

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫の好酸球性肉芽腫症候群|三つの形で、現れます」です。ではどうぞ!
上唇が、欠けたように見える。
お腹の皮膚が、赤くじゅくじゅくしている。
太ももに、線のような盛り上がりがある。
——見た目はまったく違いますが、これらは同じひとつの症候群として扱われます。
好酸球性肉芽腫症候群には、好酸球性潰瘍、好酸球性プラーク、好酸球性肉芽腫の3つのタイプがあります。
結論
好酸球性肉芽腫症候群は好酸球という白血球が皮膚や粘膜に集まって炎症を起こす、猫に特有の反応です。好酸球性潰瘍、好酸球性プラーク、好酸球性肉芽腫の3つのタイプに分かれます。無痛性潰瘍(好酸球性潰瘍)は上唇に潰瘍ができることが多く、唇がかけたように見えることもあり、猫があまり気にしないことが多いため無痛性潰瘍とも呼ばれます。好酸球性プラークはお腹や首によく見られ、脱毛、皮膚の赤みがあり、ジュクジュクしています。痒みが強いため、しきりに舐めたり掻いたりします。線状肉芽腫は太ももや脇腹、口の中に線状の皮膚の盛り上がりが見られ、その部分は脱毛し、皮膚は硬くなっています。アレルギーや寄生虫感染、細菌感染などが原因になると考えられていますが、はっきりとした原因はわかっていません。治療は免疫を抑える薬の投薬、ノミの駆虫、食事の変更などです。
この記事でわかること
- ✓三つの形があります
- ✓唇に出るのが、いちばん見つかりやすい形です
- ✓お腹に出ると、かゆがります
- ✓線状に盛り上がる形もあります
- ✓原因は、はっきりしていません
- ✓ノミが、引き金になります
- ✓見つけ方と、確かめること
- ✓治療は、二本立てになります
三つの形があります

この病気は、ひとつの病気ではありません。
好酸球という細胞が集まって起こる炎症という共通点でくくられた、症候群です。
だから見た目がまったく違うものが、同じ名前で呼ばれます。
| 型 | 出る場所 | 見た目とかゆみ |
|---|---|---|
| 無痛性潰瘍 | 上唇 | 欠けたような潰瘍。痛がらない |
| 好酸球性プラーク | お腹、首 | じゅくじゅく。かゆみが強い |
| 線状肉芽腫 | 太もも、脇腹、口の中 | 線状の盛り上がり。硬い |
| 共通点 | 皮膚と粘膜 | 好酸球が集まっている |
| 複数出ることも | 同じ猫で | 二つ以上の型が出ることがある |
同じ猫に、複数の型が出ることがあります。だから、まとめて扱われるのです。
唇に出るのが、いちばん見つかりやすい形です

無痛性潰瘍(好酸球性潰瘍)は、上唇に潰瘍ができることが多いです。
唇がかけたように見えることもあります。
片側の上唇が削れて、歯が見えているように見える——そんな形になります。
痛がらないので、気づかれにくいものです
猫があまり気にしないことが多いため、無痛性潰瘍とも呼ばれます。
痛くないので、猫は何も訴えません。食欲も落ちません。
そのため飼い主が顔を見ていて、偶然気づくことがほとんどです。
- 上唇の片側が、欠けたように見える
- その部分が、赤茶色になっている
- つやのある、えぐれた表面をしている
