

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「犬の水頭症|「覚えない子」に、見えてしまう病気」です。ではどうぞ!
なかなか、トイレを覚えない。
名前を呼んでも、反応が薄い。
ときどき、同じ場所をぐるぐる回っている——
「この子はちょっと変わっているのかな」——
そう受け取られてしまうことがある病気があります。
水頭症です。
脳のなかにある脳脊髄液が過剰にたまり、脳を圧迫してしまう病気——
そして、この病気には見た目で気づける手がかりがあります。
頭がドーム状に大きく丸い。頭のてっぺんを押すと、へこむ。両目が外を向いている——
子犬を迎えた方にぜひ知っておいてほしいことを書きます。
結論
水頭症は脳のなかの脳脊髄液が過剰にたまり、脳を圧迫する病気です。先天性の水頭症の犬では頭がドーム状で大きく丸い、泉門(頭のてっぺんにある骨のない部分)が成長しても開いているため頭頂部を押すとへこむ、両目に斜視がみられるといった特徴が観察されます。チワワに多いことで有名ですが、トイ・プードル、ヨークシャー・テリア、ポメラニアンといった小型犬も好発犬種として知られています。内科的治療では、脳圧を下げるために利尿薬やステロイド薬を投与し、けいれん発作があれば抑える薬を用います。外科的治療では、脳室からお腹へ弁のついた管を設置して余分な脳脊髄液を排出する手術が行われることもあります。
この記事でわかること
- ✓頭の形で、気づけることがあります
- ✓泉門は、いつ閉じるのか
- ✓「覚えない子」に見えてしまう
- ✓目が外を向くという、サイン
- ✓脳で、何が起きているのか
- ✓内科と外科、2つの治療
- ✓迎えたばかりの方へ
頭の形で、気づけることがあります

先天性の病気の多くは見た目では分かりません。
心臓の病気も肝臓の血管の異常も検査をしてはじめて分かるものです。
けれど、この病気には外から気づける手がかりがあります。
| 確かめること | 見えること |
|---|---|
| 頭の形 | ドーム状で、大きく丸い |
| 頭のてっぺん | 押すとへこむ部分が残っている |
| 目の向き | 両目が外を向いている |
| 体格 | 同腹の子より小さいことがある |
| 行動 | 覚えない、同じ場所を回る、ぼんやり |
| 重くなると | けいれん発作が起こる |
ドーム状の頭——
丸くて大きい頭は小型犬では「かわいい特徴」として受け取られることがあります。
アップルヘッドと呼ばれる形をもつ犬種もありますから形だけで決めることはできません。
けれど、ほかの手がかりと重なっているなら調べてもらう理由になります。
とくにチワワに多いことで有名ですがトイ・プードル、ヨークシャー・テリア、ポメラニアンといった小型犬も好発犬種として知られています。
こうした犬種を迎えたなら一度、触って確かめてみてください。何もなければそれが分かるだけでも安心できます。
泉門は、いつ閉じるのか

ここで、誤解を避けるために書いておきたいことがあります。
子犬の頭のてっぺんがやわらかいこと自体は異常ではありません。
泉門——頭の骨と骨のあいだに残っているすきまは生まれたばかりの子犬にはあって当たり前のものです。
- 生まれたときは、骨のあいだにすきまがある
- 成長にともなって、骨が伸びて閉じていく
- 多くは、数か月のうちに触っても分からなくなる
- 閉じる時期には、個体差がある
- 小型犬では、少し遅いこともある
- 問題は「成長しても開いたまま」であること
つまり、見るべきは「あるかどうか」ではなく「いつまで残っているか」です。
成長しても泉門が開いている——
それは、頭のなかの圧が高くて骨が閉じられない可能性を示します。
強く押さないでください
泉門が開いているということはそこには骨がないということです。
その下には脳があります。
確かめようとして強く押すことは絶対に避けてください。
そっと指の腹で触れる——それで十分です。
頭の上を手のひらで包むようにそっとなでてやわらかい部分が触れるか——それくらいの力で十分に分かります。
そして、気になったなら受診のときに見てもらってください。
泉門が開口している場合その開口部分から脳脊髄液の状態を確認できることがあります。
骨がない部分から超音波を当てられるからです。
ただし、脳の全体をエコー検査のみで観察することは困難でより精密な診断を行う場合には画像検査が用いられます。
「覚えない子」に見えてしまう

