

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「シェルティの飼い方|薬が効きすぎる体質という問題」です。ではどうぞ!
いつもどおり、フィラリアの予防薬を飲ませた。
その数時間後、犬がふらついて立てなくなった——
シェルティを飼うなら、知っておいてほしい話です。
この犬種には、特定の薬に強く反応してしまう遺伝子の変異が知られています。
MDR1遺伝子変異——
コリー系の犬種で報告されているもので、シェルティでも保有率が高いとされています。
けれど、これは遺伝子検査で分かります。
つまり、先回りできる問題だということ。
この記事では、その体質の中身と、何をどう確認すればいいかを書いていきます。
結論
シェルティにはMDR1遺伝子の変異が知られています。本来なら脳に入らないはずの薬が脳に届いてしまうため、ふらつき・強い眠気・けいれんといった神経症状が出ることがあります。遺伝子検査で分かる体質ですから、迎える前に両親の結果を確認し、自分の犬も検査を受けてかかりつけに共有してください。これは、先回りできる問題です。
この記事でわかること
- ✓薬が効きすぎるとは、どういうことか
- ✓どんな薬が関わるのか
- ✓遺伝子検査で分かること
- ✓検査結果を、使える形にする
- ✓この犬種の、暮らしの実際
薬が効きすぎるとは、どういうことか

体には、脳を守るしくみがあります。
血液のなかの物質がむやみに脳へ入らないよう、関所のような働きをする構造です。
その関所で働いているタンパク質のひとつがMDR1遺伝子から作られます。
| 状態 | 何が起きるか |
|---|---|
| 変異がない場合 | 薬は脳に入らず、排出される |
| 変異がある場合 | 関所が働かず、薬が脳へ届く |
| 結果 | 神経に作用し、症状が出る |
| 症状 | ふらつき・強い眠気・けいれんなど |
| 程度 | 薬の種類と量によって変わる |
つまり、「その薬が毒だから」ではありません。
ほかの犬なら問題なく使える薬が、この体質の犬では脳に届いてしまう——
それが、この問題の本質です。
⚠ 投薬後の変化に、気づいてください
薬を飲ませたあとにふらつく、ぐったりする、よだれが増える——
こうした変化があれば、すぐ動物病院へ連絡してください。
「疲れているのかな」と様子を見ないでください。いつ、何を、どれだけ飲ませたかを伝えられるようにしておくことが大切です。
なぜ、コリー系に多いのか
この変異は、特定の犬種に集中して見られます。
コリー系の犬種——つまり、近い祖先を共有する犬たちです。
ひとつの祖先が持っていた変異が、その子孫に広がった——
そう考えられています。
犬種を作るという作業は、限られた個体から特徴を固定していくことです。
望ましい形や毛色とともに、こうした変異も一緒に受け継がれていきます。
これは、この犬種の落ち度ではありません。
ただ、その事実を知って備えられるかどうか——そこは飼い主の側の問題になります。
保有率は、決して低くない
この変異は、コリー系の犬種で報告されています。
コリー、オーストラリアンシェパード、シェットランドシープドッグ——
いずれも、近い祖先を持つ犬種です。
シェルティでは、保因を含めてかなり高い割合でこの変異を持つ個体がいるという調査があります。
「まれな体質」ではありません。
この犬種を飼うなら、確認しておくべきことだと考えてください。
どんな薬が、関わるのか

関わる薬には、いくつかの種類があります。
| 薬の種類 | 使われる場面 |
|---|---|
| 寄生虫の駆除薬 | フィラリア予防・ノミダニ駆除など |
| 一部の下痢止め | 消化器の治療 |
| 一部の抗がん剤 | 腫瘍の治療 |
| 一部の鎮静薬 | 検査や処置の前 |
| その他 | 該当する薬は複数ある |
ここで重要なのは、「自己判断しない」ことです。
薬の名前を調べて自分で判断するのは危険です。
同じ成分でも、用量によって扱いが変わります。
そして、この体質でも使える薬はあります。
