

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「ペキニーズの飼い方|眼球脱出を防ぐ抱き方と夏の管理」です。ではどうぞ!
犬の目が、飛び出すことがある——
にわかには信じがたい話かもしれません。
けれどペキニーズという犬種では、実際に起こりうる事故です。
首の後ろを強くつかんだ。顔を強くぶつけた。他の犬とけんかになった——
それだけで、眼球が眼窩から外れることがあります。
理由は、この犬種の顔の構造にあります。眼球を収めるくぼみが浅く、目が前に大きく出ているのです。
そしてもうひとつ。短頭種でありながら、厚い長毛を持っている——これは、日本の夏にはきわめて不利な組み合わせです。
この記事では、目を守る具体的な方法と、夏をどう越えるかを書いていきます。
結論
ペキニーズは眼窩が浅く、眼球が前に出ているため、首を強くつかむだけで眼球脱出が起こることがあります。首まわりに力をかけない——抱き方も、散歩の道具も、そこを基準に決めてください。そして短頭種+厚い長毛という熱を逃がしにくい体。室温28度以下と、換毛期の下毛の除去が夏を越える鍵になります。
この記事でわかること
- ✓眼球脱出という、起こりうる事故
- ✓目を守る抱き方と道具
- ✓角膜を傷つけない暮らし方
- ✓長毛と短頭種が重なった体
- ✓被毛の手入れと、換毛期
眼球脱出という、起こりうる事故

まずこの犬種の顔の構造を説明させてください。
眼窩(がんか)——頭蓋骨のなかで、眼球が収まっているくぼみのことです。
短頭種では、この眼窩が浅く、眼球が前に押し出されるような形になっています。
ペキニーズは、そのなかでもとくに浅い犬種のひとつです。
| 構造 | 普通の犬 | ペキニーズ |
|---|---|---|
| 眼窩の深さ | 十分に深い | 浅い |
| 眼球の位置 | 骨に守られている | 前に出ている |
| まばたき | 完全に閉じる | 閉じきらないことがある |
| 外からの刺激 | 受けにくい | 直接当たりやすい |
| 脱出のリスク | ほぼない | 強い衝撃で起こりうる |
⚠ 眼球が飛び出したときの、応急処置
絶対に、自分で押し戻さないでください。眼球や周囲の組織を傷つけます。
清潔なガーゼを生理食塩水かきれいな水で湿らせ、目の上にそっとかぶせてください。乾燥が、最も視力を奪います。
そのまま、すぐに動物病院へ。夜間でも構いません。戻せるかどうかは、経過した時間で決まります。
この事故は、日常のなかで起こります。
首輪を引っぱった。後ろから首を持ち上げた。ソファから落ちて顔を打った——
特別な状況でなくても、起こりうるということを知っておいてください。
目を守る、抱き方と道具

予防の基本は、単純です。
首まわりに、力をかけない。
- 首の後ろをつかんで持ち上げない
- 抱くときは、胸とお尻を支えて体に密着させる
- 散歩には首輪ではなくハーネスを使う
- 子どもに、犬の首や頭をつかませない
- ソファやベッドからの飛び降りをさせない
- 他の犬との激しい遊びを止める
ハーネスは、この犬種では選択ではなく必須だと考えてください。
首輪を引く力は、気管を圧迫すると同時に、眼球にも圧力をかけます。
そして子どもへの説明。
「この子の首と頭は、つかんではいけない場所」——これを、家族全員で共有しておいてください。
多頭飼いと、他の犬との接触
他の犬とのけんかは、この犬種にとって目の事故につながることがあります。
