

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「ラブラドールの飼い方|食欲が止まらないのは遺伝のせい」です。ではどうぞ!
いくら食べても、まだ欲しがる。
食器を空にした直後に、こちらをじっと見上げてくる——
ラブラドールを飼っている方なら、毎日のように経験しているのではないでしょうか。
「食い意地が張っている」「しつけができていない」——
そう言われることもありますが、実はそうとは限りません。
この犬種のおよそ4頭に1頭が、満腹を感じにくくなる遺伝子の変異を持っている——そういう報告があります。
つまり、体のしくみの話なのです。
この記事では、その遺伝子の話と、肥満がこの犬種の何を壊すのかを書いていきます。
結論
ラブラドールのおよそ4頭に1頭がPOMCという遺伝子の変異を持つとされ、「満腹」の合図が脳に届きにくくなります。食べたがるのは、しつけの失敗ではありません。だからこそ意志で我慢させるのではなく、環境で管理する——キッチンスケールで量る、食べ物を届く場所に置かないのが現実的です。そして肥満は股関節形成不全を確実に悪化させます。
この記事でわかること
- ✓4頭に1頭が持つ遺伝子の変異
- ✓意志ではなく、環境で管理する
- ✓肥満が壊す、股関節
- ✓子犬期の運動という落とし穴
- ✓この犬種の、本来の姿
4頭に1頭が持つ、遺伝子の変異

POMCという遺伝子があります。
食欲と体重の調節に関わる遺伝子です。
ラブラドールでは、この遺伝子に変異を持つ個体が多いことが報告されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 変異を持つ割合 | およそ4頭に1頭(約23%) |
| 何が起きるか | 「満腹」を伝える物質が作られにくい |
| 犬が感じること | 食べても空腹感が続く |
| 体重への影響 | 平均で約1.9kg重い |
| 消費カロリー | 低くなる傾向がある |
| 同じ変異を持つ犬種 | フラットコーテッドレトリーバー |
注目したいのは、「食欲が増す」だけではないという点です。
消費するカロリーも低くなる傾向があるとされています。
よく食べて、燃やしにくい——
二重に太りやすい体を持っていることになります。
これは、犬の落ち度ではありません
「おやつをねだる」「盗み食いをする」「ゴミ箱をあさる」——
叱っても、なかなか直りません。
それもそのはずで、この犬は本当に空腹だからです。
満たされない空腹を意志の力で我慢させる——これは、人間でも難しいことです。
だから、アプローチを変えます。
犬に我慢させるのではなく、環境のほうを変える——これが、この犬種で唯一うまくいく方法です。
なぜ、この犬種に多いのか
この変異が広まった背景には、この犬種の仕事が関わっていると考えられています。
ラブラドールは、回収犬(レトリーバー)です。
食べ物への強い意欲は、訓練において大きな利点になります。
おやつで動いてくれる犬は、教えやすいのです。
盲導犬や介助犬としてこの犬種が選ばれてきたのも、この意欲と無関係ではないでしょう。
つまり、訓練しやすさと太りやすさは同じ性質の裏表だということです。
この変異は、同じ祖先を持つフラットコーテッドレトリーバーでも確認されています。
レトリーバーという系統そのものに受け継がれてきた性質だと考えられます。
意志ではなく、環境で管理する

具体的な方法を挙げていきます。
- フードは必ずキッチンスケールで量る——計量カップは誤差が大きい
- 1日分のおやつを、朝のうちに小皿へ取り分ける
- その皿が空になったら、その日は終わり
- 食べ物を、犬の届く場所に置かない
- ゴミ箱はふた付き、または扉の中へ
- 家族全員が「今日だけ」を作らない
「1日分を取り分ける」という方法はとくに有効です。
誰が与えたか分からなくなるのが、多頭数の家族でいちばん多い失敗だからです。
