

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫の水晶体脱臼|前に出ると、七割が緑内障になります」です。ではどうぞ!
瞳の中に、もうひとつ輪のようなものが見える。
目を動かすと、瞳のふちが震えている。
水晶体脱臼は目の中のレンズが、本来の位置から外れてしまう病気です。
そして、どちらへ外れたかで話がまったく変わります。前へ出た場合、約七割で緑内障を起こすとされており、早く手を打つ必要があります。
結論
水晶体脱臼は目の中でレンズの役割をする水晶体が、本来の位置からずれてしまう状態です。水晶体はチン小帯と呼ばれる細い糸で吊られており、慢性的な炎症疾患(ぶどう膜炎など)や緑内障などがあると、チン小帯に異常な圧がかかり、水晶体脱臼が起こりやすくなってしまいます。とくに猫では、ぶどう膜炎に続いて水晶体脱臼を引き起こす傾向にあります。一方犬では、テリア種、ミニチュア・シュナウザー、プードル、イタリアン・グレーハウンドなどの犬種で、生まれつきチン小帯が弱いために起こりやすいとされており、成り立ちが異なります。水晶体前方脱臼では約70%で緑内障を起こす危険性があり、早期の治療が必要となります。前方脱臼の場合、角膜浮腫や緑内障などの続発症を防ぐために、基本的には手術によって水晶体を摘出します。
この記事でわかること
- ✓水晶体は、細い糸で吊られています
- ✓猫では、炎症の結果として起こります
- ✓犬とは、成り立ちが違います
- ✓前に出るか、後ろに落ちるか
- ✓前方脱臼は、七割が緑内障になります
- ✓気づくきっかけは、瞳の中です
- ✓治療は、取りのぞくことです
- ✓予防は、炎症を放置しないことです
水晶体は、細い糸で吊られています

水晶体は目の中に浮いているわけではありません。
ぐるりと囲むように、細い糸で吊られています。
チン小帯という、吊り糸です
この糸をチン小帯と呼びます。
毛様体という組織から、放射状に伸びて水晶体をぐるりと支えています。
ハンモックが、たくさんのひもで吊られている——そんな構造だと思ってください。
ピント合わせにも、関わっています
この糸は、ただ支えているだけではありません。
引っぱったりゆるめたりすることで、水晶体の厚みを変えています。
それが、ピント合わせです。
だから糸がゆるむと、見え方そのものが変わります。
ゆるむと、外れます
この糸が弱くなったり、切れたりすると、水晶体は支えを失います。
一部だけがゆるんだ状態なら、ぐらつくだけで済むこともあります。
広い範囲で切れると、完全に外れます。
猫では、炎症の結果として起こります
では、なぜ糸がゆるむのか。
炎症が、糸を痛めます
慢性的な炎症疾患(ぶどう膜炎など)や緑内障などがあると、チン小帯に異常な圧がかかり、水晶体脱臼が起こりやすくなってしまいます。
目の中で炎症が続くと、組織が引っぱられたり、変性したりします。
その負担が、細い糸に集まります。
猫では、これがいちばん多い流れです
とくに猫では、ぶどう膜炎に続いて水晶体脱臼を引き起こす傾向にあります。
ブドウ膜炎は、猫では全身の病気から起こることが少なくありません。
つまり体の病気 → 目の炎症 → レンズの脱臼という流れになります。
目だけを見ていては、たどり着けないということです。
緑内障からも、起こります
そして緑内障も、原因になります。
高い眼圧が続くと、眼球そのものが引き伸ばされます。
眼球が広がれば、吊り糸も引っぱられます。
脱臼が緑内障を呼び、緑内障が脱臼を呼ぶ——両方向につながっているのが、この病気のややこしいところです。
けがからも、起こります
炎症だけではありません。
強い衝撃を受けたときにも、吊り糸が切れることがあります。
- 高いところからの落下
- 交通事故
- ほかの猫とのけんか
- 目に、硬いものがぶつかった
- 顔を強く打った
この場合は片目だけで、その出来事のあと急に起こります。
「落ちたあと、目の様子が変わった」——そう気づいたら、受診してください。
犬とは、成り立ちが違います
この病気も、犬と猫で前提が違います。
犬では、生まれつき弱い犬種があります
テリア種、ミニチュア・シュナウザー、プードル、イタリアン・グレーハウンドなどの犬種では、生まれつきチン小帯が弱いために水晶体脱臼が起こりやすいと言われています。
何もきっかけがなくても、若いうちから起こることがあるということです。
これを原発性と呼びます。
猫では、続発性が中心です
いっぽう猫では、ぶどう膜炎に続いて起こる傾向があります。
何かがあったから、外れた——そういう順番です。
だから猫では、脱臼を見つけたら手前を探します。
これは白内障や緑内障とも共通する、猫の目の病気に一貫した考え方です。
前に出るか、後ろに落ちるか

