

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫のネフローゼ症候群|捨ててはいけないものが、漏れています」です。ではどうぞ!
お腹がふくれてきた——
足がむくんでいる——
元気がなく食べたがらない——
そういうときに考えられる病気のひとつが
ネフローゼ症候群です。
腎臓のなかにはざるのようなものがあります。
老廃物は通し
体に必要なたんぱくは通さない——
そのざるの目が粗くなってしまうのが
この病気です。
本来なら捨ててはいけないものが出ていってしまう——
それが、体のあちこちに現れます。
むくみとして——
腹水として——
そして、血栓として——
結論
ネフローゼ症候群は糸球体の病気で、大量の蛋白が尿中に排泄され、その結果体に水分がたまり(浮腫)、血液中のアルブミンが低下し、脂質が上昇します。猫では感染が原因となることもあれば、遺伝的な要因で起こることもあります。症状としてはお腹の張り、むくみ、元気の低下、食欲不振などがみられます。治療では腎臓に配慮した療法食(腎機能への負担を減らす低蛋白食)や、糸球体の炎症を起こす免疫の働きを抑える免疫抑制剤が用いられます。そのほかナトリウムと蛋白を制限した食事、降圧薬、利尿剤、抗炎症薬、免疫抑制薬のほか、ネフローゼ症候群では血栓塞栓症が起こりうるため予防的な抗血栓療法が行われることもあります。
この記事でわかること
- ✓腎臓は、ざるのようなものです
- ✓慢性腎臓病とは、壊れ方が逆です
- ✓お腹がふくれ、むくみます
- ✓血が固まりやすくなります
- ✓尿を調べなければ、分かりません
- ✓治療は、漏れと結果の両方に
- ✓家で見ておいてほしいこと
腎臓は、ざるのようなものです

腎臓のなかには
糸球体(しきゅうたい)という細かいフィルターがあります。
血液がそこを通るとき
捨てるべき老廃物は通し
体に必要なたんぱくは通さない——
そういう選り分けをしています。
目の細かいざるだと考えてください。
小さな老廃物はすり抜け
大きなたんぱくは残る——
| 段階 | 起きていること |
|---|---|
| 健康なとき | たんぱくは通り抜けない |
| 糸球体が傷む | 目が粗くなってしまう |
| 漏れ出す | 大量の蛋白が尿中に排泄される |
| 血中で減る | 血液中のアルブミンが低下する |
| 水を保てない | 体に水分がたまる(浮腫) |
| あわせて | 脂質が上昇する |
「たんぱくが尿に出る」——
これ自体は目に見えません。
おしっこが白く濁るわけでもありません。
だから、この病気は
「結果」が出てくるまで気づけないのです。
アルブミンが、していること
漏れて困るものの代表がアルブミンです。
これは血液のなかでいくつもの仕事をしています。
| 役割 | 失われると |
|---|---|
| 水を血管内に保つ | むくみ、腹水、胸水が出てくる |
| 物質を運ぶ | 薬の効き方にも影響することがある |
| 体をつくる材料になる | 傷の治りが遅くなる |
| 血液の状態を保つ | 血が固まりやすくなる |
| 栄養として | 体力が落ちてくる |
| だから | 数値として重く見られる |
「たんぱくが少し漏れているだけ」ではありません。
体を成り立たせている土台が薄くなっていく——
そう考えるとなぜ急いで止めたいのかが分かります。
慢性腎臓病とは、壊れ方が逆です

同じ「腎臓の病気」でも
この病気と慢性腎臓病とでは
壊れているところが違います。
| 慢性腎臓病 | ネフローゼ症候群 | |
|---|---|---|
| 問題 | 捨てられない | 捨ててはいけないものが出ていく |
| 体にたまるもの | 老廃物、毒素 | 水分(むくみ、腹水) |
| 失われるもの | 腎機能そのもの | たんぱく(アルブミン) |
| 尿 | 薄くなり、量が増える | たんぱくが出る |
| 見つけ方 | クレアチニン、SDMA、尿比重 | 尿の蛋白を調べる |
| 見た目 | 痩せて、水をよく飲む | お腹が張り、むくむ |
「捨てられない」のと
「捨ててはいけないものを捨ててしまう」——
方向がまったく逆なのです。
だから、見つけ方も違います。
血液検査で腎臓の数値を見ているだけでは
この病気は見つかりません。
尿のなかを見なければならないのです。