そして厄介なことに、ペキニーズは体の小ささに似合わない気の強さを持っています。
大型犬にも臆せず立ち向かう——この気質が、事故の引き金になることがあります。
ドッグランでは、小型犬エリアを使う体格差のある犬とは距離を取る——これは、臆病だからではなく、体の構造上必要な配慮です。
角膜を傷つけない、暮らし方
眼球脱出は、めったに起こらない事故です。
一方で角膜の傷は、日常的に起こります。
| 症状 | 何が起きているか | 対応 |
|---|---|---|
| 角膜潰瘍 | 目の表面に傷がつく | その日のうちに受診 |
| 色素性角膜炎 | 黒い色素が角膜を覆う | 刺激の原因を取り除く |
| 乾性角結膜炎 | 涙が足りず乾燥する | 点眼を継続する |
| 流涙症 | 涙があふれて毛が汚れる | 目の周りを拭く |
| まぶたが閉じきらない | 寝ているあいだに乾く | 朝の目やにを確認 |
目が白く濁って見えたら、その日のうちに受診してください。
角膜の傷は数日で急速に深くなることがあり、穴が開けば失明につながります。
目を細める、しきりに前足でこする、涙が急に増えた——これらも受診のサインです。
顔まわりの毛が、目に触れていないか
ペキニーズの顔には、長い毛が生えています。
その毛が、角膜に触れ続けている——これが慢性的な刺激となり、色素性角膜炎の一因になります。
目の周りの毛は、定期的に整えてください。
自分でカットするのが不安であれば、トリミングサロンで「目に毛が入らないように」と伝えるだけで対応してもらえます。
そして鼻のシワ。この犬種にも鼻の上に横向きのひだがあり、そこから生えた毛が目に当たっていることがあります。
長毛と短頭種が、重なった体

ここが、この犬種のもうひとつの課題です。
短頭種であることと厚い長毛を持っていること——この2つが重なると、熱を逃がす手段がほとんどなくなります。
| 要素 | 何が起きるか |
|---|---|
| 気道が狭い | 呼吸で体温を下げられない |
| 厚い下毛 | 体の熱が外に逃げない |
| 体が地面に近い | 路面の照り返しを受ける |
| ずんぐりした体型 | 体積に対して表面積が小さい |
| 結果 | 熱中症のリスクが高い |
犬は、汗をかいて体を冷やせません。口を開けて呼吸し、唾液を蒸発させるのが唯一の手段です。
その呼吸が苦手で、さらに毛皮まで着ている——日本の夏は、この犬種にとって過酷です。
- 室温28度以下、湿度50〜60%を保つ
- 留守中もエアコンを切らない
- 散歩は早朝と日没後のみ
- 路面に手の甲を5秒つけられるか確かめる
- 車内に短時間でも残さない
- 冷感マットを、犬が選べる場所に置く
湿度を見落とさないでください。
気化熱で冷やす仕組みである以上、空気が湿っていれば唾液は蒸発しません。除湿も併用してください。
短頭種の呼吸そのものについては短頭種の呼吸と体温の記事に詳しくまとめてあります。
被毛の手入れと、換毛期

ペキニーズはダブルコート——しかも下毛の量が非常に多い犬種です。
春と秋の換毛期には、驚くほどの毛が抜けます。
| 時期 | 手入れの頻度 | 使う道具 |
|---|---|---|
| 通常期 | 週3〜4回 | スリッカーブラシとコーム |
| 換毛期(春・秋) | 毎日 | アンダーコート用の道具も併用 |
| シャンプー | 月1〜2回 | 完全に乾かすことが必須 |
| トリミング | 2〜3か月に1回 | 足裏・肛門まわり・目の周り |
| 毛玉チェック | 毎日 | 耳のうしろ・脇・内股 |
