

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫の排尿障害|「出ない」には、二種類あります」です。ではどうぞ!
「おしっこが出ていません」——
この一言には
まったく違う2つの状態が含まれています。
ひとつは腎臓でつくられていない——
もうひとつはつくられているのに出せない——
この2つは見るべき場所も
行われる処置も違います。
けれど、共通していることがひとつ——
どちらも、急ぐということです。
尿が出ない状態は危険です。
症状が見られたら受診してください。
結論
排尿障害には、いくつもの原因があります。猫ではストルバイトとシュウ酸カルシウムという2種類の結石が一般的に認められ、とくに若いオス猫では砂状の結石による尿道閉塞がしばしば見られます。また特発性膀胱炎は、ストレスがきっかけとなり、膀胱の粘膜に炎症が起きると考えられています。神経が関わる場合には神経障害の部位や原因、病態によりカテーテル導尿と圧迫排尿のどちらが可能か、または適当かが判断されます。そのほかの治療としては、結石が原因の場合は手術による結石の除去が必要な場合があり、ストレスが原因の場合は環境の変更や行動療法が行われることがあります。尿道の損傷が激しく、どうしてもおしっこが出ない事例では、手術でおしっこが出るようにします。尿が出ない状態は危険ですので、症状が見られたら獣医師の診察を受けることがすすめられます。
この記事でわかること
- ✓「出ない」には、二種類あります
- ✓まず、トイレの砂を確かめてください
- ✓出せない理由は、三つに分かれます
- ✓詰まっているとき
- ✓膀胱が縮まないとき
- ✓治療は、通すことから始まります
- ✓家でできることと、できないこと
「出ない」には、二種類あります

ここが、この記事でいちばん大事なところです。
| つくられていない | 出せない | |
|---|---|---|
| 腎臓は | 尿をつくれていない | つくっている |
| 膀胱は | からっぽに近い | ぱんぱんに張っている |
| 様子 | 吐く、ぐったり、食べない | トイレでいきむ、鳴く |
| トイレ | 行く回数も減ることがある | 何度も行くが、出ない |
| 考える病気 | 急性腎不全など | 尿道閉塞、神経の障害など |
| どちらも | 急ぐ | 急ぐ |
見分ける鍵は「膀胱が張っているか」です。
つくられていないのなら
膀胱にはたまっていません。
けれど、出せないのなら
膀胱はぱんぱんに張っています。
これはお腹を触ればすぐに分かります。
だから、受診すれば
その場で切り分けられます。
家で判断しようとして時間を使うより
連れて行くほうが早いのです。
⚠ どちらであっても、その日のうちに
「つくられていない」なら急性腎不全を考えます。
「出せない」なら尿道閉塞を考えます。
どちらも1〜2日で命に関わりうる状態です。
「明日、病院が開いてから」という判断が
間に合わないことがあります。
迷ったらその時点で連絡してください。
まず、トイレの砂を確かめてください

家でできることは
トイレを見ることです。
- 固まりが、ひとつもない
- 固まりが、明らかに小さい
- 数が、減っている
- 逆に、何度も行っているのに固まりが少ない
- 色が濃い、または血が混じっている
- トイレの前で、うずくまっている
とくに気をつけてほしいのが
「何度も行く」ことと「出ている」ことを
混同しないことです。
何度もトイレへ行くと
「たくさん出ている」ように見えます。
けれど、砂を見ると
固まりがひとつもない——
そういうことがあります。
それは、「出そうとしているのに出ない」ということです。
猫がいちばん苦しいのはその状態です。
たまっているのに出せない——
だから、何度もトイレへ行くのです。
お腹を、そっと触ってみてください
膀胱は下腹部にあります。
たまっていると硬いこぶしのようなものが触れることがあります。
ただし、強く押さないでください。
張っている膀胱は破れることがあります。
そっと撫でる程度でじゅうぶんです。
触ると強く嫌がるならそれも伝えてください。
出せない理由は、三つに分かれます

「出せない」と分かったあと
次に分けるべきことがあります。
| 理由 | 起きていること | 考える病気 |
|---|---|---|
| 詰まっている | 通り道が塞がれている | 結石、結晶、栓子 |
| 押し出せない | 膀胱が縮まない | 神経の障害 |
