

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「犬の椎間板ヘルニア|痛がるだけの段階で、気づけるか」です。ではどうぞ!
抱き上げようとしたら「キャン」と鳴いた。
いつも上がっていたソファに乗らなくなった。
背中を丸めて、じっとしている——
「どこか痛いのかな」と思いつつ「一日様子を見よう」としてしまう——
その段階こそこの病気でいちばん大切な時期です。
椎間板ヘルニア——
背骨のあいだにあるクッションが飛び出し、神経の通り道を圧迫してしまう病気です。
そして、この病気には5段階のグレードがあります。
痛みだけの段階から完全に麻痺した段階まで——
どの段階かで治療も、見通しもまったく変わってきます。
結論
椎間板ヘルニアは症状の進行度によってグレード1〜5の5段階で評価されます。グレード1はもっとも軽く、神経の機能は正常で痛みだけがある状態で、抱き上げたときに「キャン」と鳴く、登り降りを嫌がるといった背中を痛がる症状が出ます。グレード5では圧迫が限界を超えて麻痺が完全に起こり、後ろ足の指の間を強くつねってもまったく痛みを感じない状態になります。軽度(グレード1・2)であれば内科治療(安静・投薬)で8〜9割の回復が期待できるとされ、重度(グレード3〜5)や麻痺がある場合には早期の手術が推奨されます。とくに発症から48時間以内の対応が鍵とされますが、現在では48時間以降の手術でも回復が見られる場合があることが知られています。
この記事でわかること
- ✓グレードで、することが変わります
- ✓痛みだけの段階に、気づけるか
- ✓「深部痛覚」という、分かれ目
- ✓時間が、予後を決めます
- ✓内科治療の「安静」とは
- ✓手術という選択
- ✓再発を防ぐ、暮らし方
グレードで、することが変わります

この病気を理解するうえでいちばん大切なものがグレードです。
| 段階 | 見えること | 対応 |
|---|---|---|
| グレード1 | 痛みだけ。歩ける | 内科治療。安静と投薬 |
| グレード2 | 歩けるが、ふらつく | 内科治療で対応することが多い |
| グレード3 | 自力で立てない。足は動く | 手術が検討される段階 |
| グレード4 | 後ろ足が動かない。排尿もできない | 早期の手術が推奨される |
| グレード5 | 完全な麻痺。痛みも感じない | 時間との勝負になる |
| 共通 | 進むほど、戻りにくくなる | 早く動くほど、選べる手が多い |
グレード1・2——つまり「痛がる」「ふらつく」という段階なら内科治療(安静・投薬)で8〜9割の回復が期待できるとされています。
これは、とても大きな数字です。
手術をしなくてもほとんどが戻る——
けれど、その条件は「その段階で気づけたこと」です。
グレード3以上になってしまえば話が変わります。
早期の手術が推奨される——そして、そこからは時間との勝負になります。迷っている一日がそのまま見通しに響いてきます。
痛みだけの段階に、気づけるか

グレード1は「痛みだけ」の段階です。
歩けるし、食べるし、見た目には元気そうにも見える——
だから、見逃されやすいのです。
- 抱き上げると「キャン」と鳴く
- 階段の登り降りを嫌がる
- ソファやベッドに乗らなくなった
- 背中を丸めて、じっとしている
- 小刻みに震えている
- 触られるのを嫌がる、動きたがらない
「今日は元気がないな」——
そう受け取って一日、二日と様子を見てしまう——
そのあいだにグレードが進むことがあります。
「できていたことを、しなくなった」
この病気の初期を見つける手がかりはそこにあります。
昨日まで飛び乗っていたソファに乗らない——
いつも自分で上がっていた階段の前で止まっている——
それは「疲れているから」ではなく「痛くてできないから」かもしれません。
犬は痛みを隠します。行動の変化のほうが先に出ることが多いのです。
そして震え——
寒くもないのに小刻みに震えているなら痛みを疑ってください。
とくに、背中を丸めた姿勢で震えているのは典型的な現れ方です。
胴が長い犬種——とくにミニチュア・ダックスフンドではこの病気が多いことがよく知られています。
そうした犬種と暮らしているなら初期のサインを覚えておいてください。知っているかどうかで受診までの時間が大きく変わります。
「深部痛覚」という、分かれ目
グレード5というもっとも重い段階を決めるものがあります。
深部痛覚です。
後ろ足の指の間を強くつねってもまったく痛みを感じない——
その状態がグレード5です。
| 深部痛覚が残っている | 深部痛覚が消えている | |
|---|---|---|
| グレード | 4まで | 5 |
| 神経の状態 | まだつながっている | 伝わらなくなっている |
| 見通し | 回復が期待しやすい | 厳しくなる |
| 急ぎ方 | 早期の手術が推奨される | 時間との勝負になる |
| 確かめ方 | 診察で確認される | 診察で確認される |
| 家では | 自己判断で試さない | 自己判断で試さない |
なぜ、これが分かれ目なのか——
痛みを伝える神経は脊髄のなかでも深いところを通っています。
だから、そこまで届かなくなったということは圧迫がとても深刻だという意味になります。
逆に、深部痛覚が残っているならまだ神経はつながっている——
だから、見通しが変わってくるのです。
🩺 深部痛覚は、自宅では調べません
自宅で確かめようとしないでください。
「強くつねる」という刺激は本当に強いものです。
そして、反応があったかどうかの判断も難しい——
足を引っ込めただけなのか本当に痛みを感じているのかを分ける必要があるからです。
これは診察で確かめてもらうものです。家では「立てるか」「足が動くか」を見てください。
時間が、予後を決めます

