

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「犬の胃捻転|吐こうとするのに、何も出てこない」です。ではどうぞ!
夕食のあと、しばらくして——
そわそわと落ち着きがなくなった。
よだれが、いつもより多い。
そして、吐こうとする動作を繰り返しているのに何も出てこない——
その状態を見たならいますぐ動物病院へ向かってください。
胃拡張・胃捻転症候群——
胃が大量のガスで膨らみ、そしてねじれてしまう病気です。
わずか数時間で命に関わる——
そう言われるほど進行の速い病気です。
「朝になったら病院へ」では間に合わないことがあります。
この記事では気づき方とそして予防できるということを書きます。
結論
胃拡張・胃捻転症候群は胃が大量のガスによって拡張し、捻転(ねじれ)を起こす病気です。ねじれた胃が血管を圧迫することで循環不全やショックなど重篤な状態を引き起こします。一般的には食後数時間以内に発症し、お腹が膨れ、最初は自力で歩いていても次第に立てなくなり、急激に悪化してショック状態に陥ります。大型犬に多く見られますがどの犬種でも起こりえます。わずか数時間で命に関わるため疑ったらすぐに受診してください。予防としては、1回の食事量を与えすぎない、食後すぐに運動をさせない、食事を2回以上に分けることが有効で、発症リスクの高い犬種では予防的に胃固定術(胃を腹壁に縫い付ける手術)が行われることもあります。
この記事でわかること
- ✓数時間で、命に関わります
- ✓吐こうとするのに、何も出てこない
- ✓胃で、何が起きているのか
- ✓起こりやすい犬と、条件
- ✓迷わないための、判断
- ✓予防できる病気です
- ✓手術と、そのあと
数時間で、命に関わります

まず、この病気の速さを知ってください。
多くの病気は数日、数週間かけて進んでいきます。
けれど、この病気は違います。
| 経過 | 起きていること |
|---|---|
| 食後、数時間以内 | 発症することが多い |
| はじめ | 落ち着きがない、よだれ、えずき |
| この時点 | まだ自力で歩けることが多い |
| 進むと | お腹が張り、呼吸が速くなる |
| さらに | 次第に立てなくなる |
| そして | 急激に悪化し、ショック状態へ |
「最初は自力で歩いていた」——
ここが、この病気のこわいところです。
気づいた時点ではまだ歩けているため「そこまで急がなくてもいいかな」と思ってしまう——
けれど、そこから急激に落ちていきます。
ねじれた胃が周囲の血管を圧迫すると全身へ血液が回らなくなる——
循環不全、そしてショック——
この段階まで進めば手術をしても助からないことがあります。
だから、「歩けているうちに」——
それが、この病気でいちばん大切な考え方です。
なぜ、そこまで急ぐのか——
時間が経つほど胃や脾臓へ届く血液が止まっている時間も長くなるからです。
血が通わなくなった組織は元に戻りません。
手術でねじれを戻せてもすでに傷んだ部分は切り取るしかない——
つまり、早く着けば着くほど手術そのものが小さく済むのです。
そして、全身への影響も軽くて済みます。
「間に合うかどうか」だけでなく「どこまで残せるか」も時間が決める——
そういう病気です。
吐こうとするのに、何も出てこない

この病気でもっとも特徴的なサインを挙げます。
吐く動作をするのに何も出てこない——
なぜ、そうなるのか——
胃がねじれているから出口が閉じてしまっているのです。
吐きたい。ゲップも出したい。けれど、出せない——
本人にとってはとてもつらい状態です。
- えずくような動作を、繰り返す
- けれど、何も出てこない
- 白い泡のようなものが、少しだけ出ることもある
- よだれが大量に垂れる
- そわそわと歩き回り、横になれない
- お腹を気にする、丸まる姿勢をとる
ふつうの嘔吐なら吐けば少し楽になります。
けれど、この病気では何度やっても出ない——
だから、落ち着かず、何度も繰り返します。
「吐いた」と「吐こうとした」は違います
受診のときにこの2つを分けて伝えてください。
「吐きました」と伝えれば胃腸炎などを考えることになります。
けれど、「吐こうとするのに何も出ません」なら疑う相手がまったく変わります。
のどの問題との見分けは咽頭炎の記事でも解説していますがこの病気ではお腹の張りが伴うことが手がかりになります。
電話で伝えるときもその言葉をそのまま使ってください。
そしてお腹の張り——
「お腹が膨れる」はこの病気の代表的な症状です。
触ると硬く、太鼓を叩くような感触になります。
けれど、気をつけてほしいことがあります。
胸の深い犬種では膨らんだ胃が肋骨のなかに隠れてしまい外から分かりにくいことがあるのです。
「お腹は膨れていないから、違うだろう」と判断しないでください。
えずいて何も出ない——それだけで十分に受診の理由になります。お腹の張りは確かめられれば確かめる、分からなければそれでかまいません。
胃で、何が起きているのか
体のなかで起きていることを説明します。
まず、胃が大量のガスで膨らみます。
これが「胃拡張」です。
そして、膨らんだ胃が軸を中心にねじれてしまう——
それが「胃捻転」です。
| 段階 | 起きること | 結果 |
|---|---|---|
| 拡張 | ガスで胃が大きく膨らむ | お腹が張ってくる |
| 捻転 | 膨らんだ胃がねじれる | 入口も出口も閉じる |
| 出せない | 吐くこともゲップもできない | さらに膨らみ続ける |
| 圧迫 | 周囲の大きな血管を押しつぶす | 心臓へ戻る血液が減る |
| 循環不全 | 全身へ血液が回らない | ショック状態になる |
| 組織の壊死 | 胃や脾臓への血流が止まる | 助かっても切除が必要になることも |
膨らむだけならまだ抜くことができます。
問題は、ねじれてしまうことです。
ねじれれば自分では出せません。
そして、ガスは増え続ける——
膨らんだ胃がお腹のなかを走る太い血管を押しつぶします。
心臓へ戻る血液が減れば送り出せる血液も減る——
それが、ショックです。
舌や歯ぐきの色が白っぽく、あるいは紫がかってくる——
チアノーゼの記事で書いた変化がここでも起こります。
起こりやすい犬と、条件

