

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「犬の顔面神経麻痺|まばたきできない目を、守ってください」です。ではどうぞ!
片方の目が、眠そうに見える。
口の端が少し垂れているような気がする。
よだれが、いつも同じ側からこぼれる——
そうした変化は正面から見比べないと気づけません。
顔面神経麻痺——
顔の筋肉を動かす神経が働かなくなる病気です。
そして、この病気にはつらい事実があります。
原因の約75%は不明——
そして、その特発性のものには特異的な治療法がありません。
けれど、だからといって何もできないわけではありません。
まばたきできない目を守ること——
それが、この病気でいちばん大切な仕事です。
結論
顔面神経麻痺は顔の筋肉を動かせなくなる病気で、まばたきができない、唇が垂れ下がるといった症状が現れます。まばたきができなくなると目の表面が乾燥してドライアイになり、唇が動かせなくなるとよだれを流したり食べ物をこぼしたりします。ドライアイは角膜潰瘍につながる危険があるため人工涙液などの点眼薬が処方されます。犬の顔面神経麻痺の原因は約75%が不明とされ、この特発性のものには症状に対する支持療法以外に特異的な治療法はありません。ただし、特発性の犬のMRI検査では側頭骨内の顔面神経に造影剤増強効果が認められることから顔面神経の炎症が原因として挙げられています。麻痺は永続することもあれば、2〜6週間で自然に回復することもあります。
この記事でわかること
- ✓顔の左右差に、気づけるか
- ✓まばたきできないことが、いちばんの問題
- ✓目を守ることが、治療になります
- ✓原因の75%は「分からない」
- ✓それでも、調べる意味があります
- ✓食べ方も、変わります
- ✓戻ることも、あります
顔の左右差に、気づけるか

この病気は片側に出ることが多いものです。
だから、左右を見比べれば気づけます。
けれど、そこに落とし穴があります。
| 確かめること | 見えること |
|---|---|
| まぶた | 片目だけ、閉じきらない |
| 目の乾き | 白目が充血する、目やにが増える |
| 唇 | 片側の口の端が、垂れ下がる |
| よだれ | いつも同じ側からこぼれる |
| 食べ方 | 食べ物をぽろぽろこぼす |
| 耳 | 片側だけ、下がって見える |
ふだん、犬の顔を正面からじっと見ることは案外少ないものです。
横から見ていると左右差には気づけません。
だから、正面に回って両目を同時に見てください。
まぶたの高さ、口の端の位置——
そこを見比べるだけで分かることがあります。
写真と比べてみてください
ゆっくり進んだ変化は毎日見ていると気づけません。
「もともとこういう顔だったかもしれない」と迷ってしまう——
そういうときには数か月前の写真を探してみてください。
正面から撮ったものがあれば比べられます。
そして、その写真は受診のときにも役に立ちます。
「いつごろからこうなったのか」という情報が原因を絞る手がかりになるからです。
まばたきできないことが、いちばんの問題

顔が動かない——
見た目の変化として受け取られがちですが本当の問題は別のところにあります。
まばたきです。
まばたきはただ目を閉じる動作ではありません。
涙を目の表面に広げ、潤いを保つ——
そういう仕事をしています。
- まばたきできなければ、涙が広がらない
- 目の表面が乾いていく
- ドライアイの状態になる
- 乾いた角膜は、傷つきやすくなる
- そこから角膜潰瘍につながることがある
- だから、点眼で潤す必要がある
ドライアイは角膜潰瘍につながる危険があるため人工涙液などの点眼薬が処方されます。
角膜潰瘍は深さによって危険の度合いが変わる病気です。
詳しくは角膜潰瘍の記事で解説していますが進めば目そのものを失うこともありうる——
だから、「顔が動かない」より「目が乾いている」ほうを先に心配してほしいのです。
寝ているときにその目が半分開いたままになっていないか——
確かめてみてください。
なぜ、閉じられないのか
まぶたを閉じるという動作は筋肉の働きです。
その筋肉を動かしているのが顔面神経——
だから、その神経が働かなくなればまぶたも動かなくなります。
目そのものは健康なままです。
見えているし痛みもありません。
けれど、守るふたが働かなくなっている——
そう考えると何をすべきかがはっきりします。
ふたの代わりに潤いを足し続ける——
それが、この病気での目のケアの考え方です。飼い主がまぶたの代わりを務めていることになります。
目を守ることが、治療になります

