

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫のマンソン裂頭条虫|カエルを食べる猫の、寄生虫です」です。ではどうぞ!
猫の条虫には、いくつか種類があります。
もっとも多いのは瓜実条虫で、これはノミを飲み込むことで感染します。
けれど、この寄生虫は違います。カエルやヘビなどを食べることによって、その体内にいる条虫の幼虫が体内に入ることで感染します。
そしてもうひとつ、大事な違いがあります。ふつうの量の駆虫薬では、効きません。
結論
マンソン裂頭条虫症は猫の小腸にマンソン裂頭条虫が寄生する病気です。カエルやヘビなどを食べることによって、その体内にいる条虫の幼虫が体内に入ることで感染します。第一中間宿主はケンミジンコが虫卵を摂取し、第二中間宿主はカエル、ヘビ、鳥類などがケンミジンコを摂食し、筋肉内で幼虫に発達します。ほとんどの場合は寄生しても無症状で、軽症だと軟便、食欲があるのに体重が増えないといった症状が見られる程度です。多数寄生した場合には慢性的な下痢、削痩、さらに重症になると虫が腸管に詰まってしまい腸閉塞を起こすことがあります。治療にはプラジカンテルという駆虫薬を使いますが、治療に必要となる量は多く、経口薬では大量になり内服が大変なので、皮下注射で接種されることが多いものです。
この記事でわかること
- ✓ノミでも、ネズミでもありません
- ✓二段階を経て、猫に届きます
- ✓症状は、ほとんど出ません
- ✓多数寄生すると、腸が詰まります
- ✓ふつうの駆虫薬では、効きません
- ✓見つけ方
- ✓予防は、外に出さないことです
- ✓人にも、感染することがあります
ノミでも、ネズミでもありません

条虫と聞くと、瓜実条虫を思い浮かべる方が多いと思います。
あちらはノミを飲み込むことで感染するため、室内飼いの猫でも起こります。
こちらは違います。カエルやヘビを食べなければ、感染しません。
| 瓜実条虫 | マンソン裂頭条虫 | |
|---|---|---|
| 感染源 | ノミ | カエル、ヘビ、鳥など |
| 室内飼い | 起こりうる | ほぼ起こらない |
| 気づき方 | お尻に白い米粒が付く | 気づかれないことが多い |
| 虫の長さ | 比較的短い | 長く伸びる |
| 駆虫薬の量 | 通常量で効く | 通常量では足りない |
| 投与のしかた | 飲み薬 | 皮下注射になることが多い |
「外に出る猫の寄生虫」——そう覚えておくと分かりやすくなります。そして、その一言が診察のときの手がかりにもなります。
二段階を経て、猫に届きます

この寄生虫は、二つの中間宿主を経由して猫にたどり着きます。
第一中間宿主はケンミジンコが虫卵を摂取し、第二中間宿主はカエル、ヘビ、鳥類などがケンミジンコを摂食し、筋肉内で幼虫に発達します。
水辺からの道すじです
ケンミジンコは、池や水たまりにいる、小さな水生の生き物です。
そこから、カエルやヘビの筋肉の中へ移ります。
