

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫の鉤虫症|黒い便は、血が出ているしるしです」です。ではどうぞ!
腸に寄生する虫にも、いくつか種類があります。そのうち回虫は、腸の中の栄養を横取りします。
鉤虫は違います。腸の壁に噛みついて、血を吸います。
だから、この寄生虫では貧血が起こります。そして便が黒くなります。
さらにもうひとつ。この虫は口からだけでなく、皮膚を破って入ってくることがあります。
結論
猫の鉤虫症は鉤虫という寄生虫が腸の壁に付着し、吸血して栄養を得る病気です。猫鉤虫は主に経口感染によって伝播しますが、幼虫は皮膚から侵入して消化管へ寄生する可能性もあります。子猫では経皮感染した場合、皮膚から侵入した鉤虫の幼虫がリンパ液や血液にのって全身を体内移行し、最終的に小腸内に寄生して成熟します。症状としては消化管出血に起因する黒色のタール状の下痢や、貧血が見られることの多い症状です。ほかに体重減少、食欲不振、発育不良、元気がないといった症状が出ます。治療は猫鉤虫の駆虫薬で行い、貧血の治療として鉄剤の投与を行うこともあります。駆虫薬には経口投与剤や、背中に垂らすスポットタイプのお薬などがあります。
この記事でわかること
- ✓回虫とは、していることが違います
- ✓黒い便は、出血のしるしです
- ✓皮膚からも、入ってきます
- ✓子猫では、命に関わることがあります
- ✓見つけ方は、便の検査です
- ✓治療は、駆虫と貧血への対応です
- ✓予防は、環境の管理から
- ✓人にも、関わることがあります
回虫とは、していることが違います

同じ「腸の寄生虫」でも、そこでしていることが違います。
回虫は、腸の中を漂いながら栄養を横取りします。だから、食べても育たなくなります。
鉤虫は、腸の壁に付着して、血液を吸います。だから、貧血になります。
| 回虫 | 鉤虫 | |
|---|---|---|
| していること | 栄養を横取りする | 腸の壁から血を吸う |
| 主な症状 | お腹の張り、発育不良 | 貧血、黒い便 |
| 便での見え方 | 白い虫が出ることがある | 虫は見えない |
| 大きさ | 肉眼で分かる | 小さく、目では分からない |
| 入り口 | 主に口から | 口からと、皮膚から |
| 気づき方 | 見た目(お腹の張り) | 便の色と、歯ぐきの色 |
目で見えないというのが、この寄生虫の見つけにくさです。
回虫なら「便に白い虫が出た」で気づけます。鉤虫では、それがありません。
黒い便は、出血のしるしです

この病気で、いちばん分かりやすい合図がこれです。
消化管出血に起因する黒色のタール状の下痢が、よく見られる症状として挙げられています。
なぜ黒くなるのか——それは、血が出ている場所が肛門から遠いからです。
赤と黒では、意味が違います
肛門に近い場所——大腸や肛門から出血すれば、血は赤いまま便に付きます。
けれど、胃や小腸から出た血は、腸を通るあいだに変化します。
その結果、黒く、タールのようにねばつく便になります。
黒い便=上のほうで出血している——この読み方を覚えておいてください。
見分けにくいときは、白い紙に
猫砂に混じっていると、黒いのかどうか分かりにくいものです。
白いティッシュや紙の上に取ってみると色がはっきりします。そのまま写真を撮っておけば、受診のときに見せられます。
貧血として現れます

血を吸われ続ければ、当然貧血になります。
- 便が黒く、タールのようにねばつく
- 歯ぐきや唇の内側が、白っぽい
- 元気がなく、寝てばかりいる
- 食欲が落ちている
- 体重が減っている
- 子猫なら、育ちが悪い
- 呼吸が速い
貧血の原因を探すとき、「失われている」タイプの代表がこれです。
作られていないのでも、壊されているのでもなく——腸から、じわじわ漏れ出ているのです。
皮膚からも、入ってきます