そして、この2つは重なることもあります。
たんぱくが漏れ続けた結果
腎臓そのものが傷んでいく——
だから、早く止めたいのです。
お腹がふくれ、むくみます
この病気で家で気づかれるのは
「たまった水」のほうです。
症状としてはお腹の張り、むくみ、元気の低下、食欲不振などがみられます。
- お腹だけがふくれてきた
- 足やお腹の下が、ぼてっとしている
- 指で押すと、へこみが残る
- 元気がなく、寝てばかりいる
- 食欲が落ちてきた
- 体重は、水のぶん増えることもある
アルブミンには血管のなかに水を引き止めておく役割があります。
それが減ると
水が血管の外へしみ出していきます。
お腹にたまれば腹水——
皮膚の下にたまればむくみ——
胸にたまれば呼吸に関わってきます。
「太ってきた」と思われることがあります。
けれど、背中を触ってみると
骨がはっきり分かる——
そのちぐはぐさがこの病気の顔です。
⚠ 呼吸が速いなら、急いでください
水が胸にたまると
肺がふくらめなくなります。
呼吸が速い浅い呼吸を繰り返す口を開けて息をする——
猫が口を開けて呼吸するのはふつうではありません。
それは、かなり苦しいということです。
その場で連絡して向かってください。
血が固まりやすくなります

ここは、見落とされやすいけれど
とても大事な話です。
ネフローゼ症候群では血栓塞栓症が起こりうるため
予防的な抗血栓療法が行われることもあります。
たんぱくが失われることは
血を固まりにくくする働きまで失うということ——
| 起きること | 見えること |
|---|---|
| 血が固まりやすくなる | 血栓(血のかたまり)ができる |
| 血栓が流れる | 血管の細いところで詰まる |
| 後ろ足で詰まると | 急に足が動かなくなる |
| そのとき | 足が冷たく、強く鳴いて痛がる |
| 肺で詰まると | 呼吸が急に苦しくなる |
| いずれも | 一刻を争う状態になる |
猫でこの形で起きるのが
動脈血栓塞栓症です。
「昨日まで歩いていたのに急に後ろ足が動かなくなった」——
そういう起き方をします。
だから、この病気では
予防的に血栓を防ぐ薬が使われることがあるのです。
「なぜこんな薬まで」と思われたなら
そこに理由があります。
後ろ足を、ときどき触ってください
血栓は予告なく起こります。
けれど、起きたときにすぐ気づけるように
ふだんの状態を知っておいてください。
- 後ろ足の温かさを、ときどき触って確かめる
- 肉球の色を見ておく
- 歩き方に、変わりがないか
- 急に足を引きずったら、すぐ連絡する
- 足を触ると強く鳴くなら、緊急
- 「昨日までは歩けていた」も、大事な情報
「腰が抜けた」「急に立てなくなった」——
そういう見え方をすることがあります。
「高いところから落ちたのかな」と思われることも
ありますが
この病気が分かっているなら
血栓のほうを先に疑ってください。
尿を調べなければ、分かりません
この病気を見つけるには
尿を調べるしかありません。
| 調べること | 分かること |
|---|---|
| 尿の蛋白 | たんぱくが漏れているかどうか |
| 尿蛋白クレアチニン比 | 漏れの程度を、数値で見る |
| 血液のアルブミン | 低下しているかどうか |
| 血液の脂質 | 上昇していることがある |
| 血圧 | 高くなっていることが多い |
| 画像検査 | 腹水や胸水の有無を確かめる |
健康診断で血液検査だけを受けていると
この病気は見つかりません。
「尿検査もお願いします」——
その一言がこの病気でもそのまま効きます。
そして、血圧——
たんぱくが漏れると高血圧を伴うことが多くなります。
そして、高血圧はさらに腎臓を傷めます。
だから、血圧もあわせて測ることになります。
「たんぱくが漏れる」と「血圧が上がる」は
お互いを悪くし合う関係にあります。
だから、降圧薬が使われるのは
血圧のためだけでなく腎臓を守るためでもあるのです。
「尿にたんぱくが出ている」と言われたら
健康診断でそう言われることがあります。
「少し出ています」とだけ言われたなら
そのままにしないでください。
「どのくらいですか」「もう一度調べたほうがよいですか」と
聞いてみてください。
たんぱく尿は腎臓の早い知らせだからです。
治療は、漏れと結果の両方に