ここが、この記事でもっとも伝えたい部分です。
この病気の症状は「しつけの問題」や「性格」に見えてしまうことがあります。
- トイレを、なかなか覚えない
- 名前を呼んでも、反応が薄い
- 同じことを何度教えても、身につかない
- ぼんやりして、反応が鈍い
- 同じ場所をぐるぐる回っている
- ときどき、ふらついたり倒れたりする
これらを見て「頭が悪い子」だと思ってしまう——
あるいは、「しつけの仕方が悪いのだろうか」と飼い主が自分を責めてしまう——
けれど、その背景に脳の圧迫があるならそれはしつけの問題ではありません。
覚えられないのではなく覚えるための脳が圧迫されている——
そういう状態だと受け取ってください。
とくに、「同じ場所をぐるぐる回る」という動作——
旋回運動と呼ばれる神経症状です。
楽しくて回っているのとはまったく違います。呼びかけても止まらないのが見分けの手がかりです。
同じ方向に、止まらずに回り続ける——
そういう場面を見たなら動画を撮って受診してください。
そして、飼い主が自分を責める必要はありません。
「しつけの仕方が悪かったのだろうか」と思ってこられた方もおられるはずです。
けれど、脳が圧迫されているのならどれだけ丁寧に教えても難しいことがあります。
原因が分かれば接し方も変えられます。それだけでも調べる意味があります。
そして、けいれん発作が起きることもあります。
若い犬で発作が起きたときこの病気は候補のひとつになります。
発作そのものへの対応はてんかんの記事で解説しています。
目が外を向くという、サイン
もうひとつ、見た目に現れるものがあります。
両目に斜視がみられる——
黒目が外側の下を向いているように見えることがあります。
| 特徴 | 説明 |
|---|---|
| 向き | 外側、あるいは外下方を向く |
| 両目か | 両方に見られることが多い |
| いつから | 幼いうちから、そうであることが多い |
| 変化 | 「そういう顔立ち」と受け取られやすい |
| ほかの手がかり | 頭の形や泉門とあわせて見る |
| 確認 | 正面から、両目を見比べる |
斜視は「その子の顔立ち」だと受け取られやすいものです。
とくに、生まれたときからそうであるなら比べる対象がありません。
だから、正面から両目を見比べてみてください。
そして、頭の形や泉門の状態とあわせて考える——
ひとつだけでは決められませんが複数が重なるなら調べてもらう理由になります。
脳で、何が起きているのか
脳のなかには脳室という空間があります。
そこで作られる脳脊髄液が脳と脊髄のまわりをめぐり、吸収されていく——
作られる量と吸収される量がつり合っているのがふつうの状態です。
そのつり合いが崩れると液がたまり、脳室が広がっていきます。
そして、広がった脳室が周りの脳組織を内側から押していく——
それが、この病気で起きていることです。
だから、症状は「どこが押されているか」で変わってきます。
学習や行動に関わる部分が押されれば覚えられなくなり——
ほかの部分が押されればふらつきや発作が出てきます。
そして、圧が高い状態が続けば症状は進んでいきます。
| 原因 | 説明 |
|---|---|
| 先天性 | 生まれつき、流れや吸収に問題がある |
| 通り道の狭さ | 脳室から出ていく道が細い |
| 吸収の問題 | 作られる量に、吸収が追いつかない |
| 後天性 | 炎症や腫瘍などが、流れをふさぐ |
| 発症の時期 | 先天性は1歳未満で気づかれることが多い |
| 診断 | 画像検査で、脳室の広がりを確かめる |
先天性のものは1歳未満の子犬で気づかれることが多くなります。
成長するにつれてできることが増えていく時期にほかの子と差が出てくるからです。
一方、あとから起こるものもあります。
脳の炎症やできものが脳脊髄液の流れをふさいでしまう——
成犬になってから急に症状が出たならそちらを考えることになります。
内科と外科、2つの治療

