

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「狆(チン)の飼い方|日本で唯一の愛玩犬という存在」です。ではどうぞ!
日本原産の犬種と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。
柴犬、秋田犬、甲斐犬、北海道犬——
そのほとんどが、猟犬や番犬として働いてきた犬です。
けれど、ひとつだけ違う犬種があります。
狆(チン)。
猟にも、番にも使われませんでした。
この犬に求められたのは、ただ人のそばにいることだけ——日本で唯一、愛玩犬として作られた犬種です。
この記事では、その歴史が作った気質と、平たい顔と小さな体が抱える課題を書いていきます。
結論
狆は日本原産の犬種のなかで唯一の愛玩犬です。働くためではなく、人のそばにいるために選ばれ続けてきました。その結果、体臭が少なく、ほとんど吠えず、運動量も少ない——室内で暮らすことにきわめて向いた犬種になっています。注意したいのは高齢期の僧帽弁閉鎖不全症と、前に出た目のトラブル。安静時の呼吸数を家で数える習慣が、もっとも役に立ちます。
この記事でわかること
- ✓働かないために作られた犬
- ✓その歴史が作った気質
- ✓高齢期に多い、心臓の病気
- ✓平たい顔と、目のケア
- ✓暮らしと、手入れの実際
働かないために、作られた犬

犬種というものは、たいてい仕事のために作られます。
獲物を追う。群れを守る。荷を引く。番をする——
その仕事に必要な性質を持つ個体を選び続けた結果が、犬種になります。
狆は、その例外です。
| 犬種 | 求められたもの | 結果としての性質 |
|---|---|---|
| 柴犬 | 小動物を追う猟犬 | 独立心・警戒心 |
| 甲斐犬 | 山でシカ・イノシシを追う | 忠誠心・強い警戒心 |
| 北海道犬 | ヒグマに立ち向かう | 勇敢さ・厚い被毛 |
| 狆 | 人のそばで過ごす | 穏やかさ・体臭の少なさ |
「体臭が少ない」という性質を見てください。
これは、猟犬には必要のない性質です。
けれど、室内で人のそばにいる犬には決定的に重要になります。
そういう性質を持つ個体が選ばれ続けた——それが、狆という犬種の作られ方です。
千年以上の、愛玩の歴史

狆の祖先は、チベット系の小型犬だと考えられています。
中国や朝鮮半島を経て日本に渡り、そこで独自に洗練されていきました。
渡来したのは、はるか昔のこととされています。
宮中や、大名家、上級武士の家——この犬が暮らしたのは、そうした場所でした。
江戸幕府の5代将軍・徳川綱吉も飼っていたと伝えられています。
幕末以降には海外へも渡り、「ジャパニーズ・チン」として世界に知られる犬種になりました。
欧米の王侯貴族にも贈られ、各国で愛されるようになったと伝えられています。
日本原産の犬種として、早い時期から国際的に認められた犬でもあります。
その長い歴史のなかで、一貫して選ばれ続けたのが「人のそばで心地よくいられる性質」でした。
攻撃性のなさも、体臭の少なさも、静かさも——すべては、室内で人と暮らすための条件だったのです。
その歴史が作った、気質
千年以上、人のそばにいることだけを求められてきた犬——
その気質は、はっきりした特徴を持っています。
| 性質 | 内容 |
|---|---|
| 穏やか | 攻撃性がほとんどない |
| 物静か | ほとんど吠えない |
| 体臭が少ない | 室内での同居に向く |
| 誰にでも愛想がいい | 見知らぬ人にも尻尾を振る |
| 独立心もある | べたべたしすぎない |
| 聡明 | 人の様子をよく見ている |
「猫のような犬」と評されることがあります。
高い場所に登りたがる。前足で顔を洗うようなしぐさをする。べたべたと甘えすぎない——
そうした振る舞いが、この呼び名の由来です。
そばには来るけれど、少し離れた場所で静かに寝ている——
これが、この犬の距離感だと考えてください。
抱っこをせがむタイプではありません。けれど、部屋を移れば必ずついてきます。「近くにいるけれど、まとわりつかない」——この距離感を心地よいと感じられるかどうかが、この犬種との相性を決めます。
体臭が少ないという、大きな利点
「体臭が少ない」——この特徴は、実際に暮らしてみると想像以上に大きな意味を持ちます。
犬のにおいが気になって室内飼育をためらうという声は少なくありません。
この犬種では、その心配がほとんどありません。
皮脂の分泌が少なく、被毛も蒸れにくい構造をしているためだと考えられます。
シャンプーも月1回程度で足ります。洗いすぎるほうが、かえって皮膚を傷めます。
ただし、においが急に強くなったのであれば話は別です。
皮膚炎や外耳炎が起きている可能性があります。もともとにおわない犬だからこそ、変化に気づきやすいとも言えます。
番犬にはなりません
この犬種に、番犬の役割は期待できません。
ほとんど吠えず、見知らぬ人にも愛想を振りまく——
これは短所ではなく、そう作られてきたということです。
集合住宅で暮らすうえでは、むしろ大きな利点になります。
