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犬のネフローゼ症候群|たんぱくが、尿に漏れる病気
ネフローゼ症候群
モフ@ペット好き

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「犬のネフローゼ症候群|たんぱくが、尿に漏れる病気」です。ではどうぞ!

腎臓には非常に細かいフィルターがあります。老廃物は通し、体に必要なものは通さない——そうやって尿をつくっています。

ネフローゼ症候群とは、このフィルターが壊れ、本来なら通さないはずのたんぱくが尿に漏れ出す状態から始まる病気です。

そして、ここからが本題です。血液の中のたんぱくが減っていくと何が起こるのか——

血管の中に水をとどめておく力が弱くなり、水が血管の外へ染み出します。それがむくみであり腹水です。

さらに、血が固まりやすくなることも知られています。血栓——これが、この病気で見落とされやすい危険です。

この記事では、ひとつの原因から順に起きることをたどりながら整理していきます。

結論

ネフローゼ症候群は腎臓のフィルターが壊れ、たんぱくが尿に漏れ出すことから始まります。血液中のたんぱく(アルブミン)が減る水が血管の外へ出て、むくみと腹水が現れます。そして血が固まりやすくなり、血栓ができる危険が高まります。初期には見た目の変化がありません——気づけるのは尿検査だけです。お腹が膨れてきた・足がむくむ・尿が泡立つ——そうした変化があれば受診を。急に足が動かない、呼吸が苦しいなら血栓を疑って、その日のうちに。

この記事でわかること

  • フィルターが壊れるということ
  • 慢性腎臓病とは、壊れる場所が違う
  • むくみと腹水が現れるまで
  • 血栓という、見落とされやすい危険
  • 治療と、家庭でできること

フィルターが壊れるということ

たんぱくが漏れてから、むくみまで
ひとつの原因から、順に症状が現れます。

腎臓の中には糸球体と呼ばれる毛細血管のかたまりが無数にあります。ここが血液をこして尿をつくるフィルターの役割を担っています。

このフィルターは非常に精密で、老廃物や余分な水分は通すのに、体に必要なたんぱくは通さない——そういう選別をしています。

ネフローゼ症候群ではこの選別ができなくなります。炎症や免疫のしくみ、あるいは別の病気の影響でフィルターが傷むためです。

ネフローゼ症候群で起きること
段階 起きていること 検査で分かること
①フィルターが傷む たんぱくを止められなくなる 尿検査でたんぱくが出る
②漏れ続ける 体のたんぱくが失われていく 尿たんぱくの量が増える
③血液が薄くなる アルブミンが減る 血液検査で低アルブミン血症
④水がとどまらない 血管の外へ染み出す むくみ、腹水
⑤血が固まりやすくなる 血栓ができうる 突然の麻痺や呼吸困難

①と②の段階では見た目にはまったく変化がありません。元気で、食欲もあって、散歩もふつうに行く——それでも、たんぱくは漏れ続けているのです。

だから、この病気で早く気づく方法は実質的に尿検査しかありません。血液検査だけでは③の段階まで進まないと分からない——そこが重要な点です。

健康診断に、尿検査を含めてください

血液検査だけを受けている方は少なくありません。

けれど、たんぱく尿は尿を調べなければ分かりません。

「尿検査もお願いします」——その一言で早い段階で気づける可能性が生まれます。

7歳を過ぎたら年1回は必ず受けておいてください。

慢性腎臓病とは、壊れる場所が違う

腎臓病との違い
同じ腎臓でも、壊れている場所が違います。

同じ「腎臓の病気」でも慢性腎臓病とネフローゼ症候群では問題になっている働きが違います。

2つの腎臓の障害
項目 慢性腎臓病 ネフローゼ症候群
できなくなること 老廃物を捨てられない たんぱくを止められない
最初のサイン 多飲多尿 たんぱく尿(症状なし)
血液検査 クレアチニン・SDMAが上がる アルブミンが下がる
見た目 痩せてくる むくむ、お腹が膨れる
尿 薄くなる、量が増える 泡立つことがある
関係 互いに進行を早めることがある 同上