「フィラリア予防ができない」わけではありません。
獣医師に体質を伝えれば、適切な薬を選んでもらえます。
大切なのは、伝えること
飼い主にできる、もっとも重要なことは「伝えること」です。
- 初診時に、犬種と体質を伝える
- 検査を受けているなら、その結果も伝える
- 薬を処方されるたびに、あらためて確認する
- 旅行先や夜間病院でも、必ず伝える
- 市販の薬を自己判断で与えない
- 「シェルティです」の一言を、習慣にする
「シェルティです」と一言添えるだけで、獣医師は必ず考慮してくれます。
とくに、初めて行く病院や夜間の救急ではこの一言が効いてきます。
緊急の場面では、問診に時間をかけられません。
こちらから先に伝えることが、いちばん確実になります。遠慮する必要はまったくありませんし、むしろ獣医師にとっても歓迎される申し出になります。
遺伝子検査で、分かること

この体質は、遺伝子検査で調べられます。
| 結果 | 意味 | 対応 |
|---|---|---|
| 変異なし | 正常な関所が働く | 通常の投薬が可能 |
| 片方に変異(保因) | 変異を1つ持つ | 薬によっては配慮が要る |
| 両方に変異 | 変異を2つ持つ | 該当する薬を避ける |
| 検査の費用 | 5,000〜15,000円程度 | 一生に一度で足りる |
| 検査の方法 | 口の粘膜や血液から | 動物病院で相談できる |
「一生に一度で足りる」——
これが、この検査の大きな利点です。
遺伝子は変わりませんから、一度調べればその情報は生涯使えます。
5,000〜15,000円という費用を「一度きり」と考えれば——
受けておく価値は十分にあると思います。
そして、この検査は「悪い結果が出たら困る」ものではありません。
結果が分かれば、避けるべき薬も分かります。
知らないまま投薬されることのほうがはるかに危険です。
迎える前に、両親の結果を確認する
これから迎える方には、もうひとつできることがあります。
両親の検査結果を確認することです。
- 両親がともに変異を持たなければ、子犬も持たない
- 「検査済み」ではなく、結果の内容まで聞く
- 書面で受け取っておく
- 検査をしていない繁殖者なら、理由を尋ねる
- この犬種では、標準的な確認事項
- 迎えたあとでも、自分の犬を検査できる
「両親の結果を確認する」という一手間でその犬の生涯の投薬が変わることがあります。
そして、この質問に丁寧に答えてくれる繁殖者はこの犬種の課題をきちんと理解していると考えてよいでしょう。
検査結果を、使える形にする
検査を受けただけでは、半分です。
その結果を、必要なときに使える形にしておく——
そこまでが対策になります。
| すること | なぜ必要か |
|---|---|
| かかりつけのカルテに記載してもらう | 担当獣医師が変わっても伝わる |
| 結果の写真を、スマートフォンに保存 | どこでもすぐ見せられる |
| 書面を、持ち歩けるようにしておく | 旅行先での受診に備える |
| 家族全員が、内容を知っている | 誰が連れて行っても伝えられる |
| 首輪に情報を付けるという方法も | 万一の保護時に役立つ |
「旅行先での受診」——
これは、実際に起こりうる場面です。
旅先で体調を崩し、知らない病院にかかる——
そのとき、検査結果を見せられるかどうかで選ばれる薬が変わります。
スマートフォンに写真を保存しておくだけで十分です。
そして、家族全員がこの体質を知っていること。
連れて行くのが自分とは限りません。
「この子は、薬に注意が必要な犬種」——
この認識を、家族で共有しておいてください。
この犬種の、暮らしの実際

体質の話が中心になりましたが、暮らしの面も見ておきます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 体重 | 6〜12kg |
| 体高 | オス37cm/メス35.5cm前後 |
| 平均寿命 | 12〜15年 |
| 性格 | 賢い・従順・警戒心が強い |
