

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「犬の甲状腺機能亢進症|「元気になった」ように見えることがあります」です。ではどうぞ!
最近、よく食べる。
前より元気に動きまわっている——
「調子がいいみたい」
そう思っていたのに
体重を量ってみたら減っていた——
この組み合わせには意味があります。
甲状腺機能亢進症——
甲状腺ホルモンが多すぎる状態です。
体じゅうの働きが速くなりすぎている——
だから、食べても追いつかないのです。
そして、犬ではこの病気はまれです。
まれだからこそ起きたときには背景を探すことになります。
結論
犬の甲状腺機能亢進症は主に甲状腺の腫瘍が原因になります。加えて甲状腺機能低下症の治療のために投与した甲状腺ホルモン剤が過剰であった場合にも引き起こすことがあります。症状は体重減少、食欲亢進、活発になる、嘔吐、下痢、多飲多尿、毛並みが悪くなるなどです。犬の甲状腺機能亢進症は甲状腺癌の約10〜20%で発生し、まれに甲状腺腺腫の続発症としても発生します。ただし甲状腺癌ではほとんどがホルモンの分泌を伴わない非機能性腫瘍であり、甲状腺機能亢進症を伴う機能性の腫瘍はわずか10%程度です。治療は甲状腺に腫瘍がある場合は甲状腺の切除ホルモン剤が過剰な場合はその量の調整を行います。
この記事でわかること
- ✓「元気になった」ように見えます
- ✓食べているのに、痩せていきます
- ✓犬では、まれな病気です
- ✓甲状腺の腫瘍と、この病気の関係
- ✓薬が多すぎることでも起こります
- ✓首を、触ってみてください
- ✓治療は、原因によって変わります
「元気になった」ように見えます

この病気が見逃されやすい理由は甲状腺機能低下症とはまったく逆です。
低下症が「歳のせい」に見えるのに対し
この病気は「調子がよくなった」ように見えるのです。
| 変化 | よい変化に見えるが | 実際には |
|---|---|---|
| よく食べる | 食欲が戻った | 食欲亢進。追いついていない |
| 活発になる | 元気が出てきた | 落ち着きがなくなっている |
| よく動く | 若返ったよう | じっとしていられない |
| 痩せた | ちょうどよくなった | 体重減少。食べても減る |
| 水をよく飲む | 暑いから | 多飲多尿が起きている |
| 毛並み | 換毛期かと思う | 毛並みが悪くなっている |
「調子がよさそう」という印象は受診を遅らせます。
心配な様子がないのですから当然です。
だからこそ、数字で確かめてほしいのです。
印象はゆっくりした変化をとらえられません。
けれど、記録された数字はごまかしません。
体重は、印象より正確です
見た目で体重の変化に気づくのは難しいことです。
毎日見ているのですからなおさら——
月に一度量って記録する——
それだけで多くの病気が早く見つかります。
抱っこして一緒に体重計に乗り自分の体重を引く——
その方法でもじゅうぶんです。
食べているのに、痩せていきます

この病気の症状は体重減少、食欲亢進、活発になる嘔吐、下痢、多飲多尿毛並みが悪くなるなどです。
- 以前よりよく食べるのに、体重が減っていく
- 落ち着きがなく、そわそわしている
- 吐く、下痢をすることが増えた
- 水をよく飲み、尿の量が増えた
- 毛並みがぱさついてきた
- 呼吸が速い、心臓がどきどきしている
これらの症状をひとつの言葉でまとめるなら
「全身が速すぎる」——
甲状腺ホルモンは体の働きの速さを決めています。
それが多すぎるのですからすべてが速くなります。
| 速くなるもの | 見えること |
|---|---|
| 代謝 | 食べても追いつかず、痩せる |
| 消化管 | 嘔吐、下痢が増える |
| 心臓 | 拍動が速くなる |
| 行動 | 落ち着きがなくなる |
| 腎臓 | 多飲多尿につながる |
| 結果として | 体が消耗していく |
「元気」ではなく「休めていない」——
そう考えると症状の意味が変わって見えます。
そして、この状態が続けば体力は削られていきます。
心臓に、負担がかかります
全身が速くなるということは心臓も働き続けるということ——
ここが、この病気で心配される点です。
- 心臓が速く打ち続ける
- 休むひまがない状態が続く
- じっとしていても、呼吸が速い
- 疲れやすくなることがある
- 長く続けば、心臓そのものに影響が出る
- だから、早く見つけて整えたい
「元気に動いている」のに体は疲れている——
このずれがこの病気のこわいところです。
寝ているときの呼吸の速さを見てみてください。
眠っているのにお腹が速く動いているなら伝えてほしい情報です。
犬では、まれな病気です
ここは、知っておいてほしいところです。
甲状腺の病気といえば犬では圧倒的に低下症のほうが多くなります。
| 低下症 | 亢進症 | |
|---|---|---|