治療には内科的治療と外科的治療があります。
| 方法 | 内容 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 利尿薬 | 脳圧を下げる | 内科治療の中心 |
| ステロイド薬 | 圧を下げる目的で使われる | 状態に応じて |
| 発作を抑える薬 | けいれんが起きている場合に | あわせて用いる |
| 脳脊髄液を抜く | 針で直接、抜く処置 | 状況に応じて行われる |
| シャント手術 | 脳室からお腹へ、弁のついた管を通す | 根本的な対応 |
| 共通 | 圧を下げることが目的 | 症状の程度で選ばれる |
内科的治療では脳圧を下げるために利尿薬の投与やステロイド薬の投与を行います。
けいれん発作が起こっている場合には発作を抑える薬を投与します。
外科的治療では直接針を頭に刺して脳脊髄液を抜く処置や脳室からお腹に余分な脳脊髄液を排出するために弁の付いた管を設置する手術が行われることもあります。
「お腹へ流す」——
不思議に思われるかもしれません。
けれど、たまり続ける液を逃がす先が必要です。
お腹のなかなら吸収されていく——
そういう仕組みです。
どちらを選ぶかは症状の程度で決まります。
薬で症状が抑えられているならそのまま続けるという判断もあります。
けれど、薬では追いつかない、発作が繰り返されるなら手術を考える段階になります。
年齢や体格も判断に関わってきます。
とても小さな子犬ではある程度成長を待つということもあります。
🩺 手術のあとも、見ていきます
この手術には設備と技術が必要です。
行える施設は限られるため紹介になることも多くなります。
そして、管を入れたあとにも定期的に見ていく必要があります。
詰まる、位置がずれるといったことが起こりうるからです。
「手術して終わり」ではなく「そこから管理が始まる」——そう考えて臨んでください。
迎えたばかりの方へ
子犬を迎えて間もないなら確かめてほしいことをまとめます。
- 頭の形が、極端にドーム状ではないか
- 頭のてっぺんに、へこむ部分が残っていないか
- 両目が、外を向いていないか
- 同腹の子と比べて、小さくないか
- 同じ場所を回るような動きがないか
- 気になったら、健診のときに伝える
そして、「覚えが悪い」と感じているならそれも伝えてください。
しつけの相談として話し始めた内容から病気が見つかることがあります。
好発犬種——チワワやトイ・プードル、ヨークシャー・テリア、ポメラニアンならとくに——
そして、同じ小型犬では首の骨の問題も知られています。
ふらつく、痛がるという症状ならそちらも考えることになります。
低血糖でふらつく子犬もいます。
詳しくは低血糖症の記事で解説しています。
先天性の病気が見つかったときの販売元への伝え方については心室中隔欠損症の記事でも触れています。
症状が軽い場合
脳室が広がっていても症状がほとんど出ないことがあります。
画像で見つかったけれどふつうに暮らしている——
そういう場合にはすぐに治療せず経過を見るという判断もあります。
大切なのは「変化に気づけること」です。
ふらつきが増えた、反応が鈍くなった、発作が起きた——
そうした変化が出てきたら予定を待たずに受診してください。
暮らしのなかで、できること
この病気の犬と暮らしていくうえで気をつけたいことを挙げます。
- 頭をぶつけないよう、家具の角を保護する
- 泉門が開いているなら、そこを守る
- 高いところから飛び降りさせない
- 強く興奮させる遊びを避ける
- 薬は決まった時間に、必ず飲ませる
- できないことを、無理に教え込まない
とくに、泉門が開いている犬では頭を守ることが大切です。
骨がない部分に強い衝撃が加われば危険だからです。
そして「無理に教え込まない」——
覚えられないことを繰り返し求められるのは本人にとってもつらいことです。
できることをできる範囲で——
そう切り替えられるだけでも暮らしは楽になります。
よくある質問
Q. 水頭症とはどんな病気ですか?
A. 脳のなかの脳脊髄液が過剰にたまり、脳を圧迫する病気です。作られる量と吸収される量のつり合いが崩れることで脳室が広がり、周りの脳組織を内側から押していきます。
Q. 見た目で分かりますか?
A. 手がかりはあります。頭がドーム状で大きく丸い、頭頂部を押すとへこむ部分が残っている、両目に斜視がみられる——こうした特徴が観察されます。ただし、ひとつだけで決めることはできません。
Q. 子犬の頭が柔らかいのは異常ですか?
A. 生まれたばかりの子犬では、当たり前のことです。頭の骨のあいだのすきま(泉門)は成長とともに閉じていきます。問題は「成長しても開いたまま」であること。中の圧が高くて骨が閉じられない可能性を考えます。
Q. なりやすい犬種はありますか?
A. チワワに多いことで有名です。そのほか、トイ・プードル、ヨークシャー・テリア、ポメラニアンといった小型犬も好発犬種として知られています。
Q. しつけを覚えないのですが
A. 脳が圧迫されていることが背景にあるかもしれません。トイレを覚えない、名前に反応しない、同じ場所をぐるぐる回る——これらは性格やしつけの問題に見えますが、神経症状のことがあります。
Q. 治療法はありますか?
A. 内科的治療と外科的治療があります。内科では脳圧を下げるために利尿薬やステロイド薬を投与し、けいれん発作があれば抑える薬を用います。外科では、脳室からお腹へ弁のついた管を設置する手術が行われることもあります。
Q. なぜ、お腹へ流すのですか?
A. たまり続ける液を逃がす先が必要だからです。お腹のなかであれば、余分な脳脊髄液が吸収されていきます。ただし、管が詰まったり位置がずれたりすることがあるため、手術後も定期的に見ていく必要があります。
まとめ|性格のせいに、しないでください
この病気でいちばん伝えたいことはひとつです。
「覚えない子」だと決めつけないでください。
トイレを覚えない。名前に反応しない。同じ場所を回る——
それらはしつけの問題や性格ではなく神経の症状かもしれません。
そして、この病気には見た目の手がかりがあります。
ドーム状に丸い頭。押すとへこむ頭のてっぺん。外を向いた両目——
子犬を迎えたら一度、そっと触って確かめてみてください。
強く押さないことだけ気をつけてそっと触れてください。
気になることがあれば健診のときに伝えてください。
そして、この病気が見つかったとしても症状の程度はさまざまです。
脳室が広がっていてもふつうに暮らしている犬もいます。
「病名がついたこと」と「その子がどう過ごせるか」は別の話です。
まずは、いまの状態を確かめるところから始めてください。
今日できる3つ
- 1頭の形と、てっぺんの状態をそっと確かめる(強く押さない)
- 2正面から、両目の向きを見比べる
- 3「覚えが悪い」と感じているなら、次の受診で伝える
しつけの問題に、見えてしまう病気です。その前に、頭を確かめてください。

本日の「犬猫の悩みを即解決!」の記事「犬の水頭症|「覚えない子」に、見えてしまう病気」でした。
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