| 運動量 | 1日2回、各30分程度 |
| 被毛 | 厚いダブルコート。よく抜ける |
この犬種は、非常に賢く、覚えが早い——
しつけに苦労することは少ない犬種です。
ただし、課題が2つあります。
課題1:よく吠える
牧羊犬として、羊に指示を出してきた犬種です。
声を出すことは、この犬の仕事の一部でした。
- 来客やインターホンに反応する
- 子犬期の社会化で、警戒吠えを減らす
- 窓から外が見えない配置にする
- 吠えている最中に構わない
- 静かにできた瞬間を、すぐほめる
- 運動と刺激で、退屈な時間を減らす
賢い犬種ですから、教えれば変わります。
「性格だから」と諦める必要はありません。
課題2:被毛の手入れ
厚いダブルコートで、抜け毛は多い犬種です。
週3回以上、換毛期には毎日のブラッシングが必要になります。
耳のうしろ、脇の下、内股、首まわりの飾り毛——
この4か所は、とくに毛玉ができやすいので重点的に確認してください。
トリミングは不要ですから、サロン代はかかりません。
そのぶん、自宅での手入れが前提になります。
そして、換毛期。
春と秋には、驚くほどの量が抜けます。
下毛用の道具を使って、毛を分けて根元から取る——
表面をとかすだけでは、古い下毛は取れません。
古い下毛を残すと、蒸れて皮膚炎の原因にもなります。
夏を迎える前に、春の換毛をしっかり終わらせておいてください。
子犬期の社会化が、吠えを左右する
吠えの対策としてもっとも効果があるのが、子犬期の社会化です。
この犬種は警戒心が強く、知らないものに反応します。
| 時期 | 慣らすもの | 目的 |
|---|---|---|
| 生後8〜12週 | いろいろな人・生活音 | 「怖くない」を積む |
| 生後3〜4か月 | 他の犬・外の環境 | 警戒の閾値を上げる |
| インターホン | 音を鳴らして、おやつを与える | 音=いいこと、にする |
| 来客 | おやつを渡してもらう | 人が来る=いいこと |
| 動物病院 | 診察のない日に立ち寄る | 将来の通院を楽にする |
とくに効果が大きいのが、インターホンの練習です。
音が鳴る→おやつが出る——
これを繰り返すと、音への反応が変わっていきます。
- 家族に協力してもらい、外から鳴らしてもらう
- 鳴った瞬間に、おやつを与える
- 吠える前に与えるのがコツ
- 数週間で変化が見えることも多い
- 賢い犬種なので、覚えるのも早い
- 完全になくすことは目標にしない
この犬種は賢い犬種ですから、教えれば必ず変わります。
「牧羊犬だから吠えるもの」と諦めてしまう前に、試してみる価値があります。
そのほかに、注意したい病気
MDR1のほかにも、この犬種で知っておきたい病気があります。
| 病気 | 内容 | 気づき方 |
|---|---|---|
| コリー眼異常 | 遺伝性の目の異常。検査で分かる | 子犬期の眼科検査 |
| 進行性網膜萎縮 | 遺伝性。失明に至る | 暗い場所でぶつかる |
| 皮膚筋炎 | 顔や足先の皮膚に病変 | 脱毛・かさぶた |
| 甲状腺機能低下症 | 元気がなくなり、太る | 血液検査で分かる |
| 股関節形成不全 | 中型犬に見られる | 腰を振って歩く |
コリー眼異常もこの系統の犬種で知られている遺伝性の疾患です。
子犬のうちに眼科検査を受けることで状態を把握できます。
MDR1と同じく、迎える前に両親の情報を確認できる項目です。
この犬種では、遺伝性疾患の検査結果を公開している繁殖者を選ぶ価値があります。
検査には、費用も手間もかかります。
それを続けている繁殖者は、この犬種の課題をきちんと理解していると考えてよいでしょう。
「MDR1とコリー眼異常の検査はしていますか」——
この質問への反応も、相手を見る手がかりになります。
運動と、費用の目安
体重6〜12kgの中型犬で、運動量も極端ではありません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 散歩 | 1日2回、各30分程度 |