そして、それを猫が食べる——この連なりを断つには、猫にカエルやヘビを食べさせないことしかありません。
水辺のある環境で暮らす猫では、そのぶん機会が増えることになります。田んぼ、用水路、池のある公園——そうした場所が近いお宅では、意識しておく価値があります。
猫は、思ったよりカエルを食べます
「うちの猫がカエルを食べるはずがない」——そう思われるかもしれません。
けれど猫は狩りをする動物です。動くものを見れば追いかけ、捕まえれば食べます。外に出ている時間のことは、飼い主には見えません。
症状は、ほとんど出ません

ほとんどの場合は寄生しても無症状で、軽症だと軟便、食欲があるのに体重が増えないといった症状が見られる程度です。
この「食欲があるのに体重が増えない」という形が、いちばん多い気づき方になります。
食べているのに、育たない
腸の中で、栄養を横取りされているためです。
よく食べているのに、痩せている。子猫なのに、なかなか大きくならない。そうしたときに、この寄生虫が候補に挙がります。
- 食欲はあるのに、体重が増えない
- 軟便が続いている
- 毛づやが落ちてきた
- 痩せてきている
- 外に出る習慣がある
- カエルやヘビを捕まえたのを見たことがある
外に出る猫という条件が、この寄生虫を考える大きな手がかりになります。
外に出る猫では、ほかの寄生虫も重なります
カエルやヘビ、鳥、ネズミ——外で獲物を食べる猫は、いくつもの寄生虫にさらされています。
| 寄生虫 | どこから入るか | 気づき方 |
|---|---|---|
| マンソン裂頭条虫 | カエル、ヘビ、鳥 | 食べても太らない |
| 回虫 | ネズミ、便に出た卵 | お腹の張り、便に白い虫 |
| 鉤虫 | 土の中の幼虫、皮膚から | 黒い便、貧血 |
| 瓜実条虫 | ノミを飲み込む | お尻の白い米粒 |
| トキソプラズマ | ネズミなどの獲物 | ほとんど無症状 |
| 共通するのは | 外での狩り | 室内飼育でまとめて防げる |
それぞれに効く薬は違います。だから、一度の駆虫ですべてが片づくわけではありません。
けれど入り口はひとつです。外での狩りをやめさせれば、まとめて減らせます。
多数寄生すると、腸が詰まります
軽い寄生なら、たいしたことは起こりません。
けれど数が増えると、話が変わります。
多数寄生した場合には、慢性的な下痢、削痩、さらに重症になると虫が腸管に詰まってしまい腸閉塞を起こすことがあります。
腸閉塞は、緊急です
この寄生虫は、長く伸びるという特徴があります。
それが何匹も腸の中にいれば、通り道をふさいでしまうことがあります。
⚠ この様子なら、すぐに受診してください
- くり返し吐いている
- まったく便が出ない
- お腹を触られるのを嫌がる
- ぐったりして、動かない
- 水も飲めていない
- お腹が張っている
腸閉塞は、時間との勝負になります。外に出る猫でこうした様子があれば、その日のうちに受診してください。
ふつうの駆虫薬では、効きません

