

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫のブドウ膜炎|目なのに、血液検査をする理由」です。ではどうぞ!
目の中が、なんとなく濁って見える。
片方の瞳だけ、小さいままになっている。
そうして受診したら、「血液検査をしましょう」と言われることがあります。
目のことなのに、なぜ血液検査なのか。そこには、はっきりした理由があります。ブドウ膜は、全身の病気が映る場所だからです。
結論
ブドウ膜炎は眼球の中間層である「ブドウ膜」——虹彩、毛様体、脈絡膜——に炎症が起こる病気です。ブドウ膜は血管が豊富な組織であるため、全身の病気の影響を受けやすいという特徴があります。猫ではウイルス性感染症として猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIP)、猫免疫不全ウイルス(FIV)、猫白血病ウイルス(FeLV)などが、原虫症としてトキソプラズマが原因として挙げられます。とくにFIPは症状が重篤で、進行もほかのウイルスと比べ早い感染症です。一方で原因がよくわからない(特発性)ブドウ膜炎もあり、こうしたものには予防方法がありません。また、続発緑内障はブドウ膜炎が原因のひとつであり、FIVやFeLV、FIP、トキソプラズマ感染症などのウイルスや寄生虫感染症に伴って発症することもあります。そのため、目の炎症をきっかけに血液検査を含めた全身の検査を行うことになります。
この記事でわかること
- ✓ブドウ膜は、目の中にあります
- ✓血管が多いから、体のことが映ります
- ✓気づくきっかけは、瞳のあたりです
- ✓だから、血液検査をします
- ✓猫では、こういうものを探します
- ✓虹彩の色が変わったら、別に考えます
- ✓怖いのは、そのあとに来るものです
- ✓治療は、二つの面から進みます
ブドウ膜は、目の中にあります

まず、よくある誤解を解いておきます。
ブドウ膜は、目の表面をおおう膜ではありません。
目の、中間の層です
眼球は、三つの層でできています。
いちばん外側が角膜と強膜(白目の壁)。
いちばん内側が網膜。
そしてそのあいだにあるのがブドウ膜です。
三つの部分からできています
ブドウ膜は虹彩・毛様体・脈絡膜という三つの部分からできています。
虹彩は、猫の目の色に見えている部分です。瞳孔を開け閉めして、入る光の量を調節しています。
毛様体は、その奥にあってピントを合わせ、目の中を満たす水をつくっています。
脈絡膜は、いちばん奥で網膜に栄養を送っています。
名前は、見た目から来ています
なぜブドウ膜なのか——気になる方もいると思います。
この層だけを取り出すと、色と形が、ブドウの実に似ているのです。
血管が多く、暗い色をしている——それがこの名前の由来です。
血管が多いから、体のことが映ります
ブドウ膜のいちばんの特徴は、血管が豊富だということです。
血が運んでくるものが、届きます
血管が多いということは、血が運んでくるものが、そこへ届くということです。
ウイルスも、細菌も、免疫の細胞も、腫瘍の細胞も——血に乗って、ここへ来ます。
だから、体のどこかで起きていることが、目の中に現れます。
目は、体をのぞく窓です
目は、体の中を直接のぞける数少ない場所です。
血管も、神経も、切らずに見えるのは目だけです。
だからこそ、目に現れた変化が全身の病気を見つけるきっかけになります。
「目の異常で受診したら、別の病気が見つかった」——そういうことが、猫では実際に起こります。
気づくきっかけは、瞳のあたりです

この病気は、外から見て赤いとは限りません。
見るべきなのは瞳のあたりです。
瞳の大きさが、変わります
虹彩に炎症が起きると、瞳孔が小さくなったままになることがあります。
暗いところに連れていっても、片方だけ開かない——これは、はっきりした異常です。
左右を並べて見ると、よく分かります。
- 片方の瞳だけ、小さいままになっている
- 左右で、瞳の大きさが違う
- 目の中が、もやがかって見える
- 虹彩の色や模様が、変わってきた
- 黒目の下のほうに、血や白いものがたまっている
- 目を細めて、まぶしがっている
- ものにぶつかる、動きたがらない
痛みは、あります
目の中の炎症は、痛みます。
猫は目を細め、まぶしがり、顔をさわらせなくなります。
元気がない、食欲が落ちたという形で出ることもあります。
目のことだと気づかれないまま、「なんとなく調子が悪い」で来院する——そういう猫もいます。
見えているかどうかも、見てください
ものにぶつかる、段差でつまずく、高いところに登らなくなった——
