状は首の痛みです。
そして、この痛みは背中の痛みと見分けがつきにくい——
| 見えること | 説明 |
|---|---|
| 抱き上げると鳴く | 首の角度が変わり、痛みが出る |
| 頭を下げたまま | 上を向く姿勢を、避けている |
| 触られるのを嫌がる | 首まわりに、手を近づけさせない |
| ふらつく、もつれる | 脊髄が圧迫されている |
| 足に力が入らない | 四肢の麻痺へ進むことがある |
| 急に始まった | 軽い衝撃がきっかけのことも |
「頭を下げたまま」という姿勢は見ておいてほしい変化です。
首を動かすと痛いからいちばん楽な角度で固めている——
元気がないように見えるかもしれませんが痛みをかばっているのです。
どこを痛がったか、確かめてください
抱き上げたときに鳴いた——
その場面でどこに手が当たっていたかを思い出してみてください。
胴を持ったのか、首の近くを支えたのか——
背中なら椎間板ヘルニアを、首ならこの病気を考えることになります。
ただし、自分で首を曲げて確かめようとしないでください。それ自体が危険な行為です。
そして、小型犬で首を痛がる——
その組み合わせならこの病気を候補に入れてください。
チワワ、トイ・プードル、ヨークシャー・テリア、ポメラニアン——
これらの犬種ではとくに覚えておいてほしい病気です。
同じ犬種では水頭症も知られています。
ふらつくという症状が重なるため画像で見分けることになります。
首輪は、使わないでください

この記事でもっとも実践的な部分です。
この病気の犬——
そして、好発犬種の犬には首輪ではなくハーネスを使ってください。
理由は単純です。
不安定になっている関節にリードを引くたび直接、力がかかるからです。
- 首輪は、力が首に集中する
- その首の、いちばん上が不安定な場所
- 引っ張れば、ずれる方向へ力が加わる
- 急に引かれれば、症状が悪化しうる
- ハーネスなら、胸と背中に分散する
- 好発犬種なら、最初からハーネスを選ぶ
とくに、散歩でぐいぐい引っ張る犬——
あるいは、ほかの犬を見て急に飛び出そうとする犬——
その瞬間に首には強い力がかかります。
診断がついている犬ならもちろん——
まだ何も言われていないとしても好発犬種ならハーネスにしておくことに損はありません。
そして、同じ小型犬では気管虚脱も多い病気です。
そちらでも首輪は避けたい道具——
のどの炎症についても同じことが言えます。
小型犬にとって首はとても繊細な場所だと考えてください。
急死することがある理由
この病気でもっとも警戒すべきことを書きます。
状況次第では急死することもある——
なぜ、首の関節の問題でそこまで至るのか——
そこを通っているものを思い出してください。
脊髄——脳から続く、太い神経の束です。
そして、首のいちばん上には呼吸に関わる神経も通っています。
強い圧迫がそこに及べば——
呼吸そのものが止まってしまうことがありうるのです。
🩺 運び方が、結果を変えることがあります
だから、「首を痛がるくらい」で済ませないでください。
そして、無理に首を動かさない——
抱き上げるとき、運ぶときには首を曲げないように支えてください。
病院へ運ぶときも体全体を水平に保ったまま——
キャリーやタオルにそっと乗せて運ぶのが安全です。
そして、急に足に力が入らなくなった——
そういう変化ならその日のうちに受診してください。
圧迫が進んでいる可能性があります。
そして、運ぶあいだにも気をつけてください。
抱きかかえて車に乗るのではなく硬めの板やトレイにタオルを敷いてそっと乗せる——
そのほうが首が動きません。
キャリーに入れるならすきまにタオルを詰めて体が転がらないように——
カーブや段差で体が揺れることをできるだけ減らしてください。
椎間板ヘルニアとの、違い
同じ「脊髄が圧迫される病気」でも椎間板ヘルニアとは成り立ちが違います。
| 環軸椎亜脱臼 | 椎間板ヘルニア | |
|---|---|---|
| 場所 | 首のいちばん上 | 背中や首の、椎間板 |
| 原因 | 関節が不安定になる | クッションが飛び出す |
| 背景 | 生まれつきの素因が多い | 加齢や体型が関わる |
| 多い犬種 | 小型犬(チワワなど) | 胴の長い犬種(ダックスなど) |
| 症状 | 首の痛み、ふらつき、麻痺 | 背中の痛み、後ろ足の麻痺 |
| 治療 | 固定(コルセット・手術) | 安静・投薬、または圧迫の除去 |
いちばん大きな違いは「飛び出したものを取る」のか「ぐらつきを止める」のか——
椎間板ヘルニアでは圧迫しているものを取り除きます。
けれど、この病気では取り除くものがありません。
骨そのものが動いてしまうのですから動かないように固定する——
それが治療の考え方になります。
そして、この違いは暮らしのなかでの注意点にも現れます。
椎間板ヘルニアでは「飛び降りさせない」ことが中心でしたがこの病気では「首に力をかけない」——
守るべき場所が違ってくるのです。
コルセットと、手術

