

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫の膿皮症|かゆがらなくても、起こります」です。ではどうぞ!
膿皮症は、皮膚に細菌が感染して起こる病気です。
けれど、この病気を理解するには「どの菌が原因か」より大事なことがあります。
猫が膿皮症を発症する主な原因は、ブドウ球菌による感染です。ただし、ブドウ球菌は皮膚に常在する菌なので、発症に至るには要因があります。
つまり、菌そのものより、それを抑えられなくなった理由のほうが問題になります。
結論
膿皮症は皮膚に細菌が感染して炎症や膿を生じる病気で、主な原因はブドウ球菌です。ただしブドウ球菌は皮膚に常在する菌なので、発症に至るには要因があります。体の抵抗力や皮膚のバリア機能が低下したり、皮膚に感染が起こりやすい病気を持っていたりすると膿皮症を起こします。症状はフケ、かさぶた、丘疹、膿疱、発赤、表皮小環のうち一つないし二つ以上が見られ、脱毛も起こり、その中心部に色素沈着が見られることもあります。痒みは全く無いものから激しいものまでさまざまです。猫での膿皮症は犬に比べてまれで、治療は原因菌に対する抗生物質の使用とシャンプーが一般的ですが、根本にある原因がなくならないと、膿皮症が再発する可能性が高くなります。
この記事でわかること
- ✓もともといる菌が、増えます
- ✓猫では、まれな病気です
- ✓皮膚に、いろいろな形で出ます
- ✓かゆがらないこともあります
- ✓背景を探すことが、本体になります
- ✓見つけ方は、皮膚を調べることです
- ✓治療は、内と外の両方から
- ✓くり返すときに、考えること
もともといる菌が、増えます

ブドウ球菌は皮膚に常在する菌です。
健康な猫の皮膚にも、ふつうにいます。そして、いるだけでは何も起こしません。
体の抵抗力や皮膚のバリア機能が低下したり、皮膚に感染が起こりやすい病気を持っていたりすると膿皮症を起こします。
守りが崩れたときに、起こります
皮膚には、細菌が増えすぎないようにするバリア機能があります。
風邪などをひいて免疫力が低下したときは、皮膚のバリア機能が弱くなったり細菌バランスが崩れたりして発症しやすくなります。
つまり、この病気は外から来た菌にやられたのではなく、もともとの守りが崩れた結果です。
だから、菌を叩くだけでは足りません。
猫では、まれな病気です
猫での膿皮症は、犬に比べてまれです。
犬では、皮膚病のなかでもよく見かける病気です。けれど猫では、そう多くありません。
この差が、猫で見つかったときの意味をつくっています。
まれだからこそ、理由があります
ふつうの猫では起こらない病気が起きている。ということは、ふつうではない何かがある——そう考えます。
だから、この病気が見つかったときには全身の状態を確かめることになります。
猫の膿皮症は、全身疾患のサインかもしれない——そう言われることがあります。
毛包虫症やマラセチア症も、同じ構造を持っています。常在するものが増えたときは、裏を探す。猫の皮膚病では、この考え方がくり返し出てきます。
皮膚に、いろいろな形で出ます

この病気の見た目は、ひとつではありません。
症状としてはフケ、かさぶた、丘疹(皮膚の小型隆起)、膿疱、発赤、表皮小環(輪状の分泌塊)のうち、一つないし二つ以上が見られます。
| 見えるもの | どういうものか |
|---|---|
| ふけ | ぱらぱらした、白いもの |
| かさぶた | 乾いた膜のようなもの |
| 丘疹 | 小さく盛り上がった、ぶつぶつ |
| 膿疱 | 膿を含んだ、白っぽいふくらみ |
| 発赤 | 皮膚が赤くなっている状態 |
| 表皮小環 | 皮がめくれて、輪のような模様になる |
毛が抜け、色が変わることもあります
脱毛も起こり、その中心部に色素沈着が見られることもあります。
毛が抜けたところの皮膚が、黒っぽく変色している——そんな見え方になることがあります。
これは、炎症が続いたあとに残る変化です。「前からあったのか、最近なのか」を受診のときに伝えられると役立ちます。
かゆがらないこともあります

この病気で、注意しておきたい点があります。
痒みは、全く無いものから激しいものまでさまざまです。
つまり「かゆがっていないから、皮膚病ではない」とは言えません。
撫でていて、偶然見つかることがあります
かゆみがない場合、猫は何も訴えません。
撫でていて、ぶつぶつに触れた。ブラッシングのときに、かさぶたを見つけた。——そういう気づき方になります。
- 撫でていて、皮膚のざらつきに気づいた
- ブラッシングで、ふけが目立つ
- 毛をかき分けると、赤いぶつぶつがある
- 小さなかさぶたが、あちこちにある
- 毛が薄くなっているところがある
- その部分の皮膚が、黒ずんでいる
ブラッシングは、そのまま皮膚の点検になります。毛をかき分けて、皮膚を見る習慣を持っておいてください。週に一度でも、じゅうぶんです。
長毛の猫では、とくに見えにくくなります
毛の長い猫では、皮膚の変化が毛に隠れてしまいます。
触ったときのざらつきや、ブラシに付いてくるふけが手がかりになります。見た目より、手の感触を頼りにしてください。
背景を探すことが、本体になります