慢性腎臓病では「捨てるべきものを捨てられない」——老廃物が体にたまっていきます。

ネフローゼ症候群では「残すべきものを残せない」——たんぱくが外へ出ていってしまいます。

失われる方向が逆だと考えると、違いが分かりやすいかもしれません。

そして、この2つは重なることがあります。たんぱくが漏れ続けること腎臓そのものをさらに傷めることも知られており、放置すれば慢性腎臓病へ進んでいくという関係にあります。

だから、たんぱく尿を減らす治療には「腎臓を守る」という意味もあるのです。

むくみと腹水が現れるまで

現れる症状
初期には、見た目の変化が出ません。

血液の中のたんぱく——とくにアルブミンという成分には血管の中に水を引きとめておく働きがあります。

そのアルブミンが減る水を引きとめる力が弱くなり、血管の外へ水が染み出します。

現れる症状
現れる場所 見え方
お腹 腹水がたまり、膨らんで見える
むくむ。指で押すと跡が残る
顔・まぶた 腫れぼったく見えることがある
水がたまると、呼吸が苦しくなる
全身 元気消失、食欲不振、嘔吐や下痢
体重 水がたまるため、増えることもある

「お腹が膨れてきた」——これを「太った」と受け取ってしまうことがあります。実際、体重を測れば増えていることも珍しくないため、余計に紛らわしいのです。

けれど、手足は細いのにお腹だけが膨らんでいるなら脂肪ではなく水である可能性を考えてください。

むくみの見分け方も覚えておくと役立ちます。足やお腹の皮膚を指で数秒押してみる——指の跡がへこんだまましばらく残るならむくみであることが多いのです。

そして、尿の泡立ちたんぱくが混じった尿泡立ちやすく、その泡がなかなか消えないことがあります。絶対的なサインではありませんが、気づくきっかけにはなります。

血栓という、見落とされやすい危険

血栓という危険
たんぱくが減ると、血が固まりやすくなります。

この病気でもっとも見落とされやすい危険血栓です。

血を固まりにくくする成分もたんぱくの一種です。それが尿に漏れて減っていく血が固まりやすい状態に傾きます。

できた血栓が血管を詰まらせるその先へ血液が届かなくなります。

血栓が起きたとき
詰まる場所 起きること 急ぎ方
後ろ足の血管 急に立てない、足が冷たい、強く痛がる 今すぐ
肺の血管 急に呼吸が速く、苦しそうになる 今すぐ
腎臓の血管 腎機能が急に悪化する 今すぐ
共通 症状は「急に」現れる 夜間でも受診

⚠ 「急に」であることが、手がかりです

さっきまで歩いていたのに、急に後ろ足が動かない

急に呼吸が速くなり、苦しそうにしている

足が冷たく、触ると強く痛がる

ネフローゼ症候群と診断されている犬こうした変化が急に出たなら血栓を疑ってその日のうちに受診してください。

だからこそ、治療の中に血栓を防ぐための薬が含まれることがあります。「なぜこの薬を飲んでいるのか」を聞いておくとやめてはいけない理由が分かります。

そして、感染症にもかかりやすくなります。体を守る成分もまたたんぱくだからです。いつもなら平気なもので体調を崩すようになったら、そのことも伝えてください。

皮膚が化膿しやすくなる、膀胱炎を繰り返す、小さな傷が治りにくい——そうした変化抵抗力が落ちているサインであることがあります。「別の病気」として個別に扱うのではなくひとつの流れとしてつながっている——そう見ておくと、全体の状態が見えやすくなります。