毛玉は、皮膚のトラブルの入り口です。
毛が絡んで固まると、その下の皮膚は通気を失います。湿気がこもり、炎症が起こります。
できやすいのは、耳のうしろ、脇の下、内股、しっぽの飾り毛の根元——いずれも、こすれて動く場所です。
換毛期に下毛を取り切ると、夏が変わる
換毛期の手入れは、抜け毛を減らすためだけのものではありません。
古い下毛が残ったままだと、そこに熱と湿気がこもります。
夏を迎える前に、春の換毛をしっかり終わらせておく——これは、熱中症対策の一部だと考えてください。
ただし、丸刈りにはしないでください。
被毛は、直射日光から皮膚を守る役割も持っています。刈りすぎると、日焼けや皮膚のトラブルにつながります。
「下毛を減らす」のと「毛を短く刈る」のは別のことです。サロンでは、下毛の除去を依頼してください。
目のほかに、注意したい病気
目と呼吸と暑さ——この犬種ではここが中心になりますが、ほかにも知っておきたい病気があります。
| 病気 | 内容 | 気づき方 |
|---|---|---|
| 椎間板ヘルニア | 足が短く、胴が長い体型のため | 抱くと鳴く・段差を避ける |
| 膝蓋骨脱臼 | 小型犬に多い膝の脱臼 | スキップするように歩く |
| 僧帽弁閉鎖不全症 | 中高齢で増える心臓の病気 | 乾いた咳・散歩を嫌がる |
| 尿路結石 | 水分不足で起こりやすい | おしっこの回数が増える |
| 皮膚炎 | 毛玉の下や鼻のシワで起こる | 赤み・におい |
ペキニーズは、足が短く胴の長い体型です。
短い足をもたらす性質は、椎間板の変性も早めます。ダックスフンドと同じ仕組みです。
- フローリングに滑り止めマットを敷く
- ソファやベッドからの飛び降りをさせない
- 抱くときは背骨を水平に保つ
- 二本足で立たせる習慣をつくらない
- 適正体重を保つ——背骨と膝と心臓のすべてに効く
- 水をよく飲める場所を、複数用意する
床の滑り止めは、背骨にも膝にも、そして目にも効きます。
滑って転ぶこと自体が、顔をぶつける事故につながるためです。
背骨の詳しい話については椎間板ヘルニアの記事にまとめてあります。体型が似ているこの犬種にも、そのまま当てはまります。
しつけは、命令ではなく交渉で
ペキニーズのしつけは、難しいと言われます。
叱っても効きません。力で従わせようとすれば、より頑固になります。
この犬種は、「やらされる」ことを嫌います。
- 「やったら、いいことがある」という形で教える
- ほめるのは、行動した直後1秒以内に
- 一度に長く教えず、5分を1日数回に分ける
- できないときに叱るより、できたときにほめる回数を増やす
- 家族全員が同じ言葉とルールで接する
- 子犬のうちに、口・耳・足に触られることに慣らす
とくに「体に触られることに慣らす」のは、この犬種では重要です。
毎日のブラッシング、目のチェック、顔まわりのケア——これらを嫌がる犬になると、健康管理そのものが難しくなります。
子犬のうちから、触られたらいいことがあるという経験を積ませておいてください。
そして吠え。警戒心が強く、来客やインターホンに反応します。
子犬のうちからの社会化である程度は抑えられますが、この犬種の気質としてある程度は残ると考えておくほうが現実的です。
性格は、犬というより猫に近い
最後に、この犬種の気質について書いておきます。
ペキニーズは、独立心が強い犬種です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 体重 | 3.2〜5kg |
