

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「パグの顔と皮膚|シワの手入れと、パグ脳炎という病気」です。ではどうぞ!
パグの顔には、深いシワがあります。
あの顔立ちこそが、この犬種を選ぶ理由だという方は多いでしょう。困ったような、笑っているような、何とも言えない表情。
けれどそのシワの奥を毎日のぞいたことは、あるでしょうか。
湿気と皮脂がこもり、細菌が増えやすい環境——それが、シワの内側です。
そして前に飛び出した大きな目。愛らしさの源ですが、外からの刺激をまともに受ける構造でもあります。
この記事では、顔まわりの毎日のケアと、この犬種特有の「パグ脳炎」という病気について書いていきます。
呼吸と暑さへの対策についてはパグの呼吸と体温の記事にまとめてあります。
結論
パグの深いシワは、毎日拭かなければ皮膚炎の温床になります。1日1分——濡らしたコットンで拭き、必ず水気を取るのが基本です。前に出た目は角膜を傷つけやすく、白く濁ったらその日のうちに受診してください。そしてパグ脳炎(壊死性髄膜脳炎)——1〜3歳という若さで起こる病気です。けいれんは、様子を見てよいサインではありません。
この記事でわかること
- ✓シワの奥で起きていること
- ✓1日1分でできる顔のケア
- ✓飛び出した目を守る方法
- ✓皮膚トラブルが起きやすい5か所
- ✓パグ脳炎という、若齢の病気
シワの奥で、何が起きているのか
まずあのシワの構造から説明させてください。
パグの顔のシワは、皮膚が余っていることでできています。
頭蓋骨が短くなったのに、皮膚の面積は変わらなかった——その余りが、折り重なってシワになっているのです。
| 条件 | シワの奥の状態 |
|---|---|
| 通気 | ほとんどない |
| 湿度 | 常に高い(涙・よだれ) |
| 温度 | 体温で温かい |
| 栄養 | 皮脂と汚れがたまる |
| 結果 | 細菌と酵母が増えやすい |
温かく、湿っていて、通気がなく、栄養もある——
これは細菌にとって、理想的な環境です。
皮膚のひだのあいだで起こる炎症を間擦性皮膚炎(かんさつせいひふえん)と呼びます。
放っておくと、どうなるか
赤くなる→においが出る→黒ずんでくる→ただれる——
この順に進んでいきます。
そして痒み。犬は顔を床にこすりつけたり、後ろ足で掻いたりします。
掻けば傷になり、傷にはさらに菌が入ります。
においで気づくことが多い病気です。顔に鼻を近づけたとき、酸っぱいようなにおいがしたら受診してください。
1日1分でできる、顔のケア

予防は、驚くほど簡単です。
毎日、拭く。それだけで、ほとんどのトラブルは防げます。
- 指でシワを開き、奥まで見る
- ぬるま湯で濡らしたコットンで、やさしく拭く
- 乾いた布かティッシュで、水気を必ず取る
- ゴシゴシこすらない——皮膚を傷める
- アルコール入りのウェットティッシュは使わない
- 1日1回、決まったタイミングで習慣にする
もっとも大切なのは、最後に水気を取ることです。
濡れたまま放置すれば、拭く前より悪い状態になります。拭くこと自体より、乾かすことのほうが重要だと覚えておいてください。
タイミングは、食後がおすすめです。口のまわりの食べかすも一緒に片づけられます。
⚠ 市販のウェットティッシュを選ぶときは
アルコールや香料が入ったものは避けてください。皮膚を乾燥させ、刺激になります。
犬用の、無香料・ノンアルコールを選ぶか、ぬるま湯で濡らしたコットンで十分です。
すでに赤みやにおいが出ている場合は、市販品で対処せず動物病院で薬用シャンプーや外用薬を処方してもらってください。
飛び出した目を、どう守るか

パグの目は、大きく前に出ています。
眼窩(がんか)——眼球が収まる骨のくぼみ——が浅いためです。
この構造は、いくつかの問題を生みます。
| 問題 | 内容 | サイン |
|---|---|---|
| 角膜潰瘍 | 目の表面に傷がつく | 目を細める・涙が増える |
| 色素性角膜炎 | 黒い色素が角膜を覆う | 目に黒い膜が広がる |
| 乾性角結膜炎 | 涙の量が足りない | 目やにがねばつく |
| 眼球脱出 | 衝撃で眼球が飛び出す | 緊急事態 |
| まぶたが閉じきらない | 寝ているあいだ乾く | 朝方に目やにが多い |
とくに注意したいのが角膜潰瘍です。
目が白く濁って見えたら、その日のうちに受診してください。
角膜の傷は数日で急速に深くなることがあり、穴が開けば失明につながります。
日常でできる予防
目を守るための工夫をいくつか挙げておきます。