| ホルモン | 足りない | 多すぎる |
| 犬での頻度 | 多い | まれ |
| 体重 | 増える | 減る |
| 様子 | 動かない、寝てばかり | 落ち着きがない |
| 主な原因 | 甲状腺そのものの異常 | 甲状腺の腫瘍 |
| 治療 | ホルモンを補う | 切除、または薬の調整 |
「まれ」ということばには2つの意味があります。
ひとつは心配しすぎなくてよいということ——
もうひとつは起きたときには理由があるということです。
犬の場合は主に甲状腺の腫瘍が原因になります。
だから、この病気が見つかったときには首の甲状腺を調べることになります。
猫とは、事情が違います
「甲状腺機能亢進症」という病名を猫の話で聞いたことがあるかもしれません。
猫では高齢になるとよく見られる病気です。
けれど、犬では事情が違います。
| 犬の場合 | |
|---|---|
| 頻度 | まれ |
| 主な原因 | 甲状腺の腫瘍 |
| もうひとつの原因 | 低下症の薬が過剰 |
| だから | 見つかったら、背景を調べる |
| 多いのは | むしろ、逆の低下症のほう |
| 調べ方 | どちらも血液検査から |
同じ病名でも動物が違えば意味が変わる——
猫での情報をそのまま当てはめないようにしてください。
甲状腺の腫瘍と、この病気の関係

ここは、誤解されやすいところなのでていねいに書いておきます。
犬の甲状腺機能亢進症は甲状腺癌の約10〜20%で発生しまれに甲状腺腺腫の続発症としても発生します。
けれど、逆は成り立ちません。
甲状腺癌ではほとんどがホルモンの分泌を伴わない非機能性腫瘍であり
甲状腺機能亢進症を伴う機能性の腫瘍はわずか10%程度です。
- 甲状腺の腫瘍のほとんどは、ホルモンを出さない
- だから、症状が出ないまま大きくなることがある
- ホルモンを出すタイプは、10%程度と少ない
- 逆に、この病気があれば腫瘍を探すことになる
- 首のしこりとして気づかれることもある
- 症状がなくても、しこりがあれば受診してほしい
つまり——
「甲状腺に腫瘍がある」ことと「ホルモンが多すぎる」ことは別の話です。
多くの腫瘍はホルモンを出さないためこの病気の症状は出ません。
だから、首のしこりは症状がなくても調べる意味があるのです。
⚠ しこりに気づいたら、様子を見ないでください
首のあたりに硬いふくらみ——
痛がらない元気もあるだから様子を見よう——
それが、いちばん避けたい判断です。
甲状腺の腫瘍はホルモンを出さないものがほとんど——
つまり、症状で教えてくれません。
気づけるのは触れたときだけです。
薬が多すぎることでも起こります
もうひとつの原因——
甲状腺機能低下症の治療のために投与した甲状腺ホルモン剤が過剰であった場合にこの病気を引き起こすことがあります。
低下症の薬を飲んでいる犬でこの症状が出てきたなら——
まず、そこを考えることになります。
| こんなとき | 考えること |
|---|---|
| 低下症の薬を飲んでいる | 量が多すぎないかを確かめる |
| 飲み始めてから変わった | タイミングが手がかりになる |
| 痩せてきた | 体重の記録を持っていく |
| 落ち着かなくなった | 行動の変化も伝える |
| 対応 | ホルモン剤の量を調整する |
| 自己判断 | 勝手に減らしたり、やめたりしない |
この場合の治療は単純です。
ホルモン剤の量を調整します。
けれど、自分で減らすことはしないでください。
足りなくなれば今度は低下症の症状が戻ってきます。
検査をしながらちょうどよい量を探していく——
それが、この治療です。
低下症の薬を飲んでいるなら、伝えてください
受診のときにいちばん先に伝えてほしい情報がこれです。
「甲状腺の薬を飲んでいます」——
この一言で調べる順番が変わります。
- 何という薬を、どのくらい飲んでいるか
- いつから飲んでいるか
- 最近、量が変わったか
- 最後に検査したのはいつか
- 症状が出始めたのはいつか
- 体重の記録があれば、持っていく
お薬手帳や薬の袋をそのまま持っていくのが確実です。
とくに、動物病院を変えたときは忘れずに。
量を決めるのは、数値です
低下症の薬は「これくらい」で決められるものではありません。
| 決め方 | 内容 |
|---|---|
| 体重から始める | まず、目安の量から入る |
| 検査で確かめる | 飲んだあとの数値を測る |
| 症状も見る | 体重、活動量、毛の状態など |
| 多すぎれば | 痩せる、落ち着かなくなる |
| 少なすぎれば | 元の症状が戻ってくる |
| だから | 調整しながら、続けていく |
ちょうどよい量は犬によって違います。
そして、時間とともに変わることもあります。
だから、定期的な検査が必要になるのです。
「調子がいいから行かなくてよい」ではなく
調子がよいまま続けるために行く——
そう考えてみてください。
首を、触ってみてください