皿が空なら、もう与えない——これなら、家族の誰が見ても分かります。
⚠ 盗み食いは、命に関わることがあります
この犬種は、食べられるものなら何でも口に入れます。
チョコレート、玉ねぎ、ぶどう、キシリトール入りのガム——いずれも犬には中毒を起こすものです。
そして異物の誤飲。靴下、タオル、おもちゃの破片を飲み込んで開腹手術になることはこの犬種では珍しくありません。床にものを置かない習慣をつけてください。
早食いも、この犬種の課題
あっという間に食器を空にする——
これも、この犬種でよく見られます。
早食いは、胃拡張・胃捻転のリスクにつながります。
胸の深い大型犬で起こる緊急疾患で、数時間で命に関わることがあります。
- 早食い防止の食器を使う——凹凸で食べる速度が落ちる
- 1日の量を2〜3回に分けて与える
- 食後1時間は、激しい運動をさせない
- 知育トイに入れて、時間をかけて食べさせる
- お腹が張って、吐こうとして吐けない場合はすぐ受診
- 落ち着かずうろうろするのも、胃捻転のサイン
知育トイに入れて与えるのは一石二鳥の方法です。
食べる時間が延びるうえに、頭を使う活動にもなります。
肥満が壊す、股関節

体重管理が重要な理由は、見た目ではありません。
股関節形成不全——大型犬に多い、股関節の受け皿が浅い状態です。
ラブラドールは、この疾患の好発犬種とされています。
| 症状 | 見え方 | 時期 |
|---|---|---|
| 腰を左右に振って歩く | モンローウォークと呼ばれる | 若いうちから出ることも |
| 後ろ足を揃えて跳ぶ | バニーホッピング | 走るときに目立つ |
| 立ち上がりが遅い | 朝や寒い日にとくに | 中高齢で目立つ |
| 散歩を嫌がる | 痛みが出ている | 進行したサイン |
| 後ろ足が細くなる | 使わないので筋肉が落ちる | 悪循環に入る |
先天的な要素が大きい疾患ですが、体重と運動で進行の速さは大きく変わります。
30kgの体を、うまくはまっていない関節が支えている——
そこに5kgの脂肪が乗れば、負担は直接的に増えます。
体重管理は、この犬種にとって治療の一部です。
薬でも手術でもなく、毎日のフードの量がいちばん効く治療——そう言い切れる疾患です。
そして、後ろ足の筋肉を落とさないこと。「痛そうだから運動をやめる」のは逆効果になります。関節を支えているのは筋肉だからです。痛みがあるなら、量を減らすのではなく獣医師に相談してください。
触って確かめる、体型の見方

体重の数字だけでは、太っているかは分かりません。
骨格の大きさに個体差があるためです。
| 確かめ方 | 適正な状態 | 太っている状態 |
|---|---|---|
| 肋骨を触る | 薄い脂肪ごしに骨が指に当たる | 押しても骨が分からない |
| 上から見る | 腰にくびれがある | 寸胴に見える |
| 横から見る | お腹が持ち上がっている | お腹が垂れている |
| 背中を触る | 背骨が軽く触れる | 脂肪で分からない |
| 記録 | 月1回、体重を記録する | 気づかないうちに増える |
減量が必要な場合は、獣医師と相談しながら進めてください。
週に体重の1〜2%を目安に、ゆっくり落とすのが基本です。
急に減らすと、犬はさらに空腹に苦しみます。かさを増やせる処方食という選択肢もあります。
子犬期の運動という、落とし穴
ここは、見落とされやすい部分です。
大型犬の子犬期には、運動のさせ方に注意が要ります。
骨と関節がまだ完成していない時期に過度な負荷をかけると、股関節の発育に影響すると考えられています。
- 成長期に、長時間走らせない
- 硬い地面でのジャンプを繰り返させない
- 階段の上り下りを控える
- フローリングは滑り止めを敷く
- 成長期用のフードを、適量で与える
- 太らせないことが、最大の予防
「大型犬だから、たくさん運動を」という考え方は、子犬期には当てはまりません。
骨格が完成する1歳半ごろまでは、散歩を中心に、無理のない範囲で——