- だんだん大きくなってきている
- けれど、猫は気にしていない
- 食欲も、元気も変わらない
「けがをしたのだろう」「けんかしたのかな」と思われることがあります。
けれどけがなら治っていくはずです。治らない、あるいは大きくなっていくなら、この病気を考えます。
写真を撮っておいてください
この形は、大きさの変化がそのまま進行の目安になります。
気づいた日に、正面と横から写真を撮っておくと受診のときに比べられます。痛がらない病気だからこそ、記録が役に立ちます。
お腹に出ると、かゆがります
好酸球性プラークは、お腹や首によく見られます。
脱毛、皮膚の赤みがあり、ジュクジュクしています。
そして、この型は唇のものとは正反対です。
こちらは、かゆみが強い型です
痒みが強いため、しきりに舐めたり掻いたりし、感染やただれがひどくなることもあります。
なめ続けることで毛が短く刈られたようになり、その下の皮膚が赤くただれてきます。
そして、かき壊した傷に細菌がついて、さらに悪くなります。
「なめて毛が薄くなった」という猫では、この型を考える必要があります。そして、なめ続けることで症状はさらに悪くなっていきます。
心因性の脱毛と、まぎらわしいところです
お腹や内股をなめて毛が薄くなる——これは心因性の脱毛でも起こります。
見た目が似ているため、「ストレスのせい」と片づけられてしまうことがあります。
けれど、この病気ではその下の皮膚が赤く、じゅくじゅくしています。
毛をかき分けて、皮膚を見る——そこで違いが見えてきます。見た目が似ていても、下の状態は違うのです。
線状に盛り上がる形もあります
三つめは、線状肉芽腫と呼ばれる型です。
太ももや脇腹、口の中に、線状の皮膚の盛り上がりが見られます。
その部分は脱毛し、皮膚は硬くなっています。
触ると、すじのように感じます
撫でていると、皮膚の下にすじが通っているような感触があります。
その部分は毛が抜け、硬く、少し盛り上がっています。
後ろ足の内側や太ももに出ることが多く、触らないと分からないことがあります。撫でるときに、後ろ足まで手を伸ばしてみてください。
口の中に出ることもあります
この型は、口の中にも出ます。
舌や口の天井に、盛り上がったしこりのようなものができます。
その場合、食べにくそうにする、よだれが増えるといった症状が出ることがあります。
口内炎と紛らわしいこともあるため、口の中もあわせて見てもらう意味があります。
原因は、はっきりしていません

正直にお伝えすると、この病気の原因はまだ分かっていません。
アレルギーや寄生虫感染、細菌感染などが原因になると考えられていますが、はっきりとした原因はわかっていません。
けれどアレルギー(免疫の過剰反応)が関連している可能性が高いと考えられています。
だから「引き金」を探します
原因が特定できなくても、引き金になっているものは探すことができます。
| 引き金の候補 | 確かめ方 |
|---|---|
| ノミ | 徹底的に駆除して、反応を見る |
| 食べ物 | 食事を変えてみて、変化を見る |
| 環境のアレルゲン | 季節性がないかを確かめる |
| 細菌の感染 | 皮膚の検査で確かめる |
