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犬の角膜炎|原因が違えば、見通しも変わる
犬の角膜炎
モフ@ペット好き

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「犬の角膜炎|原因が違えば、見通しも変わる」です。ではどうぞ!

「角膜炎ですね」と言われたとき——

それは、ひとつの病気の名前を告げられたわけではありません。

角膜炎とは角膜に炎症が起きている状態の総称です。

原因は、まったく違うものがいくつも含まれています。

枝が刺さった傷。涙が足りない乾き。細菌の感染。そして、体の免疫が自分の角膜を攻撃してしまうもの——

この違いによって、見通しはまったく変わります。

数日で治るものもあれば、生涯にわたって管理が必要なものもある。

そして、放置すれば角膜が黒くなって視野を失うものもあります。

この記事では、原因による分類と、「自然に治るのか」という問いに答えていきます。

結論

「角膜炎」は病名ではなく、角膜に炎症が起きている状態の総称です。原因は外からの刺激・乾燥・感染・免疫のしくみなどさまざまで、原因が違えば見通しも治療もまったく変わります。「自然に治りますか」という問いへの答えは、ほとんどの場合ノーです。とくに涙の不足毛が当たり続けている場合、原因を取り除かない限り改善しません。放置すると角膜に血管が伸び、黒い色素が沈着して視野を奪うことがあります。目を細める・涙が増える——その時点で受診してください。

この記事でわかること

  • 「角膜炎」という言葉が指すもの
  • 原因による、4つの分類
  • 自然に治るのか、という問い
  • 放置すると、角膜は黒くなる
  • 受診のときに伝えること

「角膜炎」という言葉が指すもの

角膜目の表面を覆う透明な組織です。

そこに炎症が起きている状態をまとめて角膜炎と呼びます。

つまり、「発熱」や「頭痛」に近い言葉の使われ方です。

似た言葉の整理
言葉 指しているもの
角膜炎 角膜に炎症がある状態(総称)
角膜潰瘍 角膜が削れて凹んでいる状態
角膜浮腫 角膜がむくんで白く見える状態
乾性角結膜炎 涙が足りず、乾いて炎症が起きた状態
色素性角膜炎 黒い色素が沈着した状態

角膜潰瘍角膜炎のうち、組織が削れているもの——

つまり、角膜炎という大きな枠の中に潰瘍が含まれるという関係になります。

潰瘍については角膜潰瘍の記事で深さの段階を解説しています。

大切なのは、「角膜炎」と言われたら「原因は何か」まで聞いておくことです。

その一言で、見通しがまったく変わります。

原因による、4つの分類

角膜炎の原因による分類
「角膜炎」は、原因の違うものをまとめた呼び名です。

原因を大きく4つに分けて見ていきます。

①外からの刺激——傷、異物、毛

もっとも分かりやすいのが物理的な刺激です。

  • 草むらで枝や葉が当たった
  • 砂やほこりが入った
  • 他の犬と遊んでいて爪が当たった
  • 逆さまつげが当たり続けている
  • まぶたが内側に巻き込んでいる
  • シャンプーの泡が入った

一度きりの刺激なら、原因が去れば改善に向かいます。

けれど、まつげやまぶたのように「当たり続けている」もの取り除かない限り治りません。

「いつも同じ側の目」ならこの可能性を疑う——

繰り返す場合の考え方はこちらの記事でまとめています。

②乾燥——涙が足りない

角膜を潤し、守り、栄養を運んでいます。

その涙が足りなければ、角膜は乾いて炎症を起こします。

これが乾性角結膜炎——俗にドライアイと呼ばれる状態です。

涙の不足を疑うサイン
サイン 内容
ねばつく目やに 糸を引くような目やにが増える
白目の充血 常に赤い状態が続く
角膜のくすみ 全体につやがなく見える
まばたきが増える 乾きを補おうとしている
両目に出やすい 片側だけとは限らない
放置すると 色素が沈着し、視野を失うことも

