

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「犬の肛門周囲腺炎|床にこすりつける、あの行動から始まります」です。ではどうぞ!
床にお尻をこすりつけながら進んでいく——
あの行動を見たことがあると思います。
「面白いしぐさ」だと思われがちですが
あれには、理由があります。
お尻が気持ち悪い——
あるいは、痛い——
だから、どうにかしようとしているのです。
肛門周囲腺炎——
肛門のまわりで炎症が起きている状態です。
そして、この記事ではもうひとつ整理しておきたいことがあります。
よく混同される「肛門腺」とは別のものだということです。
結論
肛門周囲腺炎では犬がお尻部分を気にして舐める、床などに肛門部分を擦り付けるといった行動が見られます。悪化するとお尻の周辺で炎症が起こって赤く腫れ、肛門周辺の臭いがきつくなります。また排便の際に痛みを伴うので泣きわめいたり、便そのものが出にくくなるなどの症例もあります。原因は主に遺伝、肛門筋の発達不足、肛門部の不衛生などが考えられており、遺伝の具体的な犬種例としてジャーマン・シェパードでの発症例が多く確認されています。なお肛門周囲腺腫は去勢をしていないオスの犬でしばしば見られる良性腫瘍で、発生には男性ホルモンが関与していると考えられているため、未去勢の中高齢(6歳以上)のオスで多く見られます。
この記事でわかること
- ✓床にこすりつける、あの行動から
- ✓肛門腺(肛門嚢)とは、別のものです
- ✓こすりつける理由を、切り分けます
- ✓症状は、こう進んでいきます
- ✓未去勢のオスと、男性ホルモン
- ✓腫瘍になることもあります
- ✓家でできることと、相談したいこと
床にこすりつける、あの行動から

犬がお尻部分を気にして舐める
床などに肛門部分を擦り付けるといった行動——
これが、この病気の入口です。
- 座ったまま、お尻を床に押しつけて進む
- お尻ばかり、しつこく舐めている
- 肛門の周りが、赤く腫れている
- 肛門周辺のにおいが、きつくなった
- 排便のときに、鳴いたり嫌がったりする
- 便が出にくくなっている
「あの動きがかわいい」と思われていたのなら
一度、お尻を見てみてください。
赤くなっている腫れているにおいが強い——
そのどれかがあれば受診の理由になります。
明るいところで、見てください
お尻はふだん見ない場所です。
毛に隠れていることも多く異変に気づきにくい——
明るいところで毛を分けて見てみてください。
嫌がるなら無理をしないでください。
「触ると嫌がる」ことも伝えるべき情報です。
痛みがあるというしるしだからです。
肛門腺(肛門嚢)とは、別のものです

ここを整理しておくと話が分かりやすくなります。
「肛門腺を絞る」という言葉を聞いたことがあると思います。
あれは肛門嚢(こうもんのう)の話です。
| 肛門周囲腺 | 肛門嚢(肛門腺) | |
|---|---|---|
| 場所 | 肛門のまわりに広がる | 肛門の左右にある袋 |
| 役割 | 皮膚に関わる腺 | においのある分泌物をためる |
| ホルモン | 男性ホルモンの影響を受ける | とくに関係しない |
| 問題の起き方 | 炎症、腫瘍 | たまる、詰まる、破裂する |
| 多いのは | 未去勢のオス | オスメス問わず |
| 対応 | 炎症への治療、去勢の検討 | 定期的に絞る |
どちらも「お尻を気にする」という同じ行動で現れます。
だから、混同されやすいのです。
けれど、することは違います。
肛門嚢なら絞れば落ち着きます。
けれど、肛門周囲の炎症なら絞っても変わりません。
「絞ってもらったのにまだ気にしている」——
それは、別の原因を探す合図です。
肛門嚢のトラブルも、知っておいてください
別のものとはいえこちらも起きやすい問題です。
- 分泌物がたまると、気持ち悪くなる
- だから、床にこすりつける