こうした変化は、見えにくくなっている合図かもしれません。
猫はひげと記憶で、家の中を移動できてしまいます。
だから、見えなくなっていても気づかれにくいのです。家具の配置を変えたときに、はじめて分かることもあります。
だから、血液検査をします

ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。
目の炎症で受診したのに、血液を採られる。
それは、遠回りではありません。
原因が、体の側にあることが多いからです
ブドウ膜炎は結果です。
何かが炎症を起こさせている——その何かを見つけないと、抑えても抑えても戻ってきます。
そして猫では、その何かが全身の感染症であることが少なくありません。
眼圧も、必ず測ります
血液検査と並んで、眼圧の測定も行われます。
ブドウ膜炎では、眼圧が下がることもあれば、上がってしまうこともあるからです。
上がっていれば緑内障——つまりもっと急ぐ状態になっています。
数秒で終わる検査ですが、方針を大きく分けます。
猫では、こういうものを探します
では、何を探しているのか。
三つのウイルスと、一つの原虫
ウイルス性感染症としては、猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIP)、猫免疫不全ウイルス(FIV)、猫白血病ウイルス(FeLV)などが挙げられます。
そして原虫症では、トキソプラズマが原因になります。
| 探すもの | どういう相手か |
|---|---|
| FIP(猫伝染性腹膜炎) | 症状が重篤で、進行もほかのウイルスより早い |
| FIV(猫免疫不全ウイルス) | 免疫が落ち、さまざまな感染が起きやすくなる |
| FeLV(猫白血病ウイルス) | 免疫の低下や、腫瘍の背景になる |
| トキソプラズマ | 原虫。目に症状が出ることがある |
| 真菌(クリプトコッカスなど) | 鼻や神経の症状と一緒に出ることがある |
FIPは、とくに急ぎます
とくにFIPは症状が重篤で、進行もほかのウイルスと比べ早い感染症です。
FIPの血液検査では、血中総たんぱく濃度が著しく上昇していることが多く、また猫コロナウイルスの抗体価が上がります。
目の症状が、FIPの手がかりになることがある——これも、血液検査をする理由のひとつです。
感染以外にも、探すものがあります
感染だけが原因ではありません。
- 目のけが——爪や異物が、中まで届いたとき
- 腫瘍——目の中にできるもの、転移してくるもの
- 水晶体の異常——中の成分がもれ出したとき
- 高血圧——目の中の血管が傷むことがある
- 免疫の異常——自分の組織を攻撃してしまう
高血圧は、腎臓病や甲状腺の病気に伴って起こることがあります。
ここでもまた、体のほうを見ることになります。
原因が分からないことも、あります
原因がよくわからない(特発性)ブドウ膜炎もあります。
そしてこうしたものには、予防方法がありません。
「調べたのに原因が分からなかった」とがっかりされることがあると思います。
けれど、調べたことには意味があります。
重い感染症がないと分かったことが、そのまま治療の選び方につながるからです。
受診のときに、伝えてほしいこと
この病気では、暮らしの情報が診断を助けます。
- 外に出す暮らしをしているか
- 過去に、外にいた時期があるか
- ほかの猫とけんかをしたことがあるか
- ワクチンを受けているか
- 生の肉を食べる機会があるか
- 体重が減っていないか
- ほかの猫にも、同じ様子がないか
どれも、感染の可能性を絞るための情報です。
目とは関係ないように思える話ほど、この病気では役に立ちます。
虹彩の色が変わったら、別に考えます
片目の虹彩の色が、変わってきた。
茶色い斑が、少しずつ広がっている。
この場合、炎症とは別のものを考えることがあります。
色素の変化が、広がることがあります
猫の虹彩には、色素の斑ができることがあります。
そのままのものもあれば、広がっていくものもあります。
広がっていくものでは、腫瘍を考えることになります。
だから、写真を撮っておいてください
色の変化は、少しずつ進みます。
毎日見ていると、気づかないうちに変わっているものです。
気になる斑を見つけたら、写真を撮って日付を残してください。
数か月後に見比べる——それが、いちばん確かな判断材料になります。
🩺 記録が、診断を助けます
目の写真は、診察でとても役に立ちます。
いつの、どちらの目かが分かる形で残しておいてください。
フラッシュは使わず、明るい場所で正面から撮るときれいに写ります。
怖いのは、そのあとに来るものです