これは、自然には治りません。

涙の量は検査で測れますから、疑わしければ調べてもらってください。

そして、この状態は角膜潰瘍の下地にもなります。

乾いた角膜は、小さな刺激でも傷つく——

「潰瘍を繰り返している」という犬で涙の量を測ってみたら足りていなかった——そうしたことがあります。

繰り返す潰瘍の下地についてはこちらの記事でまとめています。

③感染——細菌などが関わる

細菌やウイルスが関わることもあります。

多くの場合、まず角膜に傷ができ、そこから入り込むという順序をたどります。

「傷が先、感染が後」——

だからこそ、浅い傷のうちに手を打つことに意味があります。

感染が加わると進行が速くなり、角膜が溶けるように深くなっていくことがあります。

昨日より、明らかに悪い——

そうした速さで進むのが感染が関わっているときの特徴です。

目やにの色が濃くなる、量が急に増える、白い濁りが広がる——

1日で変化が見えるならその日のうちに連絡してください。

そして、もともと角膜に傷がある犬では感染が加わりやすい——

だから、浅い傷でも抗生剤の点眼が処方されるのです。

④免疫のしくみが関わるもの

体の免疫が自分の角膜を攻撃してしまう——

そうしたタイプの角膜炎も知られています。

「パンヌス」と呼ばれる慢性表在性角膜炎はその代表で、シェパードなどで報告があります。

角膜に血管が伸び、赤みや色素の沈着が進む——

そして、紫外線で悪化することが知られています。

この場合、感染を叩く治療では改善しません。

免疫を抑える治療が必要になり、生涯にわたる管理になることが多いとされています。

「治す」のではなく「抑え続ける」——

薬をやめればまた進み始めるため、自己判断で中止しないことがとくに重要になります。

そして、紫外線を避けることも治療の一部になります。

日差しの強い時間帯の散歩を避ける、標高の高い場所では気をつける——

薬だけでなく、暮らし方でも支えられるタイプの病気だということです。

自然に治るのか、という問い

自然に治るかどうか
「様子を見ていい」ものは、ほとんどありません。

「様子を見ていれば治りますか」——

この問いへの答えは、ほとんどの場合ノーです。

自然に治るかどうか
原因 自然に治るか
ごく一時的な刺激 改善しうる。ただし受診が原則
まつげ・まぶたが当たる 治らない。当たり続けている
涙の不足 治らない。乾き続けている
感染 治らない。むしろ進行する
免疫が関わるもの 治らない。管理が必要
共通 原因が残る限り、続く

「治りうる」のは①の一部だけです。

そして、それが①なのかどうかは飼い主には分かりません。

見た目は同じでも、中身がまったく違う——それが「角膜炎」という言葉のやっかいなところです。

⚠ 様子を見ているあいだに、進みます

角膜には神経が多く通っています。

痛がっているなら、それはすでにつらい状態だということです。

目を細める。涙が増える。目をこする。

この時点で受診してください。市販の目薬は使わないでください。

見た目では、区別がつきません

ここまで4つの原因を見てきましたが、飼い主から見た症状は驚くほど似ています。

症状だけでは、原因は絞れません
症状 どの原因でも起こりうるか
目を細める ほぼすべての原因で起こる
涙が増える 刺激・感染・傷で共通
充血 炎症があれば、原因を問わず出る
白く濁る むくみとして、多くの原因で出る
目やに 性状は違うが、どれでも増える
目をこする 痛みやかゆみがあれば共通

「症状で見分ける」ことはできない——

それが、この病気で受診が必要な理由です。

動物病院では、いくつかの検査を組み合わせて原因を絞り込みます。

  • フルオレセイン染色——傷の有無と範囲を見る
  • 涙液量の検査——涙が足りているかを測る
  • まぶた・まつげの確認——当たっているものを探す
  • 眼圧の測定——緑内障などとの見分け
  • 細隙灯での観察——角膜の状態を詳しく見る
  • 必要に応じて、菌を調べる検査