この寄生虫には、もうひとつ特徴があります。
猫鉤虫は主に経口感染によって伝播し、幼虫は皮膚から侵入して消化管へ寄生する可能性もあります。
つまり口に入れなくても、感染しうるということです。
体の中を、旅してから腸に着きます
子猫では経皮感染した場合、皮膚から侵入した鉤虫の幼虫がリンパ液や血液にのって全身を体内移行し、最終的に小腸内に寄生して成熟します。
皮膚から入り、血流に乗って全身をめぐり、最後に小腸へたどり着く——ずいぶん遠回りな道すじです。
この移動の途中で肺を通るため、咳が出ることもあります。腸の寄生虫なのに咳が出る、という一見おかしな症状は、この道すじから説明できます。
だから、土や砂に注意します
幼虫は土や砂の中で、宿主を待っています。
外に出る猫が、そこに寝転がる。肉球やお腹の皮膚から、幼虫が入り込む——そういう経路になります。
完全室内飼育が、この病気に対しても効くのはこのためです。
そして、不衛生な環境で保護された猫では、この経路で感染していることがあります。外で寝起きしていた猫は、それだけ土に触れる時間が長かったということです。
母猫からも、伝わることがあります
子猫では、母猫の乳を通じて感染することがあります。
生まれたばかりの子猫がいきなり貧血で見つかることがあるのは、そのためです。
| 感染の入り口 | どういう場面か |
|---|---|
| 口から | 便に出た卵や幼虫を、なめて取り込む |
| 皮膚から | 土や砂に潜む幼虫が、皮膚を破って入る |
| 母乳から | 感染した母猫の乳を通じて伝わる |
| 獲物から | ネズミなどを捕食して取り込む |
| 毛づくろい | 体に付いたものを、なめて取り込む |
| だから | 保護した子猫は、まず検査と駆虫を考える |
入り口が多いということは、それだけ防ぎにくいということでもあります。
だからこそ迎えたら、まず便の検査という手順に意味があります。
子猫では、命に関わることがあります
成猫であれば、少しくらいの出血には耐えられます。
けれど子猫では違います。もともとの血液量が少ないためです。
体重減少、食欲不振、発育不良、元気がない——こうした症状が、あっという間に進みます。
急に悪くなることがあります
じわじわ進む病気に見えて、子猫では急に危険な状態になることがあります。
血が足りなくなれば、酸素が運べません。ぐったりして、動かなくなります。昨日まで遊んでいた子猫が、翌日には動かない——そういう変わり方をすることがあります。
⚠ この様子なら、その日のうちに
- 歯ぐきが、はっきり白い
- 黒いタール状の便が出ている
- ぐったりして、動かない
- 呼吸が速く、浅い
- 食べなくなった
- 保護したばかりの子猫である
子猫の貧血は、進むのが速いものです。「明日でいいか」の判断が、この病気では合わないことがあります。
見つけ方は、便の検査です
診断は、便を調べることで行います。
糞便検査では、鉤虫の卵を顕微鏡で観察することで感染の有無を確認します。
あわせて血液検査では、貧血や炎症の指標を調べることで鉤虫症の可能性を判断します。
| 検査 | 分かること |
|---|---|
| 糞便検査 | 便の中に、鉤虫の卵がいるかどうか |
| 血液検査 | 貧血の程度、炎症の有無 |
| 便の潜血 | 目に見えない出血がないか |
| 身体検査 | 粘膜の色、体重、脱水の有無 |
| 体重の記録 | 子猫では、育ちが指標になる |
| 再検査 | 駆虫のあと、残っていないか確かめる |
虫が目で見えないぶん、この病気は検査に頼ることになります。
受診のときはその日の便を持っていくと、検査がすぐにできます。
できるだけ新しいものを、乾かないように密閉できる袋や容器に入れてください。黒い便が出ているなら、その分を持っていくのがいちばんです。
治療は、駆虫と貧血への対応です
猫の鉤虫症であると診断されたら、猫鉤虫の駆虫薬で治療を行います。