| 平均寿命 | 12〜15年 |
| 性格 | マイペース・誇り高い・頑固 |
| 運動量 | 1日2回、各15〜20分 |
| 吠え | 警戒心が強く、来客に吠える |
| 起源 | 中国の宮廷で愛された犬 |
中国の王室で、門外不出とされた犬でした。
「ライオン・ドッグ」と呼ばれ、王族が袖に入れて連れ歩いたと伝えられています。
その歴史が、気質に残っています。
べたべたと甘えてこない。呼んでも来ないことがある。気が乗らなければ動かない——
犬というより、猫に近いと評されることもあります。
けれど、信頼した相手には深い忠誠を示します。
従わせる犬ではなく、認めてもらう犬——そう考えると、この犬種との距離感がつかみやすくなります。
そばに来て、少し離れた場所で静かに寝ている——これが、この犬なりの愛情表現であることが少なくありません。
膝に乗ってこないから懐いていない、ということではないのです。
そしてその堂々とした佇まい。体重4kg前後の小さな体で、まったく物怖じしない——「ライオン・ドッグ」という呼び名がしっくりくる犬種だと思います。
迎える前に、整えておくこと
この犬種を迎えるにあたって、先に整えておきたいことをまとめておきます。
| 準備すること | 理由 |
|---|---|
| ハーネスを用意する | 首輪は気管と眼球に圧をかける |
| 床に滑り止めを敷く | 転倒が、背骨にも顔にも響く |
| ソファにスロープを置く | 飛び降りが事故の主な現場 |
| エアコンの設置と設定を確認 | 夏は留守中も切れない |
| ブラシとコームをそろえる | 手入れは迎えた日から始まる |
| 近くの動物病院を調べる | 目の急変は時間が勝負 |
「近くの動物病院を調べておく」——この犬種では、とくに意味を持ちます。
眼球脱出も、角膜の急な悪化も、時間が結果を決めるからです。
夜間や休日に対応してくれる病院を健康なうちに調べておいてください。
眼科を専門的に診られる病院が近くにあるかどうかも、確認しておく価値があります。
そして短頭種の麻酔経験。「短頭種の手術経験はありますか」と率直に尋ねて構いません。
よくある質問
Q. 本当に目が飛び出すことがあるのですか?
A. 起こりうる事故です。眼窩が浅く眼球が前に出ているため、首を強くつかむ、顔を強く打つといった衝撃で外れることがあります。起きた場合は自分で戻さず、湿らせたガーゼで覆ってすぐ受診してください。
Q. 首輪ではなく、ハーネスを使うべきですか?
A. この犬種では必須と考えてください。首輪を引く力は気管を圧迫すると同時に、眼球にも圧力をかけます。散歩の道具は、首まわりに力がかからないものを選んでください。
Q. 目が白く濁っています。
A. その日のうちに受診してください。角膜潰瘍の可能性があります。角膜の傷は数日で急速に深くなることがあり、穴が開けば失明につながります。
Q. 夏はどう管理すればいいですか?
A. 室温28度以下、湿度50〜60%を目安にしてください。短頭種でありながら厚い長毛を持つため、熱を逃がす手段が乏しい犬種です。留守中もエアコンを切らず、散歩は早朝と日没後だけにしてください。
Q. 夏は毛を短く刈ったほうがいいですか?
A. 丸刈りは避けてください。被毛は直射日光から皮膚を守る役割も持っています。必要なのは「短く刈る」ことではなく「下毛を取り切る」ことです。サロンでは下毛の除去を依頼してください。
Q. 抜け毛は多いですか?
A. 非常に多い犬種です。ダブルコートのなかでも下毛の量が多く、春と秋の換毛期には大量に抜けます。通常期は週3〜4回、換毛期は毎日のブラッシングが必要になります。
Q. 呼んでも来ないのですが、しつけの失敗でしょうか?
A. この犬種の気質によるところが大きいものです。宮廷で愛玩犬として過ごしてきた歴史から、独立心が強く自分のペースを持っています。従わせようとするより、信頼を得る方向で接するほうがうまくいきます。
まとめ|首に力をかけない、それだけで変わる
ペキニーズは、眼窩が浅く、目が前に出ている犬種です。
首を強くつかむだけで、眼球脱出が起こりうる——この一点を知っているかどうかで、暮らし方は変わります。
首まわりに力をかけない。抱き方も、散歩の道具も、そこを基準に決めてください。
そして短頭種+厚い長毛という、熱を逃がしにくい体。
室温28度以下と、換毛期に下毛を取り切ること——これが夏を越える鍵になります。
床の滑り止めも忘れないでください。転倒を防ぐことは、背骨と膝を守ると同時に、顔をぶつける事故を減らすことにもつながります。
マイペースで、誇り高く、簡単には懐かない。
手はかかります。毎日のブラッシング、目のチェック、夏の徹底した室温管理——楽な犬種ではありません。それでも、この顔とこの気位に惹かれる人は絶えません。
だからこそ、認めてもらえたときの喜びは格別なものになります。
今日から始める3つ
- 1首輪をハーネスに替え、抱くときは胸とお尻を支える
- 2目の周りの毛が角膜に触れていないか確認する
- 3夏に向けて、換毛期の下毛をしっかり取り切っておく
この犬種の目は、日常のなかで守るものです。首に力をかけないという一点が、いちばん確かな予防になります。

本日の「犬猫の悩みを即解決!」の記事「ペキニーズの飼い方|眼球脱出を防ぐ抱き方と夏の管理」でした。
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