| ほかの寄生虫 | 疥癬や耳ダニがいないかを見る |
| 体質 | 特定できないこともある |
「これだ」と一つに決まらないことも少なくありません。複数のものが重なっていることもあります。
その場合は症状を抑えながら、長く付き合う形になります。
ノミが、引き金になります
引き金のなかで、まず疑われるのがノミです。
ノミやダニなどの外部寄生虫感染は、アレルギーの原因ともなっています。それによって、好酸球性肉芽腫症候群が誘発されます。
だから、まず駆虫します
この病気の治療で、ノミの駆虫が必ず入るのはそのためです。
「ノミはいません」と思っていても、まず徹底的に駆除してみます。
ノミアレルギー性皮膚炎と同じで、一匹でも反応が起こることがあるためです。
三か月以上続けて、それでも症状が残るか——そこで初めて、ノミ以外の引き金を考えます。順番を守ることが、遠回りに見えて確実です。
⚠ 受診のときに、伝えたいこと
- いつから出ているか
- どこに、いくつ出ているか
- 大きさが変わってきているか
- かゆがっているかどうか
- ノミの予防をしているか、いつ行ったか
- 食べ物を変えた時期がないか
季節との関係も、分かれば伝えてください。毎年同じ時期に出るなら、環境のアレルゲンが関わっている可能性があります。
見つけ方と、確かめること
診断は、見た目と、細胞を調べることで行います。
好酸球という細胞が集まっているかどうかを確かめられれば、この病気だと分かります。
| 検査 | 分かること |
|---|---|
| 身体検査 | 出ている場所と形。これだけで見当がつくことも |
| 細胞診 | 好酸球が集まっているかを確認する |
| 血液検査 | 好酸球の数が増えていることがある |
| 皮膚生検 | 組織を採り、確定診断をつける |
| 寄生虫の検査 | ノミやダニがいないかを確かめる |
| ほかの病気の除外 | 腫瘍や感染症との区別をつける |
腫瘍との区別が、大切です
唇の潰瘍や、口の中の盛り上がりは腫瘍と見た目が似ていることがあります。
とくに扁平上皮癌は、同じ場所にできることがあります。
見た目だけで決めないことが大切です。
細胞を調べれば、区別がつきます。その一手間が、その後をまったく変えることがあります。
とくに高齢の猫で、口のまわりにできものが出たときは、腫瘍の可能性も考えます。
「若い猫ならこの病気、高齢なら腫瘍も」と決めつけることはできませんが、年齢は判断材料のひとつになります。
季節との関係を、見てください
引き金を探すうえで、いつ出るかは大きな手がかりになります。
| 時期の傾向 | 考えられる引き金 |
|---|---|
| 春から秋に出る | ノミ、花粉など季節性のもの |
| 一年じゅう出る | 食べ物、ハウスダストなど |
| 冬に悪くなる | 乾燥、暖房による環境の変化 |
| 引っ越しのあと | 新しい環境のアレルゲン |
| 食事を変えたあと | 食べ物によるもの |
| 不規則に出る | 特定が難しい。記録を続ける |
症状が出た日を、カレンダーに書いておくだけでも役に立ちます。
一年ぶん記録が集まれば、見えてくるパターンがあるかもしれません。
治療は、二本立てになります