この寄生虫で、いちばん知っておいていただきたいのがここです。
マンソン裂頭条虫が猫に寄生したら、プラジカンテルという駆虫薬を使用します。
薬そのものは、条虫に使われる一般的なものです。問題はその量にあります。
量が、まったく違います
治療に必要となるプラジカンテルの量は多く、経口薬では大量になり内服が大変なので、皮下注射で接種されることが多いです。
つまりほかの条虫と同じ量では、駆除しきれないということです。
「駆虫はしています」という猫でも、この条虫だけは残っていることがあります。
定期的な駆虫を受けているのに体重が増えない——そういうときは、この寄生虫を疑ってみる価値があります。
注射になる理由
必要な量が多いため、飲み薬では錠剤の数が現実的でなくなります。
猫に大量の薬を飲ませるのは、飼い主にとっても猫にとっても負担です。
そこで皮下注射という方法が選ばれます。一度で必要な量を入れられるためです。
「注射なんて大げさでは」と感じられるかもしれません。けれどこの寄生虫では、それが標準的なやり方になります。
🩺 獣医療の現場では
受診のときに、「外に出ています」「カエルを食べたかもしれません」と伝えてください。
この情報があるかないかで、使う薬の量が変わります。一般的な駆虫として処理されると、この条虫には届かないことがあります。
駆虫のあと、虫が出てくることがあります
薬が効くと、便と一緒に虫が出てくることがあります。
この条虫は長く伸びるため、思っていたより大きなものが出てくることがあります。驚かれると思いますが、それは効いているしるしです。
出てきたものは、そのまま処分してかまいません。気になるなら、写真を撮っておけば次の受診で見せられます。
なお、便に出た虫がそのまま人や同居猫にうつるわけではありません。中間宿主を経なければ、次の感染は成立しないからです。
見つけ方
この寄生虫は、気づかれにくいものです。
瓜実条虫のように、お尻に分かりやすい片節が付くことは多くありません。
| 方法 | 分かること・限界 |
|---|---|
| 糞便検査 | 虫卵を顕微鏡で探す。基本の検査 |
| 片節の確認 | 便に出ることがあるが、目立ちにくい |
| 体重の推移 | 食べても増えないことが手がかりになる |
| 暮らし方の確認 | 外に出るか、狩りをするかを聞かれる |
| 画像検査 | 腸閉塞が疑われるときに行う |
| 駆虫後の観察 | 治療で出てきた虫を見て、確認できることも |
暮らし方の情報が、この寄生虫では検査と同じくらい重要になります。「完全室内です」と伝えれば候補から外れますし、「外に出ます」と伝えれば真っ先に挙がります。
便を持っていってください
受診のときに、その日の便を持っていくと検査がすぐできます。
できるだけ新しいものを、密閉できる袋に入れて、乾かないようにしてください。
一回で見つからないこともあります。卵の出る量には波があるためです。疑いが強ければ、時期をおいて調べ直すことになります。
治療のあと、確かめること
駆虫のあとは、効いたかどうかを確かめます。
いちばん分かりやすいのは体重です。栄養を横取りされなくなれば、増え始めます。
あわせて便の形も見ておいてください。軟便が続いていたなら、それが落ち着いてくるはずです。
時期をおいて、もう一度便を調べることもあります。残っていないかを確かめるためです。
そして、外に出続けるかぎりまた感染します。治療は終わりではなく、暮らし方を考えるきっかけだと思ってください。
予防は、外に出さないことです
この寄生虫の予防は、はっきりしています。
カエルやヘビを食べさせないこと——それに尽きます。
そして、それを確実にする方法が完全室内飼育です。
- 完全室内飼育にする
- 外に出す場合も、水辺には近づけない
- 庭に水たまりをつくらない
- 捕まえた獲物を食べさせない
- 定期的に便の検査を受ける
- 外に出る猫では、駆虫の間隔を相談する
フィラリアの予防薬では、この条虫は防げません。必要な成分と量が違うためです。
「予防薬を飲ませているから大丈夫」とはならないという点は、覚えておいてください。
同じように、ノミの駆除薬でも防げません。ノミが関わるのは瓜実条虫のほうで、この条虫の経路とは別のものだからです。
寄生虫ごとに、防ぐ方法が違う——そこを分けて考えることが、この分野では大切になります。
室内に切り替えるなら
外に出ていた猫を室内に切り替えるのは、簡単ではありません。
けれど、この寄生虫だけでなくけんかによる感染症やフィラリアも、まとめて防げます。
外の楽しみを、家の中でつくる——高い場所、隠れ場所、窓辺、遊びの時間。そうした工夫で、切り替えられる猫は多いものです。
人にも、感染することがあります
