


こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「犬の寒冷凝集素症|冬に、耳の先だけが傷んでいくなら」です。ではどうぞ!
冬になると耳のふちが赤くなる。
かさぶたができてそのうち欠けてくる——
尾の先も足の先も同じように傷んでいる——
けれど、体の真ん中には何もない——
この組み合わせには名前があります。
寒冷凝集素症——
寒さによって体のなかの抗体が働き出し
冷えた場所で血が固まってしまう病気です。
そして、この病気にはおどろくような対処法があります。
唯一の必要な処置は冬期の間、犬を室内に入れておくことだとされているのです。
結論
寒冷凝集素症とは犬に発生する溶血性貧血を起こす疾患で、低温下で血液の激しい凝集反応が起こります。体が寒さに曝されることで体温が下がり、体内の「寒冷凝集素」という抗体が活性化し、赤血球の表面にくっつくことで起こり、自己免疫疾患であると考えられています。症状としては耳介、四肢端、尾の先端に紅斑や痂皮形成が起こり、最終的には壊死することもあります。とくにあざや皮膚のかさぶた、壊死は気付きやすい症状で、冷えやすい耳や尾、足の先端で見られます。治療は免疫抑制量のプレドニゾロンで行うとされ、唯一の必要な処置は、冬期の間、犬を室内に入れておくこととされています。
この記事でわかること
- ✓冬に、体の先だけに起きます
- ✓耳のふち、尾の先、足先を見てください
- ✓冷えた場所で、血が固まっています
- ✓これも、自己免疫の仲間です
- ✓唯一必要な処置は、室内に入れること
- ✓治療で使われる薬
- ✓冬を、どう過ごすか
冬に、体の先だけに起きます

この病気を見分けるときの手がかりは2つです。
季節と場所——
| 手がかり | 内容 |
|---|---|
| 季節 | 寒い時期に出て、暖かくなると軽くなる |
| 場所 | 耳介、四肢端、尾の先端 |
| 出ないところ | 体の中心部には出にくい |
| 見えるもの | 紅斑、痂皮(かさぶた)の形成 |
| 進むと | 最終的には壊死することもある |
| 繰り返す | 次の冬に、また出てくる |
「冬になると耳が悪くなる」——
そう感じたことがあるならそれは重要な情報です。
暖かくなると症状が落ち着くため
「治った」と思われてしまいます。
そして、次の冬にまた同じことが起きる——
季節との関係を、記録してください
「去年の冬も同じだった」——
この情報が診断を大きく近づけます。
写真を日付とともに残しておくといちばん確実です。
いつから出たかいつ落ち着いたか——
それだけでもじゅうぶんです。
季節性があるということはこの病気を強く疑う理由になります。
耳のふち、尾の先、足先を見てください

症状は耳介、四肢端、尾の先端に出ます。
紅斑や痂皮形成が起こり最終的には壊死することもあります。
- 耳のふちが、赤くなっている
- かさぶたのようなものができている
- 耳の先が、少し欠けてきた
- 尾の先端に、同じような変化がある
- 足先の皮膚が傷んでいる
- あざのような色の変化がある
「耳のふち」という場所は覚えておく価値があります。
アトピー性皮膚炎では耳介の辺縁や腰背部には病変がないことが一般的だとされています。
つまり、耳のふちにはっきりした変化があるなら
アレルギー以外を考えることになるのです。
痒みが強いなら疥癬——
冬に出て、痒みより傷みが目立つならこの病気——
同じ場所でも読み分けられます。
耳のふちに出る病気を、並べてみる
耳介の辺縁という場所は皮膚の病気を分けるときの目印になります。
| 病気 | 耳のふちでの見え方 | 手がかり |
|---|---|---|
| 寒冷凝集素症 | 赤み、かさぶた、欠けてくる | 冬に出る |
| 疥癬 | かさぶた、フケ、脱毛 | 激しい痒み。うつる |
| アトピー | 出にくい場所とされる | 目や口のまわり、足先に出る |
| 外耳炎 | 耳の中が中心 | においや耳垢が目立つ |
| 日光による傷み | 毛の薄い白い犬で出やすい | 日当たりのよい場所で過ごす |
| 共通する対応 | 写真で記録し、季節との関係を伝える | 見た目だけでは決められない |
耳の中が気になるなら外耳炎の記事もあわせてご覧ください。
いずれにしても見た目だけで決めることはできません。
けれど、「冬に出る」という一言は
ほかの病気にはない特徴です。
冷えた場所で、血が固まっています

なぜ、先端だけなのか——
仕組みが分かると納得できます。