吠えない、においが少ない、運動量も少ない——
現代の住環境に、これほど合った犬種はそう多くありません。
高齢期に多い、心臓の病気

ここからは、健康面の話をします。
小型犬の高齢期でもっとも多い心臓の病気が僧帽弁閉鎖不全症です。
心臓のなかにある弁がきちんと閉じなくなり、血液が逆流してしまう病気です。
| 症状 | 内容 | 気づき方 |
|---|---|---|
| 乾いた咳 | 最初に出やすいサイン | 興奮時・夜間・明け方 |
| 疲れやすい | 散歩を嫌がるようになる | 途中で座り込む |
| 呼吸が速い | 肺に水がたまり始める | 安静時の呼吸数が増える |
| 失神 | 進行したサイン | 興奮した直後に倒れる |
| 初期は無症状 | 心雑音だけの時期がある | 健康診断の聴診で分かる |
⚠ 安静時の呼吸数を、家で数えてください
眠っているときに、胸やお腹の上下を15秒数えて4倍する——これだけです。
正常は1分あたり15〜30回程度。40回を超える状態が続くなら、受診の理由になります。
この数値は、心臓の病気を早く見つけるうえで非常に役に立ちます。元気なうちから数えて、その犬の普段の数を知っておいてください。
この病気は、ゆっくり進みます。
初期には症状が出ず、健康診断の聴診で心雑音として見つかることがほとんどです。
だからこそ、年1回、高齢期には年2回の健康診断が意味を持ちます。
早く見つかれば、薬で進行を遅らせることができます。
「心雑音がありますね」と言われた段階では、多くの場合まだ元気に見えます。
そこで油断せず、定期的に心臓の評価を受けること——これが、その後の年数をはっきり変えます。
そして家では、安静時の呼吸数を数えるだけ。特別な機械も、費用もかかりません。
迎える前に、知っておきたいこと
狆は、流通の少ない犬種です。
ペットショップで見かけることは多くありません。
| 確認すること | なぜ必要か |
|---|---|
| 両親に会えるか | 気質と体格の参考になる |
| 両親の心臓の状態 | 聴診の結果を聞いておく |
| 両親の目の状態 | 白内障の有無を確認する |
| 生後56日を過ぎているか | 法律で定められた基準 |
| 夏のエアコン環境 | 短頭種には必須 |
専門の繁殖者に問い合わせることになるのが一般的です。
出産を待つ期間が発生することもありますが、その時間を家の準備に充てられると考えれば無駄にはなりません。
床の滑り止め、ソファのスロープ、そしてエアコンの設定——
2〜5kgの小さな体を守るのは、犬ではなく家の側です。
平たい顔と、目のケア

狆は、鼻の短い犬種です。
パグやブルドッグほど極端ではありませんが、短頭種としての課題は共有しています。
| 部位 | 起きやすいこと | 対応 |
|---|---|---|
| 目 | 眼球が前に出て、傷つきやすい | 毎日、濁りを確認する |
| 鼻のシワ | 汚れがたまり炎症を起こす | 拭いて、水気を取る |
| 涙 | あふれて毛が変色する | 目の周りを毎日拭く |
| 呼吸 | 暑さに弱い | 夏は室温28度以下 |
| 歯 | 短いあごで歯並びが乱れる | 毎日の歯みがき |
目が白く濁って見えたら、その日のうちに受診してください。
角膜の傷は数日で深くなることがあり、穴が開けば失明につながります。
そして夏の管理。
短頭種であり、しかも豊かな被毛を持つ犬種ですから、暑さには弱くなります。
室温28度以下、湿度50〜60%を目安にしてください。留守中もエアコンを切らないことが基本になります。
短頭種の呼吸と暑さについては短頭種の呼吸と体温の記事に詳しくまとめてあります。
ほかに注意したい病気
心臓と目のほかにも、知っておきたい病気があります。
| 病気 | 内容 | 気づき方 |
|---|---|---|
| 膝蓋骨脱臼 | 小型犬に多い膝の脱臼 | スキップするような歩き方 |
| 気管虚脱 | 気管がつぶれる | ガーガーという咳 |
| 白内障 | 水晶体が濁る | 瞳が白く見える |
| 低血糖 | 子犬期に注意 | ぐったりする・震える |
| 熱中症 | 短頭種に共通するリスク | ハアハアが止まらない |
子犬期の低血糖は、とくに小さな犬種で注意される状態です。
体が小さいぶん、蓄えられる糖の量も少ない——食事の間隔が空きすぎると、血糖値が下がってしまいます。
- 子犬期は、1日3〜4回に分けて与える
- 食事の間隔を空けすぎない
- ぐったりする・震える場合はすぐ受診
- 成犬になれば、1日2回で問題ない
- フードはキッチンスケールで量る
- 月に一度、体重を測って記録する
そして気管虚脱。
ガーガーというアヒルのような咳が特徴的なサインです。
心臓の病気の咳と紛らわしいため、咳の様子を動画で撮って受診時に見せてください。
暮らしと、手入れの実際
狆と暮らすのに必要なものをまとめておきます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 体重 | 2〜5kg |