| 締まっている | 尿道が狭くなっている | 炎症、けいれん |
| 塞がれている | 通り道に、できものがある | 腫瘍 |
| いずれも | 膀胱には、たまり続けている | —— |
| だから | まず、通すことが必要になる | —— |
猫ではストルバイトとシュウ酸カルシウムという
2種類の結石が一般的に認められます。
とくに若いオス猫では
砂状の結石による尿道閉塞がしばしば見られます。
石の種類については膀胱結石を——
結晶については結晶尿をご覧ください。
詰まっているとき
いちばん多くいちばん急ぐのがこれです。
とくにオス猫——
- オスの尿道は、細く長い
- 途中で狭くなる部分もある
- だから、砂状の結石でも詰まる
- 結晶や栓子でも、塞がりうる
- まったく出なくなると、1〜2日で命に関わる
- その日のうちに、受診が必要になる
詰まると尿は膀胱にたまり続けます。
そして、行き場を失ったその圧が逆流するように腎臓まで伝わっていきます。
やがて腎臓が働けなくなり
老廃物がたまっていく——
そこから先の流れは尿道閉塞に書いています。
そして、この状態で本当に危ないのは
捨てられなくなったカリウムが
心臓のリズムを乱すことです。
「尿が出ないだけ」では済みません。
「何度も行くのに固まりがない」——
その場面を覚えておいてください。
メス猫でも、起こります
「詰まるのはオス」と書きましたが
メス猫で起きないわけではありません。
- メスの尿道は太く短いため、詰まりにくい
- けれど、大きな石があれば塞がりうる
- 腫瘍が原因になることもある
- 神経の障害は、性別に関係なく起こる
- だから「メスだから大丈夫」ではない
- 固まりがないなら、性別を問わず受診してほしい
頻度としてはオスにかたよります。
けれど、目の前の猫が
出せていないのなら
確率の話は関係ありません。
「出ていない」という事実だけで動いてください。
膀胱が縮まないとき
こちらはあまり知られていないけれど大事な話です。
尿を出すには膀胱が縮む必要があります。
その指令を出しているのが神経です。
| 起きること | 説明 |
|---|---|
| 神経が傷む | 事故、椎間板の問題、腫瘍などで |
| 指令が届かない | 膀胱が縮まなくなる |
| 出せなくなる | 詰まっていないのに、出ない |
| たまり続ける | 膀胱が伸びきってしまう |
| そのまま放置すると | 膀胱の力が、戻りにくくなる |
| だから | 定期的に、出させる必要がある |
神経障害の部位や原因、病態により
カテーテル導尿と圧迫排尿のどちらが可能か
または適当かが判断されます。
「圧迫排尿」とは
お腹を手で押して尿を出させる方法です。
家で行うことになることもあります。
神経の障害は事故や背骨の問題腫瘍などから起きます。
後ろ足の動きがおかしいときには
あわせて伝えてください。
尿と足が同じ神経でつながっていることがあるからです。
🩺 自己流では、絶対に行わないでください
圧迫排尿は必ず教わってから行ってください。
力の入れ方や押さえる場所を間違えると
膀胱を傷めることがあります。
そして、詰まっているときに押すのは
とても危険です。
「詰まっていないこと」が確かめられていることが前提になります。
治療は、通すことから始まります

どの理由であっても
まず必要なのは「尿を出すこと」です。
| 段階 | 行われること |
|---|---|
| まず | 膀胱が張っているかを確かめる |
| 画像検査 | たまっている量、詰まりの有無を見る |
| 尿路を確保 | カテーテルなどで、通す |
| 結石が原因なら | 手術による結石の除去が必要な場合がある |
| ストレスが原因なら | 環境の変更や行動療法が行われる |
| 損傷が激しいなら | 手術で、おしっこが出るようにする |
尿道の損傷が激しく
どうしてもおしっこが出ない事例では
手術でおしっこが出るようにします。
通り道をつくり直す——
そこまで行うこともあります。
そして、ストレスが原因の場合には
環境の変更や行動療法が行われることがあります。
薬ではなく暮らし方を変える——
それが治療になることもあるのです。
特発性膀胱炎という背景
調べても石も細菌も見つからない——
それでも症状はたしかにある——
そういうときに考えられるのが
特発性膀胱炎です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| きっかけ | ストレスが関わると考えられている |