ブドウ膜炎そのものより、そのあとに来るもののほうが厄介です。
緑内障になることがあります
続発緑内障はブドウ膜炎が原因のひとつです。
炎症で目の中の水の流れがふさがれると、眼圧が上がります。
そして緑内障は、視神経を痛めます。
続発緑内障は、FIVやFeLV、FIP、トキソプラズマ感染症などのウイルスや寄生虫感染症に伴って発症することもあります。
網膜がはがれることもあります
炎症が奥まで及ぶと、網膜剥離を起こすことがあります。
網膜は、はがれると戻りにくい組織です。
だから、炎症を早く抑えることに意味があります。
視力は、戻らないことがあります
これらが起きてしまうと、視力が戻らないことがあります。
目そのものを摘出することになる場合もあります。
「目が濁っているだけ」に見えても、中では大きなことが起きている——そう考えて動いてください。
見えなくなった猫と、暮らすとき
視力が戻らなかった場合でも、猫は思いのほかうまく暮らします。
ただし、こちら側で整えておくことがあります。
| 整えること | なぜか |
|---|---|
| 家具の配置を変えない | 猫は、覚えた配置で移動している |
| 食器とトイレの場所を固定する | 迷わずたどり着ける場所が要る |
| 高いところへの段差を減らす | 踏み外しによるけがを防ぐ |
| 声をかけてから触る | 急に触られると、驚いて反射的に出る |
| 外に出さない | 見えない状態で外に出るのは危険 |
猫は、ひげと記憶と匂いで動けます。
変えないでいてあげることが、そのまま暮らしやすさになります。
治療は、二つの面から進みます
治療は二つの面から進みます。
炎症を抑えることと、原因を叩くこと
ひとつは目の炎症を抑えること。
もうひとつは原因になっているものを治療することです。
どちらか一方では足りません。
| 面 | やること |
|---|---|
| 目の炎症を抑える | 消炎の点眼。瞳孔を広げる点眼を使うこともある |
| 眼圧を管理する | 上がっていれば、下げる薬を使う |
| 感染が見つかれば | その病気に応じた全身の治療を行う |
| 原因が分からなければ | 炎症を抑えながら、経過を見ていく |
| 共通して | 角膜に傷がないか、先に確かめる |
角膜の傷を、先に確かめます
炎症を抑える点眼には、ステロイドが使われることがあります。
けれど角膜潰瘍があるときは、それを深くしてしまいます。
だから、染色して傷の有無を確かめてから薬を選びます。
家にある目薬を使ってはいけない理由も、ここにあります。
長く続けることになります
ブドウ膜炎の治療は、短期間では終わらないことが多いものです。
見た目が落ち着いても、中ではまだ炎症が残っています。
途中でやめると、ぶり返します。
そしてぶり返すたびに、目の中に変化が積み重なります。だから、指示された期間は続けてください。
⚠ こういうときは、その日のうちに
片方の瞳だけ、小さいままになっている。
目の中が、急に濁ってきた。
黒目の下に、血や白いものがたまっている。
目を開けられず、痛がっている。
ものにぶつかるようになった。
これらは目の中で何かが起きている合図です。
この記事の要点
ブドウ膜は目の表面ではなく、虹彩・毛様体・脈絡膜からなる目の中間層です。
血管が豊富なため、全身の病気の影響を受けやすい——だから血液検査をします。
猫ではFIP・FIV・FeLV・トキソプラズマを探します。とくにFIPは重篤で、進行が早いものです。
放っておくと続発緑内障や網膜剥離につながり、視力が戻らなくなることがあります。
Q. ブドウ膜炎とは、どんな病気ですか?
A. 眼球の中間層であるブドウ膜——虹彩、毛様体、脈絡膜——に炎症が起こる病気です。目の表面ではなく、目の中で起きている炎症です。
Q. ブドウ膜は、目の表面の膜ではないのですか?