体が寒さに曝されることで体温が下がり体内の「寒冷凝集素」という抗体が活性化します。
そして、赤血球の表面にくっつくことでこの病気が起こります。
| 段階 | 起きていること |
|---|---|
| 冷える | 体温が下がる。とくに体の先端で |
| 抗体が働き出す | 寒冷凝集素が活性化する |
| くっつく | 赤血球の表面に結びつく |
| 固まる | 低温下で血液の激しい凝集反応が起こる |
| 流れが止まる | その先へ血が届かなくなる |
| 結果 | 組織が傷み、壊死することもある |
「寒冷」という名前がすべてを説明しています。
体の先端はいちばん冷えやすい場所——
だから、そこで起きるのです。
そして、血が固まって流れが止まれば
その先の組織は酸素も栄養も受け取れません。
それが、壊死という結果につながります。
溶血性貧血、ということ
この病気は溶血性貧血を起こす疾患だとされています。
溶血とは赤血球が壊れるということ——
- 赤血球が壊れれば、酸素を運ぶ力が落ちる
- だから、貧血になる
- 歯ぐきの色が薄くなることがある
- 疲れやすくなる、動きたがらなくなる
- 皮膚の症状だけではないと知っておく
- 全身の状態も、あわせて診てもらう
「耳の病気」だと思っていたものが
血液の病気でもあるのです。
だから、見た目の変化だけでなく
元気や食欲にも目を向けてください。
歯ぐきの色を見ておくことも役に立ちます。
これも、自己免疫の仲間です
この病気は自己免疫疾患であると考えられています。
免疫が自分の赤血球を攻撃してしまう——
その点では自己免疫性疾患の仲間です。
| この病気 | 免疫介在性溶血性貧血 | |
|---|---|---|
| 攻撃されるもの | 赤血球 | 赤血球 |
| 引き金 | 寒さ(低温) | はっきりしないことが多い |
| 起きる場所 | 体の先端で、局所的に | 全身で |
| 季節性 | ある(冬に出る) | とくにない |
| 見えること | 耳や尾の先が傷む | 歯ぐきが白い、疲れる |
| 対処 | 寒さを避ける+薬 | 免疫を抑える |
同じ「赤血球が壊れる」でも引き金と起きる場所が違います。
そして、この病気には「避けられる引き金」があります。
寒さ——
それが分かっていることがこの病気の救いです。
唯一必要な処置は、室内に入れること

ここが、この病気でいちばん伝えたいところです。
唯一の必要な処置は冬期の間、犬を室内に入れておくことだとされています。
薬より先に暮らし方が治療になる——
そういう病気はそう多くありません。
- 冬の間は、外で過ごさせない
- 散歩は、暖かい時間帯に短く
- 耳や尾、足先が冷えないようにする
- 帰宅したら、先端が冷たくなっていないか確かめる
- 寝床は、床からの冷えを避ける
- 暖房のきいた部屋で過ごさせる
屋外で飼っているのなら冬の間だけでも室内へ——
それが、この病気に対するいちばんの手当てです。
「うちの子は寒さに強いから」——
そういう問題ではありません。
元気に見えていても体の先端では血が固まっています。
寒さを感じるかどうかと体のなかで起きることは別なのです。
室内でも、冷える場所があります
「室内に入れているから大丈夫」——
そう思っていても見落としがあります。
| 見落としやすい場所 | 対策 |
|---|---|
| 玄関、廊下 | 暖房がきいていない。過ごさせない |
| 窓ぎわ | 冷気が下りてくる。寝床を離す |
| 床の上 | 冷たさが伝わる。マットを敷く |
| 夜間 | 暖房を切ると、冷える |
| 早朝 | いちばん冷え込む時間帯 |
| 留守番中 | 暖房のない部屋に、長時間いないか |
とくに、夜と早朝——
人が起きていない時間帯がいちばん冷え込みます。
寝床の場所を見直すだけでも変わります。
床に直接ではなく厚みのあるものを敷いてあげてください。
⚠ 冷やさないことが、壊死を防ぎます
この病気でいちばん避けたいことは壊死です。
一度組織が失われれば元には戻りません。
耳の先が欠ける尾の先を失う——
そこまで進む前にできることがあります。
冷やさないこと——
それだけで引き金が引かれなくなります。
治療で使われる薬
寒さを避けることに加えて薬が使われます。
免疫抑制量のプレドニゾロンで治療するとされています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 使われる薬 | プレドニゾロン(免疫抑制量) |