水晶体が外れたとき、行き先は二つあります。
前へ出るか、後ろへ落ちるか
瞳孔を通って前へ出るのが前方脱臼。
奥の硝子体のほうへ落ちるのが後方脱臼です。
この違いが、そのまま急ぎ具合の違いになります。
後ろへ落ちた場合
後方へ落ちた場合、水の通り道はふさがれにくいものです。
比較的おだやかに経過することがあります。
ただし安心してよいという意味ではありません。
体位によって、前へ回ってくることもあります。経過を見るなら、定期的に確かめてもらってください。
前方脱臼は、七割が緑内障になります
問題は、前へ出た場合です。
水の出口を、ふさぎます
水晶体前方脱臼では、約70%で緑内障を起こす危険性があり、早期の治療が必要となります。
前へ出た水晶体は目の中の水が出ていく通り道を、物理的にふさぎます。
栓をされた状態です。
だから眼圧が上がります。
角膜にも、触れます
さらに、前へ出た水晶体は角膜の内側に接触します。
接触した部分の角膜は、むくんで濁ってきます。
黒目が急に青白くなった——そう見えるのは、このためです。
これを角膜浮腫と呼びます。
だから、急ぎます
眼圧が上がれば、視神経が傷みます。
そして傷んだ視神経は、戻りません。
前方脱臼は、その日のうちに動くべき状態です。
⚠ すぐ受診してほしいとき
黒目が、急に青白く濁ってきた。
瞳の中に、透明な輪が見える。
目を開けられず、強く痛がっている。
片目が、急に大きくなってきた。
これらは前方脱臼と、それに続く緑内障を疑う合図です。
「明日でいいか」で待たないでください。
前と後ろで、こう変わります
| 前方脱臼 | 後方脱臼 | |
|---|---|---|
| 行き先 | 瞳孔を通って、前へ出る | 奥の硝子体のほうへ落ちる |
| 水の流れ | 出口をふさぐ | ふさがれにくい |
| 緑内障 | 約70%で起こす危険がある | 起こりにくい |
| 角膜 | 接触してむくむ。青白く濁る | 触れない |
| 痛み | 強く出ることがある | はっきり出ないことがある |
| 対応 | その日のうちに受診。手術で摘出 | 経過を見る選択もありうる |
気づくきっかけは、瞳の中です

この病気には、特徴的な見え方があります。
瞳の中に、もうひとつ輪が見えます
前方に出た水晶体は透明な球です。
けれど、その縁の部分は光を反射して見えます。
瞳の中に、もうひとつ輪郭が浮かんでいる——そういう見え方をすることがあります。
虹彩が、震えることがあります
水晶体は、ふだん虹彩を後ろから支えています。
その支えがなくなると、虹彩がぐらぐらするようになります。
目を動かしたとき、瞳のふちが小刻みに揺れる——これを虹彩振盪(こうさいしんとう)と呼びます。
脱臼のかなり確かな手がかりになります。
見ておいてほしいこと
- 瞳の中に、輪のようなものが見えないか
- 目を動かしたとき、瞳のふちが揺れないか
- 黒目が、青白く濁っていないか
- 片目だけ、細めていないか
- 片目だけ、大きくなっていないか
- ものにぶつかるようになっていないか
明るい場所で、正面から、左右をそろえて見る——これがいちばん分かりやすい方法です。
治療は、取りのぞくことです
治療について、誤解されやすいところがあります。
元の位置には、戻しません
「ずれたなら、戻せばいい」と思われるかもしれません。
けれど、そうはしません。
吊り糸そのものが弱っているので、戻してもまた外れるからです。
前方脱臼の場合、角膜浮腫や緑内障などの続発症を防ぐために、基本的には手術によって水晶体を摘出します。
レンズがなくなっても、光は入ります
レンズを取ってしまって大丈夫なのか——そう思われると思います。
ピントは合わなくなります。
けれど光そのものは、入ります。
猫の暮らしでは、それで十分に動けます。
痛みと緑内障を防ぐことのほうが、はるかに大事です。
同時に、原因も調べます
そしてなぜ外れたのかを調べます。
| 調べること | なぜか |
|---|---|
| 目の中の炎症 | 猫でいちばん多い背景。ぶどう膜炎 |
| 眼圧 | 緑内障になっていないかを確かめる |
| 反対の目 | 同じ条件がかかっている可能性がある |
| 全身の状態 | ぶどう膜炎の背景に、感染症などがないか |
| 網膜の様子 | 奥が働いているかで、見通しが変わる |
手術のあとに、見ておくこと
摘出したあとも、しばらくは経過を見ることになります。
- 傷をかかないよう、カラーを外さない
- 指示された点眼を、時間どおり続ける
- 眼圧を、定期的に測ってもらう
- 目が赤くないか、毎日確かめる
- 反対の目にも、変化がないか見る
- 次の診察を、飛ばさない
取ったあとに緑内障が出てくることもあります。
眼圧の確認は、しばらく続けてください。
予防は、炎症を放置しないことです