この病気は大型犬に多く見られます。
ただし、どの犬種でも起こりえます。
「うちは小型犬だから関係ない」とは言えません。
| 条件 | なぜ危険が高まるか |
|---|---|
| 大型犬 | 胸が深く、胃が動きやすい体型のことが多い |
| 一度に大量の食事 | 胃が大きく広がり、重くなる |
| 早食い | 空気を一緒に飲み込んでしまう |
| 食後すぐの運動 | 重くなった胃が揺れ、ねじれやすい |
| 一度に大量の水 | 同じく、胃が急に広がる |
| 高齢 | 胃を支える組織がゆるみやすい |
ここで注目してほしいのは条件の多くが「変えられるもの」だということです。
体型は変えられません。
けれど、食事の与え方は今日から変えられます。
そして、この病気はそれだけで危険を下げられるのです。
いつ起こりやすいか
発症のタイミングにも傾向があります。
- 食後、数時間以内が多い
- 夕食後、夜間に起こることが少なくない
- だから、気づくのが遅れやすい
- 留守番中に起きれば、発見はさらに遅れる
- ドッグランや遊びのあとの食事も危険
- 食器の高さを変えたときも、様子を見ておく
夜、食事のあと——
その時間帯は飼い主もくつろいでいる時間です。
「そわそわしているな」と思ってもそのまま見過ごしてしまう——
そういう時間帯に起こりやすい病気だと知っておいてください。
そして、留守番中に起きた場合——
帰宅したときにはすでに時間が経ってしまっています。
危険の高い犬では長時間の留守番の前に大量に与えないという配慮も意味を持ちます。
迷わないための、判断
夜中に様子がおかしい——
「朝まで待つべきか、いま連れて行くべきか」——
その判断を迷わないための基準を書きます。
- えずくのに何も出ない——それだけで受診する
- お腹が張って硬い——すぐに向かう
- 落ち着きがなく、横になれない——すぐに向かう
- よだれが大量に出ている——すぐに向かう
- 歯ぐきが白い、紫っぽい——夜間でも急ぐ
- 立てない、倒れた——一刻を争う
「様子を見る」という選択肢はこの病気にはありません。
数時間で命に関わるのですから迷っている時間がそのまま失われていきます。
🩺 いま、連絡先を控えてください
受診して違っていたならそれでよいのです。
この病気で取り返しがつかなくなるのは「様子を見た」場合です。
大型犬と暮らしているなら夜間や休日に診てもらえる病院をいま調べて控えておいてください。
そのときになってから探すと電話をかけている時間が惜しくなります。
連絡先を冷蔵庫に貼っておく——それだけの備えが結果を変えることがあります。
予防できる病気です

