

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「犬のアトピー性皮膚炎|3歳を過ぎて始まったなら、別を疑います」です。ではどうぞ!
体を掻き続けている。
足先を、いつまでも舐めている——
目のまわりを床にこすりつける——
「アレルギーでしょうか」と思われると思います。
そのとき、まず思い出してほしいことがあります。
いつから、始まったか——
犬のアトピー性皮膚炎は最初に症状が出始めるのが3歳以下の若い犬であるのが特徴です。
6〜7歳など、中高齢になってから急に痒みが出る場合にはアトピー性皮膚炎ではなく別の原因かもしれない——
そう考える理由があるのです。
結論
犬のアトピー性皮膚炎は最初に症状が出始めるのが3歳以下の若い犬であるのが特徴です。6〜7歳など、中高齢になってから急にかゆみが出る場合は、アトピー性皮膚炎ではなく別の原因かもしれません。かゆみの症状が進むと、目や口、肛門の周囲、足先などに発赤や脱毛が見られるようになります。前肢や耳介部にも皮膚病変が見られますが、耳介の辺縁や腰背部には病変がないことが一般的です。診断では、皮膚に少量のアレルゲンを曝露させて発赤や腫れが出るものを調べる検査や、血液から血清に含まれるIgEという抗体の量を測定する検査が行われます。初期の投薬としてはステロイドやアポキルが優秀で、即効性があり、かゆみと皮膚炎の両方に効果を発揮します。アポキルよりさらに副作用の少ないサイトポイントは、かゆみは止めてくれますが皮膚の炎症には関与しません。
この記事でわかること
- ✓3歳までに始まる病気です
- ✓出る場所と、出ない場所
- ✓皮膚で、何が起きているのか
- ✓耳だけ繰り返すことも、あります
- ✓薬の違いを、知っておいてください
- ✓洗うことと、保つこと
- ✓食物アレルギーとの、見分け
3歳までに始まる病気です

この病気を見分けるうえでいちばん大きな手がかりが発症した年齢です。
| 始まった年齢 | 考えること |
|---|---|
| 1歳前後 | アトピー性皮膚炎らしい年齢 |
| 3歳以下 | 最初に症状が出始める時期として典型的 |
| 3〜5歳 | ありうるが、ほかの原因も考える |
| 6〜7歳以降 | 別の原因かもしれない |
| 高齢での急な痒み | ホルモンの病気、寄生虫、腫瘍などを探す |
| 共通 | 「いつから」を伝えることに意味がある |
なぜ、年齢が手がかりになるのか——
アトピー性皮膚炎は生まれつきの体質に環境のアレルゲンが重なって起こります。
体質そのものは途中から変わるものではありません。
だから、若いうちに現れてくるのです。
逆に、何年も何ともなかった犬が急に痒がり始めたなら——
「体質」以外の何かが起きたと考えるほうが自然です。
中高齢で始まったときに、探すもの
ホルモンの病気——
甲状腺の働きが落ちると皮膚が弱くなり、感染しやすくなります。
寄生虫——
激しい痒みなら疥癬のようなダニの病気も考えられます。
そのほか、腫瘍が背景にあることもあります。「いつから」を伝えれば調べる方向が変わります。
出る場所と、出ない場所

この病気には症状の出る場所にはっきりした偏りがあります。
かゆみの症状が進むと目や口、肛門の周囲、足先などに発赤や脱毛が見られるようになります。
| 場所 | 見えること |
|---|---|
| 目のまわり | 赤くなる、毛が薄くなる |
| 口のまわり | 赤み、色素が濃くなることも |
| 足先 | 舐め続け、唾液で茶色く変色する |
| 肛門のまわり | 気にして舐める、赤くなる |
| 前肢・耳介部 | 病変が見られることがある |
| わきの下・内また | 皮膚の薄い場所に出やすい |
共通しているのは「皮膚が薄く、毛の少ない場所」だということです。
環境のなかのアレルゲンが直接触れやすい場所——
そして、そこは自分で舐めたりこすりつけたりしやすい場所でもあります。