この病気に、直接の予防法はありません。
けれど、できることはあります。
上流を、止めることです
猫の目の病気はつながっています。
ブドウ膜炎 → 白内障・水晶体脱臼 → 緑内障 → 失明——
この流れの上流にあるのが、目の中の炎症です。
そこを止めれば、下流は起きません。
目の治療を、途中でやめないでください
ブドウ膜炎の治療は、長くなることが多いものです。
見た目が落ち着いても、中では炎症が残っています。
そこでやめてしまうと、じわじわ続きます。
そして数年後に、脱臼や緑内障として現れます。
見ておく間隔の目安
| 状況 | どのくらいの間隔で見るか |
|---|---|
| 目の病気がない猫 | 年に一度の健診で、目も見てもらう |
| ぶどう膜炎の治療中 | 指示された間隔で。自己判断で延ばさない |
| 炎症が落ち着いたあと | 数か月ごとに、眼圧と目の中を確認 |
| 片目を摘出したあと | 反対の目を、定期的に見ておく |
| 家では | 週に一度、左右の瞳を見比べる |
そして、全身の病気を治療してください
猫のブドウ膜炎は全身の感染症などから起こることが少なくありません。
体を治すことが、目を守ることになります。
目の話に見えて、全身の話——猫の目の病気には、この構造がくり返し出てきます。
🩺 反対の目を、忘れないでください
片目に起きたことは、反対の目にも起こりえます。
とくに背景に全身の病気がある場合、両目に同じ条件がかかっています。
今は何ともない目こそ、定期的に見ておいてください。
この記事の要点
水晶体はチン小帯という細い糸で吊られており、その糸がゆるむと外れます。
猫では、ぶどう膜炎に続いて起こる傾向があります。犬の生まれつきの弱さとは、成り立ちが違います。
前方脱臼では約70%で緑内障を起こす危険があり、早期の治療が必要です。
前方脱臼では、続発症を防ぐために基本的に手術で水晶体を摘出します。元の位置には戻しません。
Q. 水晶体脱臼とは、どんな状態ですか?
A. 目の中でレンズの役割をする水晶体が、本来の位置からずれてしまう状態です。水晶体はチン小帯という細い糸で吊られており、この糸がゆるむと外れてしまいます。
Q. 猫では、何が原因ですか?
A. ぶどう膜炎に続いて起こる傾向にあります。慢性的な炎症疾患や緑内障があると、チン小帯に異常な圧がかかって脱臼が起こりやすくなります。
Q. 犬とは違うのですか?
A. 成り立ちが違います。犬ではテリア種、ミニチュア・シュナウザー、プードル、イタリアン・グレーハウンドなどで生まれつきチン小帯が弱く、何もなくても起こることがあります。
Q. 前と後ろで、違いはありますか?
A. 大きく違います。前方脱臼では約70%で緑内障を起こす危険性があり、早期の治療が必要になります。後方脱臼は、比較的おだやかに経過することがあります。
Q. なぜ前に出ると危ないのですか?