この病気には特発性の場合、特異的な治療法がありません。
「出ている症状に対する支持療法」——
つまり、困っていることをひとつずつ支えるというやり方になります。
そして、その中心が目のケアです。
| 場面 | できること |
|---|---|
| 点眼 | 人工涙液などで、目の表面を潤す |
| 回数 | 指示された回数を、こまめに続ける |
| 乾燥する環境 | エアコンの風が直接当たらないようにする |
| 散歩 | 風やホコリが目に入りやすい。時間帯を選ぶ |
| 目やに | ぬるま湯で湿らせて、そっと拭き取る |
| 異変 | 白く濁る、目を気にするなら、すぐ受診 |
点眼は1日に何度も——
「気づいたときに」では足りないことが多いはずです。
まばたきができないのですから潤いを保つ役目を飼い主が肩代わりしている——
そう考えると回数の意味が分かりやすくなります。
🩺 点眼が、いちばんの治療です
「治す薬がない」と聞くと気持ちが折れそうになるかもしれません。
けれど、この病気で本当に困る事態は顔が動かないことではなく目を失うことです。
そして、それは防げます。
点眼を続けることがそのまま治療になっている——
意味のある作業だと受け取ってください。
そして、目の様子を毎日見てください。
白く濁ってきた、赤みが強い、しきりに気にしている——
そうした変化なら角膜の炎症が始まっている可能性があります。
早めに受診してください。
点眼のしかたにもコツがあります。
- 後ろから、そっと頭を支える
- 容器の先が、目に触れないようにする
- 正面から近づけると、こわがることがある
- 1滴で十分。何滴も入れる必要はない
- 終わったら、必ずほめる
- 複数の目薬があるなら、間隔をあけて使う
1日に何度も続けることですから本人が嫌がらない形を見つけることが大切です。
正面から手が近づいてくると身構える犬は多いものです。
後ろや横からそっと——
そして、終わったら必ずほめてください。
原因の75%は「分からない」

