

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「ボルゾイの飼い方|胃捻転と、逃走という2つのリスク」です。ではどうぞ!
優雅な立ち姿。流れるような長い被毛——
ボルゾイは、見た目の美しさで選ばれることの多い犬種です。
けれど、その体には2つの大きなリスクが組み込まれています。
ひとつは、胃捻転。
胸が極端に深い体型のため、胃がねじれてしまう緊急疾患を起こしやすいのです。
もうひとつは、逃走。
時速50km前後で走るサイトハウンド——いったん走り出せば、人には追いつけません。
この記事では、この2つのリスクへの備えを中心に書いていきます。
結論
ボルゾイで備えたいのは胃捻転と逃走の2つです。胃捻転は数時間で命に関わる緊急疾患——食事を1日2〜3回に分け、食後1時間は安静にしてください。そして時速50km前後で走る犬ですから、囲われていない場所ではリードを絶対に外さないこと。気質は穏やかで繊細——家のなかでは驚くほど静かに過ごします。
この記事でわかること
- ✓胸が深い体型という、リスク
- ✓胃捻転のサインと、対応
- ✓食事で、リスクを下げる
- ✓逃走という、もうひとつのリスク
- ✓家では、驚くほど静か
胸が深い体型という、リスク
ボルゾイの体つきを見てみます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 体重 | オス34〜48kg/メス25〜41kg |
| 体高 | オス75cm以上/メス68cm以上 |
| 胸 | 非常に深く、幅は狭い |
| 腰 | 深く吊り上がっている |
| 平均寿命 | 7〜10年 |
| 被毛 | 長く、絹のような質感 |
体高75cm以上——立ち上がれば、人の背丈を超えます。
そして、この「深い胸」という体型が胃捻転のリスクにつながります。
胃拡張・胃捻転症候群——
胃にガスがたまって膨らみ、そのままねじれてしまう病気です。
ねじれると、血流が止まります。
そして数時間で、命に関わる状態になります。
オオカミを追った犬という、来歴
ボルゾイは、ロシアの貴族がオオカミ猟に使っていた犬だとされています。
雪原を走り、オオカミに追いつき、組み伏せる——
そのために、この体が作られました。
長い脚。深い胸。細く絞られた腰——
すべては、速く走るための構造です。
「ボルゾイ」という名前もロシア語で「素早い」を意味する語に由来すると言われています。
その優雅な見た目は、美しさを求めた結果ではなく速さを求めた結果——
そう考えると、この体型の意味も見えてきます。
なぜ、胸が深いと起きやすいのか
胃は、靭帯で体の内側につながっています。
胸が深く、上下方向にスペースがある体型では、胃が動ける範囲が大きくなります。
そこにガスや食べ物で重くなった胃があれば——
回転してしまう余地が生まれるというわけです。
大型で胸の深い犬種にこの病気が集中するのはそのためです。
胃捻転のサインと、対応

この病気で、もっとも重要なのは「早く気づくこと」です。
| サイン | 様子 | 対応 |
|---|---|---|
| 落ち着かない | うろうろして座らない | すぐ動物病院へ連絡 |
| 吐こうとして吐けない | えずくが何も出ない | 典型的なサイン |
| よだれが多い | 飲み込めなくなっている | 受診の理由になる |
| お腹が張る | 左側が膨らんで硬い | 緊急事態 |
| ぐったりする | ショック状態 | ただちに受診 |
もっとも分かりやすいのが、「吐こうとして吐けない」ことです。