- 草むらや低い茂みに顔を突っ込ませない
- シャンプーが目に入らないようにする
- おもちゃは、目に当たらない形のものを選ぶ
- 多頭飼いでは、遊びが激しくなりすぎないよう見る
- 顔のシワの毛が目に触れていないか確認する
- ドライアイの傾向があれば、点眼を続ける
鼻の上のシワから生えた毛が角膜に触れ続けていることがあります。
これは慢性的な刺激となり、色素性角膜炎の一因になります。気になる場合は、獣医師に相談してください。
そして眼球脱出。首の後ろを強くつかむ、顔を強くぶつける——こうした衝撃で眼球が眼窩から外れることがあります。
起きてしまったら、目を清潔な湿らせたガーゼで覆い、すぐに動物病院へ向かってください。自分で戻そうとしないでください。
皮膚トラブルが起きやすい、5か所

顔のシワだけではありません。
パグは皮膚が弱い犬種で、体のいくつかの場所にトラブルが起こりやすくなっています。
| 場所 | 起きやすいこと | 確認のしかた |
|---|---|---|
| 鼻の上のシワ | 間擦性皮膚炎 | 指で開いて奥を見る |
| 目の下 | 涙やけ・湿った炎症 | 茶色く染まっていないか |
| 口のまわり | 食べかすによる炎症 | 食後に拭く |
| しっぽの巻き根元 | 見落とされやすい蒸れ | しっぽを持ち上げて見る |
| 指のあいだ | 舐めて湿り、菌が増える | 赤み・においを確認 |
しっぽの根元は、見落とされやすい場所です。
パグのしっぽはくるりと巻いているため、その下の皮膚が常に押しつけられ、蒸れています。
週に一度は、しっぽを持ち上げて確認してください。
抜け毛の多さも、知っておく
パグは、短毛なのによく抜けます。
短い毛が硬く、衣類に刺さるように付くのがこの犬種の特徴です。
ダブルコートのため、春と秋の換毛期には驚くほどの量が抜けます。
ラバーブラシで週2〜3回——抜け毛を減らすだけでなく、皮膚の状態を確認する機会にもなります。
シャンプーは、洗い方より乾かし方
皮膚の弱い犬種にとって、シャンプーは重要なケアです。
ただしやり方を間違えると、かえって皮膚を傷めます。
| 項目 | 推奨 | 避けたいこと |
|---|---|---|
| 頻度 | 2〜4週間に1回 | 毎週洗う |
| お湯の温度 | 36〜38度のぬるま湯 | 熱いお湯 |
| シャンプー剤 | 犬用の低刺激なもの | 人間用 |
| すすぎ | 時間をかけて完全に | 泡が残る |
| 乾燥 | シワの奥まで完全に乾かす | 自然乾燥にまかせる |
洗いすぎは、皮脂を奪います。
皮脂は皮膚を守るバリアでもあるため、取りすぎれば乾燥し、かえってトラブルが増えます。
そして乾かし方。ここが最大のポイントです。
- タオルで水分をしっかり吸い取る——こする必要はない
- シワを指で開いて、中まで乾かす
- ドライヤーは弱風で、離して当てる
- 熱風を長く当てない——皮膚が乾燥する
- 指のあいだ、しっぽの根元も忘れずに
- 生乾きが、すべてのトラブルの元
「洗ったあと、シワの奥が湿ったまま」——これが皮膚炎のもっとも多いきっかけになります。
洗う時間より、乾かす時間を長く取ってください。
耳と歯も、忘れずに
顔まわりでは、耳と歯も見ておきたい場所です。
| 部位 | 起きやすいこと | 頻度 |
|---|---|---|
| 耳の中 | 外耳炎(垂れ耳で蒸れる) | 週1回チェック |
| 歯 | 歯周病・歯並びの乱れ | 毎日の歯みがき |
| あご | 下あごが出る構造で咬み合わせが悪い | 年1回の口腔チェック |
| 鼻 | 乾燥してひび割れる | 気になれば保湿する |
パグは短頭種のため、あごの骨も短くなっています。
歯の本数は普通の犬と同じですから、短いあごに歯が詰め込まれている状態です。
歯並びが乱れやすく、汚れがたまりやすい——これが歯周病につながります。
毎日の歯みがきが理想ですが、難しければ週に数回でも続けるほうが何もしないよりずっと良い結果になります。
そして垂れ耳。パグの耳は前に折れているため、耳の中が蒸れやすい構造です。
においがする、赤い、しきりに頭を振る——これらは外耳炎のサインになります。
パグ脳炎という、若齢の病気

ここからは、知っておいていただきたい病気の話をします。
パグ脳炎——正式には壊死性髄膜脳炎(えしせいずいまくのうえん)と呼ばれます。
脳の組織に炎症が起こり、壊死していく病気です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発症年齢 | 多くが1〜3歳という若さ |