重いグレードでは時間そのものが結果を決めます。
グレード5では48時間を超えると脊髄の神経が傷み、手術をしても元の状態に戻りにくくなるとされてきました。
なぜ、そうなるのか——
- 飛び出したものが、脊髄を圧迫する
- 圧迫された部分に、血液が届かなくなる
- 血が通わなければ、神経は傷んでいく
- 時間が経つほど、傷みは深くなる
- だから、圧迫を早く取り除く必要がある
- それが、手術の目的
ただし——
現在では48時間以降の手術でも回復が見られる場合があることが知られています。
これは、とても大切な情報です。
「48時間を過ぎたから、もう手遅れ」と諦める必要はない——
けれど、だからといってゆっくりしてよいという意味でもありません。
早いほどよい。けれど、遅くても諦めない——
そのふたつをあわせて受け取ってください。
そして、夜間に急に立てなくなった——
そういう場面で「朝まで待とう」としてしまうことがあります。
グレードが進んでいるならその一晩が結果を変えることがある——
立てない、後ろ足が動かないという状態なら夜間でも受診してください。
「痛がっているだけ」なら翌朝でも間に合うことが多いのですがそこを分けるのは「動くかどうか」です。
内科治療の「安静」とは

グレード1・2では内科治療——安静と投薬が選ばれます。
そして、ここでもっとも誤解されやすいことが「安静」の中身です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 場所 | ケージやサークルなど、動けない狭さに |
| 動ける範囲 | 立ち上がって数歩、が限度 |
| トイレ | 抱いて連れて行く。歩かせない |
| 階段・ソファ | いっさい上がらせない |
| 散歩 | 指示があるまで、行かない |
| 期間 | 指示された期間を、必ず守る |
「家のなかで静かに過ごさせる」——
それでは足りません。
飛び出したものが落ち着くまで背骨を動かさないことが目的だからです。
家のなかでも犬は走ります。
チャイムが鳴れば飛び出していきます。
だから、物理的に動けない環境をつくる必要があるのです。
そして、もうひとつ——
痛みが引いたからといって解除しないでください。
痛み止めが効いているだけで飛び出したもの自体はそこにあります。
「元気になったから」と早く出してしまうことが再発のいちばん多い原因です。
安静のあいだの、過ごし方
数週間、ケージのなかで過ごす——
本人にとっても飼い主にとってもつらい期間だと思います。
けれど、工夫できることはあります。
- ケージのそばに人がいる時間をつくる
- 声をかける、そっとなでる
- 知育玩具など、動かずに楽しめるものを使う
- 興奮させる場面を、あらかじめ減らす
- 寝床をやわらかく、清潔に保つ
- 期間の終わりを、家族で共有しておく
「かわいそうだから」と出してしまうのがいちばん多い失敗です。
数週間の我慢がそのあとの何年かを守る——
そう考えて乗り切ってください。
そして、興奮させる場面——
チャイムや来客で飛び出そうとすることがいちばん危ないのです。
その時間だけでも静かな部屋へ移すといった配慮をしてください。
手術という選択
グレード3以上や麻痺がある場合には早期の手術が推奨されます。
手術の目的は圧迫を取り除くことです。
飛び出したものを取り出し、脊髄への圧を解放する——
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目的 | 脊髄への圧迫を取り除く |
| 時期 | 早いほど、回復が期待しやすい |
| 術前 | 画像検査で、場所と程度を確かめる |
| 術後 | 安静と、リハビリを組み合わせる |
| 回復 | グレードと、経過した時間による |
| 施設 | 画像診断の設備が必要。紹介になることも |
手術をすればすぐ歩けるというものではありません。
傷んだ神経が回復していくには時間がかかります。
週単位、場合によっては月単位で見ていくことになる——
そのあいだにはリハビリも組み合わせられます。
「手術して終わり」ではなく「手術してから始まる」——
そう考えて臨んでください。
そして、手術をするかどうかを決めるとき——
迷われると思います。
費用も麻酔の負担もそのあとの介助も考えなければなりません。
そのときに確かめてほしいことを挙げておきます。
- いまのグレードは、いくつなのか
- 深部痛覚は残っているのか
- 手術をした場合、しなかった場合の見通し
- 術後、どのくらいの期間の介助が必要か
- リハビリはどこで受けられるか
- いつまでに決める必要があるのか
とくに「いつまでに決めるか」——
この病気では迷っている時間そのものが結果に関わります。
期限をはっきりさせておけば決めやすくなります。
排尿の管理も、必要になります
後ろ足が動かない段階では自分で排尿できなくなることがあります。
膀胱に尿がたまり続ければ感染や、腎臓への負担につながります。
- 尿が出ているかを、必ず確かめる
- 出ていなければ、その日のうちに伝える