えずくような動作を繰り返すのに、何も出てこない——
これは、胃の出入り口がねじれて塞がっている可能性を示します。
⚠ 様子を見てはいけない病気です
「明日、病院が開いてから」——この判断が、取り返しのつかない結果になりえます。
胃捻転は、発症から数時間で命に関わる状態になります。
夜間でも、休日でも、すぐに動物病院へ連絡してください。大型犬を飼うなら、夜間対応の病院を健康なうちに調べておく——それが、この犬種では必須の準備です。
予防的な手術という選択肢
胃を体の壁に固定する手術——
胃固定術という方法があります。
胃がねじれないように、あらかじめ固定しておくという考え方です。
避妊・去勢手術と同時に行うことを検討するケースもあります。
すべての犬に必要な処置というわけではありません。
ただ、この犬種を迎えたなら「そういう選択肢がある」ことは知っておいてよいと思います。
獣医師と相談してみてください。
食事で、リスクを下げる

日々の食事のやり方でリスクは下げられます。
- 1日の量を、2〜3回に分けて与える
- 早食い防止の食器を使う——空気を飲み込ませない
- 食後1時間は、激しい運動をさせない
- 食前の激しい運動も避ける
- 水を一気に大量に飲ませない
- 興奮した直後に食べさせない
「散歩→落ち着く→食事」——
この順番を決めておけば、食後の運動という問題はそもそも起きません。
そして早食い。
勢いよく食べる犬は大量の空気も一緒に飲み込んでいます。
凹凸のある食器や、知育トイに入れて与える——
食べる速度を落とすだけで、対策になります。
多頭飼いの場合は、「取られまい」として早食いが強まることがあります。
それぞれ別の場所で落ち着いて食べさせる——それだけで、食べる速度は変わってきます。落ち着いて食べられる環境そのものが、この犬種では対策になります。
逃走という、もうひとつのリスク

ボルゾイは、サイトハウンドです。
視覚で獲物を見つけ、追いかけて捕らえる——
ロシアで、オオカミ猟に使われてきた犬種だとされています。
| 場面 | 起きうること | 対策 |
|---|---|---|
| 散歩中 | 猫や鳥を見て走り出す | リードを絶対に外さない |
| 玄関 | ドアの隙間から飛び出す | 二重の扉やゲートを設ける |
| 庭 | フェンスを越える・くぐる | 高さと隙間を確認する |
| 首輪 | 頭が細く、すり抜ける | 抜けにくい形状を選ぶ |
| 逃走後 | 数分で数キロ先まで行く | 迷子札とマイクロチップ |
「うちの子は呼べば戻る」——
普段はそうかもしれません。
けれど、追跡のスイッチが入った瞬間はまったく別です。
走っている最中の犬は、呼び声が耳に入っていません。
そして、時速50km前後——
数分で、数キロ先まで行ってしまいます。
そして、走っている犬は道路も車も見ていません。
この犬種で報告される事故の多くが、追跡による飛び出しだと言われています。
「一度も外したことがない」——それが、いちばん確実な予防です。
首輪が抜けるという、体型の問題
サイトハウンドに共通する問題が首輪が抜けやすいことです。
頭が細く、首が太い——
普通の首輪では、後ろに引くとするりと抜けてしまいます。
サイトハウンド用の幅広の首輪や、抜けにくいハーネスを使ってください。
散歩に出る前に、毎回きつさを確認する——それだけで、防げる事故があります。
走らせる場所を、どう確保するか
ただし、この犬種にも走る時間は必要です。
1日1〜2時間の散歩に加えて、安全な場所で自由に走らせる時間があることが理想になります。
- 囲われたドッグランを探しておく