| 原因 | 免疫の異常。遺伝的な関与が示されている |
| 初期のサイン | ふらつき・元気がない |
| 進行時 | けいれん発作・旋回運動・視力低下 |
| 治療 | 免疫を抑える薬を継続する |
| 他の犬種 | シーズー・マルチーズ・チワワなどにも起こる |
もっとも重要なのは、「若い犬で起こる」という点です。
1〜3歳——もっとも元気に見える時期に発症します。
「まだ若いから大丈夫」という思い込みが、受診を遅らせます。
⚠ けいれんは、様子を見てよいサインではありません
けいれん発作を起こしたら、その日のうちに動物病院へ連絡してください。
発作中は体に触れず、周囲の危険なものを片づけてください。口に手を入れてはいけません。
発作の様子を動画で撮影し、何分続いたかを記録してください。診断の重要な手がかりになります。
なぜ、この犬種に多いのか
パグ脳炎は免疫の異常によって起こると考えられています。
本来は外敵を攻撃する免疫が、自分の脳の組織を攻撃してしまう——そういう仕組みです。
そしてこの病気に関わる遺伝的な要因が示されてきました。
特定の犬種に集中して起こるのは、そのためです。
パグ以外にも、シーズー、マルチーズ、ポメラニアン、ペキニーズ、チワワなど、小型犬種で報告があります。
「パグ脳炎」という呼び名は、この犬種で最初に報告されたことに由来しています。
診断と、治療のこと
診断にはMRI検査と脳脊髄液の検査が必要になります。
全身麻酔が必要なため、短頭種であるパグにとってはそれ自体が慎重を要する検査です。
治療は免疫を抑える薬が中心になります。
- ステロイドや免疫抑制剤を使う
- けいれんを抑える薬を併用することが多い
- 投薬は長期にわたる——多くは生涯続く
- 自己判断で薬をやめない——再発の引き金になる
- 定期的な血液検査で副作用を見る
- 早く治療を始めるほど、経過はよい
完治する病気ではありません。
けれど早期に治療を始め、投薬を続けることで、症状を抑えながら過ごせる犬もいます。
だからこそ、初期のサインを見逃さないことが何より大切になります。
ふらつく、元気がない、同じ方向にくるくる回る——若い犬でも、こうした変化は受診理由になります。
アレルギーと、食事の見直し
皮膚のトラブルが繰り返し起こる場合、アレルギーが背景にあることがあります。
パグはアトピー性皮膚炎や食物アレルギーを起こしやすい犬種のひとつです。
| 種類 | 特徴 | 対応 |
|---|---|---|
| アトピー性皮膚炎 | ハウスダスト・花粉などに反応 | 投薬と環境の管理 |
| 食物アレルギー | 特定のたんぱく質に反応 | 除去食で原因を探す |
| ノミアレルギー | ノミの唾液に反応 | 予防薬を切らさない |
| 季節性か通年か | 時期の記録が診断の手がかり | 症状の出た日を記録する |
「いつ、どこが、どのくらい」——この記録が、診断を大きく助けます。
- 症状が出た日と場所を、写真つきで記録する
- 季節との関係を見る——春だけなら花粉の可能性
- フードを変えた時期と、症状の変化を照らし合わせる
- おやつも含めて、口に入れたものをすべて書き出す
- ノミ・ダニの予防薬を年間通して続ける
- 自己判断でフードを次々変えない——原因が分からなくなる