| 起きること | 膀胱の粘膜に、炎症が起きる |
| 症状 | 頻尿、血尿、いきむ、粗相 |
| 検査では | 石も細菌も見つからない |
| 治療 | 環境の変更や行動療法が行われる |
| 多いのは | 10歳以下の若い猫 |
特発性膀胱炎はストレスがきっかけとなり
膀胱の粘膜に炎症が起きると考えられています。
だから、薬より環境が効くことがあります。
詳しくは下部尿路感染症の記事にまとめています。
家でできることと、できないこと
この症状で家でできることは
限られています。
- できること——トイレの砂を確かめる
- できること——お腹をそっと触ってみる
- できること——最後に尿を見た時刻を思い出す
- できること——すぐに連絡する
- できないこと——自分で出させようとする
- できないこと——様子を見て待つ
とくに、「お腹を押して出させよう」と
しないでください。
詰まっているときに押せば
膀胱が破れることがあります。
それは、さらに危険な状態です。
家でできるいちばんのことは
「早く連れて行く」ことです。
受診のときに、伝えてほしいこと
短い時間で判断が必要になる場面です。
| 伝えること | なぜ大事か |
|---|---|
| 最後に尿を見たのはいつか | どれだけ出ていないかが分かる |
| 何度トイレに行っているか | 出そうとしているかが分かる |
| 固まりはあったか | まったくないのか、少量なのか |
| 吐いていないか | 進んでいるかの手がかり |
| 過去に石や膀胱炎があったか | 原因の見当がつきやすくなる |
| 最近の環境の変化 | ストレスが関わることもある |
「最後に尿を見たのはいつか」——
これがいちばん重要です。
「昨日の夜」なのか
「今朝はあった」のかで
急ぎ方が変わります。
分からないのなら「分かりません」と伝えてください。
あいまいな記憶で「昨日は出ていたと思います」と
言ってしまうほうが
判断を誤らせます。
分からないことは分からないまま伝えるのがいちばんです。
繰り返す猫では、備えておく
一度詰まった猫は
繰り返すことがあります。
- 夜間対応の動物病院を、調べておく
- 連絡先を、すぐ見られる場所に控える
- 家族全員が、場所を知っている状態にする
- キャリーを、すぐ出せる場所に置く
- 毎日、トイレの固まりを数える
- 「今日は出ていない」に、早く気づけるようにする
この症状は夜に気づかれることが多くあります。
そのときに探し始めては遅いのです。
使わずに済むのがいちばんですが
備えがあると迷わず動けます。
そして、再発を防ぐためには
水分とトイレの清潔さが効きます。
血が混じっているときは
出にくいことに加えて
血が混じっている——
そういうこともよくあります。
| 見え方 | 考えること |
|---|---|
| 全体が薄い赤 | 膀胱や尿道からの出血が多い |
| 最後のほうだけ赤い | 下部尿路からの出血のことがある |
| 血のかたまりが出る | 出血の量が多い。伝えてほしい |
| 色が濃い茶色 | 別の原因のこともある |
| 頻尿もある | 膀胱炎系を考える |
| いずれも | 写真に残しておくと役に立つ |
砂が色を隠してしまうことがあります。
白い砂やペットシーツを使うと
色が分かりやすくなります。
詳しくは血尿症をご覧ください。
よくある質問
Q. 「尿が出ない」と言っても、種類があるのですか?
A. 2種類あります。腎臓でつくられていないのか、つくられているのに出せないのかで、見るべき場所も処置もまったく違います。膀胱が張っているかどうかで見分けられます。