| 目的 | 免疫の働きを抑え、攻撃を止める |
| あわせて | 寒さを避ける暮らし方が必要 |
| 傷んだ皮膚 | 状態によって、手当てを行う |
| やめ方 | 自己判断でやめない |
| 経過 | 季節を見ながら、調整していく |
「免疫抑制量」ということばには意味があります。
炎症を抑えるための量ではなく
免疫そのものを抑えるしっかりした量を使うということです。
だから、副作用にも気をつけながら進めていきます。
水をよく飲むよく食べる息が荒い——
そういう変化があれば伝えてください。
それでも、この薬を使う理由ははっきりしています。
攻撃を止めなければ組織が失われていくからです。
耳の先尾の先——
一度なくなれば戻りません。
そこを守るための薬だと考えてください。
傷んでしまった部分の手当て
すでにかさぶたができている皮膚が傷んでいる——
そういう場合にはそこへの手当ても必要になります。
- 傷んだ部分から、細菌が入ることがある
- その場合は、感染への治療もあわせて行う
- かさぶたを、無理にはがさない
- 気にして掻くなら、対策を相談する
- 壊死が進んでいれば、外科的な処置になることも
- いずれも、自己判断で触らない
「取ってあげたほうがきれいになる」と思って
かさぶたをはがしてしまう——
これは、避けてください。
その下で皮膚が治ろうとしています。
🩺 季節が変わるときに、相談を
暖かくなって症状が消えたから薬をやめてよい——
そう判断したくなります。
けれど、やめる時期や減らし方は相談して決めてください。
免疫を抑える薬を急にやめることには危険があります。
季節が変わるときこそ受診のタイミングです。
次の冬にどうするかもそこで相談できます。
冬を、どう過ごすか
この病気と暮らすということは
冬の過ごし方を変えるということです。
- 散歩は、日中の暖かい時間帯に
- 長時間、外にいさせない
- 風の強い日は、とくに気をつける
- 雪や氷の上を、長く歩かせない
- 帰ったら、耳・尾・足先を確かめる
- 冷たくなっていたら、ゆっくり温める
「ゆっくり」というところが大事です。
急に熱いものを当てるのは避けてください。
傷んでいる皮膚に負担がかかります。
室温の部屋で自然に戻していくのがいちばんです。
そして、散歩そのものをやめる必要はありません。
時間帯と長さを変える——
| 工夫 | 内容 |
|---|---|
| 時間帯 | 朝夕を避け、日中の暖かいころに |
| 長さ | 短めに。回数で補う |
| 天気 | 風の強い日、雪の日は控える |
| 路面 | 雪や氷の上を、長く歩かせない |
| 服 | 体を冷やさない工夫として使える |
| 帰宅後 | 耳・尾・足先を必ず確かめる |
運動しないことにも別の問題が出てきます。
冷やさずに動かす——
そこを工夫してください。
耳のふちを、毎日見る習慣
この病気では早く気づくことがそのまま組織を守ります。
| 見ること | 気づけること |
|---|---|
| 耳のふちの色 | 赤くなっていないか |
| 耳のふちの形 | 欠けてきていないか |
| かさぶた | できていないか、増えていないか |
| 尾の先 | 同じ変化が出ていないか |
| 足先 | 皮膚が傷んでいないか |
| 触った感じ | 冷たすぎないか |
撫でるついででかまいません。
耳のふちを指でなぞる——
その数秒が変化を教えてくれます。
そして、写真をときどき撮っておいてください。
少しずつ進む変化は記録がないと分かりません。
同じ角度で同じ明るさで撮るようにすると比べやすくなります。