この寄生虫は、人にも感染することがあります。
ただし、経路は限られています。
人に感染する経路は、感染可能な段階のマンソン裂頭条虫を体内に持つケンミジンコやカエル・ヘビを生食で口にしたときです。
猫から人へ、直接はうつりません
大事なのは、猫と触れ合うことでうつるものではないという点です。
猫の便に出た卵を口にしても、その段階では人に感染できません。ケンミジンコを経なければならないからです。
ですから、猫を触ることを怖がる必要はありません。
- カエルやヘビを生で食べない
- 沢や池の水を、そのまま飲まない
- 野外の水を飲むときは、必ず煮沸する
- 野生動物の肉は、しっかり加熱する
- 猫の便は、手袋を使って処理する
- 処理のあとは、手を洗う
沢の水を生で飲まないというのは、登山やキャンプをする方には知っておいてほしいことです。
よくある質問
Q. マンソン裂頭条虫とは、どんな寄生虫ですか?
A. 猫の小腸に寄生する条虫です。カエルやヘビなどを食べることによって、その体内にいる幼虫が体内に入ることで感染します。
Q. どうやって感染しますか?
A. 二つの中間宿主を経由します。第一中間宿主のケンミジンコが虫卵を摂取し、第二中間宿主のカエル、ヘビ、鳥類などがそれを食べ、筋肉内で幼虫に発達します。それを猫が食べて感染します。
Q. ノミからうつりますか?
A. この条虫については違います。ノミを介して感染するのは瓜実条虫のほうです。こちらはカエルやヘビを食べることで感染します。
Q. 室内飼いでも感染しますか?
A. ほぼ起こりません。カエルやヘビを食べる機会がないためです。外に出る猫の寄生虫、と考えてよいものです。
Q. どんな症状が出ますか?
A. ほとんどの場合は無症状です。軽症だと軟便、食欲があるのに体重が増えないといった程度で、多数寄生した場合には慢性的な下痢や削痩が見られます。
Q. 重くなることはありますか?
A. 重症になると、虫が腸管に詰まって腸閉塞を起こすことがあります。くり返し吐く、便が出ない、ぐったりしているなら、その日のうちに受診してください。
Q. どうやって診断しますか?
A. 糞便検査で虫卵を探します。あわせて、外に出るかどうかという暮らし方の情報も重要になります。卵の出る量には波があるため、一回で見つからないこともあります。
Q. 治療はどうしますか?
A. プラジカンテルという駆虫薬を使います。ただし治療に必要な量が多く、経口薬では大量になるため、皮下注射で接種されることが多いものです。
Q. いつもの駆虫薬では効きませんか?
A. 量が足りず、効かないことがあります。ほかの条虫と同じ量では駆除しきれないためです。受診のときに「外に出ています」と伝えてください。
Q. フィラリアの予防薬で防げますか?
A. 防げません。必要な成分と量が違います。「予防薬を飲ませているから大丈夫」とはなりません。
Q. 予防はどうすればよいですか?
A. カエルやヘビを食べさせないことです。確実にするには完全室内飼育が有効です。外に出す場合も、水辺に近づけないようにしてください。
Q. 人にもうつりますか?
A. 感染することがありますが、猫から直接はうつりません。人が感染するのは、幼虫を持つケンミジンコやカエル・ヘビを生食で口にしたときです。沢の水を生で飲まないようにしてください。
まとめ|外に出る猫の、見えない寄生虫です
この条虫は、症状をほとんど出しません。お尻に片節が付くこともまれで、気づかれにくいものです。
けれど、確実な手がかりがあります。外に出て、狩りをする猫——その暮らし方そのものが、疑う理由になります。
そして、この寄生虫にはふつうの量の駆虫薬が効きません。
「駆虫はしているのに、食べても太らない」——そんなときは、この条虫の可能性を伝えてみてください。
予防は、はっきりしています。カエルやヘビを食べさせないこと。完全室内飼育が、そのまま答えになります。
外に出す暮らしには、猫にとっての自由があります。それを否定するつもりはありません。
ただ、そこには寄生虫も、感染症も、事故も含まれているということです。この寄生虫は、その現実を静かに示しています。
どこまで守るかを決めるのは、飼い主です。決めるための材料として、この記事を使ってください。
今日できる3つ
- 1外に出る猫なら、食べる量と体重の関係を確かめる
- 2受診のときに「外に出ています」と伝えると決めておく
- 3室内飼育への切り替えを、一度検討してみる
この寄生虫は、外の暮らしと結びついています。だから予防も、暮らし方を変えることになります。

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