

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫の口内炎|薬では治らないことが、あります」です。ではどうぞ!
「口内炎ができています」と言われると、多くの方はそのうち治るものだと考えます。人の口内炎が、そういうものだからです。
けれど猫の口内炎は、別のものです。自然には治らず、薬でも治りきらないことがあります。
そして、この病気の標準的な治療は歯を抜くことです。
初めて聞くと、驚かれると思います。けれどその理由を知ると、納得できるところがあります。
結論
猫の口内炎は口の中の粘膜が広く炎症を起こし、強い痛みで食べられなくなる病気です。原因には歯周病、感染症、外傷、アレルギーなどがあり、免疫が歯の表面に過剰に反応していると考えられています。抗生物質やステロイド薬、免疫抑制剤などを使用した内科的な治療は、一時的には症状の改善がみられても完治にはつながらないとされ、抜歯などの外科的な治療の補助として行われる場合が多いものです。部分的な抜歯ではなく、全臼歯抜歯や全抜歯が治療のゴールドスタンダードとされ、全臼歯抜歯で約60〜70%、全顎抜歯で約80〜90%の改善・治癒が期待できると報告されています。それでも改善しないものは、難治性口内炎と呼ばれます。
この記事でわかること
- ✓人の口内炎とは、別のものです
- ✓痛みは、想像より強いものです
- ✓背景に、感染症があることがあります
- ✓内科の治療では、抑えきれません
- ✓抜歯が、標準的な治療になっています
- ✓歯を抜いても、食べられます
- ✓それでも治らないことがあります
- ✓家でできること
人の口内炎とは、別のものです

人の口内炎は、口の中にぽつんとできて、数日から一週間で消えていきます。
猫の口内炎は違います。口の奥のほうまで、広く赤くただれます。そして、放っておいても治りません。
起きていることも違います。単なる傷や炎症ではなく、免疫が、自分の歯の表面に過剰に反応している状態だと考えられています。
だから、歯を抜くのです
免疫が反応している相手が歯の表面にある物質だとすれば、その相手をなくしてしまえば反応も収まります。
これが、抜歯が治療になる理由です。歯を治すのではなく、反応する相手をなくすという考え方になります。
部分的、またはすべての歯の抜歯を行っても症状が改善せず、投薬での治療を長期間行っても再発する口内炎は、難治性口内炎と呼ばれています。
痛みは、想像より強いものです

この病気で、いちばんつらいのは痛みです。そして猫は、痛みを声に出しません。
口を開けさせて確かめられればよいのですが、痛がっている猫は嫌がります。外から分かる合図で判断してください。
- よだれが増え、口のまわりや胸元が濡れている
- 近づくと分かるほど、口臭が強い
- 食べたそうに来るのに、口をつけない
- 食べようとして、声をあげることがある
- 顔を触られるのを、強く嫌がるようになった
- 毛づくろいをしなくなり、毛がぼさぼさになった
- 硬いものを避け、やわらかいものだけ食べる
- 体重が落ちてきた
毛づくろいをしなくなるのは、見落とされやすい合図です。猫は舌で毛づくろいをしますから、口が痛ければ、それができません。
食べたいのに食べない、という形
食欲がないから食べない場合と、食べたいのに痛くて食べられない場合とでは、意味がまったく違います。
この病気では、後者になります。皿の前まで来て、においを嗅いで、それでも口をつけずに離れていく——その様子は、痛みを強く示しています。
「食欲はあるようなのですが」という一言を、受診のときに必ず伝えてください。
進み方には、段階があります
この病気は、ある日突然ひどくなるわけではありません。多くは歯ぐきの縁の赤みから始まります。
| 段階 | 見え方 | そのとき |
|---|---|---|
| 歯ぐきの縁が赤い | 気づかれにくい | 歯石のケアで止められることがある |
| 赤みが広がる | 口臭が出てくる | この段階で受診したい |
| 口の奥までただれる | よだれが増える | 痛みが強くなっている |
| 食べられなくなる | 体重が落ちる | 抜歯を検討する段階 |
| 難治性になる | 抜歯後も改善しない | 痛みの管理が目標になる |
いちばん早い合図は、口臭です。「最近、口が臭う気がする」と感じたら、その時点で一度見てもらってください。
早い段階なら、歯のケアで止められることもあります。抜歯まで進まずに済む可能性が残っているのは、この時期です。
背景に、感染症があることがあります
口内炎の背景に、ウイルスの感染が隠れていることがあります。
猫カリシウイルス感染症は、舌や口腔内に水疱と潰瘍をつくるウイルスです。慢性的な口の炎症の原因のひとつとして挙げられています。
また、猫免疫不全ウイルス感染症や猫白血病ウイルス感染症があると、免疫が落ちています。そのために口内炎が治りにくくなることがあります。
| 背景 | どう関わるか |
|---|---|
| カリシウイルス | 口の粘膜に潰瘍をつくり、慢性化することがある |
| 猫免疫不全ウイルス | 免疫が落ち、口内炎が治りにくくなる |
| 猫白血病ウイルス | 同じく免疫が落ち、くり返しやすくなる |
| 歯周病 | 歯垢や歯石が、炎症の引き金になる |
| 腎臓の病気 | 尿毒症から、口の炎症が出ることがある |
| 免疫の異常 | 歯の表面に、過剰に反応してしまう |
だから、血液検査もします
口内炎で受診したときに血液検査を勧められるのは、このためです。
血液検査によって、免疫状態や炎症の程度を把握することができます。ウイルスの検査もあわせて行うことがあります。
背景が分かれば、治療の見通しの立て方が変わります。免疫が落ちている猫では、そちらの管理も必要になるためです。
内科の治療では、抑えきれません
ここが、この病気でいちばん誤解されているところです。
抗生物質やステロイド薬、免疫抑制剤などを使用した内科的な治療は、一時的には症状の改善がみられても完治にはつながらないと考えられています。
薬を飲めば、確かに楽になります。けれどやめれば、また戻ってきます。
ステロイドを続けることの問題
ステロイドはよく効きます。痛みが引き、食べられるようになります。
けれど、長く使い続けるとだんだん効かなくなり、量が増えていきます。そして、糖尿病など別の問題を招くことがあります。
「ステロイドが効いているから、このまま」という選択は、先を狭めていくことがあります。
内科的な治療は、外科的な治療の補助として行われる場合が多い——そう位置づけられているのは、このためです。
🩺 獣医療の現場では
「いつまでこの薬を続けますか」——口内炎の治療では、この質問に意味があります。
薬でしのぐ期間が長くなるほど、痛みを抱えたまま過ごす時間も長くなります。抜歯という選択があることを、一度は聞いておいてください。
抜歯が、標準的な治療になっています

