

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「犬のA型血友病|いちばん危ないのは、予定された手術です」です。ではどうぞ!
血が止まるのはあたりまえのことだと思われています。
けれど、血を固めるためにはいくつもの材料が必要です。
その材料のひとつが生まれつき足りない——
それが、A型血友病です。
この病気には知っておいてほしい点が3つあります。
ひとつは、オスに出るということ——
メスは持っていても症状が出にくく次の世代へ伝えます。
ふたつめはどれだけ残っているかで重さが変わること。
そして、みっつめ——
いちばん危ないのは事故ではなく予定された手術だということです。
結論
血友病Aは犬において最も一般的な遺伝性出血性疾患です。原因となる遺伝子はX染色体上にあるため、変異を持つメスは通常症状を示さず、オスに徴候が見られます。血液凝固第VIII因子活性が5%未満の場合、症状は通常出生後に現れ、より重篤となり、関節への自然出血や体腔内への血液漏出が起こり、致死的となることもあります。臍帯、歯が生える時期の歯肉、手術後などからの長引く出血も見られます。また第VIII因子活性が5〜10%の犬は通常、自然出血はしませんが、怪我や手術の後は通常より多く出血します。最も有効な治療法は、第VIII因子製剤による補充療法です。
この記事でわかること
- ✓生まれたときから、決まっています
- ✓オスに出て、メスが伝えます
- ✓どれだけ残っているかで、変わります
- ✓歯が生え変わるころ、気づかれます
- ✓関節のなかで、出血することがあります
- ✓いちばん危ないのは、予定された処置です
- ✓治療と、これからのこと
生まれたときから、決まっています
血を固めるという働きは一段階では終わりません。
いくつもの因子が順番に働いてようやく固まります。
その途中のひとつ——
第VIII因子が足りないのがこの病気です。
| この病気 | 免疫が壊す出血 | |
|---|---|---|
| 原因 | 生まれつき、材料が足りない | 免疫が血小板を壊す |
| いつから | 生まれたときから | あるとき始まる |
| 治るか | 体質として続く | 抑えれば戻ることがある |
| 治療 | 足りない因子を補う | 免疫を抑える |
| 遺伝 | する | 基本的にはしない |
| 備え方 | 知っておくことが、守りになる | 早く気づくことが大事 |
同じ「血が止まりにくい」でも中身はまったく違います。
免疫が関わる出血については自己免疫性疾患の記事をご覧ください。
そして、この病気は犬において最も一般的な遺伝性出血性疾患だとされています。
まれではあってもこの種類の病気のなかでは多いほう——
だから、知っておく価値があります。
オスに出て、メスが伝えます

ここは、この病気を理解するうえで大事なところです。
原因となる遺伝子はX染色体上にあります。
そのため変異を持つメスは通常症状を示さずオスに徴候が見られます。
- メスは、X染色体を2本持っている
- 片方に変異があっても、もう片方が働く
- だから、症状が出にくい
- オスは、X染色体が1本しかない
- その1本に変異があれば、補うものがない
- 結果として、オスに症状が出る
症状の出ないメスが変異を持ったまま次の世代へ伝える——
これが、この病気の広がり方です。
繁殖を考えているなら
症状が出ていないことと持っていないことは別です。
とくに、血縁のなかにこの病気があったなら
繁殖の前に調べることができます。
遺伝子検査で持っているかどうかを確かめられることがあります。
ブリーダーから迎えたのなら血統の情報を聞いてみてください。
知っておくことが次の世代を守ります。
そして、もしオスの子犬で血が止まりにくいと感じたなら——
その違和感を伝えてください。
同じ腹の兄弟にも、伝えてほしい
この病気が見つかったとき——
その犬だけの問題ではないことがあります。
- 同じ母から生まれた兄弟にも、可能性がある
- とくに、オスの兄弟
- メスの兄弟は、持っているかもしれない
- 連絡が取れるなら、伝えてほしい
- ブリーダーにも、知らせる価値がある
- 次の世代を守ることにつながる
「言いにくい」と感じるかもしれません。
けれど、知らないまま手術を受けるほうがずっと危ないのです。
伝えられた側は備えることができます。
それは、責める話ではなく守る話です。
どれだけ残っているかで、変わります

この病気は「あるか、ないか」ではありません。
どれだけ残っているか——
その割合で暮らし方が変わります。
| 活性 | 起きること |
|---|---|
| 5%未満 | 症状は通常出生後に現れ、より重篤になる |
| そのとき | 関節への自然出血が起こる |
| さらに | 体腔内への血液漏出が起こることも |
| 重い場合 | 致死的となることもある |
| 5〜10% | 通常、自然出血はしない |
| ただし | 怪我や手術の後は、通常より多く出血する |
5〜10%の犬はふだんは気づかれません。
けれど、怪我をしたときや手術のときに「あれ、止まらない」となるのです。
だから、この病気では「見つかったときがいちばん危ないとき」ということが起こりえます。
その順番を逆にできるならそれがいちばんです。
調べておくという選択
手術の予定があるとき——
とくに、避妊去勢のような若いうちに行う手術の前には
血が固まる働きを調べておくという選択があります。
| こんなとき | 考えること |
|---|---|
| 血縁に、この病気がいた | 手術の前に調べておく |
| 過去に、血が止まりにくかった | 必ず伝え、調べてもらう |
| 乳歯の出血が長引いた | そのことを伝える |
| オスの子犬 | 症状が出るのはオスのため、気にかける |
| 心配なら | 「調べられますか」と聞いてよい |
| 調べた結果 | 問題なければ、それも安心材料になる |
すべての犬に必要な検査ではありません。
けれど、思い当たることがあるなら相談する価値があります。
歯が生え変わるころ、気づかれます