治療と、家庭でできること

ネフローゼ症候群ひとつの病名というより「状態」を指す言葉です。その背景には別の病気があることが多い——だから、まず原因を探すことから始まります。

背景になりうるもの
背景になりうるもの 内容
腎臓そのものの病気 糸球体の炎症など
免疫のしくみ 体が自分の腎臓を攻撃してしまう
感染症 慢性の感染が引き金になることがある
腫瘍 別の場所の腫瘍が影響することも
糖尿病 血管が傷み、腎臓にも影響する
中毒・薬剤 腎臓を傷めるものがある

原因がはっきりすればその治療が最優先になります。背景を残したままむくみだけを取ってもまた戻ってしまうからです。

そのうえで、状態に応じた治療が組み合わされます。

  • たんぱく尿を減らす薬(血圧の薬が使われる)
  • 血栓を防ぐ薬
  • 利尿薬——腹水やむくみを減らす
  • 降圧薬——高血圧が腎臓をさらに傷めるため
  • 免疫を抑える薬——免疫が背景にある場合
  • ナトリウムやたんぱくを調整した療法食

「血圧の薬」たんぱく尿を減らすために使われる——これは、少し意外に感じられるかもしれません。

腎臓のフィルターにかかる圧を下げることで漏れる量そのものを減らす——そういう狙いがあります。「血圧が高くないのに、なぜ血圧の薬を」と疑問に思ったらそう聞いてみてください。理由が分かれば、続けやすくなります。

食事について

「たんぱくが失われているなら、たんぱくを多く与えればいいのでは」——

そう考えたくなりますが、それは逆効果になることがあります。

たんぱくを増やせばフィルターにかかる負担も増え、漏れる量がかえって増える——そういう関係があるためです。

そのため、質のよいたんぱくを適切な量だけという調整された食事がすすめられます。ナトリウムの制限むくみを増やさないために重要です。

自己判断でたんぱくを足さないでください。良かれと思ってしたことが腎臓の負担になる——この病気では、とくに起こりやすいことです。

そして、食べてくれないときには自己判断で普通の食事に戻すのではなく相談してください。種類を変える、温めて香りを立てる、少しずつ混ぜて慣らす——やり方はいくつもあります。

家庭で見ておきたいこと

  • 体重を、週に一度は測って記録する
  • お腹まわりの張り具合を、毎日見る
  • 足やお腹を指で押して、跡が残らないか確かめる
  • 呼吸が速くなっていないか、寝ているときに数える
  • 歩き方に変化がないか見る
  • 指示された薬を、必ず続ける

「体重を週に一度」——この病気では体重が増えることが悪化のサインである場合があります。水がたまっているためです。

痩せているのに体重が増えている——そうした矛盾に気づけるのは数字にしているからです。

そして、安静時の呼吸数眠っているときに15秒間の呼吸を数えて4倍——1分あたり40回を超えるなら胸に水がたまっている可能性があります。

眠っているときを選ぶのは、起きていると興奮や暑さで呼吸が速くなるためです。健康なうちに何度か測っておくその犬にとってのふだんの数が分かります。異変は、ふだんを知っていてこそ見えるものです。

通院を、続けるということ

この病気では定期的な検査が治療の一部になります。尿のたんぱく量、血液のアルブミン、腎臓の値、血圧——これらを追いながら薬の量を調整していくからです。

「見た目が落ち着いているからしばらく行かなくていい」——そう判断してしまう数値だけが悪くなっていることに気づけません。

そして、薬をやめないこと。とくに血栓を防ぐ薬効いていることが目に見えない種類の薬です。「何も起きていない」ことが効果——だから、やめる理由に見えてしまうのです。

たんぱく尿は、他の原因でも出ます

尿検査で「たんぱくが出ています」と言われたからといって、すぐにネフローゼ症候群だと決まるわけではありません。

たんぱく尿の背景
背景 内容
膀胱炎などの感染 炎症で、たんぱくが混じる
血尿 血液そのものにたんぱくが含まれる
激しい運動のあと 一時的に出ることがある
発熱 同じく、一時的に出ることがある
腎臓のフィルターの障害 これが、ネフローゼ症候群の背景
見分け方 時間をおいて、複数回調べる