- 詰まったままだと、炎症を起こす
- さらに進むと、腫れて破裂することもある
- 破裂すれば、お尻の横に穴があく
- そこまで行く前に、絞ることで防げる
小型犬やたまりやすい子では
定期的に絞ることがすすめられます。
どのくらいの間隔がよいかはその子によって違います。
「うちの子はどのくらいですか」と聞いてみてください。
トリミングのときにしてもらえることもあります。
こすりつける理由を、切り分けます

「お尻を気にする」という行動にはいくつもの原因があります。
| 原因 | 手がかり | すること |
|---|---|---|
| 肛門嚢がたまっている | 絞ると落ち着く | 定期的に絞る |
| 肛門周囲の炎症 | 赤く腫れ、においが強い | 炎症への治療 |
| 寄生虫 | 便に異常が出ることも | 便を調べてもらう |
| 皮膚のかゆみ | ほかの場所も痒がっている | 皮膚の病気を調べる |
| 腫瘍 | しこりが触れる | 調べてもらう |
| 便の問題 | 下痢や便秘が続いている | そちらへの対応も |
お尻だけではなくほかの場所も痒がっているのなら
皮膚の病気が背景にあるかもしれません。
アトピー性皮膚炎や食物アレルギーでは肛門のまわりも痒がることがあります。
そして、皮膚の脂が多い体質なら脂漏症が重なっていることもあります。
だから、受診のときには
「お尻以外も痒がっているか」を伝えてください。
症状は、こう進んでいきます
この病気は放っておくと進んでいきます。
悪化するとお尻の周辺で炎症が起こって赤く腫れ
肛門周辺の臭いがきつくなります。
| 段階 | 見えること |
|---|---|
| はじめ | お尻を気にして舐める、こすりつける |
| 進むと | 肛門の周りが赤く腫れてくる |
| さらに | においがきつくなる |
| 痛みが出ると | 排便のときに泣きわめく |
| それが続くと | 便そのものが出にくくなる |
| だから | 早いうちに気づきたい |
「便が出にくい」というところまで進むと
悪い循環に入ります。
痛いから我慢する——
我慢すれば便が硬くなる——
硬い便を出せばもっと痛い——
この循環を断つことが必要になります。
痛みを抑えることも便をやわらかくすることも
そのためにできる手当てです。
「便秘なだけ」と思って放っておくと
抜け出しにくくなります。
「排便のときに鳴く」——
これは、見過ごさないでほしいサインです。
原因として、考えられていること
原因は主に遺伝、肛門筋の発達不足、肛門部の不衛生などが
考えられています。
- 遺伝——ジャーマン・シェパードでの発症例が多い
- 肛門筋の発達不足
- 肛門部の不衛生
- 下痢が続いて、汚れやすくなっている
- 毛が長く、汚れが残りやすい
- これらが重なることも
「不衛生」ということばには気をつけてください。
飼い主を責めるものではありません。
下痢が続けば汚れます。
毛が長ければ残ります。
そこを整えられるという意味だと考えてください。
汚れにくくする、という工夫
整えられるところから手をつける——
| 工夫 | 内容 |
|---|---|
| 毛を短くする | お尻まわりだけでも、汚れが減る |
| 拭く | 排便後に、汚れていれば拭き取る |
| 便を整える | 下痢が続くなら、そちらも相談する |
| 寝床 | 清潔に保つ |
| 体重 | 太りすぎると、自分で舐められなくなる |
| 観察 | 汚れていないか、ときどき見る |
意外と見落とされるのが体重です。
太ってくると自分でお尻まで届かなくなります。
毛づくろいができなくなれば汚れが残ります。
そこから炎症が起きることもあるのです。
体重管理もこの病気に関わってきます。
未去勢のオスと、男性ホルモン
ここは、この記事でもうひとつ大事なところです。
肛門周囲腺腫は去勢をしていないオスの犬でしばしば見られる良性腫瘍です。