部分的な抜歯ではなく、全臼歯抜歯(すべての奥歯を抜歯すること)や全抜歯が、治療のゴールドスタンダードとなります。
成績も報告されています。全臼歯抜歯は約60%、全顎抜歯は約80%程度が改善するというのが一般的な治療反応率です。
別の報告では全臼歯の抜歯で60〜70%の治癒が、全顎抜歯で約90%の治癒が期待できるとされています。
なぜ、部分的では足りないのか
「痛そうなところだけ抜けばよいのでは」と考えたくなります。
けれど、残した歯の周りで、また炎症が起きます。免疫が反応する相手が残っているからです。
そのため、抜くと決めたならまとめて抜くほうが結果がよいとされています。
「少しずつ様子を見ながら」では、麻酔の回数だけが増えていくことにもなりかねません。
手術を決める前に、聞いておきたいこと
- どこまで抜くのか(奥歯だけか、全部か)
- 期待できる改善の見込みはどのくらいか
- 歯の根が残らないよう、確認する方法はあるか
- 麻酔のリスクはどのくらいか
- 術後、どのくらいで食べられるようになるか
- 改善しなかった場合、次の手はあるか
歯の根が残ってしまうと、そこで炎症が続きます。しっかり抜けているかを確かめる方法があるかどうかは、聞いておく価値があります。
歯を抜いても、食べられます