| 体高 | 25cm前後 |
| 平均寿命 | 12〜15年 |
| 散歩 | 1日1〜2回、各15〜20分 |
| 被毛 | 長毛。ただし絡みにくい |
| ブラッシング | 週2〜3回 |
意外に思われるかもしれませんが——
この犬種の被毛は、見た目のわりに手入れが楽です。
下毛が少なく、毛が絡みにくいという特徴を持っています。
- ブラッシングは週2〜3回で足りる
- 耳のうしろ・脇・内股は毛玉ができやすい
- シャンプーは月1回程度
- 乾かすときは根元まで完全に
- 目の周りは毎日拭く
- トリミングは基本的に不要
「長毛だから大変」というのは、この犬種では当てはまりません。
トリミング代がかからないのも、長く飼ううえでは小さくない利点になります。
足裏の毛と爪だけは、月に一度整えてください。伸びた足裏の毛は、フローリングで滑る原因になります。
そして散歩。
1日1〜2回、各15〜20分で十分です。
むしろ、激しい運動はさせないでください。短頭種であり、心臓にも配慮が必要な犬種です。
小さい体を、家のなかで守る
体重2〜5kg——とても小さな犬です。
そのぶん、家のなかでの事故に注意が必要になります。
- ソファやベッドからの飛び降りをさせない
- フローリングに滑り止めマットを敷く
- 踏まないよう、足元に注意する
- ドアに挟まないよう気をつける
- 散歩には首輪ではなくハーネスを使う
- 誤飲しやすい小物を床に置かない
ハーネスを使う理由は2つあります。
ひとつは、気管が細いこと。もうひとつは、眼球が前に出ているため、首への圧が目にも影響しうることです。
費用も手間もかからない対策ですから、散歩の道具はハーネスにしておいてください。
しつけと、子犬期の過ごし方
狆は、しつけに苦労しない犬種です。
攻撃性がなく、人の様子をよく見ていて、覚えも早い——
ただし、叱るやり方には向きません。
| やり方 | この犬種での結果 |
|---|---|
| できたときにほめる | 早く覚え、自分から動くようになる |
| 強く叱る | 萎縮して、動かなくなる |
| 大きな声を出す | 怖がって、隠れるようになる |
| 一貫したルールで接する | 安心して従う |
| 家族で対応がばらつく | 混乱する |
感受性の強い犬種です。
厳しく叱れば、その場は止まるかもしれません。けれど、その代償として萎縮した犬になってしまいます。
- ほめるのは、行動した直後1秒以内に
- 大きな声や強い口調を使わない
- 家族全員が同じ言葉とルールで接する
- 子犬のうちに、体を触られることに慣らす
- 目・鼻のシワ・口に触る練習をしておく
- 動物病院に、診察のない日に立ち寄る
とくに「顔まわりを触られる練習」はこの犬種で効いてきます。
毎日、目を見て、鼻のシワを拭く——この習慣を続けるには、顔を触らせてくれることが前提だからです。
子犬のうちから、顔を触ってはおやつを与える——これを繰り返しておいてください。
よくある質問
Q. 狆は日本犬なのですか?