Q. どちらのほうが急ぎますか?
A. どちらも急ぎます。つくられていないなら急性腎不全を、出せないなら尿道閉塞を考えます。どちらも1〜2日で命に関わりうる状態です。
Q. 出せない理由には、何がありますか?
A. 詰まっている、膀胱が縮まない、尿道が締まっている、腫瘍で塞がれている、などです。猫ではストルバイトとシュウ酸カルシウムという2種類の結石が一般的で、とくに若いオス猫では砂状の結石による尿道閉塞がしばしば見られます。
Q. 神経が原因のこともあるのですか?
A. あります。膀胱を縮ませる指令が届かなくなると、詰まっていないのに出せなくなります。神経障害の部位や原因、病態により、カテーテル導尿と圧迫排尿のどちらが可能か、適当かが判断されます。
Q. 圧迫排尿は、家でしてもよいですか?
A. 必ず教わってから行ってください。力の入れ方や押さえる場所を間違えると、膀胱を傷めることがあります。とくに詰まっているときに押すのは、とても危険です。
Q. お腹を押して出させてもよいですか?
A. やめてください。詰まっているときに押すと、膀胱が破れることがあります。家でできるいちばんのことは、早く連れて行くことです。
Q. トイレで何を見ればよいですか?
A. 固まりがあるかどうかです。何度もトイレに行っていても、砂に固まりがひとつもないなら、それは「出そうとしているのに出ない」ということです。
Q. 治療では何をしますか?
A. まず、尿を出せるようにします。結石が原因の場合は手術による除去が必要なこともあり、ストレスが原因の場合は環境の変更や行動療法が行われます。尿道の損傷が激しい場合は、手術でおしっこが出るようにします。
Q. メス猫でも詰まりますか?
A. 頻度は低いものの、起こります。メスの尿道は太く短いため詰まりにくいのですが、大きな石や腫瘍が原因になることはあります。神経の障害は、性別に関係なく起こります。
Q. 石も細菌も見つかりませんでした
A. 特発性膀胱炎という可能性があります。ストレスがきっかけとなり、膀胱の粘膜に炎症が起きると考えられています。この場合は、環境の変更や行動療法が行われます。
Q. 受診のときに、何を伝えればよいですか?
A. 「最後に尿を見たのはいつか」がいちばん重要です。そこに、トイレへ行った回数、固まりの有無、吐いていないかを添えてください。
まとめ|砂を見て、それから連絡してください
この症状でいちばん伝えたかったことは
「何度も行く」ことと「ちゃんと出ている」ことは
まったく別だということです。
トイレの砂を見てください。
固まりがひとつもないのなら
それは、一晩様子を見てよい症状ではありません。
つくれていないのか出せていないのか——
その切り分けは病院でできます。
お腹を触り画像で見ればすぐに分かることです。
だから、家で悩まないでください。
飼い主がすることは連れて行くことです。
そして、見たことをそのまま伝えること——
「何度も行くのに、固まりがありません」
その一言でじゅうぶんです。
診断はそこから始まります。
むずかしい説明を用意する必要はありません。
見たままを話せばじゅうぶんです。
今日できる3つ
- 1トイレの固まりを数える習慣をつける
- 2夜間対応の動物病院を調べて控えておく
- 3最後に尿を見た時刻を、思い出せるようにしておく
「出ない」には、二種類あります。けれど、どちらも急ぐことに変わりはありません。

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