甲状腺はのどのあたり——
気管の両側にあります。
健康な状態では触っても分かりません。
けれど、腫れているときにはしこりとして触れることがあります。
| 確かめること | 内容 |
|---|---|
| 場所 | のどの下、気管の両側あたり |
| 触り方 | そっと。強く押さない |
| 左右を比べる | 片側だけ違わないか |
| 硬さ | 硬いふくらみがないか |
| 嫌がるとき | 無理をせず、受診時に見てもらう |
| 見つけたら | 大きさが変わるか、記録しておく |
撫でるついでにのどのあたりをそっと確かめる——
習慣にしておくと変化に気づけます。
ただし、強く押したり揉んだりはしないでください。
そして、何か触れたと思ったら
自分で判断せずに見てもらってください。
🩺 触れたものが何かは、検査で確かめます
甲状腺のあたりにはリンパ節などほかの構造もあります。
触れたものが何なのかは手で触るだけでは決められません。
画像検査や細胞を調べる検査で確かめていきます。
「気のせいかもしれない」と思う程度でもかまいません。
診察のついでに「ここが気になるのですが」と言ってみてください。
治療は、原因によって変わります
この病気の治療は原因によってまったく違います。
甲状腺に腫瘍がある場合は甲状腺の切除を行うことがあります。
甲状腺低下症の治療により甲状腺ホルモン剤が過剰に投与されている場合にはそのホルモン剤の量を調整します。
| 原因 | 治療の方向 |
|---|---|
| 甲状腺の腫瘍 | 切除を行うことがある |
| ホルモン剤が過剰 | 量を調整する |
| だから | まず原因を見分けることが必要 |
| 薬を飲んでいるか | 最初に確かめる情報になる |
| 腫瘍の場合 | 性質や広がりも調べていく |
| いずれも | 経過を見ながら進める |
「同じ病名なのにやることが違う」——
それが、この病気です。
だから、診断のときに飲んでいる薬を伝えることが重要になります。
そして、腫瘍が背景にある場合にはその性質によって進め方が変わります。
「どういう種類なのか」「広がっていないか」——
そこまで調べたうえで相談することになります。
手術と聞いて、迷ったときは
「切除」ということばには身構えてしまいます。
とくに、見た目が元気なときにはなおさらです。
- なぜ手術がすすめられるのか、理由を聞く
- しない場合、どうなっていくのかを聞く
- ほかに方法があるかを聞く
- 年齢や体の状態から見て、どうかを聞く
- 迷ったら、その場で決めなくてよい
- 別の獣医師の意見を聞くこともできる
「聞いてもよいのだろうか」と思われるかもしれません。
聞いてよいのです。
納得して決めることは飼い主の役割です。
そして、納得したうえでの選択なら
どちらを選んでも後悔は小さくなります。
よくある質問
Q. どんな症状が出ますか?
A. 体重減少、食欲亢進、活発になる、嘔吐、下痢、多飲多尿、毛並みが悪くなるなどです。よく食べるのに痩せていく、という組み合わせが特徴的です。
Q. 元気に見えるのですが、病気なのですか?