発生には男性ホルモンが関与していると考えられているため
未去勢の中高齢(6歳以上)のオスで多く見られます。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 性別 | オス |
| 去勢 | していない |
| 年齢 | 中高齢(6歳以上) |
| 関わるもの | 男性ホルモン |
| できるもの | 良性腫瘍(肛門周囲腺腫) |
| だから | 去勢が、予防にも治療にもなりうる |
「ホルモンが関わっている」ということは
そのホルモンを止めれば変わるということです。
去勢手術はその他にも精巣腫瘍や肛門周囲腺腫、会陰ヘルニアなど
性ホルモンに関わる病気の発症を予防するとされています。
さらに尿の臭いが緩和しマーキングやマウンティングといった問題行動の改善も期待できます。
🩺 治療としての去勢という選択
「もう歳だから」と去勢を見送ることがあります。
けれど、この病気がすでに出ているなら
去勢が治療の一部になることがあります。
年齢や体の状態を見たうえで判断されます。
「うちの子にはどうでしょうか」と聞いてみてください。
予防としてだけではなく治療としての去勢もあるのです。
腫瘍になることもあります
肛門のまわりにしこりができている——
そういうときには腫瘍を考えます。
肛門周囲腺腫は良性腫瘍だとされています。
- 肛門のまわりに、しこりが触れる
- ぷくっとふくらんでいる
- 大きくなってきている
- 表面が、ただれてきた
- 出血することがある
- 未去勢のオスで、6歳以上
「良性」と聞くと安心されるかもしれません。
けれど、放っておいてよいという意味ではありません。
大きくなればただれたり出血したりします。
排便にも関わってきます。
そして、似た場所にできるもののすべてが良性とは限りません。
触れたのなら見てもらってください。
見つけたら、大きさを記録する
しこりを見つけたとき——
すぐに受診できないこともあります。
| 記録すること | なぜ |
|---|---|
| 見つけた日 | いつからあるか分かる |
| 大きさ | 変化しているかが分かる |
| 場所 | 肛門のどのあたりか |
| 数 | ひとつか、いくつもあるか |
| 見た目 | 写真を撮っておくと確実 |
| 変化 | ただれ、出血がないか |
身近なものと比べると伝えやすくなります。
「小豆くらい」「大豆くらい」——
そういう表現でかまいません。
そして、写真——
並べて比べられるように撮っておいてください。
家でできることと、相談したいこと

家でできることは清潔に保つことと見ておくことです。
| すること | 内容 |
|---|---|
| 見る | 明るいところで、毛を分けて確かめる |
| 清潔に | 汚れていれば、やさしく拭く |
| 毛の手入れ | 汚れが残りにくいように整える |
| 便の状態 | 下痢が続いていないか見る |
| 記録する | いつから、どのくらい気にしているか |
| 相談する | 絞り方や、去勢について聞いてみる |
ただし、強くこすったり消毒薬を自己判断で使ったりは
避けてください。
炎症を起こしている皮膚は刺激に弱くなっています。
よかれと思って悪くしてしまうことがあります。
そして、肛門嚢を絞る——
やり方を教えてもらえることがあります。
けれど、自己流ではかえって傷めます。
一度、見せてもらってから始めてください。
力の入れ方や押さえる場所は言葉だけでは伝わりません。
その場で手を添えてもらうのがいちばん確実です。
受診のときに、伝えたいこと
お尻の症状は言い出しにくいと感じられるかもしれません。
けれど、よくある相談です。
- いつから気にしているか
- どのくらいの頻度でこすりつけるか
- 肛門腺を絞ったことがあるか。そのあとどうだったか
- 排便のときに、鳴いたり嫌がったりするか
- 便の状態(下痢や便秘が続いていないか)