治療には2つの方向があります。
| 方法 | 内容 | 位置づけ |
|---|---|---|
| コルセット固定 | 首を外から支え、動かさない | 軽症なら、落ち着くこともある |
| 安静 | ケージで、動きを制限する | 固定とあわせて行う |
| 投薬 | 痛みと炎症を抑える | 症状を和らげる |
| 環椎軸椎固定術 | 手術で、2つの骨を固定する | 根本的な治療 |
| その効果 | 神経への圧迫が軽減される | 再発の危険も下がる |
| 施設 | 設備と技術が必要 | 紹介になることも多い |
軽症であればコルセット固定で症状が落ち着くこともあります。
首を外から支えて動かさないようにする——
そのあいだに炎症が引き、痛みが和らぐことがあるのです。
けれど、根本的に治療するには手術が必要になります。
不安定さそのものはコルセットを外せば戻ってしまうからです。
環椎と軸椎を手術で固定する方法では神経への圧迫が軽減され、将来的にもしっかりと固定されるため再発の危険が少なくなります。
「一生、コルセットで過ごす」というわけにはいかないのです。
成長期の犬ではタイミングを考えることもあります。
どちらを選ぶかは症状の程度と年齢、そして受けられる施設で決まってきます。
抱き方と、暮らしの工夫
この病気の犬と暮らすうえで気をつけたいことをまとめます。
| 場面 | 工夫 |
|---|---|
| 抱き上げるとき | 首を曲げない。体全体を支える |
| 散歩 | 首輪をやめ、ハーネスにする |
| 段差 | 飛び降りさせない。スロープを置く |
| 床 | すべり止めを敷く |
| 遊び | 首を強く振る遊びは避ける |
| 食器 | 高さを上げ、首を下げずに食べられるように |
抱き方——
脇の下だけを持って縦に持ち上げる——
その抱き方は首に大きな負担をかけます。
片方の手で胸を、もう片方でお尻を支え、体を水平に保ったまま——
そして、首がだらんと垂れないように気をつけてください。
家族全員で抱き方をそろえておくことが大切です。
そして食器の高さ——
床に置いた食器で食べることは首を大きく下げる姿勢をとることになります。
台に載せて少し高くするだけでその負担が減ります。
遊び方も、見直してください
首を強く振る遊びはこの病気では避けたいものです。
- 引っ張り合いの遊びは、首をひねる動きになる
- おもちゃを激しく振り回す遊びも同じ
- 飛びついてくるのを、受け止めない
- ほかの犬とのじゃれ合いも、様子を見て
- 頭をなでるときも、強く押さえない
- 首まわりのブラッシングは、そっと
ロープの引っ張り合い——
犬が喜ぶ遊びですが首を強くひねり、引っ張る動作を繰り返すことになります。
この病気の犬には向きません。
代わりに、においを使う遊びや知育玩具など首を使わずに楽しめるものを選んでください。
遊びを取り上げる必要はありません。
遊びの種類を変えればよいだけのことです。
引っ張り癖のある犬では
ハーネスに替えたとしても引っ張る行動そのものが減ればもっとよいのです。
- リードをぴんと張ったまま歩かせない
- 立ち止まって、緩んでから進む
- ほかの犬に突進しそうな場面は、あらかじめ避ける
- 伸縮リードは、急に止まると衝撃が大きい
- 興奮しやすい時間帯・場所を選ばない
- 散歩の仕方そのものを見直す機会にする
伸縮するリードは気をつけたい道具です。
伸びきったところで急に止まれば強い衝撃がかかります。