足先が茶色く変色している——
これは、唾液に含まれる成分で毛が染まった状態です。
つまり、「長いあいだ舐め続けてきた」という記録——
本人が痒がっている場面を見ていなくてもそこから分かります。
そして、出ない場所——
耳介の辺縁や腰背部には病変がないことが一般的だとされています。
もし、そちらに強い病変があるなら別の病気を考えることになります。
「どこが痒いか」だけでなく「どこは痒くないか」も情報になる——
そこは、覚えておいてください。受診のときに痒がる場所を具体的に伝えると絞り込みが早くなります。
皮膚で、何が起きているのか
アトピー性皮膚炎では2つのことが同時に起きています。
ひとつは、皮膚のバリアが弱いこと。
もうひとつは、アレルゲンに過剰に反応してしまうこと。
- 皮膚の表面には、本来バリアがある
- そのバリアが弱いと、外のものが入り込みやすい
- 入り込んだアレルゲンに、免疫が反応する
- 炎症が起き、痒みが出る
- 掻けば、バリアはさらに壊れる
- そして、また入り込みやすくなる
「掻くから悪くなる」——
この循環がこの病気のやっかいなところです。
痒いから掻く——
掻けば皮膚が傷つき、バリアがさらに弱くなる——
そこへ細菌やマラセチアが増えればもっと痒くなる——
だから、治療ではまず痒みを止めることに意味があります。
掻かせないことが皮膚を守ることにつながるからです。
診断で行われること
この病気は「これがあれば確定」というひとつの検査で決まるものではありません。
| 段階 | すること |
|---|---|
| まず | ほかの原因を、ひとつずつ除いていく |
| 寄生虫 | ノミやダニがいないかを確かめる |
| 感染 | 細菌やマラセチアが増えていないか調べる |
| 食べ物 | 食事を変えて、反応を見ることがある |
| アレルゲン検査 | 皮内テスト、血清のIgE測定 |
| そのうえで | 年齢・場所・経過をあわせて判断する |
皮膚に少量のアレルゲンを曝露させて何種類ものアレルゲンを検査し、皮膚に発赤や腫れなどの症状がみられるものを調べる——
これが、皮内テストです。
そして、血液から血清に含まれるIgEとよばれる抗体の量を測定するという方法もあります。
これらの検査は「何に反応しているか」を知るためのものです。
分かれば避ける工夫ができますし体質そのものへ働きかける治療を選ぶ道も開けます。
耳だけ繰り返すことも、あります
この病気が見落とされる場面をひとつ挙げます。
外耳炎です。
耳の内側も皮膚の延長ですから全身に起きていることは耳のなかでも起きます。
そして、アトピー性皮膚炎は繰り返す外耳炎の主な原因のひとつです。
| 見えること | 考えられること |
|---|---|
| 外耳炎を年に何度も繰り返す | 背景にアレルギーがある可能性 |
| 薬をやめると、すぐ戻る | 主因が残っている |
| 両耳に同じように出る | 全身に関わる原因を疑う |
| 足先も舐めている | 皮膚全体の問題として見る |
| 口のまわりも掻く | 同じく、全身の問題 |
| 季節性がある | 環境のアレルゲンが関わる |
「また外耳炎ですね」を繰り返しているなら——
耳だけを見ていても終わりません。
足先、口のまわり、肛門のまわり——
そちらも痒がっていないかを確かめてみてください。
そろっているなら耳の話ではなく皮膚の話として進めることになります。
薬の違いを、知っておいてください

ここが、この記事でもっとも実用的な部分です。
痒み止めの薬には働きの違いがあります。
| 薬 | 効果 | 特徴 |
|---|---|---|
| ステロイド | 痒み+炎症 | 即効性がある。長期では副作用に注意 |
| アポキル | 痒み+炎症 | 即効性がある。初期の投薬として優秀 |
| サイトポイント | 痒みのみ | 副作用がより少ない。炎症には関与しない |
| 抗菌薬・抗真菌薬 | 二次感染へ | 細菌やマラセチアが増えたとき |