- お尻以外も痒がっているか
- 去勢しているかどうか
とくに、「去勢しているか」——
この一言が診断の方向を変えます。
未去勢の中高齢のオスなら
ホルモンが関わる病気を考える理由になるからです。
そして、「言いにくいこと」ほど伝える価値があります。
においが強い汚れやすい触ると嫌がる——
どれも、診断の材料です。
「こんなことまで」と思わずに話してみてください。
よくある質問
Q. お尻を床にこすりつけるのは、病気ですか?
A. 理由があることが多い行動です。肛門周囲腺炎では、お尻部分を気にして舐める、床などに肛門部分を擦り付けるといった行動が見られます。一度、お尻の周りを見てみてください。
Q. 肛門腺を絞れば、治りますか?
A. 原因によります。肛門嚢がたまっているだけなら絞ることで落ち着きますが、肛門のまわりで炎症が起きているなら、絞っても変わりません。「絞ったのに、まだ気にしている」なら、別の原因を探す合図です。
Q. 肛門周囲腺と肛門腺は、同じものですか?
A. 別のものです。肛門嚢(一般に肛門腺と呼ばれるもの)は、肛門の左右にあるにおいのある分泌物をためる袋で、たまると絞る必要があります。肛門周囲腺は肛門のまわりに広がる腺で、男性ホルモンの影響を受けます。
Q. どんな症状が出ますか?
A. 悪化すると、お尻の周辺で炎症が起こって赤く腫れます。肛門周辺の臭いがきつくなり、排便の際に痛みを伴うので泣きわめいたり、便そのものが出にくくなることもあります。
Q. 原因は何ですか?
A. 主に遺伝、肛門筋の発達不足、肛門部の不衛生などが考えられています。遺伝の具体的な犬種例としては、ジャーマン・シェパードでの発症例が多く確認されています。
Q. 去勢は関係ありますか?
A. 肛門周囲腺腫では、大いに関係します。これは去勢をしていないオスの犬でしばしば見られる良性腫瘍で、発生には男性ホルモンが関与していると考えられているため、未去勢の中高齢(6歳以上)のオスで多く見られます。
Q. 去勢には、ほかにどんな意味がありますか?
A. 性ホルモンに関わる病気の予防になります。精巣腫瘍や肛門周囲腺腫、会陰ヘルニアなどの発症を予防するほか、尿の臭いが緩和し、マーキングやマウンティングといった問題行動の改善も期待できるとされています。
Q. しこりが触れますが、良性なら大丈夫ですか?
A. 放っておいてよいという意味ではありません。大きくなればただれたり出血したりしますし、排便にも関わってきます。また、似た場所にできるもののすべてが良性とは限りません。
Q. 太っていることは、関係ありますか?
A. 関わってきます。太ってくると自分でお尻まで届かなくなり、毛づくろいができなくなります。汚れが残れば、そこから炎症が起きることもあります。体重管理も、この病気に関わる要素のひとつです。
Q. しこりの大きさは、どう伝えればよいですか?
A. 身近なものと比べてかまいません。「小豆くらい」「大豆くらい」といった表現でじゅうぶんです。写真を撮っておくと、変化しているかどうかも分かります。
Q. 家では何をすればよいですか?
A. 清潔に保つことと、見ておくことです。汚れていればやさしく拭き、毛の手入れで汚れが残りにくいようにします。ただし、強くこすったり消毒薬を自己判断で使ったりは避けてください。
まとめ|あのしぐさを、見過ごさないでください
この記事でいちばん伝えたかったことは
「床にこすりつける」という行動には理由があるということです。
そして、その理由はひとつではありません。
肛門嚢がたまっているのか
まわりで炎症が起きているのか
皮膚の病気が背景にあるのか——
そこを切り分けることから始まります。
そして、未去勢のオスで6歳を過ぎているなら
ホルモンの関わる病気も考えてみてください。
お尻はふだん見ない場所です。
だから、気づくのが遅れます。
けれど、犬のほうはずっと前から教えていたのです。
あの姿勢で、床にこすりつけながら——
今日できる3つ
- 1明るいところで、お尻の周りを見てみる
- 2しこりが触れないか、そっと確かめる
- 3去勢しているかどうかを、受診のときに必ず伝える
見えにくい場所だからこそ、見過ごされます。あのしぐさは、教えてくれているのです。

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