この病気が見つかるきっかけにはいくつかの決まった場面があります。
臍帯、歯が生える時期の歯肉、手術後などからの長引く出血が見られます。
- 生まれたあと、へその緒からの出血が続いた
- 乳歯が抜けるとき、歯ぐきからの血が止まらない
- 去勢や避妊の手術のあと、出血が長引いた
- 小さな怪我なのに、いつまでもにじむ
- ぶつけた覚えがないのに、あざができている
- 足を引きずることがある
とくに、歯の生え変わり——
子犬の乳歯が抜けるとき少し血が出るのはふつうのことです。
けれど、それが止まらない——
何時間もにじみ続ける——
そういうときには受診してください。
「そのうち止まるだろう」と待ってしまいがちな場面ですが
それが、この病気に気づける数少ない機会です。
「止まりにくい」の目安
どのくらいで「おかしい」と判断すればよいのか——
厳密な線はありませんが目安はあります。
- 小さな傷なのに、30分たっても止まらない
- 一度止まったのに、またにじみ始める
- 押さえていないと、ずっと出続ける
- 翌日になっても、かさぶたができない
- 出血の量が、傷の大きさに合っていない
- 過去にも同じことがあった
とくに気にしてほしいのが「一度止まったのに、また出る」というパターンです。
血を固める働きには順番があり
最初のふたをする段階はできても
しっかり固める段階でつまずく——
そういう起き方をすることがあるからです。
関節のなかで、出血することがあります
ここは、知られていないことが多い症状です。
活性が5%未満の場合には関節への自然出血が起こります。
| 見えること | 起きていること |
|---|---|
| 急に足を引きずる | 関節のなかで出血している |
| その足を触ると嫌がる | 腫れて、痛みが出ている |
| 関節が腫れている | 血がたまっている |
| 怪我の覚えがない | 自然に起きているため |
| 繰り返す | 同じ関節に、何度も起きることがある |
| 放っておくと | 関節そのものが傷んでいく |
「捻挫かな」と思われることが多い症状です。
けれど、この病気が分かっているなら
足を引きずったときに「出血かもしれない」と考えられます。
そして、体腔内への血液漏出——
お腹や胸のなかで出血することもあります。
⚠ 見えない出血のサイン
体のなかで出血しているときには血が見えません。
気づけるのは様子の変化だけ——
急にぐったりする歯ぐきが白い呼吸が速いお腹がふくれてきた——
これらは、急いで受診してほしいサインです。
とくに、この病気だと分かっている犬で
急に元気がなくなったなら迷わず連絡してください。
いちばん危ないのは、予定された処置です