この病気の治療で、いちばん大切なところです。
膿皮症を引き起こした原因が他にある場合(アレルギーや内分泌疾患、寄生虫感染など)、それらに対する治療を行う必要があります。
これらの根本にある原因が無くならないと、膿皮症が再発する可能性が高くなります。
何を探すのか
背景として考えられるものは、いくつかあります。
- ノミやダニによるアレルギー
- 食べ物によるアレルギー
- 花粉やほこりなど、環境によるアレルギー
- 皮膚糸状菌症(真菌)
- マラセチア性皮膚炎
- 内分泌系の疾患
ノミアレルギー性皮膚炎でかき壊した傷から、菌が入る——そういう流れもよくあります。
「皮膚病が二つ重なっている」と考えるほうが、実際には正確なことがあります。
内分泌の病気も、確かめます
内分泌系の疾患を持っている場合も、発症しやすいとされています。
ホルモンの異常があると、皮膚のバリア機能や免疫が変わります。
そのため、皮膚の病気で来院しても血液検査をすすめられることがあります。
皮膚だけを見ていては、答えにたどり着けない——この病気では、そこが要点になります。遠回りに見える検査が、いちばんの近道になることがあります。
見つけ方は、皮膚を調べることです
診断は、皮膚を調べて何がいるかを確かめることから始まります。
| 検査 | 分かること |
|---|---|
| 皮膚のテープ検査 | 細菌がいるか、どのくらいいるか |
| 膿の検査 | 膿疱の中身を採り、顕微鏡で見る |
| 培養検査 | 菌の種類と、効く薬を調べる |
| 真菌の検査 | カビが混じっていないかを確かめる |
| 寄生虫の検査 | ダニやノミがいないかを見る |
| 血液検査 | 内分泌の病気などがないかを確かめる |
アレルギー反応や免疫系の異常を調べることができます。血液検査には、そういう意味もあります。
効く薬を、調べることがあります
抗生物質には、菌によって効くもの・効かないものがあります。
なかなか治らない場合や、くり返す場合には培養検査でどの薬が効くかを調べることがあります。
「薬を飲んでいるのに変わらない」という場合、選んだ薬が合っていない可能性があります。
その情報も、受診のときに伝えてください。
出やすい場所にも、傾向があります
膿皮症は、体のどこにでも出ます。けれど、いくつか出やすい場所があります。
- あご——ざ瘡(にきび)として出ることがある
- 首のうしろ——かき傷が入りやすい
- 背中や腰——ノミの傷から広がる
- お腹や内股——蒸れやすく、なめやすい
- 足の指のあいだ——湿りやすい
- 皮膚がこすれるところ——摩擦で守りが弱くなる
あごの黒いぶつぶつは、よく見られる形のひとつです。「あごが汚れている」と思われがちですが、皮膚の炎症が起きていることがあります。
どこに出ているかは、背景を探すときの手がかりにもなります。受診のときに、場所を伝えてください。
治療は、内と外の両方から
猫が膿皮症になったときの治療は、原因菌に対する抗生物質の使用とシャンプーを行うのが一般的です。
原因菌に直接アプローチできる抗生物質を含んだ内服薬、および塗り薬を使い、体の内側と外側から治療します。
シャンプーにも、意味があります
皮膚の清潔を保つことは、この病気では治療の一部になります。
菌の数を物理的に減らし、かさぶたやふけを取り除くことで薬も効きやすくなります。
ただし、猫にとってシャンプーは負担です。どのくらいの頻度で行うかは、獣医師と相談して決めてください。
人用のシャンプーは使わないでください。皮膚の状態を、かえって悪くすることがあります。使うものは、獣医師にすすめられたものを選んでください。
最後まで、続けてください
見た目がよくなっても、皮膚の中ではまだ菌が残っていることがあります。
そこで薬をやめると、また増えてきます。
さらに、中途半端に使うことで薬の効きにくい菌を育ててしまうこともあります。
「あと何日ですか」を確かめて、決められた期間を通しきってください。
抗生物質は、症状が消えてからもしばらく続けることが多い薬です。余ったからといって、次のときに使い回すのもやめてください。
🩺 獣医療の現場では
「薬を飲むと治るが、やめると戻る」——この訴えは、背景に別の原因がある合図です。
菌はその上に乗っているだけかもしれません。三度めの抗生物質になったときは、「原因を調べる方法はありますか」と聞いてみてください。
かき壊しを、止めることも治療です
かゆみが強い場合、かき続けることで傷が広がります。
そして傷が広がれば、そこからさらに菌が入ります。悪循環になってしまいます。
- 爪を短く切っておく
- かゆみを抑える薬を、あわせて使う
- 必要なら、エリザベスカラーを使う
- なめ続ける場所は、覆っておく
- かき始めたら、そっと気をそらす
- 寝床を清潔に保つ
猫を楽にすることが、そのまま治りを早めます。かゆみを我慢させる理由はありません。
くり返すときに、考えること
この病気で困るのは、くり返すことです。
そして、くり返しにはほぼ必ず理由があります。