- フェンスの高さと隙間を、必ず自分で確認する
- 大型犬エリアがあるか確認する
- 貸切のドッグランという選択肢もある
- ロングリードを使う方法もある
- 公道では、絶対にリードを外さない
迎える前に、走らせられる場所を探しておく——
これが、この犬種では実務的な準備になります。
家では、驚くほど静か

外での姿から想像しにくいのですが——
ボルゾイは、家のなかでは非常に静かな犬種です。
| 項目 | 傾向 |
|---|---|
| 吠え | ほとんど吠えない |
| 室内での様子 | 一日の大半を寝て過ごす |
| 性格 | 穏やか・物静か・繊細 |
| 攻撃性 | ほとんどない |
| 叱られたとき | 強く萎縮する |
| 見知らぬ人 | 控えめ。距離を取る個体も |
「番犬にはならない」——
その表現が、この犬種にはよく当てはまります。
ほとんど吠えず、見知らぬ人にも威嚇しません。
そして、繊細です。
大きな声で叱ると、強く萎縮してしまいます。
「やったら、いいことがある」という形で教えてください。
覚えが悪いわけではありません。
ただ、指示を待つタイプの犬種ではない——猟の現場で自分の判断で走ってきた犬だからです。
「従わせる」より「納得してもらう」——
その姿勢のほうが、この犬種にはよく届きます。
そして、子犬期の社会化。
繊細な犬種ですから、知らないものへの警戒が定着すると散歩そのものが苦手になることがあります。
生後4か月ごろまでに、さまざまな人・音・場所に良い経験として会わせておいてください。
被毛の手入れ
長く絹のような被毛はこの犬種の何よりの特徴です。
その分、手入れは必要になります。
- ブラッシングは週2〜3回
- 換毛期は毎日
- 耳のうしろ・脇・内股は毛玉ができやすい
- コームを根元まで通して確認する
- シャンプーは月1回程度
- 乾かすときは根元まで完全に
体が大きいぶん、手入れにも時間がかかります。
1回20〜30分は見ておいてください。
その時間は、体を触ってしこりや傷を確認する時間にもなります。
猫や小動物との、同居について
この犬種を迎えるとき、確認しておきたい点がもうひとつあります。
先住の猫や小動物がいる場合です。
サイトハウンドは、動くものを追う本能を持っています。
| 相手 | 傾向 | 対策 |
|---|---|---|
| 先住猫 | 個体による。子犬期からなら慣れやすい | 逃げ場を必ず用意する |
| 成犬から迎えた場合 | 本能が定着していることがある | 慎重に段階を踏む |
| 小動物 | 追う対象になりやすい | 別室で管理する |
| 他の犬 | 穏やかで、受け入れやすい | 体格差には注意 |
| 子ども | 寛容だが、体格差が大きい | ぶつからないよう配慮する |
「走って逃げるもの」に反応するのが本能です。
家のなかで猫が走り出した瞬間にスイッチが入ることがあります。
- 猫が高い場所へ逃げられる導線を作る
- 最初は、必ず人が見ている状態で会わせる
- 子犬期から一緒に育てば、慣れやすい
- 成犬から迎える場合は、段階を踏む
- 留守中は、別の部屋に分けておく
- 「追ってはいけない」を教えるのは難しい
「教えれば大丈夫」と考えないでください。
本能は、しつけで消えるものではありません。
環境で分けるほうがはるかに確実です。
暮らしの規模という、現実
体高75cm以上・体重40kg前後——
この体格は、暮らしのすべてに影響します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 年間の飼育費 | 20〜40万円 |