犬の顔面神経麻痺の原因は約75%が不明だとされています。
およそ4分の3という割合です。
調べても「これが原因です」と言えないことのほうが多いのです。
これを特発性顔面神経麻痺と呼びます。
ただし、まったく何も分かっていないわけではありません。
特発性顔面神経麻痺の犬のMRI検査では側頭骨内の顔面神経に造影剤増強効果が認められることから顔面神経の炎症が原因として挙げられています。
つまり、神経そのものに炎症が起きているらしい——
そこまでは分かってきているのです。
「原因不明」という言葉に不安になられると思います。
けれど、それは「重い病気が隠れている」という意味でもありません。
むしろ、調べてほかの原因が見つからなかった——
それ自体がひとつの結果です。
それでも、調べる意味があります
4分の1には背景となる病気があります。
そして、そちらが治療できるものなら顔の症状も変わることがある——
| 背景 | 考えられること |
|---|---|
| 中耳・内耳の病気 | 顔面神経が、そこを通っているため |
| 甲状腺の働きの低下 | ホルモンの不足が背景にあることがある |
| 外傷 | 頭を打った、手術のあとなど |
| 腫瘍 | 神経の経路にできものがある場合 |
| 感染・炎症 | 神経の周囲で起きている場合 |
| 特発性 | 約75%。原因が特定できない |
とくに、耳——
顔面神経は中耳という部屋を通り抜けています。
だから、そこで炎症が起きれば神経も巻き込まれる——
外耳炎を繰り返している犬で顔の麻痺が出たなら中耳炎を疑う理由があります。
そして、同じときに瞳の大きさの左右差があるかどうかも見てください。
目に関わる交感神経も中耳を通っているためそちらも同時に障害されることがあります。
もうひとつ——
甲状腺の働きが落ちる病気が背景にあることも知られています。
元気がない、太ってきた、毛が薄くなった、寒がる——
そうした変化が同時にあるなら伝えてください。
血液検査で調べられるもので治療できる病気です。
「原因の75%は不明」という数字を聞いたあとで検査をすすめられると「意味があるのだろうか」と感じられるかもしれません。
けれど、残りの4分の1に入る可能性を確かめておくことには大きな意味があります。
そこに当たれば治療できるからです。
そして、当たらなかったとしても——
「重い病気ではなかった」という結果が残ります。
食べ方も、変わります
唇が動かせなくなるとよだれを流したり、食べ物をぽろぽろこぼしたりするようになります。
これは、見た目の問題だけではありません。
- 食べ物を、口の中にとどめておけない
- 水を飲むときも、うまくすくえない
- 食べこぼしが増え、量が足りなくなることも
- よだれで、口の周りの皮膚が荒れる
- むせやすくなることもある
- 時間をかけて食べるようになる
工夫できることを挙げます。
食器を深めのものに変えるとこぼれにくくなります。
ふやかしてまとまりのある形にすれば口からこぼれにくくなる——
そして、食べたあとには口の周りを拭いてあげてください。
よだれで濡れたままにしておくと皮膚が荒れてしまいます。
むせる場面があるなら飲み込みの記事も参考にしてください。
| 困りごと | 工夫 |
|---|---|
| こぼす | 深めの食器にする。縁の高いものを選ぶ |
| まとまらない | ふやかす、とろみをつける |
| 量が足りない | 回数を増やして、補う |
| 水が飲みにくい | 深さのある器で、少量ずつ |
| 口の周りが荒れる | 食後に拭き、乾かす |
| 時間がかかる | 急かさず、落ち着ける場所で |
食べる時間が長くなることもあります。
急かさず、落ち着いて食べられる場所を用意してあげてください。
ほかの犬がいる家庭では横取りされないよう分けて与えるという配慮も必要になります。
戻ることも、あります
この病気で知っておいてほしいことを最後に書きます。
麻痺は永続することもあれば2〜6週間で自然に回復することもあります。
戻らないこともある——
けれど、戻ることもある——
どちらになるかは経過を見るしかありません。
| 時期 | 考え方 |
|---|---|
| 発症してすぐ | 原因を調べ、目のケアを始める |
| 数週間 | 回復するかどうかの、ひとつの目安 |
| 2〜6週間 | 自然に戻ることがある時期 |
| それ以降 | 残る可能性を考えていく |
| 残った場合 | 目のケアを、続けていくことになる |
| 共通 | その間も、点眼は欠かさない |
「待つ」という時間はつらいものだと思います。
けれど、その間にもできることはあります。
点眼を続けること。食べやすく工夫すること。背景の病気がないか調べること——
そして、顔の写真を定期的に撮っておくこともおすすめします。
少しずつ戻っているのか変わらないのか——
毎日見ていると分からない変化が写真では見えます。
撮るときは毎回、同じ距離、同じ明るさで——
正面から、顔全体が入るように——
そろえておくと比べやすくなります。
週に一度くらいで十分です。
そして、その写真を受診のときに見せてください。
「変わってきている気がします」よりずっと確かな情報になります。
残った場合の、暮らし方
麻痺が残ったとしても暮らしていくことはできます。
- 点眼を、生活の習慣に組み込む
- 乾燥する場所や季節に、とくに気をつける
- 食器や食事の形を、その子に合わせる
- 口の周りを、こまめに拭く
- 定期的に、目の状態を診てもらう
- 症状が変化したら、そのつど伝える
顔が動かないこと自体で本人が痛みを感じているわけではありません。
困るのは目の乾きと、食べにくさ——
その2つを支えられれば穏やかに過ごせます。
散歩もふつうに行けます。
ただし、風の強い日や砂ぼこりの多い場所では目に異物が入りやすくなります。
まばたきで追い出すことができないのですからそこは気をつけてください。
帰ってきたら目の様子を確かめ、必要なら点眼する——
それだけの配慮で危険は減らせます。
よくある質問
Q. 顔面神経麻痺とはどんな病気ですか?
A. 顔の筋肉を動かす神経が働かなくなる病気です。まばたきができない、唇が垂れ下がるといった症状が現れ、よだれを流したり食べ物をこぼしたりするようになります。
Q. いちばん気をつけることは何ですか?
A. まばたきができないことによる、目の乾燥です。涙が目の表面に広がらなくなり、ドライアイから角膜潰瘍につながる危険があります。人工涙液などの点眼薬で、目を潤し続けることが大切です。
Q. 原因は分かるのですか?
A. 約75%は不明とされています。ただし特発性の犬のMRI検査では、側頭骨内の顔面神経に造影剤増強効果が認められることから、顔面神経の炎症が原因として挙げられています。
Q. 治療法はありますか?
A. 特発性の場合、特異的な治療法はありません。出ている症状に対する支持療法——つまり、目を潤す、食べやすくするといったケアが中心になります。
Q. それでも検査を受ける意味はありますか?
A. あります。残りの4分の1には、中耳・内耳の病気、甲状腺の働きの低下、外傷や腫瘍といった背景があります。そちらが治療できるものなら、顔の症状も変わることがあります。
Q. 治ることはありますか?
A. 麻痺は永続することもあれば、2〜6週間で自然に回復することもあります。どちらになるかは経過を見るしかありません。その間も、点眼を欠かさず続けてください。
Q. 食べこぼしが増えました
A. 唇が動かせないため、口の中に食べ物をとどめておけないのです。深めの食器に変える、ふやかしてまとまりのある形にすると食べやすくなります。食後は口の周りを拭いて、皮膚が荒れないようにしてください。
まとめ|見るべきは、顔ではなく目です
この病気は「顔が動かなくなる」という形で受け取られます。
けれど、本当に心配すべきものはその顔ではありません。
まばたきできない目のほうです。
涙が広がらず、乾いていく角膜——
そこから潰瘍へ進めば目そのものを失うこともあります。
麻痺を治す薬はない——
けれど、目を守ることはできる——
点眼を続けることがそのまま治療になっている——
そして、2〜6週間で戻ることもある——
待つあいだもできることを続けてください。
そして、顔が動かないこと自体で本人が苦しんでいるわけではありません。
痛みもなく、見えてもいます。
困っているのは目の乾きと食べにくさ——
そこを支えてあげればこれまでどおり暮らしていけます。
今日できる3つ
- 1正面に回って、まぶたの高さと口の端を見比べる
- 2寝ているとき、その目が閉じているか確かめる
- 3外耳炎を繰り返しているなら、そのことを受診時に伝える
顔が動かないことより、目が乾くことのほうが問題です。点眼が、この病気の治療そのものです。

本日の「犬猫の悩みを即解決!」の記事「犬の顔面神経麻痺|まばたきできない目を、守ってください」でした。
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