駆虫薬には経口投与剤や、背中に垂らすスポットタイプのお薬などがあります。
薬を飲ませるのが難しい猫でも、背中に垂らすタイプなら使えることがあります。相談してみてください。
貧血には、別の手当てが要ります
虫を駆除しても、失われた血がすぐ戻るわけではありません。
そのため貧血の治療として、鉄剤の投与を行うこともあります。
重い貧血では、輸血が必要になることもあります。とくに子猫では、そこまで進むことがあります。
こちらも、一回では終わりません
回虫と同じく、駆虫薬は成虫にしか効きません。
体の中を移行している途中の幼虫には届かないため、時期をおいて、もう一度必要になります。
「次はいつですか」を確かめて、予定に入れておいてください。
🩺 獣医療の現場では
この病気では、便の色が治療の指標になります。
駆虫がうまくいけば、黒い便は、ふつうの色に戻っていきます。戻らないなら、まだ出血が続いているということです。その情報は、次の受診で必ず伝えてください。
食事にも、気を配ってください
血を失った体は、それを作り直す材料を必要とします。
たんぱく質と鉄が、その中心になります。回復期には、しっかり食べさせることが治療の一部になります。
ただし人用の鉄剤やサプリメントを自己判断で与えないでください。量を誤れば、猫では中毒になります。
何を、どのくらい足すべきかは獣医師に確認してください。療法食で対応できることもあります。
予防は、環境の管理から
この寄生虫の卵は、便とともに環境に出ます。
そこで孵化した幼虫が、土や砂の中で次の宿主を待ちます。
ですから予防は、その循環を断つことになります。
- トイレを毎日掃除する
- 猫トイレの周りも、清潔に保つ
- 完全室内飼育にして、土に触れさせない
- 定期的に駆虫薬を投与する
- 糞便を処理するときは、手袋を使う
- 処理のあとは、必ず手を洗う
糞便を直接触れることなく、適切な方法で処理することが重要とされています。
手袋を着用し、糞便を密閉された袋に入れて廃棄することがすすめられています。
多頭飼いでは、まとめて考えます
一頭に見つかったなら、ほかの猫も確かめてください。
同じトイレを使っていれば、すでに広がっている可能性があります。
治療も、まとめて行うことが多くなります。
そしてトイレの数を増やし、こまめに掃除する——この基本が、そのまま予防になります。
回復の目安
駆虫がうまくいけば、数日から一週間ほどで便の色が戻ってきます。
| 見ること | 回復のしるし |
|---|---|
| 便の色 | 黒さが抜け、ふつうの茶色に戻る |
| 歯ぐきの色 | 白さが引き、ピンクに近づく |
| 元気 | 動くようになり、遊び始める |
| 食欲 | 戻ってくる |
| 体重 | 子猫なら、増え始める |
| 呼吸 | 落ち着いてくる |
ただし貧血が戻るには、もう少し時間がかかります。血を作り直すのに、数週間かかることもあります。
便の色が戻っても、しばらくは無理をさせない——そのくらいの気持ちで見ていてください。
人にも、関わることがあります
この寄生虫は、犬や人間にも感染する可能性があります。
人の場合、皮膚から幼虫が入り込むことがあります。
そのとき、幼虫は人の腸までたどり着けません。皮膚の下をさまよい、みみず腫れのような線状の跡を残すことがあります。
素足で土に触れないでください
感染するのは、幼虫がいる土や砂に、直接肌が触れたときです。
- 庭やベランダで、素足にならない
- 砂場に、直接座らない
- 土いじりのときは、手袋を使う
- 猫のトイレ掃除も、手袋を使う
- 作業のあとは、必ず手を洗う
- 子どもが土で遊んだら、手足を洗わせる
猫を触ったあとに手を洗う——この習慣は、回虫でも同じことです。
寄生虫の種類が違っても、守る方法は共通しているということです。
そして、皮膚に線状の腫れやかゆみが出て、それが日ごとに位置を変えていくようなら、医療機関を受診してください。