| フード | 体重に応じて量が増える |
| 薬の費用 | 体重区分で価格が上がる |
| 預けられる施設 | 限られる |
| 車での移動 | 大きな車が必要 |
| 住まい | 体重制限の確認が必須 |
「預けられる施設が限られる」——
旅行や入院のときに、現実的な問題になります。
体高75cmの犬を受け入れてくれる施設は多くありません。
迎える前に、近くにあるかどうかを調べておいてください。
そして、動物病院。
大型犬の診療に慣れているか、夜間対応があるか——この2点は、健康なうちに確認しておいてください。
胃捻転が起きたとき、「どこへ行けばいいか」を調べる時間はありません。
連絡先を冷蔵庫に貼っておく——それくらいの備えでちょうどいいと思います。
そして、家族全員がその場所を知っていること——異変に最初に気づくのが自分とは限らないからです。
そのほかに、注意したい病気
胃捻転のほかにも、この犬種で知っておきたい点があります。
| 項目 | 内容 | 気づき方 |
|---|---|---|
| 拡張型心筋症 | 大型犬で知られる心臓の病気 | 疲れやすい・咳・失神 |
| 麻酔への感受性 | サイトハウンド共通の注意点 | 術前に犬種を伝える |
| 骨肉腫 | 大型犬に多い骨の腫瘍 | 数日続く跛行 |
| 股関節形成不全 | 大型犬に共通 | 腰を振って歩く |
| 甲状腺機能低下症 | 元気がなくなり、太る | 血液検査で分かる |
麻酔への感受性は、サイトハウンドに共通する注意点です。
体脂肪が少ない体型のため、一部の麻酔薬の効き方や覚醒に違いがあるとされています。
- 手術の前に、サイトハウンドであることを伝える
- 「この系統の麻酔経験はありますか」と尋ねる
- 術前の血液検査と心臓の評価を受ける
- 術中・術後の保温についても確認する
- 数日続く跛行は、レントゲンを撮る理由になる
- 年1回、高齢期は年2回の健康診断を受ける
詳しくはウィペットの記事にまとめてあります。
この犬種にも、そのまま当てはまる内容です。
そして、平均寿命7〜10年——
大型犬としても短めの部類に入ります。
健康診断を早めに年2回へ切り替えることを検討してください。
よくある質問
Q. 胃捻転とは、どんな病気ですか?
A. 胃にガスがたまって膨らみ、ねじれてしまう緊急疾患です。ねじれると血流が止まり、数時間で命に関わる状態になります。胸が深く大型の犬種で起こりやすく、ボルゾイはその代表的な犬種のひとつです。
Q. どんなサインに気をつければいいですか?
A. 「吐こうとして吐けない」がもっとも分かりやすいサインです。えずく動作を繰り返すのに何も出てこない、落ち着かずうろうろする、お腹の左側が張って硬い——これらは、すぐ受診すべき状態です。
Q. 食事で気をつけることはありますか?
A. 1日の量を2〜3回に分け、食後1時間は激しい運動を避けてください。早食い防止の食器も有効です。「散歩→落ち着く→食事」という順番を決めておけば、食後の運動は避けられます。
Q. リードを外して走らせてもいいですか?
A. 囲われた場所でだけにしてください。時速50km前後で走るサイトハウンドで、追跡のスイッチが入ると呼び声が耳に入りません。数分で数キロ先まで行ってしまいます。
Q. 首輪が抜けてしまいます。
A. 頭が細く首が太いという体型のためです。サイトハウンド用の幅広の首輪か、抜けにくいハーネスを使ってください。散歩の前に、毎回きつさを確認する習慣もおすすめします。
Q. 番犬になりますか?
A. なりません。ほとんど吠えず、見知らぬ人にも威嚇しません。家のなかでは一日の大半を寝て過ごす、非常に静かな犬種です。
Q. マンションでも飼えますか?
A. 体重制限の確認が先になります。吠えないという点では集合住宅に向きますが、体高75cm以上・体重40kg前後という体格は多くの物件で制限に引っかかります。
まとめ|2つのリスクに、先回りする
ボルゾイで備えたいのは、胃捻転と逃走——この2つです。
胃捻転は、数時間で命に関わる病気です。
食事を2〜3回に分け、早食いを防ぎ、食後1時間は安静に——
「散歩→落ち着く→食事」という順番を決めておけば、迷うこともありません。
そして逃走。
時速50km前後で走る犬に、人は追いつけません。
囲われていない場所では、リードを絶対に外さない——これが、この犬種の安全を守る唯一の方法です。
その2点さえ押さえれば——
家のなかでは、驚くほど静かで穏やかな同居人になってくれます。
ほとんど吠えず、一日の大半を寝て過ごす——
体高75cmの犬が静かに丸まっている姿には、不思議な安心感があります。
そして外に出れば、見違えるように走る——
その落差こそが、この犬種を選ぶ人が惹かれる部分なのだと思います。
迎える前に、この3つを
- 1夜間対応の動物病院を調べ、連絡先を家族で共有しておく
- 2「散歩→落ち着く→食事」の順番を、家族のルールにする
- 3首輪が抜けないか確かめ、抜けるなら幅広のものに替える
この犬種のリスクは、どちらも先回りで減らせるものです。優雅な姿を長く見ていられるかどうかは、その準備で決まります。

本日の「犬猫の悩みを即解決!」の記事「ボルゾイの飼い方|胃捻転と、逃走という2つのリスク」でした。
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