治療は2つの方向から行われます。
漏れそのものを減らすこと——
そして、漏れた結果に対応すること——
- 腎臓に配慮した療法食(低蛋白食)で、負担を減らす
- ナトリウムと蛋白を制限した食事にする
- 免疫抑制剤で、糸球体の炎症を抑える
- 降圧薬で、血圧を下げる
- 利尿剤で、むくみや腹水に対応する
- 抗血栓療法で、血栓を予防する
「低蛋白食」と聞くと
「たんぱくが足りないのに減らすのか」と
思われるかもしれません。
けれど、入れる量を増やしても
漏れているかぎり出ていくだけです。
そのうえ、たんぱくを処理することが
腎臓の負担になります。
だから、あえて減らす——
そういう考え方です。
塩分も、減らします
ナトリウムを制限するのにも理由があります。
- 塩分が多いと、体に水をためこみやすくなる
- むくみや腹水が、増えてしまう
- 血圧も上がりやすくなる
- 高血圧は、さらに腎臓を傷める
- だから、ナトリウムを制限した食事にする
- 人の食べものやおやつは、とくに注意する
人の食べものには猫にとって多すぎる塩分が入っています。
「少しくらい」がむくみを増やします。
療法食をがんばっているのに
効きが見えないときには
それ以外で入っているものを見直してみてください。
「これはあげてよいですか」と聞くのがいちばん確実です。
🩺 免疫を抑える薬を使う理由
免疫抑制剤が使われるのは
糸球体の炎症に免疫が関わっていることがあるからです。
免疫の働きを抑えることでフィルターの傷みを減らします。
ただし、感染に弱くなるという面もあります。
熱が出た下痢が続くなどふだんなら様子を見ることでも
相談してください。
家で見ておいてほしいこと
この病気で家でできることは
「水がたまっていないか」を見ることです。
| 見ること | 方法 |
|---|---|
| お腹の張り | 横から見て、変わっていないか |
| むくみ | 足を軽く押して、へこみが残るか |
| 体重 | 週に一度は量って記録する |
| 呼吸 | 寝ているときの速さを見る |
| 食べた量 | 減っていないか |
| 後ろ足 | 動きにくそうにしていないか |
とくに、呼吸——
寝ているときのお腹の動きを数えてみてください。
いつもより速いなら
胸に水がたまってきている可能性があります。
そして、後ろ足——
急に動かなくなったなら血栓を考えます。
迷わず連絡してください。
「様子を見て明日」では間に合わないことがあります。
そして、食欲——
この病気では療法食を続けられるかどうかが治療そのものです。
食べていない日が続いているなら
そのことも必ず伝えてください。
体重の読み方に、注意を
この病気では体重の見方にひとつ注意が要ります。
- 水がたまれば、体重は増える
- けれど、それは太ったのではない
- 逆に、利尿剤が効けば体重は減る
- だから、数字だけでは判断できない
- 背中の骨の触れ方も、あわせて見る
- お腹の張りとむくみも、記録しておく
「体重が増えたからよくなった」とは
限らないのです。
背中を触って骨がはっきり分かるのに
お腹だけ出ているなら
それは水です。
そのちぐはぐさを見てください。
記録を、持っていってください
この病気は長く付き合うことになります。
だから、記録がそのまま力になります。
| 記録すること | なぜ役に立つか |
|---|---|
| 体重 | 週に一度。増減の向きが分かる |
| お腹まわり | 写真で残すと、比べやすい |
| むくみの有無 | 押したときのへこみを見る |
| 食べた量 | 療法食が続けられているか |
| 呼吸の速さ | 胸水の早期発見につながる |
| 薬を飲めているか | 飲めていないなら、必ず伝える |
「前回よりよくなっているのか悪くなっているのか」——