- 圧迫排尿の方法を、教わることがある
- 自己流で強く押さない
- 尿の色やにおいの変化も見ておく
- 床ずれにも気をつける
動けない期間には床ずれも問題になります。
体の向きを定期的に変える、やわらかい寝床を用意する——
そうした介助も回復までの大切な部分です。
再発を防ぐ、暮らし方
この病気は再発することがあります。
だから、回復したあとの暮らし方が大切になります。
| 項目 | 工夫 |
|---|---|
| 段差 | ソファやベッドへの飛び乗り・飛び降りを防ぐ |
| 階段 | 柵をつける。抱いて移動する |
| 床 | すべり止めを敷く。踏ん張れるように |
| 体重 | 太らせない。背骨への負担が増える |
| 抱き方 | 背骨をまっすぐに保って支える |
| 散歩 | 引っ張らせない。ハーネスを使う |
いちばん効くのは「飛び降りさせない」ことです。
ソファから飛び降りる瞬間——
着地の衝撃が背骨にまっすぐかかります。
スロープを置く、そもそも上がらせない——
環境のほうを変えてしまうのが確実です。
そして体重——
背骨を支えているのは周りの筋肉です。
太れば支える負担が増え、動かなければ筋肉が落ちる——
体重の管理はそのまま背骨を守ることになります。
後ろ足の動きがおかしいという症状は股関節の問題や関節の変性でも起こります。
首のあたりなら環軸椎の問題も考えられます。
見分けは画像検査で行われます。
そして、抱き方——
胴の長い犬を片手で持ち上げると体がくの字に折れてしまいます。
片方の手でお尻を、もう片方で胸を支え、背骨をまっすぐ保ったまま持ち上げる——
この抱き方を家族全員でそろえておいてください。
とくに、小さなお子さんには抱っこの仕方を教えておく必要があります。
脇の下だけを持って縦に持ち上げるという抱き方は背骨に大きな負担をかけます。
よくある質問
Q. 椎間板ヘルニアのグレードとは何ですか?
A. 症状の進行度を5段階で評価したものです。グレード1は痛みだけで神経の機能は正常、グレード5では完全な麻痺が起こり、後ろ足の指の間を強くつねってもまったく痛みを感じない状態になります。
Q. 軽ければ手術しなくてよいのですか?
A. グレード1・2であれば、内科治療(安静・投薬)で8〜9割の回復が期待できるとされています。ただしその条件は「その段階で気づけたこと」です。グレード3以上になれば、早期の手術が推奨されます。
Q. 初期のサインは何ですか?
A. 抱き上げると「キャン」と鳴く、階段の登り降りを嫌がる、ソファに乗らなくなる、背中を丸めて震えるなどです。「できていたことをしなくなった」という変化が手がかりになります。
Q. 48時間を過ぎたら、もう手遅れですか?
A. そうとは限りません。グレード5では48時間が目安とされてきましたが、現在では48時間以降の手術でも回復が見られる場合があることが知られています。早いほどよいのは確かですが、遅くても諦める必要はありません。
Q. 「安静」とは、どのくらいですか?
A. ケージなど動けない狭さに入れ、立ち上がって数歩が限度という程度です。トイレも抱いて連れて行き、階段やソファには上がらせません。「家のなかで静かに過ごす」では足りません。
Q. 痛がらなくなったら、出してよいですか?
A. 出さないでください。痛み止めが効いているだけで、飛び出したもの自体はそこにあります。「元気になったから」と早く解除することが、再発のいちばん多い原因です。
Q. 再発を防ぐには?
A. 飛び降りさせないことがいちばん効きます。ソファやベッドからの着地の衝撃が、背骨にまっすぐかかります。スロープを置く、そもそも上がらせない——環境のほうを変えてしまうのが確実です。
まとめ|痛がる段階で、連れて行く
この病気で結果を分けるものは「どの段階で気づいたか」です。
痛みだけの段階なら内科治療で8〜9割が回復する——
けれど、麻痺まで進めば手術が必要になり、時間との勝負になります。
だから、「キャンと鳴いた」で動いてほしいのです。
抱き上げたときに鳴く。階段を嫌がる。ソファに乗らない——
「今日は元気がないな」で一日待たないでください。
そして、治療が始まったら安静を守ること——
「家で静かに」ではなく「動けない環境をつくる」——
その徹底が回復と再発を分けます。
この病気はグレードというはっきりした物差しがある病気です。
だからこそ、「いまどの段階なのか」を聞いておいてください。
数字が分かれば見通しも、することもはっきりします。
今日できる3つ
- 1抱き上げたときに鳴かないか、確かめてみる
- 2ソファや階段など、できていたことを避けていないか見る
- 3飛び降りる場所にスロープを置く、または上がらせない
痛みだけの段階が、いちばん打つ手の多い時期です。一日、様子を見ないでください。

本日の「犬猫の悩みを即解決!」の記事「犬の椎間板ヘルニア|痛がるだけの段階で、気づけるか」でした。
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