そのほうが、生涯の関節を守れます。
しつけは、食べ物が味方になる
食欲の強さは、しつけの場面では大きな武器になります。
おやつひとつで、驚くほど熱心に取り組んでくれる——
これが、この犬種が訓練しやすいと言われる理由です。
ただし、量には注意が要ります。
訓練用のおやつは、1日のフードから取り分けるのが確実な方法です。
フードの一粒でも、この犬種は十分に喜びます。特別なおやつでなくても構いません。
「訓練のために与えたおやつで太った」——この犬種では、実際によくある落とし穴です。
成犬になったら、運動は必要
一方、成犬になれば十分な運動が必要になります。
1日2回、各30分〜1時間が目安です。
運動は、体重管理の面でも重要な要素になります。
そして、水泳。
この犬種は水を好み、泳ぎが得意です。
関節に負担をかけずに全身を使えるため、股関節に不安がある犬にも向いた運動になります。
そのほかに、注意したい病気
食欲と股関節のほかにも、この犬種で知っておきたい病気があります。
| 病気 | 内容 | 気づき方 |
|---|---|---|
| 肘関節形成不全 | 前足の関節に起こる | 前足をかばう・肘が外を向く |
| 胃拡張・胃捻転 | 胸の深い大型犬の緊急疾患 | お腹が張る・吐こうとして吐けない |
| 進行性網膜萎縮 | 遺伝子検査で分かる | 暗い場所でぶつかる |
| 外耳炎 | 垂れ耳+水遊びで蒸れる | 頭を振る・耳を掻く |
| 悪性腫瘍 | 中高齢で増える | 体表のしこり |
胃捻転は、数時間で命に関わる緊急疾患です。
お腹が張ってくる、吐こうとするのに何も出ない、落ち着かずうろうろする——
この3つが揃ったら、夜間でもすぐ動物病院へ連絡してください。
- 1日の量を2〜3回に分けて与える
- 早食い防止の食器を使う
- 食後1時間は激しい運動をさせない
- 水を一気に大量に飲ませない
- 体表を月1回なでて、しこりがないか確認する
- 水遊びのあとは、耳の中を乾かす
体表のしこりは、ブラッシングのときに手のひらでなでるだけで見つけられます。
短毛の犬種ですから、触れば分かりやすいのがこの犬種の利点です。
この犬種の、本来の姿
最後に、ラブラドールという犬について書いておきます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 体重 | オス29〜36kg/メス25〜32kg |
| 平均寿命 | 10〜14年 |
| 性格 | 穏やか・人懐こい・訓練しやすい |
| 運動量 | 1日2回、各30分〜1時間 |
| 被毛 | 短毛のダブルコート。よく抜ける |
| 起源 | カナダで漁網や獲物を回収した犬 |
もとは、カナダのニューファンドランド島で漁師とともに働いていた犬だとされています。
冷たい海に飛び込んで、網や魚を回収する——
撥水性のある被毛も、水かきのある足も、太いしっぽも、その仕事のためのものです。
そして、あの温和さ。
盲導犬、介助犬、災害救助犬、警察犬——人の役に立つ仕事でこれほど広く使われている犬種はほかにありません。
人が好きで、覚えが早く、そして食べ物への意欲が強い——
その組み合わせが、この犬種を特別なものにしています。
子どもにも他の犬にも寛容で、番犬にはまったく向きません。
知らない人にも尻尾を振る——それが、この犬種の標準的な反応です。
その温和さゆえに、初めて犬を飼う方にもすすめられる犬種とされています。
ただし、体重は30kg前後。引っぱられたときに止められるかは、迎える前に考えておきたい点です。
子犬のうちから、引っぱらずに歩く練習を始めてください。
抜け毛と、暮らしの実際
ラブラドールは短毛ですが、抜け毛は非常に多い犬種です。
短くて硬い毛が、衣類や絨毯に刺さるように付きます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 被毛 | 短毛のダブルコート |