この記事でいちばん伝えたいことがここです。
怪我や手術の後は通常より多く出血します。
そして、手術は予定して行うものです。
つまり、備えられる——
- 避妊・去勢手術の前に、必ず伝える
- 抜歯や歯石取りの前にも、伝える
- どんな小さな処置でも、伝える
- 動物病院を変えたときは、最初に伝える
- トリミングや爪切りの依頼先にも、伝えておく
- 診断書やメモを、持ち歩けるようにしておく
「言わなくても分かるだろう」——
そうとは限りません。
血液検査をしていないのなら見た目では分かりません。
伝えられていれば備えたうえで処置ができます。
伝えられていなければ途中で気づくことになります。
この差はとても大きいのです。
備えられるとは具体的にどういうことか——
| 伝えてあれば | できること |
|---|---|
| 手術の計画 | 出血への備えを組んでおける |
| 薬の準備 | 必要なものを、あらかじめ用意できる |
| 輸血の備え | 必要になる可能性を、想定しておける |
| 術後の管理 | より注意して、経過を見てもらえる |
| 入院の判断 | 帰さずに見る、という選択ができる |
| 時期の相談 | 急がない処置なら、方法を考えられる |
「知らせたら手術を断られるのでは」と心配されるかもしれません。
そうではありません。
知らせるからこそ安全に進められるのです。
持ち歩けるメモを、つくっておく
いざというときに説明する余裕がないこともあります。
| 書いておくこと | 理由 |
|---|---|
| 病名 | A型血友病であること |
| 診断された日 | いつからか分かる |
| かかりつけの病院名と連絡先 | 問い合わせてもらえる |
| 検査の数値 | 重さの目安になる |
| 過去の出血 | どんなときに起きたか |
| 飼い主の連絡先 | 預けているときのために |
紙一枚あるいはスマートフォンの中——
どちらでもかまいません。
「見せれば伝わる」という形にしておいてください。
旅行先や夜間の病院で役に立ちます。
そして、誰かに預けるときにはそのメモを一緒に渡してください。
治療と、これからのこと
出血症状に対し最も有効な治療法は第VIII因子製剤による補充療法です。
足りないものを外から補う——
考え方は単純です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 中心になる治療 | 第VIII因子製剤による補充療法 |
| 行うとき | 出血したとき、手術の前後など |
| 重い出血では | 輸血が必要になることもある |
| ふだん | 出血させない暮らし方が中心になる |
| 研究として | 遺伝子治療の研究も進んでいる |
| いずれも | 獣医師と相談しながら進める |
最近ではウイルスを用いた遺伝子治療により血友病Aを発症したイヌに正常な第VIII因子の遺伝子を導入する研究も進んでいます。
いますぐどこでも受けられるものではありません。
けれど、この病気にはそういう方向の研究がある——
それは、覚えておいてよいことだと思います。
この病気は「治らない」と言われてきました。
いまも、多くの場合はそうです。
けれど、研究は動いています。
いまできることをしっかり続けながら
そういう方向があることを知っておく——
それも、支えのひとつになります。
🩺 暮らしのなかで、できること
ふだんの暮らしでできることは「出血させない」ことです。
激しい運動高いところからの飛び降り硬すぎるおもちゃ——
避けられるものは避けてください。
ただし、閉じこめるという意味ではありません。
どこまでなら大丈夫かは重さによって変わります。
「この子の場合はどこまで」を聞いておいてください。
よくある質問
Q. A型血友病とは、どんな病気ですか?
A. 血を固める第VIII因子が、生まれつき足りない病気です。犬において最も一般的な遺伝性出血性疾患とされています。
Q. オスにしか出ないのですか?
A. 原因となる遺伝子がX染色体上にあるためです。変異を持つメスは通常症状を示さず、オスに徴候が見られます。メスは症状が出ないまま、次の世代へ伝えることになります。
Q. どのくらい重いかは、何で決まりますか?
A. 第VIII因子の活性が、どれだけ残っているかです。5%未満なら症状は通常出生後に現れ、より重篤となります。5〜10%の犬は通常自然出血はしませんが、怪我や手術の後は通常より多く出血します。
Q. どんなときに気づかれますか?
A. 臍帯、歯が生える時期の歯肉、手術後などからの長引く出血です。乳歯が抜けるときの出血が止まらない、手術のあと血が止まりにくかった、といった場面で見つかることがあります。
Q. 足を引きずるのですが、関係ありますか?
A. 関節への自然出血のことがあります。活性が5%未満の場合、関節のなかで出血が起こることがあります。怪我の覚えがないのに急に足を引きずるなら、伝えてください。
Q. 治療は何をしますか?
A. 第VIII因子製剤による補充療法が、最も有効とされています。足りない因子を外から補う治療です。重い出血では、輸血が必要になることもあります。
Q. 手術を受けても大丈夫ですか?
A. 必ず事前に伝えてください。怪我や手術の後は通常より多く出血します。伝えられていれば備えたうえで処置ができますが、伝えられていなければ途中で気づくことになります。
Q. トリミングや爪切りも、伝えたほうがよいですか?
A. 伝えてください。爪を深く切ってしまったときなど、ふつうなら小さな出血で済む場面が、そうならないことがあります。
Q. 同じ腹の兄弟にも、可能性がありますか?
A. あります。とくにオスの兄弟には症状が出る可能性があり、メスの兄弟は症状が出ないまま持っていることがあります。連絡が取れるなら、伝えてあげてください。
Q. 遺伝子治療は受けられますか?
A. 研究が進んでいる段階です。ウイルスを用いた遺伝子治療により、正常な第VIII因子の遺伝子を導入する研究が進められています。いますぐどこでも受けられるものではありません。
まとめ|伝えることが、いちばんの治療です
この病気で飼い主にできることははっきりしています。
伝えることです。
受診のたびに手術の前にトリミングを頼むときに——
「血が止まりにくい病気があります」
この一言がどんな薬よりも先に働きます。
言い忘れた一度が取り返しのつかないことになりえます。
怪我は防ぎきれません。
けれど、手術や処置は予定して行うもの——
備えられる場面で備えておくことがこの病気との付き合い方です。
そして、この病気を持っていても
ふつうに暮らしている犬はたくさんいます。
知っていて、備えているからそうできるのです。
今日できる3つ
- 1病名と検査の数値を書いたメモをつくる
- 2かかりつけ以外の病院にかかる可能性を考えて、持ち歩ける形にする
- 3トリミングなどを頼んでいる先に、伝えてあるか確かめる
生まれつきのものは、変えられません。けれど、知られていることで守れます。

本日の「犬猫の悩みを即解決!」の記事「犬のA型血友病|いちばん危ないのは、予定された手術です」でした。
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