| スキンケア | バリアを支える | 薬とあわせて続けるもの |
| 減感作療法 | 体質へ働きかける | 検査でアレルゲンを特定したうえで |
初期の投薬としてはステロイドやアポキルがとても優秀だとされています。
この2種類には即効性があり、痒みと皮膚炎のどちらにも効果を発揮するからです。
一方、サイトポイント——
アポキルよりもさらに副作用の少ない薬ですが痒みは止めてくれる一方で皮膚の炎症には関与しません。
🩺 「痒みが止まる」と「炎症が引く」は別です
「薬を使っているのに赤みが引かない」——
そういうときにはこの違いが関わっていることがあります。
痒みは止まったのに皮膚は赤いまま——
それは、使っている薬が炎症には働かないものだからかもしれません。
「掻かなくなったが、赤みは残っています」と伝えてください。薬を選び直す材料になります。
そして、二次感染——
掻き壊した皮膚で細菌やマラセチアが増えればそちらへの治療も必要になります。
痒み止めだけでは追いつかないことがあるのはそのためです。
洗うことと、保つこと

薬と同じくらい大切なのが皮膚そのもののケアです。
この病気では皮膚のバリアが弱いのですからそれを支えることに意味があります。
- 皮膚についたアレルゲンを、洗って落とす
- ぬるま湯で、こすらずに洗う
- 処方されたシャンプーがあれば、それを使う
- 洗ったあとは、しっかり乾かす
- 保湿で、乾燥を防ぐ
- 頻度は、状態に合わせて相談する
「洗いすぎもよくない」と言われることがあります。
洗えばアレルゲンは落ちますが必要な皮脂まで落としすぎればバリアが弱くなる——
だから、頻度と使うものは状態に合わせて決めることになります。
自己判断で人用のシャンプーを使わないように——
そして、環境——
| 場面 | できること |
|---|---|
| 散歩のあと | 足先と体を拭く |
| 寝床 | こまめに洗い、干す |
| 掃除 | ホコリを減らす。空気清浄機も選択肢 |
| 季節 | 悪くなる時期を記録しておく |
| 湿度 | 乾燥する時期は、加湿する |
| 掻き壊し防止 | ひどいときは、服やカラーで守る |
「いつ悪くなるか」を記録しておくとアレルゲンを絞り込む手がかりになります。
毎年、同じ季節に悪くなるならその時期に飛ぶものが関わっている可能性があります。
一年じゅう変わらないなら室内のものを考えることになります。
そして、掻き壊し——
皮膚が傷ついてしまえばそこから細菌が入り治りにくくなります。
ひどく掻いている時期には服を着せる、カラーをつけるといった方法で守ることも選択肢です。
「かわいそう」と感じられるかもしれませんが掻き壊して痛みまで加わるほうがつらい——
そして、爪を短く切っておくことも傷を浅くします。
食物アレルギーとの、見分け
アレルギーとひとことで言っても原因が食べ物にある場合もあります。
| アトピー性皮膚炎 | 食物アレルギー | |
|---|---|---|
| 原因 | 環境中のアレルゲン | 食べ物に含まれる成分 |
| 発症年齢 | 3歳以下が中心 | 年齢を問わない |
| 季節性 | あることが多い | ふつうはない |
| 消化器症状 | ふつうは伴わない | 下痢や嘔吐を伴うことがある |
| 調べ方 | 皮内テスト、血清のIgE測定 | 食事を変えて反応を見る |
| 重なることも | 両方持っている犬もいる | 両方持っている犬もいる |
見分けの手がかりは季節性と消化器の症状です。
一年じゅう変わらず、下痢や嘔吐も伴うなら食物アレルギーを考えることになります。
ただし、両方を持っている犬もいます。
「どちらか一方」と決めつけないほうがよい——
そして、皮膚がべたつく、フケが多いなら脂漏症が重なっていることもあります。
激しい痒みで耳のふちやひじ、かかとに症状が出るなら疥癬——
アトピーでは出にくい場所ですからそこが手がかりになります。