この病気の犬では避けたほうが安全です。
そして、散歩そのものをやめる必要はありません。
症状が落ち着いているなら無理のない範囲で続けられます。
大切なのは「首に急な力がかからないようにすること」——
ゆっくり歩き、リードを緩めたまま進む——
そういう散歩なら負担にはなりません。
むしろ、まったく動かさなければ首を支える筋肉も落ちていきます。
どこまで動かしてよいかは症状の程度によりますから獣医師に確かめておいてください。
よくある質問
Q. 環軸椎亜脱臼とはどんな病気ですか?
A. 首の1番目の骨(環椎)と2番目の骨(軸椎)のあいだの関節が不安定になり、なかを通る神経に障害を起こす病気です。頸部の不安定性により脊髄が圧迫され、歩様の異常から四肢の麻痺まで幅広い神経症状が現れます。
Q. どんな症状が出ますか?
A. 主な症状は首の痛みです。抱き上げると鳴く、頭を下げたままで上を向きたがらない、触られるのを嫌がる——そこからふらつきや麻痺へ進むことがあります。
Q. なりやすい犬種はありますか?
A. 小型犬に多く、とくにチワワ、トイ・プードル、ヨークシャー・テリア、ポメラニアンなどに見られます。生まれつき、骨をつなぎ止める仕組みに弱さがあることが背景にあります。
Q. 首輪は使ってはいけませんか?
A. ハーネスに替えてください。首輪はリードを引くたび、不安定になっている関節に直接力がかかります。診断がついていなくても、好発犬種ならハーネスにしておくことに損はありません。
Q. 急死することがあるというのは本当ですか?
A. 状況次第では、そうしたこともあるとされています。首のいちばん上には呼吸に関わる神経も通っており、強い圧迫が及べば呼吸そのものに影響しうるためです。「首を痛がるくらい」で済ませないでください。
Q. 椎間板ヘルニアとは違うのですか?
A. 成り立ちが違います。椎間板ヘルニアはクッションが飛び出して圧迫しますが、この病気は骨そのものが動いてしまいます。だから治療も「取り除く」ではなく「固定する」になります。
Q. 手術は必要ですか?
A. 軽症であればコルセット固定で落ち着くこともあります。ただし、不安定さそのものはコルセットを外せば戻るため、根本的に治療するには手術が必要になります。環椎と軸椎を固定すれば、再発の危険も下がります。
まとめ|小型犬の首は、繊細です
この病気でまず変えてほしいことは散歩の道具です。
首輪をやめて、ハーネスに——
それだけで不安定な関節にかかる力が大きく減ります。
そして、抱き方——
脇の下だけを持って縦に持ち上げない——
体を水平に保ち、首が垂れないように支える——
この2つを家族全員でそろえてください。毎日のことですから積み重なれば大きな差になります。
そして、抱き上げたときに鳴いたなら——
それが背中なのか、首なのかを思い出してみてください。
小型犬で首を痛がるならこの病気を候補に入れる理由が十分にあります。
そして、軽症のうちならコルセット固定で落ち着くこともある——
ふらつきや麻痺まで進んでしまう前に気づけるかどうかがここでも分かれ目になります。
今日できる3つ
- 1首輪を使っているなら、ハーネスに替える
- 2抱き上げ方を、家族全員で確かめてそろえる
- 3食器を台に載せて、首を下げずに食べられるようにする
「首を痛がるくらい」では済まないことがあります。まず、首にかかる力を減らしてください。

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