だから、1回の結果だけで判断されることは少ないのです。感染がないかを確かめ、日をあけて再検査し、尿中のたんぱくとクレアチニンの比を測る——そうやって「本当に腎臓から漏れているのか」を確かめていきます。

  • 1回の「たんぱく+」で決めつけない
  • まず、膀胱炎などの感染がないかを調べる
  • 日をあけて、複数回の検査を受ける
  • 量を数字で見る検査もある
  • 血液検査で、アルブミンの値も確認する
  • 血圧も測ってもらう

逆に言えば——「一度たんぱくが出たが、そのままになっている」という状態は確かめておく価値があります。感染で一時的に出ただけなのか、漏れ続けているのか意味がまったく違うからです。

よくある質問

Q. ネフローゼ症候群とは何ですか?

A. 腎臓のフィルターが壊れ、たんぱくが尿に漏れ出す状態です。血液中のたんぱくが減ると水が血管の外へ出て、むくみと腹水が現れます。血が固まりやすくなり、血栓の危険も高まります。

Q. 慢性腎臓病とはどう違うのですか?

A. 壊れている働きが違います。慢性腎臓病は「老廃物を捨てられない」、ネフローゼ症候群は「たんぱくを止められない」。ただし、たんぱくが漏れ続けることで慢性腎臓病へ進むこともあります。

Q. 初期に気づく方法はありますか?

A. 尿検査だけです。初期には見た目の変化がなく、血液検査でも分からないことがあります。健康診断で「尿検査もお願いします」と伝えてください。

Q. お腹が膨れてきました

A. 腹水がたまっている可能性があります。手足は細いのにお腹だけが膨らんでいるなら、脂肪ではなく水かもしれません。足を指で押して跡が残るかも確かめてみてください。

Q. 急に後ろ足が動かなくなりました

A. 血栓を疑って、その日のうちに受診してください。血を固まりにくくする成分もたんぱくの一種で、それが失われると血が固まりやすくなります。肺の血管が詰まれば、急に呼吸が苦しくなります。

Q. たんぱくを多めに与えたほうがいいですか?

A. 逆効果になることがあります。たんぱくを増やせばフィルターへの負担も増え、漏れる量がかえって増えることがあります。自己判断で足さず、指示された食事を続けてください。

Q. 血圧の薬を出されたのですが

A. たんぱく尿を減らす目的で使われることがあります。腎臓のフィルターにかかる圧を下げることで、漏れる量そのものを減らす狙いです。疑問があれば、その場で聞いてみてください。

まとめ|漏れていることは、見えません

ネフローゼ症候群はたんぱくが尿に漏れるところから始まります。

けれど、その段階では見た目に何も現れません。元気で、食欲もあって、散歩もふつうに行く——

むくみやお腹の張りが見えるころにはすでに血液中のたんぱくが減っています。

だから、年1回の尿検査に大きな意味があります。

そして、血栓という危険をあわせて覚えておいてください。

急に後ろ足が動かない。急に呼吸が苦しそうになる。

「急に」であることがいちばんの手がかりになります。

そのときは、夜でも受診してください。

この病気は背景に別の病気が隠れていることが多いものです。そこを見つけて治療できれば、たんぱく尿そのものが改善することもあります。

「腎臓の病気」と聞いてあきらめないでください。まず、原因を探すところから——そこに、道が残っています。

今日できる3つ

  • 1次の健康診断で「尿検査もお願いします」と伝える
  • 2足やお腹を指で押して、跡が残らないか確かめてみる
  • 3週に一度、体重を測って記録する習慣をつくる

この病気は、見えないところで進みます。尿を調べることだけが、早く気づく方法です。

モフ@ペット好き

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