フードを頻繁に変えるのは、逆効果になることがあります。
何に反応しているのかを特定できなくなるためです。
食物アレルギーを疑う場合は、獣医師の指導のもとで除去食を試す——これが確実な進め方になります。
よくある質問
Q. シワは、どのくらいの頻度で拭けばいいですか?
A. 1日1回が基本です。ぬるま湯で濡らしたコットンでやさしく拭き、必ず乾いた布で水気を取ってください。濡れたまま放置すると、拭く前より悪い状態になります。
Q. シワからにおいがします。
A. 皮膚炎が起きている可能性があります。酸っぱいようなにおい、赤み、黒ずみは受診のサインです。市販品で対処せず、動物病院で薬用シャンプーや外用薬を処方してもらってください。
Q. 目が白く濁っています。
A. その日のうちに受診してください。角膜潰瘍の可能性があります。角膜の傷は数日で急速に深くなることがあり、穴が開けば失明につながります。
Q. パグ脳炎は、予防できますか?
A. 予防法は確立されていません。免疫の異常によるもので、遺伝的な関与が示されています。できるのは早期発見です。ふらつき・けいれん・旋回運動といった変化があれば、若い犬でもすぐに受診してください。
Q. 何歳ごろに気をつければいいですか?
A. 1〜3歳がもっとも多いとされています。高齢の病気ではありません。「まだ若いから大丈夫」という思い込みが、受診を遅らせる最大の要因です。
Q. 抜け毛は多いですか?
A. 短毛ですが、非常に多く抜けます。ダブルコートのため春と秋の換毛期は大量に抜け、硬く短い毛が衣類に刺さるように付きます。ラバーブラシで週2〜3回のブラッシングをおすすめします。
Q. しっぽの根元も見るのですか?
A. 週に一度は確認してください。パグのしっぽは巻いているため、その下の皮膚が押しつけられて蒸れます。見落とされやすく、気づいたときには炎症が進んでいることがあります。
まとめ|あの顔は、毎日の手入れとセットになっている
パグの深いシワと大きな目は、この犬種の魅力そのものです。
そして同時に、毎日の手入れを前提とした構造でもあります。
シワを開いて拭き、水気を取る。目の濁りを確認する。しっぽの根元と指のあいだを見る。
合わせて1日1分——これで、ほとんどのトラブルは防げます。
そしてパグ脳炎。1〜3歳という若さで起こる病気です。
ふらつく、けいれんする、くるくる回る——若い犬でも、これらは様子を見てよいサインではありません。
あの顔を選んだということは、その手入れも一緒に選んだということ。そう考えれば、1分の習慣は決して重くありません。
そして、この毎日の手入れにはもうひとつの意味があります。
シワを開き、目をのぞき、体を触る——これを毎日続けている飼い主は、ほんの小さな変化にも気づけます。
いつもと違うと感じられること。それが、どんな検査よりも早い発見につながります。
今日から始める3つ
- 1食後にシワを拭き、必ず水気を取る習慣をつくる
- 2目の色と濁りを毎日確認する——白く濁ったらその日に受診
- 3ふらつき・けいれん・旋回を見たら、若くてもすぐ動物病院へ
パグのあの表情は、毎日の1分に支えられています。手入れを習慣にできたなら、この犬種ほど楽しい相棒はいません。

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