そのときは「猫を飼っている」「土に触れた」と伝えてください。その情報がなければ、原因にたどり着くのに時間がかかります。
よくある質問
Q. 猫の鉤虫症とは、どんな病気ですか?
A. 鉤虫という寄生虫が腸の壁に付着し、吸血して栄養を得る病気です。血を吸われるため、貧血や黒い便が出ます。
Q. 回虫とは、どう違いますか?
A. 腸でしていることが違います。回虫は栄養を横取りしますが、鉤虫は腸の壁から血を吸います。そのため症状も、お腹の張りではなく貧血として現れます。
Q. 便が黒いのですが
A. 消化管出血に起因する、黒色のタール状の便かもしれません。胃や小腸から出た血は、腸を通るあいだに変化して黒くなります。白い紙の上に取ってみると、色がはっきりします。
Q. 赤い血が付く場合とは違うのですか?
A. 出血している場所が違います。赤いままなら大腸や肛門に近い場所、黒いなら胃や小腸など、上のほうからの出血を考えます。
Q. どうやって感染しますか?
A. 主に経口感染ですが、幼虫が皮膚から侵入することもあります。皮膚から入った幼虫はリンパ液や血液にのって全身を移行し、最終的に小腸に寄生して成熟します。
Q. 便に虫が見えません
A. 鉤虫は小さく、肉眼では分かりません。回虫のように便に白い虫が出ることはないため、便の検査で確かめる必要があります。
Q. どんな症状が出ますか?
A. 黒色のタール状の下痢と貧血が、よく見られる症状です。ほかに体重減少、食欲不振、発育不良、元気がないといった症状が出ます。
Q. 子猫では危険ですか?
A. 命に関わることがあります。もともとの血液量が少ないため、貧血が急に進みます。歯ぐきが白く、黒い便が出ているなら、その日のうちに受診してください。
Q. 治療はどうしますか?
A. 猫鉤虫の駆虫薬で治療します。経口投与剤や、背中に垂らすスポットタイプの薬があります。貧血の治療として、鉄剤の投与を行うこともあります。
Q. 薬は一回で終わりますか?
A. 時期をおいて、もう一度必要になることがあります。薬は成虫に効きますが、体内を移行中の幼虫には届かないためです。次の予定を確かめておいてください。
Q. 予防はどうすればよいですか?
A. トイレを毎日掃除し、完全室内飼育にすることです。幼虫は土や砂の中で宿主を待っているため、土に触れさせないことが効きます。
Q. 人にもうつりますか?
A. 感染する可能性があります。人では皮膚から幼虫が入り、皮膚の下をさまよって線状の跡を残すことがあります。庭や砂場では素足にならず、土いじりには手袋を使ってください。
まとめ|便の色を、見てください
この寄生虫は、目で見えません。だから「便に虫が出た」で気づくことができません。
代わりに、この病気には色という手がかりがあります。
黒い、タールのような便。そして白っぽい歯ぐき。この二つがそろったら、疑ってください。
とくに子猫では、進むのが速い病気です。保護したばかりの子猫で黒い便が出たなら、その日のうちに受診してください。
そして予防は、トイレを毎日掃除することと土に触れさせないこと。地味ですが、これがいちばん効きます。
この寄生虫は、駆虫薬がしっかり効きます。気づいて、薬を通しきれば、そこで終われる病気です。
問題は、気づきにくいことのほうにあります。だから、便の色を見る習慣を持っておいてください。毎日のトイレ掃除は、そのまま健康チェックにもなります。
今日できる3つ
- 1便を白い紙の上に取って、黒くないか確かめる
- 2唇をめくって、歯ぐきの色を見てみる
- 3外に出している猫がいるなら、駆虫の間隔を病院で確認する
この寄生虫は、見えないところで血を奪っています。だから、色の変化で気づくしかありません。

本日の「犬猫の悩みを即解決!」の記事「猫の鉤虫症|黒い便は、血が出ているしるしです」でした。
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