A. 目の中の水が出ていく通り道を、物理的にふさぐためです。栓をされた状態になり、眼圧が上がります。さらに角膜の内側に接触して、角膜浮腫を起こします。
Q. どんな様子で気づけますか?
A. 瞳の中に、もうひとつ輪のようなものが見えることがあります。また、目を動かしたときに瞳のふちが小刻みに揺れることもあります。黒目が急に青白く濁った場合も、疑う理由になります。
Q. どのくらい急ぎますか?
A. 前方脱臼なら、その日のうちに受診してください。眼圧が上がれば視神経が傷み、傷んだ視神経は戻りません。
Q. 元の位置に戻せますか?
A. 戻しません。吊り糸そのものが弱っているため、戻してもまた外れます。前方脱臼では、続発症を防ぐために基本的に手術で摘出します。
Q. レンズを取って、見えるのですか?
A. ピントは合わなくなりますが、光そのものは入ります。猫の暮らしでは、それで十分に動けます。痛みと緑内障を防ぐことのほうが大事です。
Q. 後方脱臼なら、放っておいてよいですか?
A. 安心してよいという意味ではありません。体位によって前へ回ってくることもあります。経過を見る場合も、定期的に確かめてもらってください。
Q. 反対の目も、心配ですか?
A. 心配です。背景に全身の病気がある場合、両目に同じ条件がかかっています。今は何ともない目こそ、定期的に見ておいてください。
Q. 予防はできますか?
A. 目の炎症を放置しないことです。猫では、ぶどう膜炎が上流にあります。そこを止めれば、下流の脱臼や緑内障は起きにくくなります。
Q. 治療を途中でやめても大丈夫ですか?
A. やめないでください。見た目が落ち着いても、目の中では炎症が残っていることがあります。そこでやめると、数年後に脱臼や緑内障として現れます。
Q. 高齢でも手術できますか?
A. 全身の状態しだいです。麻酔をかけられる状態かどうか、網膜が働いているかどうかを確かめたうえで相談することになります。
まとめ|瞳の中を、のぞいてみてください
水晶体脱臼は、目の中のレンズが外れる病気です。
そして猫では、それ単独では起こりません。
目の中の炎症が長く続いた結果として、吊り糸がゆるみ、外れます。
前へ出れば、約七割が緑内障になります。
後ろへ落ちれば、おだやかなこともあります。けれど、そこも確かめてもらったうえでの話です。
この病気で家からできるのは、瞳の中をのぞくことです。
もうひとつの輪が見えないか。目を動かしたとき、瞳のふちが揺れないか。
そして目の炎症で通院中の猫なら、治療を途中でやめないこと。それが、この病気を遠ざけるいちばん確かな方法です。
今日できる3つ
- 1明るい場所で、瞳の中に輪が見えないか確かめる
- 2顔をそっと動かして、瞳のふちが揺れないか見る
- 3目の治療中なら、次の診察で「まだ炎症はありますか」と聞く
レンズが前に出ると、七割が緑内障になります。気づいたその日に、連れていってください。

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