ここからは、希望のある話です。
この病気は予防のためにできることがはっきりしています。
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 食事量 | 1回で大量に与えすぎない |
| 回数 | 1回だけでなく、2回以上に分ける |
| 食後 | すぐに運動をさせない |
| 早食い | 防止用の食器などで、ゆっくりにする |
| 水 | 運動の直後に、一気に飲ませない |
| 手術 | 危険の高い犬種では、胃固定術も検討される |
1回の食事でたくさん与えすぎない——
食後すぐに運動をさせない——
食事の回数を1回だけでなく2回以上に分ける——
これだけで予防になります。
とくに、1日1回だけ与えているなら見直す価値があります。
同じ量でも2回、3回に分ければ1回あたりの胃の広がりは小さくなります。
そして、食後の散歩——
習慣になっているご家庭は少なくないはずです。
順番を入れ替えて「散歩のあとに食事」にするだけで危険は下がります。
ただし、運動の直後に水を一気に飲ませない——そこは気をつけてください。
喉が渇いた犬は大量に飲みます。
そのぶん胃が急に広がることになります。
帰ってすぐは少量ずつ、落ち着いてから自由に飲ませる——
そのくらいの配慮で十分です。
早食いも見直したい点です。
勢いよく食べる犬は空気も一緒に飲み込んでいます。
早食い防止の食器を使うだけで飲み込む空気の量が減ります。
胃固定術という備え
発症の危険が高い犬種では予防的に胃固定術——胃を腹壁に縫い付ける手術が行われることもあります。
胃を固定してしまえばねじれること自体を防げるからです。
- ねじれを防ぐことが目的の手術
- 膨らむこと自体は防げない
- けれど、ねじれなければ致命的にはなりにくい
- 危険の高い犬種で検討される
- 避妊去勢と同時に行えることもある
- 行うかどうかは、獣医師と相談して決める
「予防のために手術をする」という考え方に抵抗を感じられるかもしれません。
けれど、この病気は起きてからでは間に合わないことがある——
だから、選択肢として存在しているのです。
ほかの手術と同時に行えるなら麻酔の回数も増えません。
去勢手術を考えている大型犬ならそのときに相談してみてください。
手術と、そのあと
実際に発症した場合——
まず、たまったガスを抜き、ショックに対する処置が行われます。
そのうえで手術でねじれを戻し、胃を固定します。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| まず | ガスを抜き、点滴でショックに対応する |
| 手術 | 開腹し、ねじれを戻す |
| 確認 | 胃や脾臓が壊死していないか確かめる |
| 必要なら | 傷んだ部分を切除する |
| 固定 | 再発を防ぐため、胃を腹壁に縫い付ける |
| そのあと | 集中的な管理が必要になることが多い |
手術がうまくいってもそこで終わりではありません。
ショックからの回復、不整脈への対応など術後にも山があります。
数日は入院して見ていくことになると考えておいてください。
とくに、手術のあとに不整脈が出ることは知られています。
血流が止まっていた組織からさまざまな物質が全身へ流れ出すためです。
だから、術後も心臓を見ながらの管理が必要になります。
そして、回復したあとにも食事の与え方は続けて気をつける必要があります。
吐く動作がその後も見られるなら食道の問題など別の背景も確かめてもらってください。
費用についても触れておきます。
緊急の開腹手術とそのあとの入院ですからまとまった金額になります。
そして、この病気では「その場で決める」ことになります。
考える時間がない——
だからこそ、元気なうちに「もし手術が必要になったら」を家族で話しておくことに意味があります。
ペット保険に入っているなら補償の範囲も確かめておいてください。
そのときになって調べる余裕はありません。
よくある質問
Q. 胃捻転とはどんな病気ですか?
A. 胃が大量のガスで拡張し、ねじれてしまう病気です。ねじれた胃が血管を圧迫することで循環不全やショックを起こします。わずか数時間で命に関わる、非常に危険な病気です。
Q. どんなサインに気づけばよいですか?
A. 吐く動作をするのに何も出てこないことが、もっとも特徴的です。胃がねじれて出口が閉じているためです。そのほか、大量のよだれ、落ち着きのなさ、お腹の張りが見られます。
Q. お腹が膨れていなければ違いますか?
A. そうとは限りません。胸の深い犬種では、膨らんだ胃が肋骨のなかに隠れて外から分かりにくいことがあります。えずいて何も出ないなら、それだけで受診の理由になります。
Q. 朝まで待ってもよいですか?
A. 待たないでください。食後数時間以内に発症し、最初は自力で歩けても次第に立てなくなり、急激に悪化してショック状態に陥ります。「歩けているうちに」が大切です。
Q. 大型犬だけの病気ですか?
A. 大型犬に多く見られますが、どの犬種でも起こりえます。体型に加えて、一度に大量の食事、早食い、食後すぐの運動などが危険を高める条件になります。
Q. 予防はできますか?
A. できます。1回の食事で与えすぎない、食後すぐに運動をさせない、食事を2回以上に分ける——これだけで予防になります。食後の散歩を、散歩のあとの食事に入れ替えるだけでも違います。
Q. 胃固定術とは何ですか?
A. 胃を腹壁に縫い付けて、ねじれること自体を防ぐ手術です。発症リスクの高い犬種では、予防的に行われることもあります。避妊去勢と同時に行えることもあるため、相談してみてください。
まとめ|歩けているうちに、連れて行く
この病気で覚えて帰ってほしいことはひとつです。
吐こうとするのに、何も出てこない——
それを見たら、いますぐ動く——
お腹が膨れていなくても、まだ歩けていても——
むしろ、歩けているうちに連れて行くことがこの病気では決定的に大切です。
そして、この病気には予防があります。
食事を分ける。食後すぐに運動させない。早食いをさせない——
今日から変えられることばかりです。
大型犬と暮らしているなら胃固定術という選択肢も知っておいてください。
予防のためにできることがこれだけはっきりしている病気はそう多くありません。
体型は変えられなくても与え方は変えられる——
そこに手を打てるかどうかがこの病気では大きな差になります。
今日できる3つ
- 11日1回の食事なら、2回以上に分ける
- 2食後の散歩を、散歩のあとの食事に入れ替える
- 3夜間・休日に診てもらえる病院の連絡先を控えておく
様子を見る、という選択肢はありません。えずいて何も出ないなら、それだけで向かってください。

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