| くり返す理由 | 確かめること |
|---|---|
| 基礎疾患が残っている | アレルギー、内分泌、寄生虫など |
| 治療が途中で終わっている | 見た目で判断していないか |
| 薬が合っていない | 培養検査で、効く薬を調べたか |
| ほかの皮膚病が下にある | 真菌やマラセチアが混じっていないか |
| 環境の問題 | 湿度、不衛生、ストレスがないか |
| 栄養の問題 | 皮膚をつくる材料が足りているか |
「またか」で流さず、そのたびに原因を考える——それが、くり返しを断つ道になります。
食事も、皮膚に関わります
適切な食事と栄養補給は、皮膚の健康を維持するために重要です。
皮膚と毛は、体のなかでも栄養を多く必要とする場所です。
食べる量が減っていたり、偏っていたりすればそこから影響が出ます。
ただしサプリメントを自己判断で足さないでください。何が足りていないのかを確かめてから、必要なものを選びます。
うつる病気ではありません
常在菌が増える病気なので、ほかの猫にうつるものではありません。
人にも、通常はうつりません。
ただし、背景にある病気がうつるものである可能性はあります。
真菌(皮膚糸状菌症)が下にあれば、そちらは人にも猫にもうつります。だから、原因を確かめることに意味があります。
とくに小さなお子さんや、免疫の下がっている方がいるご家庭では、そこを確かめておく意味が大きくなります。
「膿皮症です」で終わらせず、その下に何があるのかを聞いておいてください。
よくある質問
Q. 膿皮症とは、どんな病気ですか?
A. 皮膚に細菌が感染して、炎症や膿を生じる病気です。主な原因はブドウ球菌ですが、これは皮膚に常在する菌です。
Q. 常在菌なのに、なぜ病気になるのですか?
A. 体の抵抗力や皮膚のバリア機能が低下すると、抑えが効かなくなるためです。皮膚に感染が起こりやすい病気を持っている場合も、発症しやすくなります。
Q. どんな症状が出ますか?
A. フケ、かさぶた、丘疹、膿疱、発赤、表皮小環のうち一つないし二つ以上が見られます。脱毛も起こり、その中心部に色素沈着が見られることもあります。
Q. かゆがっていないのですが
A. 痒みは、全くないものから激しいものまでさまざまです。かゆがらないからといって、この病気を否定することはできません。
Q. 猫では、よくある病気ですか?
A. 犬に比べてまれです。そのため、猫で見つかったときは全身の状態を確かめる意味が大きくなります。
Q. どんな背景を探すのですか?
A. アレルギー、内分泌疾患、寄生虫感染、ほかの皮膚病などです。ノミやダニ、食べ物、花粉やほこりによるアレルギー、皮膚糸状菌症やマラセチア性皮膚炎から続くケースもあります。
Q. どうやって診断しますか?
A. 皮膚のテープ検査や膿の検査で、細菌を確認します。あわせて真菌や寄生虫の検査、背景を探すための血液検査を行うこともあります。
Q. 治療はどうしますか?
A. 原因菌に対する抗生物質の使用とシャンプーが一般的です。内服薬と塗り薬を使い、体の内側と外側から治療します。
Q. 見た目がよくなったら、薬をやめてよいですか?
A. やめないでください。皮膚の中ではまだ菌が残っていることがあり、中途半端に使うと薬の効きにくい菌を育ててしまうこともあります。
Q. 何度もくり返します
A. 根本にある原因が残っている可能性が高いものです。アレルギーや内分泌疾患、寄生虫感染などが解決しないかぎり、再発する可能性が高くなります。
Q. うつりますか?
A. 常在菌が増える病気なので、うつるものではありません。ただし背景に真菌(皮膚糸状菌症)がある場合、そちらは人にも猫にもうつります。
Q. 家でできることはありますか?
A. ブラッシングのときに、皮膚を見る習慣をつけてください。毛をかき分けて、ぶつぶつやかさぶたがないか確かめます。長毛の猫では、触ったときのざらつきが手がかりになります。
まとめ|菌ではなく、条件を見てください
この病気の原因は、もともと皮膚にいる菌です。
だから、考えるべきは「なぜ、いま増えたのか」のほうです。
そして猫では、この病気はまれです。起きたということ自体に、意味があります。
アレルギー、内分泌の病気、寄生虫、ほかの皮膚病——そのどれかが、下にあるかもしれません。
抗生物質でよくなっても、そこで終わらせないでください。根本が残っていれば、必ず戻ってきます。
そして、かゆみがないこともある病気です。猫が訴えないぶん、飼い主が見つけるしかありません。
ブラッシングのついでに、毛をかき分けて皮膚を見る。その習慣が、いちばん早い発見につながります。
今日できる3つ
- 1ブラッシングのときに毛をかき分け、皮膚を見てみる
- 2ふけ、かさぶた、赤いぶつぶつがないか確かめる
- 3くり返しているなら、次の受診で「原因の検査」を相談する
この病気は、皮膚からの知らせです。菌を叩くだけでは、同じことがくり返されます。

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