「全部抜いたら、食べられなくなるのでは」——これが、いちばん多い心配だと思います。
けれど、心配いりません。猫はもともと、食べ物をあまり噛みません。
猫の歯は、噛み砕くためのものではありません
猫の奥歯は、人の臼歯のようにすりつぶす形をしていません。肉を切り裂くための形をしています。
そして実際には、ほとんど丸のみに近い食べ方をしています。だから歯がなくなっても、食べる動作そのものは大きく変わりません。
実際、抜歯のあとでドライフードを問題なく食べている猫はたくさんいます。
むしろ、食べるようになります
痛みが取れれば、猫は食べます。手術のあとに「よく食べるようになった」という声は、この病気では珍しくありません。
術後しばらくは、やわらかいものから始めます。ウェットフードや、ふやかしたドライフードです。
歯ぐきが落ち着いてくれば、元の食事に戻せる猫が多いものです。
見た目は、意外に変わりません
歯を抜いても、顔つきが変わってしまうことはありません。
舌が少し出ることはありますが、それも慣れれば気にならなくなります。痛みなく過ごせることのほうが、ずっと大きいと感じる方がほとんどです。
それでも治らないことがあります
正直にお伝えしておきます。抜歯をしても、改善しない猫がいます。
部分的、またはすべての歯の抜歯を行っても症状が改善せず、投薬での治療を長期間行っても再発する口内炎は、難治性口内炎と呼ばれています。
数字でいえば、全顎抜歯でも一割から二割ほどは改善しきらないということになります。
そのときに考えること
それでも、できることは残っています。
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 抜き残しの確認 | 歯の根が残っていないかを、画像で確かめる |
| 背景の病気を探す | ウイルス感染や、ほかの疾患がないか調べ直す |
| 痛みの管理 | 食べられる状態を保つことを目標にする |
| 免疫を抑える治療 | 状態によって、薬を組み合わせる |
| 新しい治療 | 再生医療など、選択肢が増えつつある |
| 専門的な相談 | 歯科に詳しい病院へ、紹介してもらう |
「治す」から「食べられる状態を保つ」へ——目標を切り替えることも、ひとつの選択です。
家でできること
この病気で家ができることは、痛みを増やさないことと、食べさせることです。
- ウェットフードを、ぬるま湯でのばしてなめらかにする
- 少し温めて、においを立たせる
- 浅い皿にして、口をつけやすくする
- 回数を分けて、こまめに出す
- 硬いおやつは、しばらく控える
- 体重を測って、減っていないか確かめる
痛みがあるときに歯磨きを頑張らないことも大切です。触れるだけで痛む口を無理にさわれば、猫は口を触らせてくれなくなります。
落ち着いてからの、口のケア
炎症が落ち着いてからであれば、歯垢をためない工夫が予防につながります。
ただし、無理に始めないでください。指で口のまわりを触らせてくれるところから、少しずつ慣らしていきます。
歯ぐきの炎症の段階で気づけていれば、そこから進むのを防げることもあります。
よくある質問
Q. 猫の口内炎とは、どんな病気ですか?
A. 口の中の粘膜が広く炎症を起こし、強い痛みが出る病気です。人の口内炎のように自然に治ることは少なく、食べられなくなって体重が落ちていきます。
Q. 人の口内炎と同じものですか?
A. 別のものです。人の口内炎は数日で治りますが、猫の口内炎は口の奥まで広くただれ、免疫が歯の表面に過剰に反応していると考えられています。
Q. どんな症状が出ますか?
A. よだれ、強い口臭、食べたそうにするのに食べない、といった様子です。毛づくろいをしなくなる、顔を触られるのを嫌がる、という変化も痛みのサインになります。
Q. 原因は何ですか?
A. 歯周病、感染症、外傷、アレルギーなどが挙げられます。カリシウイルスや、猫免疫不全ウイルス・猫白血病ウイルスによる免疫の低下が背景にあることもあります。
Q. 薬で治りませんか?
A. 内科的な治療は、一時的に改善しても完治にはつながらないとされています。抗生物質やステロイド薬、免疫抑制剤は、外科的な治療の補助として行われる場合が多いものです。
Q. ステロイドを続けてもよいですか?
A. 長く使うと効きにくくなり、量が増えていくことがあります。別の問題を招くこともあるため、「いつまで続けるか」を獣医師と話し合っておいてください。
Q. 抜歯が治療になると聞きました
A. 部分的な抜歯ではなく、全臼歯抜歯や全抜歯が治療のゴールドスタンダードとされています。免疫が反応している相手そのものをなくす、という考え方です。
Q. どのくらい効果がありますか?
A. 全臼歯抜歯で約60〜70%、全顎抜歯で約80〜90%の改善・治癒が期待できると報告されています。どこまで抜くかで、結果が変わります。
Q. 歯を全部抜いて、食べられますか?
A. 食べられます。猫はもともと食べ物をあまり噛まず、丸のみに近い食べ方をします。抜歯後にドライフードを問題なく食べている猫もたくさんいます。
Q. 手術のあと、すぐに食べますか?
A. 痛みが取れると、自分から食べに来ることが多いものです。術後しばらくはやわらかいものから始め、歯ぐきが落ち着いてきたら元の食事に戻していきます。
Q. 抜歯しても治りませんでした
A. 難治性口内炎と呼ばれる状態です。抜き残しがないかを確かめ、背景の病気を探し直し、痛みの管理を中心に切り替えていくことになります。歯科に詳しい病院への相談も選択肢です。
Q. 家でできることはありますか?
A. 痛みを増やさないことと、食べさせることです。ウェットフードをのばしてなめらかにし、温めてにおいを立たせてください。痛みがあるあいだは、歯磨きを無理に行わないでください。
まとめ|痛みを抱えたまま、過ごさせないために
猫の口内炎は、薬でしのげる病気ではありません。効いているように見えても、それは痛みを一時的に抑えているだけです。
そのあいだ、猫はずっと痛い口で暮らしています。
抜歯という言葉には抵抗があると思います。けれど猫は歯がなくても食べられます。そして痛みが取れれば、また食べるようになります。
「食べたそうなのに、食べない」——その様子を見たら、痛みを疑ってください。そして、抜歯という選択肢について一度は聞いてみてください。
決断は簡単ではないと思います。けれど、この病気で猫が失っているのは歯ではなく、食べる楽しみと、毛づくろいをする落ち着きです。抜歯を選んだ方の多くが、もっと早く決めればよかったと言われます。
今日できる3つ
- 1胸元がよだれで濡れていないか、口臭がないかを確かめる
- 2毛づくろいをしなくなっていないか、毛並みを見てみる
- 3薬を続けているなら、「いつまで続けるか」を次の受診で聞く
この病気でつらいのは、炎症そのものではなく痛みです。痛みを取ることが、そのまま暮らしを取り戻すことになります。

本日の「犬猫の悩みを即解決!」の記事「猫の口内炎|薬では治らないことが、あります」でした。
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