そして、鼻水やくしゃみが同時にあるなら鼻の症状としても現れているのかもしれません。
この病気と、暮らしていく
アトピー性皮膚炎は体質にもとづく病気ですから「完全に治す」ことは難しいものです。
けれど、痒みを抑え、皮膚を守り、アレルゲンを減らす——
その積み重ねで穏やかに過ごしていけます。
- 「ゼロにする」ではなく「抑えて暮らす」
- 悪くなる時期を知っておけば、備えられる
- 薬の量は、季節で変わることがある
- 自己判断で、やめたり増やしたりしない
- 掻いた回数や場所を、記録しておく
- 長い付き合いになる。続けられる方法を選ぶ
「毎日シャンプー」が理想的だとしても続けられなければ意味がありません。
できる範囲を正直に伝えてその上で組み立ててもらってください。
そして、この病気には波があります。
よい時期と悪い時期が繰り返す——
だから、「よくなったからやめる」ことでまた振り出しに戻ることが起こります。
薬を減らすにしてもケアを緩めるにしても相談してから——
そのほうが結局は落ち着いた状態を長く保てます。
よくある質問
Q. アトピー性皮膚炎は、いつごろ始まりますか?
A. 最初に症状が出始めるのは3歳以下の若い犬であることが特徴です。6〜7歳など中高齢になってから急にかゆみが出る場合は、アトピー性皮膚炎ではなく別の原因かもしれません。
Q. どこが痒くなりますか?
A. 目や口のまわり、肛門の周囲、足先などです。前肢や耳介部にも病変が見られます。一方、耳介の辺縁や腰背部には病変がないことが一般的とされています。
Q. 足先が茶色いのですが
A. 舐め続けたことで、唾液の成分により毛が変色したものです。痒がっている場面を見ていなくても、そこから「長く舐めてきた」ことが分かります。
Q. 薬を使っても赤みが引きません
A. 使っている薬の働きによります。ステロイドやアポキルは痒みと炎症の両方に効きますが、サイトポイントは痒みを止める一方で皮膚の炎症には関与しません。「掻かなくなったが赤みは残る」と伝えてください。
Q. 外耳炎ばかり繰り返します
A. 背景にアレルギーがある可能性があります。耳の内側も皮膚の延長です。足先や口のまわりも痒がっているなら、耳の話ではなく皮膚の話として進めることになります。
Q. 食物アレルギーとは、どう違いますか?
A. 季節性と消化器症状が手がかりになります。アトピーは環境中のアレルゲンが原因で季節による波があることが多く、食物アレルギーは年齢を問わず、下痢や嘔吐を伴うことがあります。ただし、両方を持っている犬もいます。
Q. 治りますか?
A. 体質にもとづく病気のため、完全に治すことは難しいとされています。けれど、痒みを抑え、皮膚を守り、アレルゲンを減らすことで穏やかに過ごせます。「ゼロにする」より「抑えて暮らす」が目標になります。
まとめ|まず、いつからかを思い出す
痒がっている犬を見たとき——
まず思い出してほしいことは「いつから始まったか」です。
3歳以下で始まったならアトピー性皮膚炎らしい——
けれど、6〜7歳で急に始まったなら別の原因を探すことになります。
そして、どこが痒いか——
目や口のまわり、足先、肛門のまわり——
一方で、耳のふちや腰・背中には出にくい——
その偏りも伝えてください。
そして、薬——
「痒みが止まる」ことと「炎症が引く」ことは別です。
そこを分けて伝えられれば薬の選び方も変わってきます。
この病気は長い付き合いになります。
けれど、痒みを抑えられればふつうに暮らしていける——
そこを目指して続けてください。
今日できる3つ
- 1痒がり始めたのが何歳ごろだったか、思い出す
- 2足先・口のまわり・肛門のまわりを見て、赤みや変色を確かめる
- 3悪くなる季節があるかどうか、記録を始める
痒みの原因は、年齢と場所で絞り込めます。「いつから」と「どこが」を、伝えてください。

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