| 頭を使う時間 | 1日10分程度 |
| 向いている遊び | 持ってくる・においで探す |
| 年間の飼育費 | 10〜20万円 |
| トリミング | 不要(サロン代がかからない) |
| 遺伝子検査 | 一生に一度、5,000〜15,000円 |
大型犬に比べれば、運動量も費用も抑えめです。
そして、賢く覚えが早い——
「はじめて犬を飼う人にも向いている」と言われる理由がここにあります。
- 体格が扱いやすい——引っぱられても止められる
- 覚えが早く、しつけに苦労しにくい
- 攻撃性がほとんどない
- トリミング代がかからない
- 課題は、吠えと被毛の手入れ
- そしてMDR1という体質
「頭を使う時間」も入れてあげてください。
牧羊犬として、人の指示を読み取ってきた犬種です。
「持ってくる」「探す」といった課題を与えると生き生きします。
1日10分でも、満足度は大きく変わります。運動の量より、頭を使えたかどうかが効いてきます。
よくある質問
Q. MDR1遺伝子変異とは何ですか?
A. 薬が脳に入るのを防ぐしくみが、うまく働かなくなる変異です。本来なら脳に届かないはずの薬が届いてしまうため、ふらつき・強い眠気・けいれんといった神経症状が出ることがあります。
Q. フィラリア予防はできないのですか?
A. できます。この体質でも使える薬はあります。大切なのは、獣医師に犬種と体質を伝えることです。伝えれば、適切な薬を選んでもらえます。
Q. 検査はどこで受けられますか?
A. 動物病院で相談できます。口の粘膜や血液から調べる検査で、費用は5,000〜15,000円程度です。遺伝子は変わらないため、一生に一度受ければ足ります。
Q. 迎える前に、何を確認すればいいですか?
A. 両親のMDR1検査の結果を、書面で確認してください。両親がともに変異を持たなければ、子犬も持ちません。「検査済み」ではなく、結果の内容まで聞いてください。
Q. 検査を受けたあと、何をすればいいですか?
A. その結果を「使える形」にしてください。かかりつけのカルテに記載してもらい、結果の写真をスマートフォンに保存しておく——旅行先や夜間の受診で、これが効いてきます。
Q. よく吠えるのですが、直りますか?
A. 教えれば変わります。牧羊犬として羊に指示を出してきた犬種で、声を出すのは仕事の一部でした。子犬期の社会化と、静かにできた瞬間をほめることが基本になります。
Q. 手入れは大変ですか?
A. 週3回以上、換毛期は毎日のブラッシングが必要です。厚いダブルコートで抜け毛も多い犬種です。ただしトリミングは不要なので、サロン代はかかりません。
まとめ|先回りできる問題です
シェルティには、特定の薬に強く反応してしまう遺伝子の変異が知られています。
そして、その保有率は決して低くありません。
けれど、これは遺伝子検査で分かります。
つまり、先回りできる問題だということ。
迎える前なら、両親の結果を確認する。すでに迎えているなら、自分の犬を検査する——
そして、その結果をかかりつけに共有し、写真をスマートフォンに保存しておく。
これだけで、生涯の投薬の安全性が大きく変わります。
そして何より、「シェルティです」という一言——
それを、受診のたびに習慣にしてください。
賢く、従順で、覚えが早い犬種です。
課題は、吠えと被毛の手入れ、そしてこの体質——
どれも、知っていれば対処できるものばかりです。
今日から始める3つ
- 1MDR1遺伝子検査について、かかりつけに相談してみる
- 2検査結果はカルテに記載してもらい、写真をスマートフォンに保存する
- 3受診のたびに「シェルティです」と伝える習慣をつくる
この体質は、知っていれば避けられるものです。検査と、たった一言の申し出が、その犬の生涯を守ります。

本日の「犬猫の悩みを即解決!」の記事「シェルティの飼い方|薬が効きすぎる体質という問題」でした。
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