免疫を抑える薬の投薬、ノミの駆虫、食事の変更などが行われます。
アレルギー(免疫の過剰反応)が関連している可能性が高いため、症状に合わせて、免疫や炎症を抑える薬を内服で投与します。
薬は、よく効きます
炎症を抑える薬を使えば、症状は比較的早く落ち着きます。
潰瘍が小さくなり、かゆみが引き、猫は楽になります。
けれど、それは反応を抑えているだけです。
引き金が残っていれば、薬をやめたときに戻ります。
ステロイドと、長く付き合うことになることも
引き金が特定できない場合、薬を続けることになることがあります。
そのとき問題になるのが長く使うことによる影響です。
量が増えていったり、糖尿病などの問題が出てきたりすることがあります。
だから、引き金を探すことをあきらめない——そこに意味があります。薬を減らせるようになれば、それだけ体への負担も減ります。
- ノミの駆虫を、三か月以上徹底する
- 食事を変えてみて、反応を見る
- 環境のアレルゲンを減らす
- 細菌が混じっていれば、抗生物質も使う
- 薬の量を、少しずつ減らせないか試す
- 定期的に検査を受け、副作用を確かめる
🩺 獣医療の現場では
「薬をやめると、また出ます」——この病気では、よく聞かれる言葉です。
それは引き金がまだ残っているということです。薬を続けることが悪いわけではありませんが、「ほかに試せることはありますか」と一度聞いてみる価値があります。
食事を変えるのも、試す価値があります
食事の変更が治療に入るのは、食べ物がアレルゲンになっている可能性があるためです。
試すときは決められた期間、それだけを与えることが必要です。
おやつをひとつ与えるだけで、その試みは無効になってしまいます。
家族全員で共有してから始めてください。
試す期間は、数週間から二か月ほどかかります。短すぎると、変化があっても判断できません。
どのくらい続けるのかを最初に確認してから始めると、途中でぶれずに済みます。
よくある質問
Q. 好酸球性肉芽腫症候群とは、どんな病気ですか?
A. 好酸球という白血球が皮膚や粘膜に集まって炎症を起こす、猫に特有の反応です。好酸球性潰瘍、好酸球性プラーク、好酸球性肉芽腫の3つのタイプに分かれます。
Q. 上唇が欠けたように見えます
A. 無痛性潰瘍(好酸球性潰瘍)かもしれません。上唇に潰瘍ができることが多く、唇がかけたように見えることもあります。猫があまり気にしないため、無痛性潰瘍とも呼ばれます。
Q. 痛がっていないのですが、放っておいてよいですか?
A. 受診してください。痛がらないため気づかれにくく、少しずつ大きくなることがあります。また、見た目が腫瘍と似ていることもあるため、確かめる意味があります。
Q. お腹をなめて、毛が薄くなっています
A. 好酸球性プラークの可能性があります。お腹や首によく見られ、脱毛と赤みがあり、じゅくじゅくしています。痒みが強いため、しきりに舐めたり掻いたりします。
Q. ストレスによる脱毛と、どう見分けますか?
A. 毛をかき分けて、皮膚を見てください。この病気では、その下の皮膚が赤くじゅくじゅくしています。心因性の脱毛では、皮膚そのものは比較的きれいなことが多いものです。
Q. 太ももに、すじのようなものがあります
A. 線状肉芽腫かもしれません。太ももや脇腹、口の中に線状の皮膚の盛り上がりが見られ、その部分は脱毛し、皮膚は硬くなっています。
Q. 原因は何ですか?
A. はっきりとした原因はわかっていません。アレルギーや寄生虫感染、細菌感染などが原因になると考えられており、とくにアレルギーが関連している可能性が高いとされています。
Q. ノミが関係するのですか?
A. 関係します。ノミやダニなどの外部寄生虫感染はアレルギーの原因となり、それによってこの病気が誘発されます。だから治療では、まずノミの駆虫が行われます。
Q. ノミはいないと思うのですが
A. それでも、まず駆虫します。一匹でもアレルギー反応が起こることがあり、見つからなくてもいる可能性は残るためです。三か月以上続けて、それから次を考えます。
Q. どうやって診断しますか?
A. 細胞を調べて、好酸球が集まっているかを確認します。血液検査で好酸球の数が増えていることもあり、確定診断には皮膚生検を行うこともあります。
Q. 治療はどうしますか?
A. 免疫や炎症を抑える薬の内服、ノミの駆虫、食事の変更などです。薬で症状は比較的早く落ち着きますが、引き金が残っていれば薬をやめたときに戻ります。
Q. 薬をやめると、また出ます
A. 引き金がまだ残っているということです。ノミの駆虫を徹底する、食事を変えてみるなど、引き金を探す試みを続けることに意味があります。
まとめ|見た目が違っても、同じ反応です
この病気は、三つの形をとります。
唇の潰瘍は痛がらず、お腹のただれはかゆく、太もものすじは触らないと分かりません。
見た目はばらばらですが、体の中で起きていることは同じです。
そしてアレルギーが関わっている可能性が高いとされています。
薬は、よく効きます。けれど引き金を断たないかぎり、くり返します。そのつもりで、長く付き合ってください。
原因がはっきりしない病気は、飼い主にとってもどかしいものです。
けれど、ノミの駆虫と食事の見直し——この二つを丁寧にやるだけで落ち着く猫がいます。できることから、順番に試していってください。
今日できる3つ
- 1猫の上唇を見て、欠けたような部分がないか確かめる
- 2お腹の毛をかき分けて、赤くただれていないか見る
- 3太ももや脇腹を撫でて、すじのような盛り上がりがないか触る
この病気は、痛がらない形で出ることがあります。だから、飼い主が見つけるしかありません。

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