A. 違います。目の中間の層です。外側が角膜と強膜、内側が網膜、その間にあるのがブドウ膜です。虹彩は、猫の目の色に見えている部分にあたります。
Q. なぜ血液検査をするのですか?
A. ブドウ膜は血管が豊富で、全身の病気の影響を受けやすいためです。目の炎症の原因が、体のほうにあることが少なくありません。
Q. どんな原因がありますか?
A. ウイルス性感染症としてFIP、FIV、FeLVなどが、原虫症としてトキソプラズマが挙げられます。このほか、外傷や腫瘍、原因不明のものもあります。
Q. FIPは、とくに危ないのですか?
A. 症状が重篤で、進行もほかのウイルスと比べ早い感染症です。血液検査では血中総たんぱく濃度が著しく上昇していることが多く、猫コロナウイルスの抗体価が上がります。
Q. 原因が分からないこともありますか?
A. あります。特発性ブドウ膜炎と呼ばれます。こうしたものには予防方法がありません。ただし重い感染症がないと分かること自体に意味があります。
Q. どんな症状で気づけますか?
A. 瞳のあたりを見てください。片方の瞳だけ小さいまま、左右で大きさが違う、目の中が濁る、虹彩の色が変わるといった変化が手がかりです。
Q. 痛みはありますか?
A. あります。目を細める、まぶしがる、顔をさわらせないといった様子が出ます。元気や食欲が落ちる形で現れることもあります。
Q. 緑内障になると聞きました
A. 続発緑内障は、ブドウ膜炎が原因のひとつです。また、FIVやFeLV、FIP、トキソプラズマ感染症などのウイルスや寄生虫感染症に伴って発症することもあります。
Q. 失明しますか?
A. 放っておけば、その危険があります。続発緑内障や網膜剥離を起こすと、視力が戻らないことがあります。早く炎症を抑えることに、大きな意味があります。
Q. 虹彩に茶色い斑ができました
A. 広がっていくかどうかを見てください。広がる場合は、腫瘍を考えることがあります。写真を撮って日付を残し、数か月後に見比べてください。
Q. 市販の目薬を使ってよいですか?
A. 使わないでください。炎症を抑える薬にはステロイドが入っていることがあり、角膜に傷があると深くしてしまいます。傷の有無は染めなければ分かりません。
Q. 治療はどのくらいかかりますか?
A. 短期間では終わらないことが多いものです。見た目が落ち着いても中では炎症が残っており、途中でやめるとぶり返します。指示された期間は続けてください。
Q. 予防はできますか?
A. 感染症については、防げるものがあります。完全室内飼育で外の猫との接触を避け、ワクチンを受けることがFIVやFeLVのリスクを下げます。特発性のものには、予防方法がありません。
まとめ|目の濁りは、体からの知らせです
ブドウ膜炎は、目の病気であって、目だけの病気ではありません。
ブドウ膜は血管が豊富な、目の中の層です。
だから、体のどこかで起きていることがそこに現れます。
「目なのに血液検査」は、遠回りではありません。むしろ、いちばんの近道です。
そして、この病気で怖いのはそのあとに来るものです。
続発緑内障、網膜剥離、そして視力の喪失。どれも、炎症を早く抑えることで避けられる可能性があります。
見るべきなのは白目ではなく、瞳のあたりです。
左右の瞳を並べて見る。それだけで気づけることが、この病気にはあります。
今日できる3つ
- 1明るい場所と暗い場所で、左右の瞳の大きさを比べる
- 2虹彩に斑がないか見て、あれば写真と日付を残す
- 3ものにぶつかっていないか、しばらく歩き方を見る
目の中の炎症は、体からの知らせであることがあります。血液検査を勧められたら、受けておいてください。

本日の「犬猫の悩みを即解決!」の記事「猫のブドウ膜炎|目なのに、血液検査をする理由」でした。
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