月に一度でもじゅうぶんです。
冬の初めと冬の終わり——
その2枚があるだけでこの病気の進み方が見えてきます。
よくある質問
Q. 寒冷凝集素症とは、どんな病気ですか?
A. 犬に発生する溶血性貧血を起こす疾患で、低温下で血液の激しい凝集反応が起こります。自己免疫疾患であると考えられています。
Q. なぜ、耳や尾の先だけに出るのですか?
A. 体温が下がりやすい場所だからです。体が寒さに曝されることで体温が下がり、体内の寒冷凝集素という抗体が活性化して赤血球の表面にくっつきます。冷えやすい耳や尾、足の先端で症状が見られます。
Q. どんな症状が出ますか?
A. 耳介、四肢端、尾の先端に紅斑や痂皮形成が起こります。最終的には壊死することもあります。あざや皮膚のかさぶた、壊死は気づきやすい症状です。
Q. 暖かくなったら治りましたが、大丈夫ですか?
A. 治ったわけではないことがあります。引き金が寒さのため、暖かい時期には症状が落ち着きます。次の冬にまた出てくることがあるので、季節との関係を記録しておいてください。
Q. 家でできることはありますか?
A. 唯一の必要な処置は、冬期の間、犬を室内に入れておくこととされています。薬より先に、暮らし方が治療になる病気です。
Q. 治療では、どんな薬を使いますか?
A. 免疫抑制量のプレドニゾロンで治療するとされています。炎症を抑える量ではなく、免疫そのものを抑える量を使うという意味です。
Q. アトピーとの見分けはつきますか?
A. 出る場所と季節が手がかりです。アトピー性皮膚炎では耳介の辺縁や腰背部には病変がないことが一般的とされています。耳のふちに出て、冬に悪化するなら、この病気を考える理由になります。
Q. 耳が冷たいので、温めてもよいですか?
A. ゆっくり温めてください。急に熱いものを当てると、傷んでいる皮膚に負担がかかります。室温の部屋で自然に戻していくのが安全です。
Q. 散歩には、行かないほうがよいですか?
A. やめる必要はありません。時間帯と長さを変えてください。日中の暖かいころに、短めに行くようにします。風の強い日や、雪や氷の上を長く歩かせることは避けてください。帰宅したら、耳・尾・足先を必ず確かめます。
Q. かさぶたは、取ってあげたほうがよいですか?
A. 無理にはがさないでください。その下で皮膚が治ろうとしています。気になるときは、受診のときに相談してください。
Q. 外飼いなのですが、どうすればよいですか?
A. 冬の間だけでも、室内に入れてあげてください。この病気に対する、いちばんの手当てになります。
まとめ|冬の間だけでも、室内へ
この病気は珍しいものですが
対処の方向がはっきりしているという点で特別です。
引き金は、寒さ——
だから、冷やさなければ起きにくくなります。
唯一の必要な処置が「冬期の間、室内に入れておくこと」——
薬を飲ませることより先に来るのです。
そして、耳のふちを毎日見てください。
一度失われた組織は戻りませんが
そこまで進む前に止められます。
この病気には原因不明のものにはない強みがあります。
引き金が分かっている——
そして、その引き金は暮らし方で避けられるのです。
この冬にできる3つ
- 1耳のふち・尾の先・足先を、毎日撫でながら確かめる
- 2冬の間は、外で長時間過ごさせない
- 3去年の冬にも同じことがあったか、思い出して伝える
この病気の引き金は、はっきりしています。だからこそ、避けられます。

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