A. 体重を確かめてください。活発になる・よく食べるという変化は「調子がよくなった」ように見えますが、体重が減っているなら、全身が速くなりすぎて追いついていない状態です。
Q. 原因は何ですか?
A. 犬の場合は、主に甲状腺の腫瘍が原因になります。加えて、甲状腺機能低下症の治療のために投与した甲状腺ホルモン剤が過剰であった場合にも引き起こすことがあります。
Q. 犬では多い病気ですか?
A. まれです。犬の甲状腺の病気としては、ホルモンが足りなくなる低下症のほうが多くなります。まれだからこそ、起きたときには背景を調べることになります。
Q. 甲状腺に腫瘍があると、必ずこの病気になりますか?
A. なりません。甲状腺癌ではほとんどがホルモンの分泌を伴わない非機能性腫瘍であり、甲状腺機能亢進症を伴う機能性の腫瘍はわずか10%程度です。逆に言えば、症状が出ないまま腫瘍が育つことがあります。
Q. 低下症の薬を飲んでいます。関係ありますか?
A. 大いにあります。ホルモン剤が過剰であった場合に、この病気を引き起こすことがあります。受診のときは、必ず飲んでいる薬を伝えてください。
Q. 薬を自分で減らしてもよいですか?
A. 減らさないでください。足りなくなれば、今度は低下症の症状が戻ってきます。検査をしながら、ちょうどよい量を探していくことになります。
Q. 治療では何をしますか?
A. 原因によって変わります。甲状腺に腫瘍がある場合は甲状腺の切除を行うことがあり、ホルモン剤が過剰な場合はその量を調整します。
Q. 寝ているときの呼吸が速い気がします
A. 伝えてほしい情報です。全身が速くなっている状態では、心臓も休むひまなく働き続けています。眠っているのにお腹が速く動いているなら、受診のときに話してください。
Q. 首にしこりがありますが、元気です
A. 元気でも受診してください。甲状腺の腫瘍はホルモンを出さないものがほとんどのため、症状で教えてくれません。触れたときが、気づける唯一の機会になります。
まとめ|体重を、月に一度量ってください
この病気でいちばん大事なことは「元気に見える変化を、疑えるかどうか」です。
よく食べるよく動く——
ふつうなら喜ぶことです。
けれど、そこに体重の減少が重なるなら
意味が変わります。
月に一度体重を量って記録する——
それだけでこの病気は見つかります。
そして、撫でるついでにのどのあたりをそっと確かめてください。
症状で教えてくれない腫瘍に気づけるのはその手だけです。
そして、低下症の薬を飲んでいるなら——
最後に検査したのがいつだったかを思い出してみてください。
治療がうまくいっているときほど足が遠のきます。
けれど、その薬の量がいまも合っているかは数値でしか分かりません。
今日できる3つ
- 1体重を量って、記録を始める
- 2撫でるときに、のどのあたりをそっと確かめる
- 3甲状腺の薬を飲んでいるなら、最後の検査がいつか確かめる
「元気になった」という変化にも、理由があります。体重が、その答えを教えてくれます。

本日の「犬猫の悩みを即解決!」の記事「犬の甲状腺機能亢進症|「元気になった」ように見えることがあります」でした。
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