| ブラッシング | 週2〜3回。換毛期は毎日 |
| 換毛期 | 春と秋に大量に抜ける |
| シャンプー | 月1回程度 |
| トリミング | 不要 |
| 使う道具 | ラバーブラシが扱いやすい |
トリミング代がかからないのはこの犬種の利点ですが、掃除の手間は覚悟が必要です。
ブラッシングで先に抜いてしまえば、部屋に落ちる量は確実に減ります。
そして費用。
| 項目 | 年間の目安 |
|---|---|
| フード | 8〜15万円 |
| 医療・予防 | 5〜12万円 |
| 用品・その他 | 2〜5万円 |
| 年間の合計 | 15〜32万円 |
| 手術になった場合 | 股関節・胃捻転とも30〜60万円 |
体重が大きいぶん、フード代も薬の量も増えます。
フィラリア予防薬やノミダニ駆除薬は体重区分で価格が決まるため、小型犬の数倍になります。
よくある質問
Q. いくら食べても欲しがります。しつけの問題ですか?
A. しつけの問題とは限りません。この犬種のおよそ4頭に1頭が、満腹の合図が脳に届きにくくなる遺伝子変異を持つと報告されています。本当に空腹なので、意志で我慢させるのは難しくなります。環境で管理してください。
Q. どうやって食事を管理すればいいですか?
A. キッチンスケールで量ることが基本です。計量カップは誤差が大きくなります。1日分のおやつを朝のうちに小皿へ取り分け、それが空になったらその日は終わり——この方法なら家族の誰が見ても判断できます。
Q. 盗み食いをします。
A. 叱るより、届かないようにするほうが確実です。ゴミ箱はふた付きか扉の中へ、食べ物は犬の届く場所に置かないでください。チョコレートや玉ねぎ、キシリトールは中毒を起こします。
Q. 股関節形成不全は予防できますか?
A. 先天的な要素が大きい疾患ですが、進行の速さは変えられます。適正体重を保つこと、子犬期に過度な運動をさせないこと——この2つが、もっとも確実な対策になります。
Q. 子犬のうちは、たくさん運動させたほうがいいですか?
A. いいえ、成長期は控えめにしてください。骨と関節が完成する1歳半ごろまでは、長時間走らせたり階段を使わせたりしないでください。過度な負荷は股関節の発育に影響すると考えられています。
Q. 散歩はどれくらい必要ですか?
A. 成犬で1日2回、各30分〜1時間が目安です。水泳は関節に負担をかけずに全身を使えるため、股関節に不安がある犬にも向いた運動になります。
Q. 太っているかどうか、どう判断しますか?
A. 体重の数字ではなく、触って確かめてください。背中から肋骨をなでたとき、薄い脂肪ごしに骨が指に当たるのが適正です。上から見て腰にくびれがあるか、横から見てお腹が持ち上がっているかも確認してください。
まとめ|我慢させるのではなく、環境を変える
ラブラドールのおよそ4頭に1頭が、満腹を感じにくくなる遺伝子の変異を持つ——
そういう報告があります。
食べたがるのは、しつけの失敗ではありません。本当に空腹なのです。
だから、犬に我慢させようとしてもうまくいきません。
キッチンスケールで量る。1日分を取り分ける。食べ物を届く場所に置かない——
環境のほうを変えるのが、この犬種で唯一うまくいく方法です。
そしてその先にあるのが、股関節。
30kgの体を支える関節に、余分な脂肪を乗せない——それが、この犬種に対するいちばん大きな優しさになります。
「かわいそうだから、もう少し」——その気持ちは、この犬種ではいちばん危険な優しさです。
与えないことが、そのまま自分の足で歩ける年数を延ばすことになります。
今日から始める3つ
- 1フードを計量カップからキッチンスケールに切り替える
- 21日分のおやつを朝に小皿へ取り分け、家族で共有する
- 3肋骨を触って体型を確かめ、月1回の体重記録を始める
この犬種の食欲は、意志の力で抑えられるものではありません。環境を整えることが、そのまま関節と寿命を守ることになります。

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