A. 日本原産の犬種です。ただし柴犬や甲斐犬のような猟犬系の日本犬とは成り立ちがまったく違います。祖先は大陸から渡ってきたチベット系の小型犬で、日本で愛玩犬として洗練されました。
Q. 吠えますか?
A. ほとんど吠えません。見知らぬ人にも尻尾を振る犬種で、番犬にはなりません。そのぶん、集合住宅での暮らしには非常に向いています。
Q. 長毛ですが、手入れは大変ですか?
A. 見た目のわりに楽な犬種です。下毛が少なく毛が絡みにくいため、ブラッシングは週2〜3回で足ります。耳のうしろ・脇・内股だけは毛玉ができやすいので、重点的に確認してください。
Q. 散歩はどれくらい必要ですか?
A. 1日1〜2回、各15〜20分で十分です。むしろ激しい運動はさせないでください。短頭種であり、心臓にも配慮が必要な犬種です。
Q. 咳をするようになりました。
A. 心臓の病気の可能性があります。僧帽弁閉鎖不全症では、乾いた咳が最初のサインとして出やすくなります。興奮時や夜間、明け方に出ることが多い咳です。早めに受診してください。
Q. 安静時の呼吸数とは何ですか?
A. 眠っているときの1分あたりの呼吸回数です。胸やお腹の上下を15秒数えて4倍します。正常は15〜30回程度で、40回を超える状態が続くなら受診の理由になります。元気なうちから数えて、普段の数を知っておいてください。
Q. 夏の管理はどうすればいいですか?
A. 室温28度以下、湿度50〜60%を目安にしてください。鼻が短く、しかも豊かな被毛を持つため暑さには弱くなります。留守中もエアコンを切らず、散歩は涼しい時間帯にしてください。
まとめ|人のそばにいるために、選ばれてきた
狆は、日本原産の犬種のなかで唯一の愛玩犬です。
猟にも番にも使われず、ただ人のそばにいることだけを求められてきました。
体臭が少ない。ほとんど吠えない。運動量も少ない——
そのすべてが、室内で人と暮らすために選ばれてきた性質です。
現代の住環境に、これほど合った犬種はそう多くありません。
注意したいのは高齢期の僧帽弁閉鎖不全症と、前に出た目のトラブル。
安静時の呼吸数を数える習慣と、毎日目を見ること——
この2つを続けられれば、変化に早く気づける飼い主になれます。どちらも、1日1分もかかりません。
千年以上、人のそばにいるために選ばれ続けてきた犬——その歴史が作った穏やかさは、ほかでは得がたいものだと思います。
今日から始める3つ
- 1眠っているときの呼吸数を数えて、普段の数を記録しておく
- 2毎日、目に白い濁りがないかを確認する
- 3首輪をハーネスに替え、床に滑り止めを敷く
この犬種は、人のそばにいることだけを求められて作られました。その静かな距離感を楽しめるなら、これ以上の同居人はいません。

本日の「犬猫の悩みを即解決!」の記事「狆(チン)の飼い方|日本で唯一の愛玩犬という存在」でした。
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