これらは、1回の受診でまとめて行われることが多いものです。

「検査が多い」と感じるかもしれませんが、原因を外せば治療も外れます。

最初に絞り込んでおくこと結果的に近道になります。

放置すると、角膜は黒くなる

色素性角膜炎という結末
長引いた炎症は、角膜を黒く変えることがあります。

角膜炎を長く放置したときに起こることを知っておいてください。

角膜は本来、血管のない組織です。

透明であるために、血管がない——そういう構造をしています。

ところが、炎症が長く続くと周りから血管が伸びてきます。

放置したときの進み方
段階 起きること
初期 赤み、濁り、痛み
続くと 角膜に血管が伸びてくる
さらに 黒い色素が沈着し始める
進むと 角膜が黒く覆われていく
結末 視野が狭くなる。失明に至ることも

色素性角膜炎——

角膜が黒くなっていくこの状態は、いったん沈着した色素を元に戻すのが難しいという点で深刻です。

「目が黒っぽくなってきた」——

それは、何か月も何年も炎症が続いていた結果であることがあります。

とくに短頭種では目が乾きやすく、鼻のシワの毛が当たりやすいためこの経過をたどりやすいとされています。

短頭種の目の管理についてはペキニーズの記事でも解説しています。

紫外線という、見落とされる要因

免疫が関わるタイプの角膜炎では紫外線で悪化することが知られています。

そして、これは飼い主が変えられる要因でもあります。

  • 日差しの強い時間帯の散歩を避ける
  • 早朝と夕方以降に切り替える
  • 標高の高い場所では、とくに注意する
  • 雪や水面の反射も、光を強める
  • 屋外で過ごす時間そのものを見直す
  • 獣医師に相談のうえ、保護具を検討する

「標高の高い場所では、とくに注意する」——

紫外線の量は標高が上がるほど増えます。

高原へのキャンプや旅行悪化することがあると知っておいてください。

そして、雪や水面の反射

上から降る光だけでなく、下から返ってくる光も目に入ります。

「日陰にいれば安心」とは限らない——そこも覚えておいてください。

なお、犬用の保護めがねという道具も市販されています。

すべての犬が受け入れるわけではありませんが、屋外で過ごす時間の長い犬では検討する価値のある選択肢になります。

使うかどうかは、かかりつけの獣医師と相談して決めるようにしてください。

受診のときに伝えること

角膜炎のサイン
痛みの有無が、急ぎ方を分けます。

原因を絞り込むために、飼い主が伝えられる情報があります。

  • いつから症状が出たか
  • 片目か、両目か
  • 痛がっているか(目を細める・こする・涙)
  • 目やにの性状(さらさらか、ねばつくか)
  • 直前に何があったか(草むら、シャンプー、犬同士の遊び)
  • 過去に同じことがあったか

「片目か、両目か」——

これは、原因の絞り込みにとてもよく効きます。

片目だけなら外傷やまつげなど、その側だけの問題を考えやすくなります。

両目なら涙の不足や免疫の関わるものが候補に上がります。

そして、写真を撮っておくこと。

明るい場所で、フラッシュは使わずに——左右を並べて比べられるとなお役立ちます。

治療は、原因によって変わります

原因ごとの治療の方向
原因 治療の方向
外からの刺激 原因を取り除く。傷の治療
まつげ・まぶた 外科的な処置を検討する
涙の不足 涙を増やす点眼。生涯の管理
感染 抗菌薬などで叩く
免疫が関わるもの 免疫を抑える治療。紫外線対策も
共通 こすらせない。これも治療のうち