それが分かると
治療の方向を決めやすくなります。
そして、数値も控えておいてください。
アルブミンの値と尿の蛋白がどう動いているか——
そここそがこの病気の成績表になります。
よくある質問
Q. ネフローゼ症候群とは、どんな病気ですか?
A. 糸球体の病気で、大量の蛋白が尿中に排泄される状態です。その結果、体に水分がたまり(浮腫)、血液中のアルブミンが低下し、脂質が上昇します。
Q. 慢性腎臓病とは、どう違うのですか?
A. 壊れ方が逆です。慢性腎臓病は「捨てるべきものを捨てられない」病気ですが、ネフローゼ症候群は「捨ててはいけないものが出ていく」病気です。だから、見つけ方も違います。
Q. 原因は何ですか?
A. 感染が原因となることもあれば、遺伝的な要因で起こることもあります。糸球体というフィルターが傷むことで、たんぱくが漏れ出します。
Q. どんな症状が出ますか?
A. お腹の張り、むくみ、元気の低下、食欲不振などです。アルブミンが減ると水を血管内に保てなくなり、お腹にたまれば腹水、皮膚の下にたまればむくみになります。
Q. 血液検査で分かりますか?
A. 尿を調べなければ分かりません。血液検査で腎臓の数値を見ているだけでは見つかりません。尿の蛋白を調べることが出発点になります。
Q. 血栓ができると聞きました
A. ネフローゼ症候群では血栓塞栓症が起こりうるとされています。そのため、予防的な抗血栓療法が行われることもあります。急に後ろ足が動かなくなったら、すぐ受診してください。
Q. 治療では何をしますか?
A. 漏れを減らすことと、漏れた結果に対応することの両方を行います。腎臓に配慮した療法食、免疫抑制剤、降圧薬、利尿剤、抗炎症薬、抗血栓療法などが用いられます。
Q. たんぱくが足りないのに、低蛋白食にするのですか?
A. 入れる量を増やしても、漏れているかぎり出ていくだけだからです。そのうえ、たんぱくを処理することが腎臓の負担になります。だから、減らすという考え方をとります。
Q. 塩分も気をつけたほうがよいですか?
A. ナトリウムを制限した食事がすすめられます。塩分が多いと体に水をためこみやすくなり、むくみや腹水が増えてしまいます。血圧も上がりやすくなり、高血圧はさらに腎臓を傷めます。
Q. 健康診断で「尿にたんぱくが出ている」と言われました
A. そのままにしないでください。「どのくらいですか」「もう一度調べたほうがよいですか」と聞いてみてください。たんぱく尿は、腎臓からの早い知らせです。
Q. 体重が増えたのですが、よくなったのでしょうか?
A. 水がたまって増えていることがあります。背中を触って骨がはっきり分かるのにお腹だけ出ているなら、それは水である可能性が高くなります。
まとめ|背中とお腹を、分けて見てください
この病気で家で気づける手がかりは
「痩せているのに、お腹だけ出ている」というちぐはぐさです。
背中を触って骨が分かるのに
お腹が張っている——
そのときには水がたまっている可能性があります。
そして、この病気は
尿を調べなければ分かりません。
血液検査だけを受けていても見つからないのです。
「尿検査もお願いします」——
その一言から始めてください。
そして、この病気には
血栓というもうひとつの危険があります。
急に後ろ足が動かなくなったら
迷わず連絡してください。
今日できる3つ
- 1背中を触って、骨が分かるかどうか確かめる
- 2後ろ足を軽く押して、へこみが残らないか見る
- 3次の健康診断で「尿検査もお願いします」と伝える
捨ててはいけないものが、出ていっています。それは、尿を見なければ分かりません。

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