まったく逆の治療になることがある——という点に注意してください。

感染が疑われるときに使えない薬免疫が関わるときには必要になることもあります。

だからこそ、自己判断で目薬を使ってはいけないのです。

「前にもらった目薬が残っている」——

今回の原因が同じとは限りません。

そして、人用の目薬も使わないでください。

ステロイドが入っているもの角膜に傷があるときに使うと傷を深くすることがあります。

「目薬くらい」という感覚がいちばん危ない——

角膜は、薄く、透明で、取り返しのつきにくい組織だからです。

目薬を、続けるということ

角膜炎の治療では点眼が中心になります。

そして、原因によってはそれが何年も続きます。

点眼を続けるための工夫
困りごと できること
嫌がって逃げる 後ろから、視界に入らないようにさす
目を閉じてしまう あごを上げさせ、上まぶたを軽く引く
回数が多くて続かない 回数を減らせる薬がないか相談する
複数の薬がある 間隔をあける。順番を確認する
忘れてしまう 時間を決め、家族で分担する
容器が目に当たりそう 手を犬の頭に添えて固定する

「後ろからさす」——

正面から容器が近づいてくると犬は反射的に目を閉じます。

頭の後ろ側から手を回し、犬の視界に容器を入れないようにすると成功しやすくなります。

そして、点眼のあとに必ずおやつ

「目薬=いやなこと」にしてしまうと年単位で苦労します。

複数の薬を使うとき5分ほど間隔をあけるように言われることがあります。

続けてさすと先の薬が流れてしまうためです。

順番と間隔処方のときに確認しておいてください。

よくある質問

Q. 角膜炎とはどんな病気ですか?

A. ひとつの病気の名前ではなく、角膜に炎症が起きている状態の総称です。外からの刺激、乾燥、感染、免疫のしくみ——原因はまったく違うものが含まれます。

Q. 自然に治りますか?

A. ほとんどの場合、治りません。まつげが当たり続けている、涙が足りていない、感染している——原因が残っている限り、炎症は続きます。

Q. 角膜潰瘍とは違うのですか?

A. 角膜潰瘍は、角膜炎のうち組織が削れているものを指します。角膜炎という大きな枠の中に、潰瘍が含まれるという関係です。

Q. 目が黒っぽくなってきました

A. 色素性角膜炎かもしれません。炎症が長く続くと角膜に血管が伸び、黒い色素が沈着していきます。いったん沈着した色素を元に戻すのは難しいため、早めに受診してください。

Q. 片目と両目で、意味が違いますか?

A. 原因の絞り込みに、とてもよく効く情報です。片目だけなら外傷やまつげなどその側の問題、両目なら涙の不足や免疫の関わるものが候補に上がります。

Q. 市販の目薬を使ってもいいですか?

A. 使わないでください。原因によっては、まったく逆の治療になることがあります。感染が疑われるときに使えない薬が、免疫が関わるときには必要になることもあります。

Q. どのくらいで治りますか?

A. 原因によってまったく違います。一時的な刺激なら数日で改善することもありますが、涙の不足や免疫が関わる場合は、生涯にわたる管理になることがあります。

まとめ|「原因は何か」まで、聞く

「角膜炎です」——

その一言だけでは、何も分かりません。

数日で治るものかもしれないし、生涯の管理が必要なものかもしれない。

「原因は何ですか」もう一歩、聞いてみてください。

そして、「様子を見ていれば治る」という考え方はこの病気では通用しません。

原因が残っている限り、炎症は続きます。

続いた炎症は、角膜に血管を伸ばし、黒い色素を残していきます。

目を細める。涙が増える。

その時点が、受診すべきタイミングです。

角膜は、光を通すための透明な組織です。

そこを守りきれるかどうかそのまま見える世界を守ることにつながります。

今日できる3つ

  • 1片目か両目か、痛がっているかを確認して記録する
  • 2明るい場所で、フラッシュを使わずに目の写真を撮る
  • 3診断されたら「原因は何ですか」と、もう一歩聞いてみる

「角膜炎」は、原因の違うものをまとめた言葉です。中身を知ることが、見通しを知ることになります。

モフ@ペット好き

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